第7話 「忘れ物だぞコラ」
漸く復活!
そんなに居ないでしょうがお待ちしていた方々ゴメンなさい。
神話の資料ってあんま無いんですね…困った困った。
まだ足りてない所もあり、実史とは違ったりする可能性が高いですが出来れば見放さないで下さい。
あと、長い期間が開いたのでもう1度言います。
感想が欲しいなんて贅沢は言いません…しかし罵詈雑言はやめてくださいお願いします…。
さて、ではどうぞ!
「よし、修理も大方終わってきたな」
命達が飛空艇の修理を開始してから2週間…外も中も大体の修理を終わらせた。
まだ少し壊れている部分もあるが、飛行などには支障は無いであろう。
「命さ~ん、お掃除も終わりました~」
ブリッジにいる命の元へとカガミが駆け寄ってくる。
カガミは飛空艇内の掃除を行っていたのだ。
「マスター命、此方の修理も終わりました…既に飛行可能な状態にあるかと思われます」
カガミに続いてアスカもブリッジに入ってきて命に報告する。
「そうか、2人共朝から晩まで修理ばかりさせて悪かったな」
「いいんですよ~、こうした方が速く移動できますし~」
「マスター命のご命令とあらば」
「そうか…それじゃあそろそろ出発するぞ」
命はディスプレイの下にあったキーボードを叩く。
「良し…飛行に問題は無し……行ける」
そして命は舵が握ると、飛空艇はゆっくりと浮上していく。
「おぉ~!飛びました~!」
ある程度の高度まで辿り着くと、飛空艇は一気に加速した。
その速度は少なくとも200キロ弱はある。
「凄い速度だな」
「は、はひゅ~…目が回りそうです~」
グングン進んでいく飛空艇は、ものの数分でフェルナードの上空を通過した。
「もう此処まで…本当に速いな…と言うかこんな物が空を進んでいたら目立ちそうだな…」
「大丈夫です、マスター命」
アスカはカタカタとキーボードを打つと、フィィイイイインと船体が音を出す。
「今何をしたんだ?」
「光学迷彩機能を使用しました…これで発見される事はまずありません」
「…そんな機能あるならもっと早く言え」
「申し訳ありません」
ため息を吐きながら呆れた目でアスカを見る命だが、アスカは涼しい顔で命に頭を下げた。
その態度に、命はフッと口の端を吊り上げて笑った。
「ま、いいさ…そらスピードを上げるぞ」
そのまま飛空艇は速度を更に上げて、バグラの谷の上空を駆け抜けていった。
□□□□□
バグラの谷を抜けて暫く…飛空艇はペースを少し落として航行中だった。
現在地は見渡す限りの草原…思わずほのぼのしてしまいそうな場所だ。
「なあカガミ、此処は何て草原だ?」
「此処はアルゼア草原ですね~、魔物も比較的弱くて大人しい物ばかりで激しい戦闘も行われたりはしない場所ですよ~」
カガミがそう言った時、丁度此処から少し進んだ場所にドゴォンと爆発音がした。
どうやら戦闘が行われているらしい。
「…今後カガミの情報はアテにしない方がいいな」
「それが宜しいかと」
「ふぇ!?ち、違いますよ~!本当なんです~!」
後ろで騒ぐカガミを無視して命は飛空艇の進路を爆発した方向へと修正する。
すぐにその場へ到着し、下を見てみると、やはり戦闘が行われていた。
1台の馬車に2台の荷車を囲むようにしている異形の怪物は、手に棘付きのハンマーや大型の斧等を持っている。
一方、荷物を守るように3人の男と2人の女が戦っている。
だが魔物の方はまだ20匹以上いて、どう見ても不利な状態だった。
「あ、あれはオーガです~!?どうしてアルゼア草原に~!?」
「このままでは全滅は時間の問題です」
命は考え込む…自分達の姿は見えていないのだから放っておいても問題は無いだろう。
だが此処で見捨てるのも後味が悪い…。
「行くぞ、戦闘準備だ」
最終的には助けるという選択に至ったらしい。
「はい~!」
「マスター命、お待ちを」
アスカに呼び止められて命は振り返る。
「何だ?」
「これを」
そう言ってアスカが命に差し出したのは少し大きめの腕時計の様な物だった。
