表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/10

第8話 「ある男を…殺す事だ」

サブタイがあれですが元々決まっている事ですし…因みに紅葉は作者のお気に入りキャラ。


こういう侍キャラは入れてみたかった。


そして新たな敵の名前が厨二過ぎる…!


タグに作者は厨二病を加えた方がいいのだろうか!?いや後で入れとこう。


ではどうぞ。

あの衝撃的戦いから2日経ち、現在は夜。


焚き火に集まって食事を終えて皆寝静まっている。


見張りは命とアルト、そしてアスカの3人だ。


現在命は、アスカから渡された飛空艇の遠隔操作装置の使い方を説明して貰っている。


「成る程…此処を押すと飛空艇が降りてくるのか、こっちは光学迷彩のONとOFF」


「はい、これで全部ですマスター命」


「覚えた…これで大丈夫だ。ありがとなアスカ」


「いえ、では私はこれで」


そう言うと、アスカは馬車の向こう側へ行ってしまった。


この2日で命はガンツと紅葉と仲良くなり、カガミはアルトと仲良くなっていた。


アスカは殆ど誰とも喋らないので特に誰と、と言うほど仲良くはなっていなかった。


「み、命さん…」


すると、焚き火の傍にさっきまで違う方向を見張っていたアルトがやって来た。


「どうした」


「じ、実はお願いがあるんです」


オドオドとした態度で命に語りかけてくるが、命はその態度はあまり良くないと思った。


臆病と言う訳では無いが自分に自信を持てないのは戦う者としては致命的だ。


自分の判断に自身を持てずに迷い、その迷いが原因で自分だけならまだしも仲間の命も危険にさらすからだ。


ガンツの相棒と言っていたので、普段はガンツが判断を下しているのだろうが時と場合によってはガンツが判断を下せない状況もあるだろう。


「言いたい事があるならはっきり言え、ガキかお前は」


「す、すいません!」


「大きい声を出すな、他の奴等が起きるだろ…それくらい考えろっての」


その言葉にアルトは更にシュンと落ち込んでしまった。


「で、用件は?」


「……実は…カガミさんを僕に下さい!」


「…は?」


突拍子も無い事に、命は珍しく間の抜けた声を出した。


あまりにも予想が外れていたのだ。


命はてっきり勧誘の話でも来るのかと思ったが…命ではなくカガミの話だ。


「どういう事だ?」


「ぼ、僕…カガミさんが好きなんです…!カガミさんが僕たちの所へ駆けつけてくれた時、天使でも来てくれたのかと思って…ひ、一目惚れだったんです!」


カガミの美しい白い髪に、白い修道服を着て、背中に羽でも付いていれば確かに天使そのものだ。


と言うか、カガミは見習いとはいえ立派な天使だが。


「何で俺に許可なんて取るんだ?本人に告白しちまえよ」


「それはまだ早いと思って…出会ってまだ2日ですし、まずは一緒に旅をして親睦を深めて…」


紅葉に似て面倒な奴だと思い、命は軽くため息を吐く。


「それこそ本人に言え、俺に言われても俺はどうする事もできねぇよ。それ位考えろ」


「え?でもカガミさん…自分と命さんにはやらなくちゃいけない事があるって言ってたから…恋人なのかと思って」


どうやら少々捻じ曲がった伝わり方をしたようだ。


「別に恋人じゃねぇよ…気にせず当たって砕けとけ」


「何故砕ける前提なんですか…?」


「別に…ま、確かにやらなきゃならねぇ事はあるから無理だろうがな」


「そう、ですか…やる事ってなんですか?」


命は話して良いものかと少し悩んだが、ぼかして伝えれば問題無いだろうと思い至った。


「ある男を…殺す事だ」


「…そうですか」


「まあ、やるのは俺だ…アイツはサポートだがな」


その言葉に、アルトは少しの希望を持って命へと問う。


