超番外 大和と映姫
PV50万記念作
これはif話です。本編とは一切関係ありませんのでご注意を
R-15くらいです。15歳以下は読んじゃダメだよ!
~遙か遠い未来でのif話~
トントントン。規則的な音が響き渡る台所。霜が朝日を反射するような冬の朝、僕は住みなれた家の中で朝のお勤めをしていた。
「よし、朝御飯の準備完了。後は映姫を起こして…だけど今日も寒いなぁ」
おはようございます。伊吹大和改め、現在は四季大和と名乗っています。名字が変わっているのでもうお気づきの方も多いと思いますけど、実は僕、結婚しました。 相手はあの泣く子も黙る地獄の裁判長、四季映姫・ヤマザナドゥその人です。
◇◆◇◆◇◆◇
きっかけはある日の事。珍しく映姫と小町も僕らの宴会に参加した珍しい日の出来事だった。何かに苛立っていたのか、映姫は何時も以上にお酒を飲み続けていた。そんな彼女を周りの皆が心配しだし、声を掛けたが反応はなく、俯いたままだったので酔っぱらったのだと思っていた時のこと。
何時もより酔いの早い彼女が心配になって顔を覗き込んだ僕は、思いきり顔を掴まれてそのまま唇を奪われてしまった。なんの脈絡もなく、いきなりの出来事だったので何が起きたかも理解出来なかった。そんな呆然としたままの僕に映姫は、
「自分の気持ちに白黒はっきりつける日が来ました。大和、私と一緒になりなさい」
宴会場である博麗神社は一度完全に静まり、次の瞬間には大爆発が起きた。吸血鬼は飛び、月は狂い、鬼は暴れた。他にもその場にいた全員を含めた大乱闘が始まり、幻想郷もここまでかと思われたが、再び口を開いた映姫によってそれらは驚きのあまり完全に沈黙してしまった。
「もう一度言いましょう。私と結婚しなさい。それが貴方にできる善行です」
少し怯えながら、それでも凛とした表情を崩さず僕を真っ直ぐに見つめる映姫。身体が震えているのは歓喜からか、それとも別の何かか。
「…本当に僕でいいの? あとで後悔してもしらないよ?」
「私が選び、そして決めたことです。…私は貴方が好きです」
「……あ~その、じゃあよろしくお願いします?」
「はい。旦那様」
涙を流しながら微笑む彼女を抱き締めた。身体は歓喜で震え、彼女の熱い体温が服越しに伝わってきた。もう離さない。そう言うと更に強く抱きしめ返してくれた映姫が愛おしくて堪らなかった。大きいけど小さい女の子を一生僕が守って行こうとその時誓った。
何時までもこのままでいたかった。けれどそうしている余裕なんてなかった。とっさの判断で紫さんが僕と映姫をスキマで移動させなければこうやって生きていることはできなかっただろう。…主に暴れ出した母さんのせいで。その母さんも勇儀姉さんたちに取り押さえられたと後で聞いた。死者がでなくて本当によかったよ…。
◇◆◇◆◇◆◇
あの時確かに僕らはお酒が入っていた。でも僕が映姫を、映姫が僕を好きだという気持ちに嘘偽りはない。少し口煩いところもあるけど、それさえも可愛らしいと思える僕はどうやら完全に彼女に掴まってしまったようだ。こうやって僕と映姫は自分の気持ちに白黒はっきりつけ、今は懇ろになっている。
そして映姫は今も裁判長を、僕は公私にわたってその秘書役をしている。公私混同はよくないんじゃないか? と尋ねてみたところ、一時も離れたくないし、仕事はしっかりとすると言われてしまった。まいったね、それじゃあどうしようもないよ。
「映姫~朝だよー。起きろー」
「………寒いです。それに昨日は寝るのが遅かったじゃないですか。もう少しだけ…」
「何言ってんの、寝た時間は同じはずだし、どちらかと言えば僕の方が疲れてるはずなんだけど」
布団に包まっている彼女をぽんぽん叩く。いい加減起きて貰わないと仕事に送れるし、また仕事仲間の皆さんに迷惑がかかる。
「ほら起きて! 遅刻するよ!」
「きゃっ、ちょ、大和止めて下さい!」
「ん~? 聞こえないなぁ」
しつこく布団に包まっている映姫を布団から引きずり出し、亀になっている所をお姫様だっこで居間まで運ぶ。もう知ったことだけど、映姫は羽の様に軽いので苦にもならない。それに恥ずかしがる顔も見られるので役得なのだ。
「ちょっと、下ろしなさいっ!」
「んじゃ下ろすよ」
「う、うわ!?」
パッと手を離すと着地すら出来ない始末。寝ぼけているとはいえこんな事になるなんて…
「…もしかして、腰抜けてる?」
「うっ………し、仕方ないじゃないですかっ!? 昨日は! 昨日は…その………」
昨日、ね…。
蝋燭の僅かな灯りが部屋を照らし、一糸纏わぬ姿となった2人。2人の体温で湿ったベッドの中、互いを求めて激しくまぐわる。暗闇の中に見えた瞳は情熱に揺れ、玉のような肌には冬の夜だというのに汗が浮かんでいる。甘い声で僕の名前を叫ぶ映姫が―――――――
「ああ、昨夜ははげブフォッツ!?!?」
「あッ朝から不埒なこと言う人は地獄行きです!!」
ッツ~~~~~!? 何もグーで殴ることないじゃないか、本当のことなんだし。夫婦なんだからまぐわって当然だろうに。まあ何時までも初心な所も彼女の魅力の一つなんだけど。
「もう知りません! 朝御飯食べてさっさと職場に向かいます!」
「はいはい。閻魔様の言う通りに」
冷たい床に座ったまま痛む頬を押さえそう言うと、流石にやり過ぎたと思ったのか心配して僕の頬に冷たい手を当ててくれた。
「…その、すいません。やり過ぎました」
「別にいいよ、僕も少しふざけ過ぎたし」
床に膝を着き、お互いの鼻が当たってしまう程の距離で会話。やや蒸気した顔から出される生温かい吐息が直接僕に当たる。なんと言いますか、こうも見え透いた『ごめんなさい』 をされてしまうとついついその場に流されてしまうわけで。
「ん……」
ただ触れ合うだけの軽いキス。ごめんなさいの挨拶。それだけで顔を真っ赤に染め上げる。僕だけが見ることの出来る、あまりにも不器用で少し優しすぎる彼女の姿。
「さ、今日も仕事が詰まっています。張り切って行きましょう」
「その前に朝御飯」
「……少しは味付けを考えて下さい」
「精が出る味プゲラッ!?!?」
「二度は許しません」
そして今日も彼女との楽しい一日が始まる。
四季映姫と四季大和。幻想郷で一番のラヴラヴ夫婦に職場の者は砂糖を吐いているそうな。
上げたら直ぐにでも消したくなる作品、作者はもちろんじらいです。
悶えましたかね? 何か心に来ましたかね? ……本気で消していいですかね?
これほどまでにはっちゃけたのは初めてです。もう書けないよ…