「なんだこれは?」
「飛空艇を遠距離から操作できる装置です…見つけたのでお渡ししようと」
装置にはボタンが沢山あって使い方がよく分からなさそうだ。
「どうやって使うんだ?」
「それは後にして下さい~!このままじゃあの人達全滅しちゃいますよ~!」
「それもそうか…この話は後にする…今は行くぞ!」
そして命達は出入り口まで辿り着く。
「あれ~?でもどうやって下まで行くんですか~?一旦下に下りてからの方が…」
「先に行くぞ」
それだけ言うと命はそこからスカイダイビング宜しく飛び降りた。
「えぇえええええええ~!?」
カガミは予想外の行動に叫び声を出す。
「失礼します」
それに続いてアスカも命と同じように飛び降りる。
「そ、そんなぁ~!?」
確かに此処はそこまで高い高度とは言えない。
だが決して低くもない…例えるならマンションの10階程の高さだ。
「うぅ~…分かりましたよぉ~!私も行きますよ~!」
半べそかきながらカガミも漸く飛空艇から飛び降りた。
そして下の命はもう既に地面を目前にしている。
空中でクルンと前転するように回転して着地と同時に膝をしっかりと曲げて衝撃を吸収する。
まあ、命の身体能力があれば普通に着地しても大して支障は無いのだろうが。
命はすぐに手近なオーガに接近していく。
「契約・ヒュドラ」
ヒュドラ。
ギリシャ神話に登場する9の首を持つ大蛇だ。
魔神テュポーンとエキドナの子であり沼地に住んでいる。
胴は1つで首は9つあり、それぞれ猛毒を持っており、それは牙だけではなく皮膚などにもある。
そして毒の瘴気を吐き出す事で辺りのほかの生物を寄せ付けないとも言われる。
命の姿は背中からそれぞれの方向に向けて9つの蛇の首が生えているような姿だ。
「さあ、荒れ狂え」
そう言うと、ヒュドラの首たちは迷わず一斉にオーガの体を喰らった。
ジュウウウと毒がオーガの肉体を犯す音が聞こえる。
「次だ」
ヒュドラの首たちはすぐにオーガを捨てて他のオーガへと首を伸ばして襲い掛かる。
どうやら首の長さは自由自在のようだ。
首の1つは頭を食いちぎるように。
首の1つは胴体に喰らい付き。
首の1つは上半身を丸呑みにし。
首の1つはいたぶるように手足のみ食いちぎって毒で犯し。
首の1つは圧し掛かるようにして押し潰し。
首の1つはグルグルと巻きついて絞め殺し。
首の1つは頭で体当たりをして吹き飛ばし。
首の1つは鱗に持つ毒をこすり付け。
首の1つは体の半分を食い千切るようにしてオーガを殺していった。
「成る程…俺の意思を優先するが基本はそれぞれの意思で動くのか…」
どうやら首は半オートで動くらしい。
「ファイア」
瑠璃色の光が駆け抜けてオーガの頭を吹き飛ばす。
命が後ろを見ると、右腕のEX-バーストを構えたアスカがいた。
「ひゃああああ~!」
上から声が聞こえたので見上げてみるとカガミが落ちてきていた。
丁度真上だったので命はできるだけ衝撃を流すように受け止める。
「ひゃうっ!」
「…ったく、面倒をかけるな。そら、戦闘だ」
「は、はい~」
カガミを降ろすと、カガミも杖を構えてオーガに向かい合う。
「俺とアスカで突破口を開く…カガミはそこを通って奴等を回復させろ」
「はい~」
奴等、と言うのは恐らく荷物を守って戦っている者の事だろう。
「行くぞアスカ!」
「了解」
そしてチャージの終わったEX-バーストをアスカは再び放つ。
オーガは間一髪でそれを避けるが、そこへ命の操るヒュドラの首の1つが喰らい付いて始末する。
ヒュドラの首の1つは、自分の首を鞭のようにして前方を払って一掃する。
「今だ!」
そこをカガミが走り抜けていく。
武器を投げつけようとするオーガもいたが、その前にアスカの銃撃の餌食となる。
「大丈夫ですか~?」
カガミは無事に奴等の所に辿り着く。
「あ、アンタ達は…?」
カガミに気がついた鎧を着込んでいる戦士の男が問いかけるが、今はそれ所では無い。