「それなら、カガミさんは行かなくても問題ないんじゃ…!」


「普通はそうだが、それは無理だ。元々カガミの方から俺に頼んできたんだ…ならアイツが案内するのが道理だろ」


反論はすぐに打ち砕かれた。


「それでも、僕はカガミさんが好きなんです!だから命さん…僕と決闘して下さい!」


アルトは実に真剣な目で、命に決闘を申し込んだ。


此処でアルトが命に勝てば、その男を殺せる可能性が高くなる…アルトは、勝てばカガミが自分を連れて行ってくれると思っているのだろう。


僅かに眉を顰めた命だが、その真剣そのものの目を見て立ち上がった。


「…向こうでやるぞ」


「は、はい」


命はアルトと共に少し離れた草原に立った。


「創造・村正」


生み出すは彼の妖刀、村正。


「俺は剣術と体術しか使わない…お前は持てる全てをぶつけてみろ」


「…はい!」


村正を鞘から抜いて、右手に鞘、左手に村正を持つ。


アルトも武器の鉄製の杖を構える。


「はぁああああああっ!」


命はアルトに一気に走り出す。


「灼熱の波よ、敵を払え…ブレア!」


呪文を唱えて杖を振ると、杖の先端から炎の波が広範囲に放たれる。


だがその炎を命は高く跳躍して避け、落下すると上から右手の鞘を振り下ろした。


アルトはその鞘を右腕で受け止める。


「ぐっ…!」


「まだだっ!」


今度は左手に握る村正を振り下ろす。


それをアルトは杖で受け止めるが、杖はすっぱりと斬れてしまう。


「荒神式刀剣術・撃鉄」


鉄を斬る命の剣撃に杖は真っ二つに切り裂かれてしまった。


「なっ…!?」


鉄製の武器が斬られた事で驚き、隙だらけになったアルトの脇腹に、命は容赦無く鞘の1撃を叩き込んだ。


「うがっ!?」


アルトはその衝撃に耐える事が出来ずに吹き飛ばされて草原を転がる。


命は更なる追撃の為に吹き飛んだアルトを追いかける。


驚くべき脚力ですぐにアルトに追いついた命は、仰向けになっているアルトの腹を踏みつけて村正を突きつける。


「…終わりだ」


アルトの喉に突きつけられた村正は月の光を受けて怪しく輝いた。


「はっ…うぐぅ…!」


腹を踏まれているので苦しそうな呻き声を出しながら歯を食いしばるアルトだが、彼にこの状況を覆す方法は無かった。


「ま、まいりました…」


その言葉を聞くと、命は足を退けて村正を鞘に収める。


「後はお前とカガミ次第だ…俺は責任を持たんからそのつもりでな」


村正を消すと同時に元の場所に戻る。


後ろから聞こえていた鼻を啜る音は聞こえないフリをして…。


「恋、か…俺には似合わない言葉だな…」



□□□□□


翌朝、命達は野宿を終えて支度をすると出発した。


「命殿、アルト殿はどうでござった?」


見張りのせいであまり寝ておらず、転寝をする命に紅葉が問う。


「…何の事だ?」


「言ったでござろう?拙者は気配には敏感…昨夜の命殿とアルト殿の1対1で決闘は見ていたでござるよ」


全て分かっていると言わんばかりの表情の紅葉。


あの後アルトはカガミが起きると、離れた場所で告白したらしいのだが、返事がどうだったのかは命も知らないのだ。


「んなもん本人に聞け」


「それもそうでござるな」


カラカラと笑うと、紅葉はまた命の横に座った。


「お前他の場所にいけよ…邪魔だ」


「歯に衣着せぬ物言いでござるなぁ…」


そうこうしている内に、草原の先に石造りの壁が見えてきた。


「あれが…」


「お!見えてきたか!」


荷車の向こうで立ち上がったのはガンツ。


「あれが次の街…フォルティシアだぜ!」


次第に近づいていくと、そこは大きな石の壁で覆われた街だった。


しかし、それは穏やかである筈のこの草原には吊り合いが取れていない風にも見える。


