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第9話 「少し燃やしすぎたか」

今回は戦闘がメインです。


しかし自分で言うのもなんですがお粗末ですのでご了承下さい。


あー、神話の資料足らない…。

ブラックと名乗った男の言葉を聞いた瞬間、命は戦闘態勢に入る。


「テメェ…何処でそれを知った…?」


「そんな事はどうでもいい…やろうか」


道化の仮面が不気味に笑いながら、懐からトランプのカードを取り出す。


「カードカット」


そしてブラックはそのカードを数枚命に向けて投げつけた。


命はそれを横に跳んで回避するが、1枚だけ左肩に掠った。


その肩からは、少しだけ血が流れていた。


「…そのカード、切れ味が良いみてーだな」


「フフ…お前からもかかって来い」


「なら遠慮無く行かせて貰うぜ…創造・蛇矛(だほう)


蛇矛…それは三国志で有名な張飛が扱ったとされる武器。


矛の一種で刀身が曲がりくねり蛇のような形状をしている武器であり、その長さはおよそ4m。


矛先が真っ直ぐでないので相手に大きな傷を残す事が可能で、切り口がいびつになって傷が治りにくいという性質もある。


因みに、三国時代には蛇矛はまだ発明されておらす、張飛が扱ったと言うのは物語の中だけである。


その蛇矛を手に持ち、構える命。


「おおおおおおおおっ!」


「カードカット」


投げられるトランプの刃を、命は蛇矛で弾きながら突っ込んでいく。


蛇矛がトランプを弾くたびに、まるで金属とぶつかり合ったかのような金属音が響く。


「ゼァアア!」


命はブラックが蛇矛の攻撃範囲に入ると、薙ぎ払う。


だがブラックも大きくジャンプして後ろに下がり回避する。


「カードブレイド」


トランプは連結して伸びると、ブラックは遠距離から命に斬りかかる。


蛇矛とトランプはぶつかり合い、金属音が響く。


「ハッ!」


力では命が勝っていたようで、蛇矛が押し切るとトランプはバラバラに飛び散った。


しかし飛び散ったトランプは命の周りをヒラヒラと飛び回って視界を塞いでいた。


「こんな小細工が…俺に通用すると思うな!」


命は蛇矛を上に掲げて回転させると、風圧でトランプは全て上空に巻き上げられた。


そして後ろに気配を感じた命は振り返って蛇矛を構えると、ブラックが斬りかかってきたナイフを受け止める。


「流石にやるな…」


「舐めんじゃねえよ変な仮面付けた変人が」


ギロリと睨む命に、道化の仮面が怪しく微笑む。


しかし次の瞬間、命は何か妙な感覚に陥る。


「なんだ…!?」


「フフフ…これでお前は俺の幻術の中だ」


するとブラックは一瞬にして命の目の前から姿を消した。


「っ!?」


驚いた表情になるが、すぐさま構え直して辺りを警戒する命。


「こっちだ」


声のした方へ向くと、そこに姿は無かった。


「っ!?」


命は背中に痛みを感じて膝を着く。


「ぐっ…野郎…!」


背中の痛みの正体はナイフだった。


背中に刺さったナイフを引き抜くと、蛇矛を杖にして立ち上がる。


「テメェの幻術は…姿と声を惑わす術か…!」


「それに近い物だが、見破れなければ意味は無い」


「見つける必要なんてねぇよ!」


今度は蛇矛を振りかぶる。


「荒神式槍術・暴風槍!」


それを大きく、荒れるように振り回し、辺りの物を破壊していく。


石畳の床、傍に置いてあった木箱、建物の石壁など、全てが破壊されていく。


「はぁああああああああああああっ!」


「うおあっ!危なっ!」


ブラックの慌てた声から当たりそうにはなっているという事を命は悟った。