「それは後で説明します~…まずは回復を…戦により傷ついた友達に祝福と癒しと幸福を…マルチキュアヒーリング!」
先に戦っていた5人の傷が光に包まれて消えていく。
今のは複数人の傷を治す魔法のようだ。
「おぉ…ありがてぇ!」
先ほどカガミが声をかけた男は立ち上がると武器である大剣を構える。
それに伴い、他の4人も立ち直って武器を構え直し、オーガと交戦する。
「フン、あの元気があればもう大丈夫か」
命は軽く鼻で笑う。
「グガァアア!」
それで少し油断していたのか、命の操るヒュドラの首が1つオーガの斧によって斬られてしまう。
ボタボタと赤黒い血がオーガに降りかかる。
「グ…グゴゴォオオオオオオオオオオオ!?」
急に狂ったように悲鳴を上げるオーガ。
よく見るとオーガの皮膚が焼けるように黒ずんでいく。
ヒュドラの毒は、血にも混ざっているのだ。
更に、斬られたヒュドラの首は傷口から高速で生え変わった。
「ヒュドラの首は斬られても傷口を焼かれない限り生え変わる…来世では良く覚えておいた方が良い」
命はそう言い放つと、ヒュドラの牙でオーガに止めを刺した。
既に形成が逆転されたのを悟ったオーガの生き残りは慌てて草原の向こうへ走り去っていった。
命の足元にはオーガが持っていた棍棒が落ちている。
「忘れ物だぞコラ」
それを投げると、見事オーガの頭に直撃するが、まだ生きていたようで、棍棒を拾って慌てて逃げていった。
「契約・解除」
そう呟くと、ヒュドラの首たちは光となり、四散して消えた。
戦闘が終わった事で皆それぞれ武器を収める。
「いや、アンタ達のお陰で助かったよ…」
さっきカガミと話していた、茶色のツンツン髪の鎧の男が此方に寄ってくる。
「俺の名はガンツ、ガンツ・ディアートだ」
「…命・荒神」
そう言って命に手を差し出してきたので、命はそれに応えるように握手をする。
他の皆も命とガンツの元へ集まってきた。
「ありがとう、もう駄目かと思ったよ!」
短い茶髪でカガミと同じような白い修道服を着たまだ幼さを残す顔立ちの少年。
「いやはや…助太刀、感謝でござる」
赤く長い髪をポニーテイルにし、着物のような姿に袴をはき、刀を腰に挿した日本人風の男。
「ありがとね」
長い金髪を靡かせ、皮で出来た露出の多い鎧を着て弓をその手に持つ美女。
「本当に助かりました…ありがとうございます」
セミロングの黒髪で、随分とボロボロの服を着て、頭からは黒猫の様な耳、腰からは同じく黒猫のような尻尾を生やした女性。
しかも首に鉄製の首輪が付いている。
どうやらこれがオーガに襲われていた一同らしい。
「おお!お助け感謝致します!」
訂正。
馬車の中から小太りの男が出てきた。
これで全員らしい。
小太りの男は命の前に来ると頭を下げる。
「本当にありがとうございます!貴方達が来なければ…今頃全滅でした…!」
「…まあ、偶然見つけただけだ…」
「いやはや…このアルゼア草原は大人しい魔物ばかりの筈ですが…オーガほどのBBBクラスの魔物に襲われるとは思わずに…」
そこまで聞いて、命は舌打ちする。
コイツ話が長い…そう思っているが、この小太りの男はどんどん話を続ける。
「それにしても……おいお前等!金を出しているんだからもっとしっかりと働け!このクズが!」
命達にしていた丁寧語が崩れて5人を罵倒する。
「チッ…」
ガンツはバツの悪そうな顔をして顔を逸らす。
「あのう…もし宜しければせめてものお礼に昼食をご馳走しますが…いかがですか?」
「いや、別に…」
「本当ですか~!?ご馳走になります~」
キッと勝手に決定したカガミを睨む命だが、カガミは気づいていないらしい。
「では暫く私達と進みましょう!あ、私の名はラモス・ルディアーノ…商人です!では行きましょう」
ラモスと名乗った小太りの男はそう言うと馬車に戻っていった。
そして命はカガミに向き直ると、その両頬を抓って引っ張った。
「いふぁふぁ~!みこふぉふぁんいふぁいでふ~!」