「この石壁…大きすぎないか?」


「むぅ…拙者も以前来る時はそう思ったでござる」


ボソリと命が漏らした質問に、紅葉も同意する。


「あの石壁はね、80年前の戦争中に鉄の大地から運ばれてくる不純物の多く混ざった鉄を秘術の練成で純度の高い鉄に変える術者を守るために建てられたのよ」


2人の質問に答えたのはクリナだった。


「練成?」


「あら、命は聞いたこと無い?物質を別の物質に変換する秘術中の秘術…まぁ今じゃその術を使える人はあの町には居ないから完全に過ぎた防御壁だけれど」


「成る程な」


そんな魔法があるのなら、あの鉄の大地の鉄屑も立派な武器となるだろう。


戦争中なら、さぞ多くの武器を作ることが出来ただろう。


だが戦争も終わり、武器の需要が低下していくと共に、術者はこの街から離れていったのだろう。


「戦争…何故戦争が?」


「さぁ?私はこの国の出身じゃないし80年も前の話だから知らないわ」


戦争という単語を聞いた瞬間、命は一瞬全身の血が滾るのを感じた。


「今のは…?」


「…どうしましたか、マスター命?」


ジッと自分の手の平を見つめる命を不思議に思い、アスカが問いかける。


「いや……なんでもない」


自分の手から視線を石造りの防壁に移す命。


「まあ、あんなに硬い防壁のせいで街に入る時も出る時も厳しい検査をしなくちゃならないんですって」


「あの街は外に情報が漏れにくいからヤバい事でもしてるんじゃねえかって噂もあるんだぜ」


クリナとガンツは命の変化には大して気づかずに話を続ける。


そして一行はフォルティシアの西門に辿り着いた。


「待て、この門の中で持ち物と身元の検査を行う」


鎧で武装した門番らしき男達に止められる。


ラモスも馬車から降りてきたので、命達も全員荷車から降りる。


「どうぞご自由に………人間商品…」


「…?」


ラモスは門番の男に近寄ると、何かを渡すと同時にその言葉を言ったのを、命は聞いていた。


「…おい」


「ああ」


門番の2人は馬車と荷車の中の荷物を調べていき、他の兵士は身元の確認を行っていた。


皆ギルドカードを見せている。


命達も真似てギルドカードを取り出して見せる。


「……確認した。おい、荷物はどうだ?」


「怪しい物はありません」


「良し、通っていいぞ」


通された一行は門の向こうで止まった。


「うむ、護衛の依頼は此処まで…お前達への報酬は約束通りの10000ギルだ」


そう言ってラモスはガンツに報酬の入った袋を渡した。


「そして、貴方達には12000ギル…お確かめ下さい」


命達にはガンツ達に渡した袋より少し大きく膨らんだ袋を渡す。


「…ああ、確認した」


「あのう…宜しければ今後も私の護衛として雇われてくださらないでしょうか?」


ラモスはそう提案するが、命は渋る。


それもその筈、そんな事をしていては本来の目的が何時まで経っても果たされない。


「…遠慮しておく」


「そ、そう言わずに…報酬は今回の倍出しますので…」


「チッ…考えておく、行くぞ2人共」


命は少々強引に話を切ってカガミとアスカを連れてその場を去った。


「お~い命ー!後で傭兵ギルドに来いよー!酒奢るからさー!」


ガンツはそれだけ言うと、他の4人を連れて別の方向へと歩いていった。


「命さん、良かったんですか~?」


「別に受けなくても金はまた稼げば良い…それよりお前はアルトと行かなくていいのか?」


そう言うと、カガミは顔を真っ赤にする。


「い、いえ~!その…気持ちはありがたいんですけどやっぱりお断りして…///」


「そうか…やっぱり今回の仕事の件でか?」


「えと、その…それもあるんですが~…み、命さんが、その~///」