「オラオラオラオラオラオラァ!」


「ぐはっ!」


そのまま大きく振り回し続けると、柄に何かがぶつかった感触を感じ取る。


「当たったか」


「ぐ…少し油断していたか……まあ良い、あわよくば殺そうと思ったが…今はいいだろう」


命は1度蛇矛を振り回すのを止めて構え直して警戒し直す。


「異界人よ…お前の仲間を預かっている、返して欲しければ1人で東門近くの店に来い」


「カガミとアスカか…?あの2人…何あっさりと捕まってるんだ…!」


「他にも先ほどお前と居た侍と弓使いの女もな…」


「紅葉とクリナもか…」


「では待っているぞ」


そういい残してブラックの気配は完全に消えてしまった。


「創造・解除」


蛇矛を消して、刺された背中を押さえる。


ドクドクと流れ出す血を、傷口を押さえて押しとめる。


「くそっ…契約・フェニックス!」


瞬間、命の体は炎に包まれる。


不死鳥の名が示す通り、鳥の姿を取った不死身の幻獣。


500年に毎度、自分を炎で包み込んでその灰の中から再生する。


その歌声は美しく、魅了された人間はその口に自ら飛び込むらしい。


涙や灰には、不死になる効果があるとも言われている。


命の姿は背中から燃え上がる赤い翼が生えている姿になっていた。


背中の傷口は炎に包まれて消えた。


「東門の近くの裏路地の店だったな…行くか」


翼を羽ばたかせて空中に飛び上がり、東門を目指した。



□□□□□


「契約・解除」


炎の翼を消すと、裏路地に着地する。


此処にある店に来いと言われた命は、4人を助けるためにこの場所にやって来た。


そして裏路地を進んでいくと、少し大きめの屋敷の前に辿り着いた。


看板には人身商会・フォルティシア支部と書かれていた。


「人身商会…」


その看板を見たとき、ラモスと共に居たアノンを思い出す。


恐らくこの場で奴隷の売買がされているのだろう。


扉を開けて中に入るが、そこには何も無かった。


「…命様ですか?」


暗闇の中から声が聞こえたので、命は拳を構える。


「誰だ」


「此処の受付でございます…貴方様の事はブラック・ジョーカー様から聞いております…どうぞ中へ」


すると闇の中から出てきたのは黒いローブを羽織った男。


男は自分の足元にある鎖を掴んで引っ張ると、そこから地下へと続く階段が現れた。


その薄暗い階段を下っていくと、段々と明るくなってくると同時に人の声も聞こえてくる。


下まで辿り着くと、カーテンのような物が見えた。


人の声も大きくなってきているので、この先に何かがあるのだろう。


カーテンを捲って向こう側に行くと、大きな広間で、奥には舞台の様な物がある。


足元には木の破片やゴミなどが転がっている。


壁に松明があり、薄暗くはあるが外よりは明るいようだ。


手前側には100人分以上の椅子が用意されており、色々な人々が座っていた。


「此処は…」


「良い所だろう?」


横から声がしたので其方を見ると、そこにはブラックが樽の上に座っていた。


「お前…!」


「待て、今は話をしたい」


拳を握る命に対して、ブラックは宥めるように声をかけて両手を上げる。


その態度に、命は拳の力を抜いた。


すると舞台の上に誰かが現れた。


「さぁ皆さん!今夜も始まりました!人身売買のお時間です!」


司会のような男がそう宣言すると、会場は盛り上がり始めた。


「随分と趣味の悪い場所に呼び出してくれたな糞野郎」


「そう言うな……話と言うのは、単刀直入に言うと俺たちの仲間になって欲s」


「断る」


即答だ。


ブラックがまだ言い切っていないのに断るのは素晴らしい決断力…なのか?


