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東方伊吹伝  作者: 大根
第六章:君と過ごした最高の日々
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大和と4兄弟―再・前編―

全2話のつもりの前編です

~大和と弱い妖怪~



大結界騒動から数日。母さんから大まかな説明を受けた僕は、今日も零夢とだらだらしている。が、



「暑い…」



夏になれば暑いのは同然だけど、これは酷く暑い。零夢なんて巫女服肌蹴させて寝転がっている程だ。相変わらず防御の薄い奴だな、と思うなかれ。視線を感じたところで針が飛んで来ます。服着ろや。暑いから無理。目にも精神的にも毒だからなんとか涼しい風を、と思って風系の魔法を使っても意味はなかった。だって僕、そよ風起こす程度が限界ですから。魔力使って余計に暑くなったよ…。



「あんたもそんな格好してたら余計に暑いでしょうに。と言うか見てるだけで暑い。着替えてきなさいよ」


「せっかく貰ったのに着ないわけにはいかないだろうに…」



ついこの間、藍さんが博麗大結界構築のお礼と称して服を持って来てくれた。藍さんの来ている中華風の服を男版にしたものなんだけど、着心地はとてもいい。でも夏でも着れるように半袖の夏用も用意して貰いたかった…。折角だし頼んでみよう。それくらいの苦労はしたはずだし。



「あんたの母親からも服貰ったんでしょ? そっち着ればいいじゃない、半袖なんだから」



半袖どころか、肩丸出しだよあれは。


あの大結界から数日、幻想郷は前の落ち着きを取り戻しつつある。妖怪の山に住む天狗の長・天魔、霧の湖近くに住む紅魔館・吸血鬼一家を中心に名のある妖怪たちが事後処理に動いてくれているおかげだ。もっとも、紫さんと藍さん、そして何故か僕も一緒に頭を下げに行ったのだけど。…本当に何で? そう言えばレミリアが仮当主にランクアップしたおかげでアルフォードに頭を下げずに済んだんだっけ。まあそれは置いといて。


まあその時に藍さんから服を贈ると言われた。そしたら母さんが、


『なら母さんからも服を送ってあげよう! 喜べ大和、おそろいだぞ!!』


とか言って服をくれた。それもそのまま母さんの服を大きくしたやつ。でもさ、男用に作られていないアレを仕立て直すのに人里を回った僕の苦労を考えて貰いたいね。仕立て直しに掛った代金はそれはもう高かったです。鬼の着る服、普通の素材なんて使われてないんだから。つまり何が言いたいのかと言うと、最初から男用を用意して欲しかったと言うことです。



「明日からそうするよ…」



何はともあれ、夏である。こんなに暑いのに長袖はない。出来れば上半身は裸でいいと思うのは僕だけじゃないはずだ。こんど半袖の服も頼んでおこう。それくらいの仕事はしたはずだ。



「お願いだから脱いだまま神社に来ないでよ。暑苦しいったらありゃしない」


「…けちんぼ零夢」



お前が言うな、とは言わない。言ったが最後、ここから叩きだされる。



「半裸の変質者が神社で血祭り、ね…。明日の文文。新聞の一面にはちょうどいいわね」


「さて、夕飯の買い出しに行ってくるかな。今日は何食べたい?」


「牛鍋」


「…代金「あんた持ちに決まってるでしょ」 僕を破産させるつもりか!?」



霊力が少なくなっても何時もの酷い扱いは健在ですか…。でもこんな日常も久しぶりな感じがする。長い年月を生きると生活に刺激がなくなって暇だと言うけど、僕こっちの生活の方が好きだね。


でも牛肉は…高いです…orz




◇◆◇◆◇◆◇




「相変わらず空は気持ちいなぁ」



空を飛んでいると何故か幸せな気分になる。夏の空は特に蒼く澄んでいて綺麗だし、少し高度を上げれば風もよく吹いている。零夢に小間使いにされても、この晴天の中を飛べば気分は上々ってやつだ。


でも僕の幸せがそんなに長い間続くことはないわけであって。つまり、また何かの厄介事に出会ってしまいました。空を飛んでいる最中にふと地面に目をやると、なんと小さな女の子が仰向けで倒れていました。



「解せぬ」



普段使わない言葉が出てくるほど理解できません! 如何に長い間生きてきた僕でも、生き倒れ(少女) なんて見たことがないぞ!?