もじもじとハッキリしないカガミに、命は若干首を傾げるが気にしない方向で収める事にした。


「まあ別にどうでもいい…まずは宿探しだ」


「ちょっと酷いです~…」


しょんぼりと元気を無くすカガミを余所に命は店の並ぶ通りを歩いていく。


周りを見渡すと、石壁のせいで日の光が入ってこずに全体的に暗い雰囲気を醸し出している。


しかし出店の店員は元気が良く、品揃えも豊富…暗いのは見掛けだけのようだ。


そして命は1つの宿屋を選んで入っていった。


宿名は熊の眠り洞だ。


「邪魔するぞ」


「いらっしゃい」


店員は天辺ハゲのおっさんだった。


「部屋を貸せ…3人で泊まれる部屋を1つだ」


「あいよ、この鍵だ」


店主は命に取り出した鍵を投げつけると、命はそれをキャッチする。


「1階の108号室か」


鍵に刻まれた部屋番号を確認すると、そちらの方向へ行き、部屋に入った。


「さて、俺は今から傭兵ギルドに行くが…お前等はどうする?」


「私はこの部屋で休んでいます~」


「私は特に何も…」


カガミは此処までの旅で疲れたのか、ベッドに寄りかかるが、アスカは特にやる事が無いようだ。


「ならアスカ、金を渡しておくから食料の買出しに行ってきてくれ」


「了解しました」


命はさっきラモスから受け取った報酬の入った袋をアスカに渡す。


「あとレグオン、お前はどうする?」


「どうするもこうするも、私は動けんからお前次第だろう!」


「まあ、そりゃそうなんだが…まあ此処に置いていくか」


腰からレグオンを外すと、また乱暴に壁に立てかける。


「き、貴様!もっと丁寧に扱えと以前も言っただろう!」


レグオンは喚いているが、命は無視をして部屋を出て行った。


その後にアスカも部屋から出ると、カガミは1度背伸びをして眠っていった。


カガミが寝静まった頃、命がちゃんと鍵をかけた筈の扉が簡単に開いてしまう。


「へへへ…」


そして部屋に入ってくる数人の男…。


「なんだ貴様等…!」


怪しい風貌の男達にレグオンが威嚇すると、全員レグオンを見る。


「あん…?剣が喋ってるのか…?」


「インテリジェンスウェポン…!?初めて見たぜ」


「…なあ、コイツも持ってこうぜ、多分儲かる」


そう言うと男の1人がレグオンを持つ。


「お、おい下ろせ!私は貴様等の好きにはならんぞ!と言うか起きろ娘!」


必死に抵抗しているような口ぶりだが、剣なので一切抵抗できないので寝ているカガミを起こすために騒ぐレグオン。


「ん…ふぇ~?どうしましたか~…?」


目を擦って眠そうに起き上がるカガミだが、寝ぼけているのか男達には気づかない。


その間に男達はカガミを囲むように移動する。


「レグオンさん~?……どちら様ですか~?」


漸く目が覚めてきたらしく、周りの男達を見渡す。


その額には、状況を悟ったのか汗が浮かんでいた。


「いや別にどちらさんって事はないんだがな…」


「ちょっと大人しくしててくれればいいのさ」


ゴクッとカガミは唾を飲み込むと、逃げ出そうと少しずつ後ろに下がっていく。


「へへへ…覚悟しな!」


「み、命さ~ん!」



□□□□□


一方、アスカは日持ちする食材を買うために商店街のような場所を目指して歩いていた。


しかし、新しい街なので商店街の場所が分からずに半分迷子になっていた。


「…人に聞いた方が早く辿り着けますか」


そう判断したアスカは傍に居た男に声をかける。


「すいません、商店街へ向かうにはどちらに行けばよろしいですか?」


「あん?……そこの細い通りで行けば近道だぜ」


「どうも」


相変わらずの無表情のまま会釈すると細い路地に入っていく。


薄暗く、何か出てきそうな場所だ。


「…」


しかしアスカは後ろから気配を感じたアスカは振り返ると、先ほど道を教えてくれた男がいた。


