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第5話 「あいつ等、どうしてるかな…」

いよいよ戦闘します。


チートです。

さて日が頭の真上に差し掛かった時、命達は街道を歩いていた。


「まだ着かないのか…」


辺りは草木が減り、荒野のような場所になってきている。


だがバグラの谷には到着していなかった。


「こりゃあ町で馬でも借りた方が良かったか?」


そう呟く命は後ろを振り返る。


「どうしました?マスター命」


そのすぐ後ろにはアスカが歩いているが…


「ま、待って下さい~」


10数メートル後ろでは杖をつっかえ棒にして歩くカガミがいた。


「体力無いな…」


「ハァハァハァ…何時になったら着くんですか~」


「さぁな、地図を見るとそろそろの筈なんだが…」


手の中の地図を見ながら足を進める。どうやらカガミは待たないようだ。


「ふえっ!?待って下さい~!」


それを見て慌てて走り出すカガミだが、命とアスカは足を止める。


「ど、どうしたんですか~?」


息を切らしながらも何とか命とアスカに追いついたカガミは前を見る。


「着いた…」


命達の眼下には大きな谷があった。


「久し振りだ…ここも変わらないな」


「…?ここに来た事があるのか?」


レグオンの呟きに命が聞くとレグオンは少し唸りながらも答えた。


「ああ…20年ほど前にここを通ってからそれからずっとあの武器屋にいたのだ」


「そうか」


大地に巨大な亀裂が出来、その中がバグラの谷になっている。


「でかい亀裂だな…成る程、この亀裂があるからこの谷が唯一の道って事か」


その亀裂は、地平線の向こうまで続いていた。


「ここからは大百足のテリトリーだ。油断するなよ」


「はい~!」


「了解」


そう言うとカガミは杖を持ち直し、アスカは右腕を銃に変形させる。


「創造・ダーインスレイヴ」


そう言って命の手に光が集まり、その光は西洋の両刃剣を模った。


ダーインスレイヴ、それはデンマークの王のホグニが所持していた魔剣。


ダーインの遺産という意味を持ち、一度鞘から抜けば血を吸わなければ鞘に戻ろうとしない魔剣である。


それは、抜かれれば誰かが死ななければならない事を意味している。


「まだ鞘から抜くには早いな。さあ行くぞ」


そうして3人は谷の下に続く坂道を下り、谷に入った。


谷は、足場が極めて不安定であり、あちこちにゴロゴロと岩がある。


谷の下は全くの暗闇である。


「落ちたら大変ですね~」


「俺は契約の力を使えば飛べるが…落ちても拾ってやらんからな。気をつけろよ」


「そんな事言わないで助けて下さいよ~!」


「冗談だ、流石に助ける…でも極力落ちるなよ…っ!」


突如、命はダーインスレイヴを鞘から抜き、カガミに向かって走り出す。


「ふへっ!?どうしたんですか命さん!?」


「荒神式刀剣術・斬龍刀!」


ダーインスレイヴを肩に担ぐように構えて空中に飛び上がる。


上の岩…つまり天井には大きな百足が上からカガミを襲おうとしていた。


肩に担いだダーインスレイヴを振りぬくと、百足は真っ二つになって緑色の血がダーインスレイヴにべったりと付く。


そして天井に張り付いていた百足は力なく落ちて地面に倒れた。


「あ…百足さん…」


「でかいな…幅は30cm、長さは3mって所か?だがこんなにあっさり倒せる奴が大百足とは思えないな…」


「それはきっと兵隊百足さんです~、大百足の子どものようなもので討伐ランクはBだったと思います~」


ダーインスレイヴに付着した血が、スゥっと消えて命はダーインスレイヴを鞘に戻した。


「これが成長すると大百足になるのか?」


「いえ~、大百足になれるのは専用の幼虫がいるんですよ~」


「マスター命、周りを」


アスカに言われて命とカガミは辺りを見渡すと、前後左右、離れた場所に兵隊百足がいた。


「襲ってこないのか…?」


「恐らくタイミングを狙っているのかと」


確かに、兵隊百足達は命達をジッと睨んでる。


「襲ってこないなら放っておこう。戦うだけ無駄だ」


「いえ~、兵隊百足を多数倒せば部下の危機を感じた大百足を引き寄せる事ができますよ~」


カガミの知識に、命は考える。


「(成る程…確かに大百足を見つけても周りの兵隊百足を相手にするのも骨か…なら先に倒せて大百足を炙り出せるなら一石二鳥)それならまず辺りの兵隊百足を片付けるぞ」


「はい、マスター命」


アスカは右腕の銃、EX-バーストを構えると、淡い光が灯る。


「契約・ガルーダ」


命は契約の力で背中から茶色い翼を生やし、手と足が鳥のようになり、爪が鋭くなる。