「…おーい、大丈夫かー?」



驚いていても仕様がないので声を掛ける。ここからじゃ良く解らないけど、どうやら人間の子供じゃないみたいだ。ほんの僅かだけど妖力を感じ取ることが出来る。とは言っても、僕が声を掛けようが全く反応がない。一応妖怪みたいだから放っておいても大丈夫だろうけど、別に急いでいる訳でもないしちょっと様子を見に行ってみよう。



「そこで寝転がってるお嬢さん、妖怪だってのに昼間から何してるんだ?」


「………あぅ」


「ふんふん………それで?」


「……………なの」


「君は実に馬鹿だね」



原因発覚、只の生き倒れ。ってそのままじゃないか!?



「だから、何で生き倒れてるのかを聞いてるんだよ!」


「…お腹…すいた。お兄さんは…食べてもいい人類…?」


「もうちょっと大きく…じゃなくて、お腹すいてるの?」


「うん」



妖怪が空腹で生き倒れって…。仕方ない、人里の飯屋さんにでも連れて行って何か食べさせてあげよう。僕が連れていたら大丈夫だろう、このままここで放っておいたら本当に空腹で死ぬかもしれないし。



「そう言えば、君の名前は?」


「うん? ルーミアって言うんだよ。よろしくね、ご主人さま」




◇◆◇◆◇◆◇




~人里・飯屋~



「おい裏切り者。何時の間に巫女様の子供を授かったんだ?」


「一郎さん、この子金髪。僕・零夢は黒髪。OK?」



人里の門を潜った瞬間に現れた変態4兄弟。待っていたぜと言わんばかりに周りを囲まれ、そのまま持ち上げられて気付いたら飯屋に居た。奢ってやるとのお誘いに絶対に裏があると思って立ち去ろうとしたけれど、その時にはルーミアちゃんがおばちゃんに注文し終わっていた。ニヤリと笑う兄弟にしてやられたと思いつつも、もうどうしようもない。と言うかどうにでもなれ。



「お前が巫女様と半同棲していることは周知の事。文文。新聞愛読者である俺たちに隙などないぞ? さあキリキリ吐くがいい!!」


「文の新聞を真に受けないでね! 8割は嘘捏造塗れだから!!」


「射命丸さんとも仲がいいのか!? 貴様、どれだけ俺たちを苦しめれば気が済むんだ!!」


「どうすれば解ってもらえるんだ!? それに話通じてないよね!?」



だめだこいつ等、全く人の話を聞く気がない。いや、この4人相手に会話を成り立たせようとすること事態が愚の骨頂だった。…武力制圧したほうがいいかな?



「どれだけお前が否定しようとも、この子が生きた証人だ。お嬢さん、この『年上好きです詐欺』 をしている男の娘さんなんだろう? いやいや、別に君のお父さんを責めようと言うわけじゃないんだ。ただね、『俺たち結婚しない』 の誓いを破った奴「何時そんなのした!?」 は事と次第によっては去勢せねばならんのだよ」


「もぐもぐもぐ……? ご主人さまはお父さんじゃなくて、ご主人さまだよ?」


「ご、ごしゅッッツ!?!? ………弟たちよ。この変態の所業…どう思う?」


「「「すごく…羨ましいです…。故に死刑」」」


「全軍突撃ィ!!!」


「…伊吹大和、全人類の敵を破壊する」



僕目掛けて飛んで来る変態たちうぉ、目標をセンターに入れて右フック! 目標をセンターに入れて右フック! 目標をセンターに入れて右フック! 一郎をセンターに入れて○玉蹴り上げ!!



「ちょっおま…、それはないってぇ…」


「黙れ。そして僕の話を聞け」


「いやあの、大和さん? 俺たちの話も…」


「いいかね諸君? 一度しか言わないから一度で理解しろ。出来なければ死ね。ああ、安心してもらっていい。幸いにも閻魔様とも親しくしていてね、色欲の罪が大きそうな君たちは大層立派な地獄に行くだろう」



頬を押さえて蹲っているの3名、内股で地面でのた打ち回っているの1名、計4名の殲滅を確認。まったく失礼な奴等め。起き上るのを待つまでもない、地べたに寝転がっている4人を見降ろしながら話を進めるとしよう。



「まずこの子の名前はルーミア。言ったとは思うけど僕と零夢の子供じゃない。この子はれっきとした妖怪です。ちなみに好きな食べ物は?」


「人間」


「可愛い顔して恐ろしいこと言うから注意するように。解ったね? 綺麗なバラには棘が多いから注意するように。バラが何かって? 自分で調べなよ。…あ~おばちゃん、慧音さん呼ばなくても大丈夫だから。僕が見張ってますんで」