「…何か?」


「いやぁ…おい皆、出て来いよ」


すると、建物の上から飛び降りてきたり、裏口のような扉から出てきて、数人の男に前後を塞がれた状況になってしまう。


アスカも警戒態勢に入る。


「悪いがアンタにゃ俺たちの商品になって貰うぜ…!」


それを聞いた瞬間、アスカは右腕を変形させて銃口を突きつける。


「うおっ!?なんだその腕!?」


「1度だけ言います…そこを退かなければ撃ちぬきます」


「チッ…おいやれ!」


男がそう叫ぶと、上から別の男が飛び降りてきてアスカを真上から取り押さえる。


「っ!?」


「クククッ…油断したなお嬢さん?」


アスカも抵抗しようとするが、他の男達も手伝って取り押さえられて上手く動けない。


「マスター命…申し訳ありません……」



□□□□□


そしてその頃命は、傭兵ギルドに辿り着いていた。


「此処か…ガンツ達を探さないとな」


扉を開けて中へ入っていくと、やはり酒とタバコ臭く、男達が酒を飲み交わしていた。


辺りを見渡すが、ガンツ達の姿は無い。


奥の方に行き探してみると、4人で酒を飲み、食事をとっていた。


「おい、お前等」


「おっと、来たな命…聞いたぜー!アルトの野郎、出会って間もない癖にカガミに愛の告白したんだってなー!」


ガンツのテンションが何時も以上に高い…恐らく酒が入っているせいだろう。


クリナはガンツと同じ様に酒を飲んでいるが全く酔っている気配が無く、アルトは酒ではなく水を飲んでいるのに顔が真っ赤だ。


紅葉も水を飲んで苦笑いしている。


「ちょ、ちょっとガンツ!そんな事此処で言わないでよっ!///」


「がっはっは!照れるな照れるな!ふられたみてーだが女は世の中にまだたくさん居るからその中から探せよ!」


命はこう思った。


「酔っ払いウゼェ…」


訂正、声に出ていた。


大声を出すガンツに呆れてため息を吐きながら、巻き込まれないようにクリナの横に座った。


「あら、私の横に座るなんて…もしかして私狙われてる?」


「冗談は程々にしとけ」


命をからかおうとしたクリナだったが、一刀両断。


「ちょっと、自分で言うのもなんだけれど結構容姿には自信あるのよ?」


「そうか、だが少なくとも俺のタイプじゃないな」


そう言って命はテーブルに置いてあるパンを手に取る。


「じゃあ、あの命の仲間のどちらかがタイプなのかしら?それとも両方?」


「いい加減黙れ」


若干威圧感を込めてそう言い放つと、クリナは少し落ち込んでしまった。


「そんなに強く言わなくてもいいじゃない…」


命がパンを食べていると、アルトが驚いたような表情になっている。


それを見て気になったのか、命は問いかける。


「どうした、そんな顔して?」


「いや…クリナさんが口で負けたの初めて見て…」


「フェルナードでパーティを組んだ時から皆口で弄られていたでござるよ」


どうやらクリナは舌戦が得意なご様子だが、命のバッサリには叶わなかったらしい。


「あ、そう言えば命さん…カガミさんの件…」


「ああ、聞いた。まあ吹っ切れないならもっと強くなって俺を超えてみろ」


「…いいえ、大丈夫です」


どうやら吹っ切れているようだ。


そして5人はそのまま食事を楽しんだ。


「よし…俺ァそろそろ行くわ…」


ベロンベロンに酔ったガンツは、アルトに肩を貸してもらいながら立ち上がる。


「もう…ガンツは何時も飲みすぎるんだよ…」


「うぉ~…もう飲めねぇ~…」


「全くもう…じゃあ、命さん、クリナさん、紅葉さん、今回はどうもありがとうございました」


「うおぇ~、吐きそ~だ~…」


そんなこんなでガンツとアルトはギルドを出て行った。


「じゃあ私もそろそろ行くわ」