神鳥ガルーダ。母を救う為に神々の攻撃を跳ね除けた、インド神話でも最強クラスの幻獣。


その体からは熱と炎が噴き出し、また不死であるという説もあり、不死鳥フェニックスと同等の力を持つともされている。


主食は龍(蛇)である。


「さぁ、始めよう」


ダーインスレイヴを命が引き抜くと同時にアスカの魔力弾が放たれる。


因みに命は腰のレグオンも抜こうとしたが


「貴様に振られるつもりは無い」


と言われて抜けなかったので諦めた。


命は翼で飛翔し、離れた岩場にいる兵隊百足に接近し、ダーインスレイヴを振り、2体の兵隊百足を切り裂いた。


アスカの魔力弾は兵隊百足の1体に当たると、兵隊百足の体はバラバラになって吹き飛んでいった。


「魔力再チャージ」


銃に再度光が灯る。


命達から襲ってきた事で、兵隊百足も戦闘体制に入り、ワラワラとアスカとカガミに群がっていく。


「光よ、我とその友を守護し、敵を近づけるな!シャインカーテン!」


光のカーテンがカガミとアスカの周りに展開し、兵隊百足達を足止めしていた。


「カガミさん、障壁を解除してください」


カガミの魔法の時間稼ぎにより、アスカのEX-バーストの充電が終わる。


「はい~!」


光のカーテンが晴れると同時にアスカのEX-バーストから魔力弾放たれて兵隊百足を2匹吹き飛ばした。


「ってまだまだいますよ~!?」


2人の前にはまだ10匹以上の兵隊百足がいた。


しかし突然アスカの左腕が変形するとマシンガンの形をした銃口が現れる。


「ファイア」


ダダダダダダダと連続で放たれる銃弾に、兵隊百足は次々に打ち抜かれていく。


10匹以上いた兵隊百足は残り3匹となりその3匹も弱っていた。


「後は私がやります~!光の鎖よ、相手を縛る戒めとなれ!コーリングチェイン!」


弱った兵隊百足達は、突然現れた光の鎖に締め上げられて息絶えた。


「へぇ、今のは拘束系の魔法だろう?そんな使い方もできるんだな。まあ攻撃力は弱いが」


命は、2人では手の届かない場所の兵隊百足を全て倒してもとの場所に降り立った。


「はい~。師匠曰くどんな魔法も使い方によっては相手を傷つける事が出来るらしいです」


「あっそ。それより、これだけ倒せば親玉も来るんじゃないか?」


自分から聞いておきながらあっそで済ませる命。


「ちょっと酷いです~…」


するとゴゴゴゴゴと地響きのような音が聞こえてくる。


「お、来たな」


谷の奥から音が聞こえ、何かが近づいてくる音が聞こえる。


「キシィイイイイイイイイイイ!」


そして大きな足音と共に闇から現れたのは兵隊百足とは比べ物にならない程巨大な百足だった。


幅は10m以上、長さ優に100mを超えている。


口には獲物を真っ二つにする為のクワガタのような形の鋏があった。


「ききき、来ちゃいました~!」


「大きいですね」


「こいつは大物だァ!」


その巨体に怯えて慌てているカガミに対し、いつも通りの無表情のアスカとニヤリと笑い、嬉しそうな命。


「何で嬉しそうなんですか~!?」


「嬉しいに決まってるだろ!ようやく骨のある奴の会えたんだからな!」


ガルーダの翼を使って飛び上がると、その命を見た大百足は命に向かって突進する。


「そらこっちだ!」


ダーインスレイヴを右手に持ち、飛行して大百足を誘導する。


「キィイイイイイイイイイ!」


大百足は虫のような口を開けて命を喰らおうとする。


命は壁際まで行くと、そこから急に上昇する。


大百足は勢いが止まらず、そのまま壁に激突した。


命はダーインスレイヴを逆手に持つと、大百足の甲殻目がけて急降下してダーインスレイヴを突き立てようとする。


しかし、その刃はギィンという金属音を上げて止まってしまった。


「…堅っ」


大百足が激突した壁から頭を引っこ抜くと、命は翼を広げて再び空に飛び上がった。


「ならコイツはどうだ?火燕時雨!」


翼を広げた後、大百足に向けて動かすと翼から茶色い羽根が無数に飛び出す。


熱を纏った羽根は矢の如く大百足に飛んでいくが堅い外殻に阻まれる。


「チッ、そういえば炎も駄目だったな…」


「キシャアアアアアアアアアア!」


再び壁に張り付き、そこから命に向かって飛び掛る大百足。


「弱点は水や雷の魔法だったな…?そういった魔法攻撃が出来るのは…創造・解除」


鞘に収めたダーインスレイヴを消して大百足の攻撃を避ける。


「創造・雷霆(らいてい)


雷霆。それはギリシア神話の最高神ゼウスがの放つ最強の雷光である。


あらゆる物を一撃で粉砕する威力を持つゼウスの象徴とも言える武器である。


その形状は雷の針。(短剣のような形という説もある)