「即答過ぎないか?訳でも聞いてくれれば…」


「俺には既に仲間がいる…テメェ等に興味はねぇんだよ」


命が言い切るとブラックの目は、仮面の奥で細くなる。


「お前がそう言うなら仕方が無いな…だがそれでお前の仲間がどうなるかは予想できてるな?」


互いの視線が交わって沈黙が流れる。


「さぁ!まずは人間の男…フェルマンだ!力仕事が得意だから護衛に持って来いだ!値段はお買い得の50000ギルからだ!」


命は舞台をチラリと見ると、1人の男が手錠と足枷で繋がれながら舞台上に引き上げられる所だった。


視線をブラックに戻すと、先ほどと変わらない姿のブラック。


「どうした?人身売買が気になるのか?」


「そりゃそうだろ…彼みたいな男はこんなもの虫唾が走るほど嫌いだろ」


背後から声がしたので、命は振り返るとそこには赤い道化の仮面を付けた男がいた。


「お前は…」


「俺はレッド・ジョーカー…ブラックの弟だよ」


「さて、お前は俺たち2人に挟み撃ちにされた上に此方には人質がいる…どうすればいいかは…分かるな?」


「チッ…」


命は小さく舌打ちをすると、再び舞台を見る。


「さぁ次は号か4人組!白髪の美女カガミと藍色髪の美女アスカ!そして魅惑の弓使いクリナに侍の紅葉だー!これは130000ギルからご提供!」


「なっ…!」


次に舞台に上げられたのは、先ほどの男と同様に鎖で拘束された4人だった。


「さぁどうする?あの4人が買われれば痛めつけるも辱めるも買い手の自由…決断を急げ」


「俺は誰の下にも着かねえよ!」


命は、足元の木の破片を足で蹴り上げる。


「ぐっ…!」


木の破片はブラックの仮面にぶつかり、怯ませる。


「じゃあアンタも死ねよ」


後ろからナイフを構えたレッドに、命は後ろ蹴りを繰り出す。


「うごっ…」


蹴りはレッドの腹に直撃して吹き飛ばした。


そして命は舞台に向けて走り出した。


「くっ…そいつを止めろ!」


ブラックは部屋の隅にいた黒ローブの男達に声をかけると、その男達は命を止めようと駆け出した。


「み、命殿!?」


「え…命さ~ん!」


命に気がついたカガミ達は喜びの声を出す。


「お、お前誰だ!?」


司会の男も舞台に突っ込んでくる命に驚いている。


だが命は跳び上がって舞台の上に乗り、司会の男を殴り飛ばした。


「ぶへっ!?」


「邪魔だ」


突然のアクシデントに、観客は次々に逃げていく。


そして4人に近づくと、まずはアスカの鎖を引きちぎった。


「マスター命…申し訳ありません」


「話は後だ…他の奴の鎖を外すから奴等を止めろ」


「はい」


そう言うと、アスカは右腕を変形させてEX-バーストを撃つ。


瑠璃色の光は命を取り押さえようと向かってきていた黒ローブの男に当たり吹き飛ばした。


命は、続いてカガミの鎖を引きちぎった。


「すいませんでした~…」


「カガミ、お前の杖は?」


「多分舞台裏です~。そこにはレグオンさんもいます~」


「あいつも捕まってるのか…後で取りに行くぞ」


その次に紅葉の鎖を外し、すぐさまクリナの鎖も取り外した。


「おい、お前等も一緒に来い」


「かたじけないでござる」


「分かったわ…助けてくれてありがとう」


「アスカ!行くぞ!」


「了解」


5人は、アスカの銃撃で敵を牽制しながら舞台裏に行く。


「創造・カラドボルグ」


生み出したのは一振りの剣。


アルスター神話に登場する英雄のフェルグス・マキ・ロイヒの愛剣である。


切れ味抜群、使用時には長さが変化する。


雷の一撃という意味を持ち、この剣を横領した者は火傷を負ったという。


命はカラドボルグを抜くと、その刀身には雷の一撃に相応しく、雷を纏っていた。


「ありました~」


舞台裏に辿り着いた命達は、カガミと紅葉とクリナの装備品を取り戻した。


無論、レグオンもだ。


「助けに来るのが遅いわ!」


「黙ってろ。後は逃げるだけだ…急いで階段を上るぞ」