グイ~と音が聞こえるくらいに引っ張り続ける命。
「お前何してるか分かってるのか?」
「ふぁんのふぁなひでふか~!?」
「あのラモスって奴、俺たちを利用する気だぞ馬鹿が。俺たちを飯に誘って、その時に勧誘でもする気だ」
そこまで言って命はカガミの頬を離した。
カガミは引っ張られた頬を涙目で撫でる。
「そ、そんな事…」
「分からないと思うか?」
「うっ…そうですよ~、そんな事分からないじゃないですか~」
「分かるさ、行くぞアスカ」
アスカと共に馬車の傍に向かう命。
「でも、何で命さんは分かるんですか~」
その言葉に、命は振り返って答えた。
「俺もそうするからだ」
□□□□□
命達とと馬車で進んでいたガンツ一行は草原で座っていた。
皆の中心には焚き火が燃えている。
「改めて自己紹介をしますが、私は商人のラモス・ルディアーノです」
「俺は傭兵ギルドのガンツ・ディアート」
「僕はガンツのパートナーのアルト・バルトゥリアです」
「拙者は南大陸の東の帝王国出身の紅葉・東雲…侍でござる」
「私はクリナ・バスティナよ、皆とは今回だけのパーティなのよ」
「アノン…ラモス様の奴隷の半獣人です」
向こうの紹介が一通り終わった。
命達は出された肉を食べながらそれを聞いていた。
「俺は命・荒神」
「カガミです~」
「アスカと言います」
3人も自己紹介を終えると再び食事にありつく。
命達も何だかんだと言って此処最近は干し肉や日持ちする硬い木の実だけだったので、上質な肉を食べたかったのだ。
「それにしても3人はお強いですね…あのぅ、出来れば先ほどのような事もありますのでこの先の街までご同行をお願い出来ませんでしょうか?」
予想通りの誘いだ。
向こうは命達も徒歩で来ていると思っているから断る理由も無いと思っているのだろう。
「(此処で断ったら変に思われるか…)…別に構わないが、護衛として雇われてやる」
考え、誘いに乗りながらも金を要求するのは流石に抜け目がない。
「わ、分かりました…では12000ギル出しましょう」
「それでいい…じゃあ日が暮れる前に出発するぞ」
命はさっさと立ち上がって荷車の方へと向かっていった。
「あ~、待って下さいよ~」
カガミとアスカは命を追い、残りの皆も荷物を纏めて馬車と荷車に乗り込んだ。
そして馬車の手綱はアノンが握り、荷車は馬車と連結させてあるので手綱は必要ないので他の皆が乗り込んだ。
ラモスも馬車の中へと入っていくと、アノンは馬車を動かした。
「命さん~、私他の皆さんとお喋りしたいんですけどいいですか~?」
「余計な事は喋るなよ」
「はい~」
気の抜けた返事をすると、カガミはガンツ達の元へと歩いていった。
すると命の元に、紅葉が近寄ってきた。
「命殿、隣を宜しいでござるか?」
「好きにしろ」
命は荷車の端に腰掛けており、紅葉も命の横に腰掛けた。
「何の用だ?」
「いや、特に用事などござらんが、こんな所で同郷の人物に出会うとは思わなかったでござるよ」
その言葉に、若干首を傾げる命だが、恐らく名前の風の事だろうと考えが至った。
「そうか…」
「いやぁ、この場所は丁度拙者等の故郷とは反対側にあるから中々会えないのでござるよ」
よく喋る奴だと思いながら適当に言葉を受け流していく命。
「それにしても命殿の背から出ていたあの大蛇は何だったのでござるか?」
「…俺の魔法の1つだとでも思ってくれればいい。これ以上質問は無しだ」
「…失礼した…詮索のし過ぎでござった」
「チ…」
少ししょんぼりとして顔を伏せてしまう紅葉に、命はコイツ本当に面倒くさいなと思いながら舌打ちする。
その時の紅葉の表情は、宛ら捨てられた子犬の様だ。
命はチラリとカガミ達の方を見ると、カガミはアルトと話していた。
しかもアルトの顔が微妙に赤い。
「…何してんだか」
呆れ顔で周りを見渡す命だが、何かの気配を感じ取って目を細める。
「命殿、気がついたでござるか?」
「お前も気づいたのか」
「拙者、気配には敏感でござる」