雷そのものが針の形を成しているかのようだ。


「キィイイイイイイイイ!?」


その圧倒的な存在感に、流石の大百足も怯む。


「雷は効くんだろ?ならコイツを喰らってみろ!」


命が雷霆を大百足に向けると、先端から雷がその速度で大百足に直撃する。


「ギィアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」


甲殻は焼け、肉を焦がすほどの高熱と痺れが大百足を襲った。


「痛っ!?」


だが、命も雷霆を持つ右手に激しい痛みを感じる。


右手を見てみると、手の平が焼け焦げて赤い肉が見えていた。


「流石はゼウスの雷霆…反動でここまでとは…俺の右手がいかれる前に倒さないとな!」


「ギャギャギャギャアアアアアアアアアアアア!?」


だが大百足は今の雷の攻撃で錯乱し、暴れまわっている。


頭や足、胴体で谷の岩を破壊し、時折口から噴出する紫色の煙は毒だろう。


「煩いぞ虫!」


もう一度雷霆を振って大百足に向けて雷を放つと、雷が直撃しながらも大百足は暴れまわっていた。


「何て体力だ…!」


すると大百足が暴れていると、上の辺りで砕いた岩の丁度真下にカガミとアスカがいた。


「ひゃわっ!?」


「上空からの岩、破壊、回避共に不可能です」


「れ、冷静に状況分析しないで下さい~!」


「チィ!」


その様子を見た命は、一度雷霆の雷を止めるとカガミ達に落ちる岩に向けて振り、雷を放つ。


放たれた雷は岩を粉々に砕き、2人は難を逃れた。


「た、助かりました~」


「…マスター命!前を!」


珍しく声を大きくしたアスカに驚きながらも、命は前を見ると、眼前には大百足の巨大な口が迫っていた。


「しまっ…!」


そのまま大百足の口で食われるかと思ったが、咄嗟に左右の鋏をガルーダの翼で受け止める。


伝説の神鳥の羽根で何とか防いでいた。


「ぐぅ…!こん虫がァ!」


強力な顎の力により押しつぶされそうになる命だが、口の中に直接雷霆を突き刺す。


「グオオオオオオオオオオオ!?」


「くたばれ!」


そのまま雷霆の雷を放ち、体内に直接稲妻を叩き込んだ。


その衝撃で、鋏の片方が折れてカガミ達の方へ飛んでいく。


「わわわっ!?」


カガミとアスカはその鋏を何とか回避し、鋏は壁に突き刺さった。


「グギャアアアアアアアアアアア!」


大百足は、体中の肉をはじけさせ、黒煙を上げながら谷底に落ちていった。


そしてその叫び声は次第に聞こえなくなっていった。


「…やったか。創造・解除」


雷霆を消し、翼を羽ばたかせてカガミとアスカの元に戻った。


「2人とも怪我は無いか?」


「はい~、命さんのお陰です~!」


「…マスター命、右手に重度の火傷を負っている様ですが」


そう、雷霆を使った反動で命の右手は表面が焼けて赤い肉がむき出しになっている。


「たたたた、大変です~!?私が治します~!」


杖を命の手の平に当てながら呪文を唱え始めるカガミ。


「光よ…戦により傷ついた友に祝福と癒しを!キュアヒーリング!」


すると命の右手の平の火傷が治っていき、赤い肉は見えなくなった。


「傷は治るが痛みはそんなに取れないのか…少し痛む」


手をグーとパーに交互に動かして調子を確かめる。


「応急処置のような物ですから気をつけてくださいよ~、傷自体は薄皮一枚繋げた程度なんですよ~」


命がグーとパーの運動を繰り返していると、バリッといって皮が裂ける。


「あ」


「あ、じゃありません~!だから気をつけてくださいって言ったじゃないですか~!」


「分かった分かった。だからもう一度回復させてくれ」


そういう訳でもう一度治療を受けた後、命は右手に道具屋で購入した回復薬をかけて包帯を巻いておいた。


「それではこの鋏を討伐証拠の部位として持ち帰りましょう」


アスカは壁に突き刺さっている鋏を掴んで引き抜こうとするが、深く刺さっているのか中々抜けない。


「…ホレ」