大慌てで慧音さんの所に走って行こうとしているおばちゃんをそう言って制す。なら良いけど、とは言ってるけどだいぶ怖がっているみたい。そりゃそうだろう、こんな小さな子が「好きな食べ物は人間です」 なんて言ったら僕も驚く。驚いたけど。



「さっき此処に来る前に倒れているのを拾ってきたんだ。放っておいても空腹で死にそうだったからね」


「大和先生に質問です!」


「どうぞ、一郎君」


「何でその子は先生のことを『ご主人さま』 なんて呼んでるんですか? 嬉しいですか!?」


「…僕も不思議に思うけど、何でだろう? 「無視ですか先生!?」 ルーミアちゃん、何で?」


「初対面から決めてた」



にっこりと笑って淀みなく言い切られてしまいました。先生はこんな小さな子は守備範囲外なのでドキドキしないけど、可愛いことは確かです。とか言ってる間に四郎が泡吹いて後に倒れてしまった。…やば、四郎が歳下好きなのを忘れてた。



「四郎! 四郎、しっかり四郎! 傷は浅いぞ!? …駄目か。くそぉ…やっぱお前が何もかも悪いんじゃねぇかーーーーーーーー!!!!」


「何でだよ!?」


「400年以上生きている人外でもやって良いことと悪い事があるぞ!」


「黙れ若造! 僕だって何が起きてるか知りたいわ!!」


「400歳過ぎて何で童貞なのかが今はっきりと解ったぜ!!」


「プチ#」


「あ、やべ。逃「がすか」 母ちゃんお助け―――――――――!!?」



フフフフフ、一郎君。君は言ってはならないことを言ってしまったね。ピュアな僕のハートは酷く傷ついたよ。その報い、その身体で受けてもらうとしようか…!



「君がッ泣くまでッ殴るのをやめないッ!」


「泣いてるって!! 泣いてるからもうやめてッ!?」



僕たちが暴れ出し、再び混沌と化した飯屋でおばちゃんが溜息を吐いた。その裏では1人の少女が妖しい笑みを浮かべていることも知らずに




◇◆◇◆◇◆◇




文「はいはい皆さんこんにちは!! 射命丸文と」


大「伊吹大和です。今回もよろしくお願いします!」


文「実は最近新聞の売れ行きが良くて嬉しいんですよ」


大「あの4兄弟め…。あんまり酷いことは書かないで欲しいんだけど」


文「この清く正しい射命丸、嘘なんて書くわけがありません! 今もこうやって大和さんからネタの提供を受けているわけですし」


大「!?」


文「じゃあ質問に行きましょう。『大和の趣味は何ですか?』 すいませんねこんなに先延ばしにしてしまって」


大「誠に申し訳ないです…。じゃあ答えようか。僕の趣味は…読書だよ!」


文「……えー」


大「? 何か変?」


文「脳筋の大和さんが読書が趣味だなんて似合わないですよ」


大「忘れてるかもしれないけど、僕はそんなに頭は悪くないよ。むしろ良い方。だって『そういう風にデキている』 んだから」


文「? それはどう言うことですか?」


大「(文にはアキナっていう生き別れの妹の話しかしてないからね) 秘密ということで。とりあえず魔法関連の本を読むのが好きだよ。最近は錬金術の本を見つけてね、宝石とか作れないかと思ってる。できればパチュリーの賢者の石が作りたいね」


文「無理ですよ、才能ないんですから」


大「やってみないと解らないよ。とりあえず頑張る。後はやっぱ修行かなぁ。これはむしろ生活の一部になってるけど。一日でも動かないと身体がムズムズするんだ」


文「え~っと、それについては何処からか手紙が届いています。『そうなる薬を盛った』 だそうです」


大「ああ…。もうだめだ、おしましだぁ…」


文「あやや、沈んじゃいましたか。今回は長くなっちゃいましたね。ではまた次回に会いましょう!」

最近忙しくて小説書く時間がまったくないじらいです。内容も普段より更に駄目だったと思います。申し訳ないです。


ルーミアの件はただのノリと言うかネタです。それほど大きな意味とか伏線はないです。理由とかは異変の時だと思います。


そして人里4兄弟が再び登場。今回は大和が変態行為をすることはない…はず。前書きでは2話だと言いましたが、3話になるかもしれません。


ではまた次回

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