紅葉は腰の刀を抜くと立ち上がる。
「おい!近くに何かいるぞ!気をつけろよ!」
命も続いて立ち上がり皆に声をかける。
「創造・グングニル」
命の右手に光が集まって形を成す。
それは1本の槍と化す。
グングニルとは、北欧神話の最高神のオーディンの持つ細身の槍。
投擲用の槍で、その命中率は百発百中だとも言われており、更には投げた後持ち主の下へと戻ってくる優れた槍だ。
命の手に現れた槍の形状は、細身で、刃が片刃で柄頭には紐が取り付けられている神々しい槍だ。
馬車を一度止め、辺りを警戒する。
辺り一帯は草原なので、見晴らしが非常に良いのですぐに敵を発見できる。
「見えたわよ!5時の方向!」
クリナが指を指す方向には、丘があり、丘の向こうからは先ほどの復讐か、オーガが仲間を引き連れてやって来ていた。
しかも、他に配下のゴブリンも一緒にだ。
「ってオイオイ…あの数嘘だろ!?」
目測でゴブリンは30匹以上、オーガも20匹以上はいる。
「グオオオオオオオ!」
「ピギィイイイイイ!」
「ケケケケケ!」
此方を視認したオーガとゴブリン軍団は一直線に走ってくる。
「お、おいアルト、クリナ!魔法と弓でどれ位減らせる!?」
「この距離じゃあ5匹くらいかしら…」
「僕も4、5匹がいい所です…」
このままでは全面衝突…数の暴力に圧倒されるだろう。
「アスカ、お前は?」
「全弾発射すれば15匹前後は…」
「それでもまだ沢山いますよ~!」
全員あの数に半パニック状態に陥る。
だが命は荷車から降りて前に進む。
「み、命殿!?」
「……荒神式槍術」
命はグングニルを大きく振りかぶって狙いを定める。
そして狙いを決めた所で目を見開いて全力で槍を投げつける。
「槍・流・星!!」
放たれた槍は正に音速。
瞬時に飛んで丘に突き刺さると、槍を中心に衝撃波のような物が放たれる。
その衝撃波により、ゴブリンとオーガは吹き飛ばされていった。
「「「「「「………!?」」」」」」
他の奴等は勿論だが口を開けて唖然としている。
そして命が右手を伸ばすと、グングニルは1人でに地面から引き抜かれて命の右手に納まった。
「終わりだ…行くぞ」
創造を解除してグングニルを消すと、皆が未だに口を開けてボーっとしているのを放っておいて荷車に乗り込む。
それに続くのは何時も通りの無表情であるアスカだけだ。
「す、スゲーな命!お前サイコーだぜ!」
ガンツはテンションが上がりまくっている様子で、命に話しかける。
「夢じゃないのよね…」
未だに信じられない風に首を振るクリナ。
「い、今のどうやったんですか!?」
アルトも興味津々といった様子で命の元へ向かう。
「……フム、これは…」
紅葉は考えるように手を顎に付けている。
「あ、在り得ません…」
アノンは目をまだ見開いてボロボロのオーガとゴブリン達を見ている。
「…まあ、命さんに常識は通用しませんしね~」
カガミも、そう言うことで済ませたようだった。
□□□□□
「やべぇのを引き入れたか…!?あの技ヤバ過ぎるだろ…!」
ある一室で呟かれる声。
「いやでも金で釣って騙せば…アレほど強力な奴はいねぇ……!」
それは、小さいが紛れも無く黒い闇。
「クク…精々俺の商売の手伝いをしてくれよ…?命・荒神」
闇は神を利用する為に策を練る。
三点「はい、今回は此処までです。最後のは多分お分かりでしょう…しかし後の話でも分かりにくい…!あのグングニルの衝撃波は…まあソニックブーム的な物だと思ってください」
命「と言うか4ヶ月も休んでるんじゃねぇよ」
三点「その点に関しては申し訳ありませんでした」
命「たく…文字通りお前の人生は三点だな」
三点「…もうやめてくれ…じゃあ次回予告
動き出した飛空艇ハイペリオン…そして漸く北大陸の最西端から抜け出した命一行。
そして新たな仲間達と出会うが、異世界の存在を知る敵に出会う。
次回、「ある男を…殺す事だ」をお楽しみに」
命「次回はまた近い内に投稿する予定だから宜しく頼む」