見かねた命は、後ろから左手で鋏を掴んで引き抜いてやる。


鋏は抜けたが、力を入れて引っ張っていたアスカはバランスを崩して後ろにいた命にもたれかかってしまう。


「申し訳ありませんマスター命」


そのまま上を向いて無表情で命に謝罪するアスカだが命は気にした様子は無い。


「そう思うなら早く退け。日が暮れてきたからさっさと戻るぞ」


2mはある大きな鋏を、体を斬らない様に注意して持つと、来た道を戻っていく命。


「…」


その様子をジッと見つめるカガミに、アスカは顔を向けると問いかけた。


「…どうしましたか?」


「あ、いえ~、何でもありません~。命さん待って下さい~」


そう答えるとさっさと命を追いかけるカガミ。


今のカガミに若干の疑問を持ちながらもアスカも2人の背中を追った。



□□□□□


命達が町に着いたのは、日が落ちた後だった。


まず最初に3人を迎えたのは、討伐部位の鋏を見た門番の驚きの声だった。


その後は大百足討伐の知らせに喜ぶ人々の歓声だった。これだけでこの町がどれだけ大百足に悩まされてきたのかが分かる。


そして命達3人は傭兵ギルド支部長の私室に通されていた。


「大百足討伐の証拠部位の鋏の一部だ。確認してくれ」


支部長の前に大百足の折れた鋏を置くと、支部長はそれをマジマジと見つめている。


「…フム、偽物では無いの。それではこれが報酬の風の魔核3つと30000ギルじゃ、受け取ってくれい」


そう言って出された袋を受け取り、中身を確認すると、中には拳大の大きさの緑色の石と金貨3枚が入っていた。


「確かに」


「ホッホッホ、お主達ならやってくれるとおもっとったぞ。物は相談なんじゃがお主等、正式に傭兵ギルドに入らんかの?」


「へっ?傭兵ギルドにですか~?」


「そうじゃ」


その言葉に、命は考える。


傭兵ギルドの仕事をすれば、力が付くし金も稼げるが飛空挺の事もあるし、あれを有効に活用するには傭兵は向かないと思っているのだ。


「何か規定はあるのか?」


「特に無いぞい。強いて言うなら高ランクになったら名指しの依頼が回ってくるくらいじゃ。商業ギルドや運搬ギルドに同時所属してもらっても構わん」


「そうか…なら俺は入る。お前たちはどうする?」


振り返ってカガミとアスカに問う命。


「命さんが入るなら私も入ります~」


「私もマスター命に付いて行きます」


「そうかそうか。ではギルドに入るに当たってこの書類だけ書いてくれんか?これだけやれば後はギルドカードを発行しておくからの」


そう言って支部長が3人の前に出した書類に、3人は羽根ペンで書き込んでいく。


しかし慣れない羽根ペンに、命の字は滅茶苦茶になってしまった。


「フム、これでよし。…しかしお主の字は汚いのう」


「羽根ペンに慣れていないだけだ。潰すぞ爺」


「ホッホッホ、恐い恐い」


命は、この支部長の爺さんが、どこか真に似た部分があるのを感じてイライラ死ながらも親近感を感じていた。


「じゃあこれで登録しておくぞ」


「ああ、じゃあな」


「さようなら~」


「失礼しました」


そして3人は支部長の私室を後にして、ギルドの酒場に出た。


そこには、人がごった返しになっていた。全てが傭兵という訳では無い。


ある者は町の青年。ある者はここの傭兵。ある者はどこかの店の店主。ある者はその妻。


皆、酒を浴び料理を食らい、思い思いに過ごしている。


この町に来た昨日とは比べ物にならないくらい騒がしい。


「皆さんとても嬉しそうですね~」


「よほど大百足に迷惑していたのでしょう」


そう呟くカガミは笑顔を浮かべ、アスカは何時もと同じ無表情で酒場で騒ぐ人々を見ていた。


「確かに、あんな大きさの化け物が住み着いていたら行商人なんて行き来できないからな」


ギルドの酒場から外に出ると、その道も出店が出ていたり、人が酒を飲んでいたりと騒がしくなっていた。


「お!大百足を倒した坊主だぜ!」


