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あなたと恋のワルツを  作者: 杏美
10/14

▼友人と私

サラ様視点

 リリーと私、サラサ・ドーニスの付き合いは長い方だと思います。なにしろ、私のお父様とリリーのお父様は普段こそはあまり会話こそはしませんが、嘗ては共に陛下の為と剣を振るい、背中を預け合った仲。その事から、私は物心つく前からリリーと付き合っています。


 そのリリーが、先日正式に例のアスカール侯爵様と婚約したとお父様から聞かされた時は驚きましたわ。


 リリーは私達と同じく、とある事情から『結婚はしたくない同盟』を結んでいたのですから。それが信じられず、詳しくお父様に問い質せば、リリーは嫌だ嫌だと喚き、久しぶりに子爵様に泣き縋ったと言うのに、侯爵様に上手く言い包められ、結果として自分から婚約を受け入れたとのこと。


「やりますわね・・・、リリーを言い包めるだなんて。」


「リーシェちゃんは変な所で意地っ張りで負けん気が強いからね。マリーナさんに似て」

 

 娘である私の言葉にうんうんと頷き、苦笑しているお父様は、その昔、リリーのお母様を虐め、大変な仕返しを受けた集団の一人。


 今ではすっかりリリーのお母様を崇拝している一人。


「でも、婚約したからって、リリーは普通の令嬢ではなくってよ。」


 リリーの家には跡継ぎがいない。

 リリーはそれを理解してるからこそ、普通で平穏な暮らしがしたいと口にしている。

 普通で平穏な生活と言うのは、適当な跡継ぎとなり得るヒトと婚姻を結び、跡継ぎを産んで育てるという事。


 そこにリリーの幸せは無いと、リリーは気付いてはいません。

 いえ、気付いてるのかもしれません。

 だからこそ愛や恋と言った感情を忌避しているのかもしれません。


 三年前のあの日、あの事件さえなければリリーは・・・・。


「サラサ、お前は今でもウォルフが好きか・・・」


 お父様のその突然の言葉に、私の胸は痛みました。

 ウォルフは、私の従弟で、今は神殿に仕えています。

 だから好きでも想いは伝えられない。


 諦めてしまえば、王太子妃になる事を受け入れてしまえば、こんなに心を痛める事もなくなるのは判ってはいても、諦めきれない。  


「当たり前ですわ・・・。私はお兄様しか好きになれませんわ。」


 恋や愛を忌避するリリー。

 お兄様しか愛せない私。


 全くの真逆である様な私とリリーは、その実はそっくりで。


 多分、リリーは自分でもそうとは判っていないのでしょうけど。

 だからこそ、私とリリーは一緒にいるのだと思います。 

 

久しぶりだと思います。

宜しく。

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