そして戻ろうとした時、目の前にブラックが立ちはだかる。


「邪魔だ…退かないと殺すぞ」


「それは此方の台詞だ…仲間に引き込めないなら殺しても構わないと言われているのでな!」


ブラックは懐から素早くトランプを取り出すと命に投げつける。


しかし命もカラドボルグとその鞘で弾き落とす。


「ヒュ~…やるじゃん、でももうアンタ達は俺の幻術の中だ」


「!?」


次の瞬間、命の脇腹に衝撃が突き抜けて吹き飛ばした。


吹き飛ばされた命は壁を突き破って舞台に着地した。


「なんだ今のは…!?」


痛む脇腹を鞘を持つ左手で押さえながら呟く。


「ブラック、彼は俺が貰うよ」


「ああ、だが確実に殺せ」


「あいよ」


舞台の方にはレッドが歩いてくる。


「さて、お前等の相手は俺がしてやる」


ブラックはカガミ達にトランプを向けて言い放った。


「拙者等4人を同時に相手できると…?」


「フム…それもそうだな…俺も援軍を出すか。我が忠実な52の兵士達よ…我望みし時にその姿を現せ」


トランプの束を宙に撒き散らかすと、トランプはどんどん巨大化して、腕と足が生えた。


「な、なによこれ…」


「俺の兵隊…トランプソルジャーズだ」


手足の生えたトランプ兵は、それぞれ武器を持っていた。


ダイヤは剣、スペードは槍、ハートは盾、クラブはランス。


「さて、やろうか」


カガミ達は武器を握りなおしてトランプの兵隊と戦い始めた。


そして命は…


「ぐあっ!」


「はははっ!どうした!?良い様にやられっぱなしじゃないか!」


「くそっ…!」


先ほどからレッドを斬りつけても、霧のようになって消えてしまい、傷を負わせられなかった。


更に向こうは近づいても居ないのに命に攻撃を加えられるようだ。


「幻術…ブラックの幻術は姿を消すような幻術…お前のも似たような物か」


「正確にはちょっと違う…アンタの見えている俺は偽者…本物と偽者を摩り替えて俺は陰から隠れて攻撃してるんだよ」


「成る程…他の違いはブラックは視覚でかける幻術だが…お前の幻術は聴覚でかける術って所か」


ユラリと霧のように命の目の前に現れるレッド。


しかしその直後に頬に衝撃を受ける。


「がっ!」


吹き飛んで吹き飛ばされて壁に叩きつけられる命。


そして少しずつ近寄ってくるレッド。


「アンタが味方に付いてくれないのは残念だよ…でも殺せってのは命令だし…悪いな」


「チィ…!」


命は、ふとレッドの足元に目が行く。


「(…何?だが外では…そうか…攻略法が分かった)」


カラドボルグを握り直し、レッドに向き直る。


「無駄だっての…俺の幻術は破れない」


「それはどうだろうな…テメェの術の弱点を見つけたぜ」


命はそう言うと、自分の上に剣を振ると、松明が落ちてきたので左手でそれを取る。


その松明を舞台の方へと投げると、舞台の幕に燃え移り、炎が燃え上がった。


「…何のつもりだ?」


「…ヘッ、此処だっ!」


少しの間だけ周りを見渡すとある一点に目指して駆け出し、カラドボルグを振り抜く。


「がはっ!?」


それに感じたのは確かな手応え…カラドボルグの刀身に付着した血もその手応えを証明している。


「お前の幻術の弱点…偽者には影が出来ない…そしてその間消えて見える本物だが、影は消せないな」


「ぐぅ…!何故気がついた…!?」


スゥーと本物のレッドの姿が現れ、偽者が消えていく。


本物のレッドは肩を大きく斬られたらしく、傷口を押さえながら蹲っていた。


「俺が叩きつけられた壁の上には松明があった…そこに真っ直ぐ向かってくるお前だが…松明の光を浴びている以上影が出来ないのはおかしいからな」


命はレッドにカラドボルグを突きつける。


「だが外で戦った時のブラックの幻術は影なんて見ていなかった…それもそうだ、昼でさえ暗い町並みが夜になったら影なんて碌に見えない。そして俺は1つの仮説に至った…偽者に影が無いなら本人には必ず影があるってな」