出てきた命達を見つけると、ぞろぞろと命達の回りに人が集まってくる。


「おい…邪魔だよ…!」


人が多くて先に進めずイライラする命。


「はわわわわわ~!?皆さん落ち着いて~!?」


「…」


3人はもみくちゃにされるが、痺れを切らした命はカガミを右手で掴み、アスカを左手で持つと、割と強めに地面を蹴る。


すると3人に体は宙に浮かび上がり、向かいの建物の屋根に着地した。


「「「…」」」


それを呆然と見ている人々。


だが…


「すげー!見たか今の!?」


「ああ!あんな身体能力持ってるなら大百足を倒したのも納得できるぜ!」


「キャー!格好良い!」


ワッと騒ぎが大きくなった。


「面倒臭い…宿に逃げるぞ」


そのまま2人を掴んだまま屋根をピョンピョン跳んで宿屋・月の屋根の前に降りた。


「ふう、何とか逃げてこれたな…」


「はひ~…」


命は掴んでいた2人を離すと、カガミは目をグルグル回して倒れてしまった。


アスカは離された後も何時も通りだった。


「全く、世話かけさせる…刹那みたいだな…」


そこで、少し顔を伏せるがすぐに止めてカガミをお姫様抱っこで持ち上げると宿に入った。


中に入ると、酒場には少し人がいたがダーナの元へ向かった。


「ダーナ、昨日の部屋を使いたい。まだ空いてるか?」


「ああ!アンタ達かい!討伐してくれて助かったよ!昨日の部屋なら開いてるから好きに使っておくれ!食事はどうするんだい?」


「部屋に持っていけるか?」


「ああ、じゃあ…ハイこれ」


そう言ってダーナがカウンターの向こうから出したのは料理の載った御盆だった。


料理はステーキとサラダ、そしてスープとパンだった。


アスカはそれを受け取り、命は食事代と宿代を出そうとするが…


「ああ、お金はいいよ!この町を救ってくれた人からお金は取れないよ!」


「…いいのか?」


「ああ!食器は明日の朝持って来ておくれ!」


そうして命はカガミを抱え、アスカは御盆を持って部屋に入った。


命はカガミをベッドに寝かすと、アスカと共に料理を食べていく。


「マスター命」


「ん?何だ?」


「いえ、先ほどカガミさんを抱える時に顔を伏せましたが…どうかしたのですか?」


「…何でもねぇよ。ご馳走さん」


食べ終わった命は、立ち上がってドアへ向かう。


「どちらへ?」


「少し風に当たってくる」


そう言って、腰のレグオンを壁にたてかけて部屋を出て行った。


「…どう思いますか?」


「何がだ?」


アスカはレグオンに問うが質問の意味が分からず、レグオンも問い返す。


「…何でもありません」


「…?妙な奴だ」


一方、命は外に出ると、再び跳躍して屋根の上に乗って夜空の星を見上げていた。


先ほど、命が顔を伏せたには理由がある。その理由とは…


「あいつ等、どうしてるかな…」

三点「はいどーも。今回はまたまた命さんに来ていただきました!」


命「よろしく。…ところで作者よ、今回出てきたあの雷霆って…」


三点「ああ、ぶっちゃけた話映画のパーシー・ジャクソンとオリンポスの神々の稲妻がモデルだ」


命「ほう?てか反動なんてあったか?」


三点「いや、映画の方ではなかったけど個人的にあんなの素手で持ってたら反動くらいあるだろと思って」


命「まあ強い力には反動がつき物だからな。ノーリスクで強力な力を使おうとするのは頂けないな」


三点「でしょ?」


命「ああ、じゃあ次回予告だ


無事大百足を討伐した俺達だが、まだ目的を果たしてはいなかった。


そして元の世界では刹那が…!


次回、「お待ちしておりました、我らが英雄様」を待っていてくれ」


三点「ってオイ!次回予告は俺の役目だぞ!俺ここでしか出番ないんだから言わせてくれよぉおおおおおおおお!」


命「じゃ、俺本編に戻る」


三点「チックショオオオオオオオオ!」

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