結局どれだけ飲んでも酔わなかったクリナも立ち上がる。


「うむ、では拙者も…命殿との会話は久しぶりに心が躍った…また何処かででござる」


クリナと紅葉もギルドから出て行ってしまった。


「…ってオイ!金置いてけ!お前等の奢りだろうがー!」


この後、戻ってきた紅葉とクリナに奢ってもらう事になったらしい。



□□□□□


薄暗い夜になった頃、紅葉とクリナは一緒に道を歩いていた。


「でも命には驚いたわよね…槍を投げたら空気の衝撃波を生んでオーガとゴブリンを一掃だもの」


「たしかにそうでござるな…拙者ももっと精進せねばならぬな」


2人の話は命の事で持ちきりだ。


確かにあんな衝撃的な光景を見せられてしまえば忘れられないだろう。


「どんな訓練をすればあんな技が出せるのかしら?」


「それは分からんでござるが相当な修行をこなさねば無理でござろうな…」


1人で頷いている紅葉を余所にクリナは命の事を考えていた。


「(彼の力があれば…あの子達を救う事が出来るかもしれない…)」


「…誰でござるか?」


何かの気配を感じた紅葉は、腰の刀に手を添えると同時に振り返る。


「っ!?」


それにつられてクリナも弓と矢を構えて振り返る。


「ヒュ~…流石は侍と言った所か…やるじゃないか」


口笛と共に物陰から出てきたのは黒いローブを羽織り、赤い道化のような仮面を付けている男だった。


「何者…?」


「…俺の名はレッド・ジョーカー、悪いがもうお前等は俺の幻術の中さ」


「どういう事でござるか?」


「残念、答える暇も無い…お休みの時間だ」


「何の事か分からないのよ…そんなにふざけているのなら怪我をするわよ!」


クリナの弓から矢が放たれ、その矢はレッドの右肩を捕らえた。


「外れ~」


かに思われたがレッドの体は霧のように四散して消えた。


「なっ!?」


「言っただろ?お前等は俺の幻術の中…じゃあ終わりだ」


「うっ!?」


「がはっ!?」


レッドの言葉の直後、クリナと紅葉の腹に強い衝撃が奔る。


その衝撃で、2人は呆気なく気絶してしまった。


「さぁて、コレは他の奴に任せてと…そういやブラックは大丈夫かね?なんたって相手は…異界人だからな」



□□□□□


此方は命サイド。


暗くなった道を歩いていると、目の前にいきなり何かが迫る。


それを指で挟んで掴んで確認する。


「…トランプ?」


そう、それはトランプのカード…ブラックのジョーカーだった。


「よく掴んだな」


物陰から現れたのは黒いローブを羽織り、黒い道化の仮面を付けた男だった。


「お前は?」


「ブラック・ジョーカー…お相手願おうか、異界人」


今、黒き道化と神の力を持つ異界人は出会う。

三点「はい、今回はガンツさんに来ていただきました」


ガンツ「おーっす!よろしくなー」


三点「いやー、今回…特に前半がカオスだったなぁ…アルト何故こうなったし」


ガンツ「まぁ恋愛くらい誰でもするだろ?まぁ、カガミはヒロインだしこの小説主人公ハーレム!?みたいな感じだから靡く事はないだろうケド」


三点「まぁそうなんだけど…でもニコポとナデポはやめようと思ってる…時間をかけて皆が「まぁ理解できなくはない」と思えるような恋愛を書けるように頑張ります!」


ガンツ「まあそれは良い事だな…じゃあ次回予告だ。


謎の敵に捕まってしまうカガミ、アスカ、紅葉、クリナの4人…。


そして仮面の男、ブラック・ジョーカーに招かれた屋敷の地下にはある秘密があったのだった。


ジョーカー兄弟の目的とは…!?


次回、「少し燃やしすぎたか」を宜しく頼むぜ!」


三点「また次回~」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