「くそっ…!」


「さぁて、こうなった以上幻術は無意味だ…正々堂々と戦いな、変人」



□□□□□


「ハアッ!」


紅葉の振る刀がトランプ兵を真っ二つにする。


「くっ…数が減っている気配がしないでござるな…!」


「同意します」


EX-バーストを構えたアスカと背中合わせになる紅葉。


「こういった状況なら、術者を倒せば他の人たちも消えるというのが定番です~」


「でもアイツに近づけないのが現状ね」


カガミは魔法の盾で身を守りながら皆を援護し、クリナも次の矢を構える。


そしてクリナが放った矢は、1人のトランプ兵を貫通してその後ろにいたもう1人のトランプ兵をも倒した。


「このままじゃ矢が無くなっちゃうわ」


「私の魔力切れも近いです」


弓と銃を扱う2人にとって、弾切れのような状態は戦えなくなる事を意味し、この状況では致命的だ。


「仕方が無いでござる…カガミ殿!拙者に強化の魔法を!クリナ殿とアスカ殿は拙者が突っ込むので援護願うでござる!」


紅葉は皆にそう告げると刀を構えながら突っ込んだ。


「はい~!光よ…勇なる彼に猛き力を…ストレングス!」


光が紅葉を包み込むと、そのまま刀を振ってトランプ兵を切り裂く。


「やぁあああああああああああああっ!」


視界に入ってくるトランプ兵を次々に薙ぎ倒して行き、次第にブラックに近づいていく。


そして紅葉が討ち漏らし、紅葉を背後から攻撃しようとするトランプ兵をアスカとクリナが撃ちぬく。


「喰らえ!華道流剣術・雛菊!」


ブラックに向けて、鋭い剣筋で十字を描くように刀を振る。


「おっと…」


だがブラックは落ち着いた様子で回避した。


「これではお前等には小細工は無意味だな…ならば」


残っていたトランプ兵士は1つに集まると黒のジョーカーの絵柄の巨大な兵士になり、生えた腕と足は爪が鋭くなっていた。


「お、大きいです~」


「少なくとも5mはあるわね…」


「さぁ、行け」


大きなトランプ兵はそ爪を光らせてカガミ達に襲い掛かった。


「きゃあ~!?」


「くっ…」


間一髪で爪を避けるカガミとアスカだが、その爪は床を大きく抉った。


「凄い攻撃ね…掠っても重症よアレ」


「…皆で少しの間だけ時間を稼いで欲しいでござる!そうすれば拙者が決めるでござる!」


紅葉は刀を1度収めると、居合いに構えを取る。


「分かりました~、やってみます~!」


カガミは杖を構えて詠唱を始めた。


「光の鎖よ、相手を縛る戒めとなれ!コーリングチェイン!」


淡く光った鎖が大きいトランプ兵に絡みつく。


しかし、トランプ兵はかなりの力を持っているのか少し動いただけで光の鎖が切れかけた。


「魔鞭の矢!」


クリナが放った矢はトランプ兵の周りをグルグル回ると、矢尻から金色に光る帯のような物が出現した。


そして矢が壁に突き刺さると帯は締まってトランプ兵の動きを封じた。


アスカも続くように右腕を構えて魔力弾を放ってトランプ兵の足に当てて体制を崩した。


「今です~!」


「…華道流剣術奥義・散り百合!」


紛れも無い唯の一閃の斬撃。


紅葉が放った居合いは、トランプ兵のその巨大な体を縦に真っ二つにした。


崩れ落ちたトランプ兵は…切り刻まれた数十枚のトランプになって散った。


「やったで…ござるな…」


技を放った紅葉は刀を杖にする様にして立っていた。


相当な体力を使ったようだ。


「大丈夫ですか~?」


「かたじけない…」


カガミに肩を貸してもらいながら立ち上がる。


「あら?あのブラックって男は…?」


「いません…恐らくマスター命の方へ向かったのかと」


「行きましょう…誰がやったのかは知らないけれど、火がカーテンに燃え移っているようだし」


4人は急いで舞台に戻る事にした。



□□□□□


「でやっ!」


「遅いって言ってんだろ」


命はナイフをカラドボルグで受け止めると、素早く斬り返す。


「ぐっ…!」


レッドは何とか後ろに下がって回避するが、胸を少しだけ斬られる。


既にレッドの体には、致命傷ではないが多くの傷が残っていた。


「レッド、もういい」


「ブラック…!」


舞台裏の方からブラックが出てきた。


「逃げる気か?」


「ああ、だがお前達も急いだ方が良い…お前がカーテンを燃やしたせいで此処は殆ど火の海だからな」


そう、ブラックの言うとおり、この地下室は既に炎に包まれていた。


「少し燃やしすぎたか」


「そう言うことだ…じゃあ俺たちはこれで失礼するが…異界人よ、お前が仲間にならないのなら何度でもその命を貰う為に襲い掛かる」


「じゃあな…次は負けないぜ」


2人は、ボールを地面に叩き付けたかと思うと、それは煙となって姿を隠した。


煙が晴れた時、そこには誰も居なかった。


「創造・解除」


カラドボルグを消すと、出口を確認する命。


「よし、まだ階段への道は炎で閉ざされていないな」


「命さ~ん!」


舞台裏の方からは、アスカとクリナ、肩を貸しているカガミとカガミに寄り添うように歩く紅葉がやって来た。


「急げ、炎に包まれるぞ」


4人を先導する命は、既にドアの所に居た。


皆で急いで階段を上がるが、炎は勢いを増して階段の方へと迫りだした。


そして炎は会場にあった樽に引火する…樽の中身は…


火薬。


ボウッと音を立てて炎は勢いを大きく増した。


「急げ!」


それをいち早く感じた命は、仲間を急かす。


炎の熱を感じて加速する5人は遂に階段を上り切り出口へと向かう。


全員が飛び出た瞬間、建物は大きな音と共に爆発した。


「ゲホッゲホ…皆無事か?」


「な、なんとか大丈夫よ」


どうやら全員無事のようだが、そこに新たな来訪者が現れる。


「貴様等!動くな!」


鎧と剣で武装した兵士が命達を取り囲むように配置される。


「…こ奴等、この国の兵士でござる」


紅葉は警戒した風に腰の刀に手を添える。


そんな中、1人前に出てくる男がいた。


「俺の名はリゼル・ハルヴァヤー…このオーバン王国の騎士団副団長だ」


事件はまだ終わらない。

三点「どうも皆さんこんにちわ」


クリナ「ハァ~イ、今回のゲストは私よ」


三点「今回は皆さん頑張りました!」


クリナ「そうかしら?あからさまに活躍したのは命と紅葉だけだった気がするのだけれど…」


三点「大丈夫、アスカは近い内に活躍するしカガミも何れ…クリナは命パーティじゃないから少し時間かかるけど」


クリナ「私も弱い訳じゃないのよ?」


三点「分かってるって…クリナには秘密があるみたいな伏線張っておいたしな」


クリナ「まぁそうね」


三点「それぞれのキャラクターにはある程度抱えている物があるような感じにしえるから何れ目立つときが来るよ、さて次回予告だ…


騎士団と遭遇して取調べを受ける命達…だが騎士団が敵の1人を捕まえて釈放されるがその敵は見知った相手だった…。


そして黒幕からの謎のメッセージも。


一方で刹那は既に転生者と接触していた!?


そして転生者の持つ秘密とは…?


次回、「神々の戦いに約束の地か…」をよろしく」


クリナ「じゃあまた次回ね♪」

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