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東方伊吹伝  作者: 大根
第五章:幻想となった故郷
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幻想郷での日々2

閑話その2ってところです

~新魔法と先生の遺品~



どうも最近の僕は鈍っている。武術の方もそれほど行っていないし、魔法使いのくせに魔法も全然使えない上に持ってない。武術の方は昔のように鍛え直せれるだろうけど、魔法に関しては一から始めるしかない。



「今出来るのは…①身体強化 ②マスタースパーク ③魔力糸 ④幻術 ⑤イマイチな属性魔法 だけかぁ。結局僕が向いているのは幻術魔法だけだから仕方ないって言えば仕方がないないけど」



それでもこれは少ないだろう。パチュリーなんてとんでもない数の魔法を使えることが出来る。しかも属性付きで。嫉妬してしまうほどの戦力差だよ…。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「てなわけで、どうすればいいと思う?」


「自分で考えなさい」


「そこをなんとか」


「一魔法使いなら、他人に教わることを恥であることくらい自覚しなさい」


「恥じる程の物を持ち合わせてないんだよ」



紅魔館・図書館内。相変わらず本を読んでいたパチュリーに尋ねてみる。折角の時間を邪魔されたことをかなり鬱陶しく思っているらしく一度も顔を合わせてくれない。別にそれでも意思疎通は出来ているので問題はないんだけど。



「パチュリーさんパチュリーさん、どうすればいいと思う?」


「しつこいわね…」


「答えてくれるまで今日は寝かせないぞ! って危ない!?」


「次変なこといったらアグニシャインを当てるわよ」



いったい何なんだ!? ちょっと冗談めかしただけで魔法を飛ばしてくるなんて傷つくなぁ。そこで頬を染めるくらいしてくれたらグッドなんだけど、睨みつけられるのは心外です。



「で、どうすればいいと思う?」


「…はぁ、本当にしつこいから答えてあげるわ。仕方なく」


「仕方なく答えてあげてください」


「(本気で燃やそうかしら?) いい? 貴方の特性は幻術に特化していることは知ってるわよね。幻術っていうのはリアリティーが大切なの。ここまでは分かる?」


「大丈夫」


「今まではいかに相手を騙せるかに重点を置いていたのよね? なら今度はそれを攻撃にも使いなさい。例えば相手に焼け死ぬと思わせる程の幻術、痛くてどうしようもないと思わせる幻術。今までとは違い、周囲に変化をもたらすだけでなく相手自身も狂わせればいいの。それをさらに昇華すれば『有幻覚』というほぼ実体に近い幻術を使えるようになるわ。実体だからそれで内側にも外側にもダメージを与えることができる。つまり想像の産物が本物と同じ価値になるのよ」


「おお~」



つまり相手に嘘をいかに本物っぽくみせるかは変わらず、今度は相手に使えと。そしてそれを昇華させた奥義が有幻覚と呼ばれる物。そしてそれは想像の産物が武器になる…。何もない所から何かを生み出すなんて、それはもう本当の『キセキ』と呼べるんじゃ…?



「有幻覚を扱えるようになれば属性魔法は意味をなさなくなる。なぜなら全てを自身のイメージで作ることが出来るから。ちなみにレミィの母親は使えたらしいけど、最高位の魔法使いでも使いこなすのは難しいわ。貴方には到底扱いこなせないでしょうね」


「やってみないとわからないじゃないか」



そう、全てはやってみなければ分からない。目標があれば僕は頑張ることが出来る。それはこれまでもこれからも変わらない。この世に不可能なんてことはないんだって証明してやる。



「有幻覚の魔法書もあるから全部持って行きなさい」


「え? 持ってっちゃっていいの?」


「…ここにある本は貴方の先生の魔法書よ。ならばそれは貴方が受け継ぐべきなのよ。本当はこの図書館も貴方の許可がないと使ってはいけないのだけれど、構わないわよね?」


「もちろん! と言うか、これ全部僕のモノになってるの…?」


「魔法使いの世界では師の物は全て弟子に受け継がれる。そうやって魔法は進歩しているの」




◇◆◇◆◇◆◇◆◇




~妖怪の山で河童と天狗と~



今日は妖怪の山に登ろう。そう思ったのはにとりと久しぶりに会いたかったのと、今まで撮った写真を現像? とか呼ばれる作業をしたいからだ。昔にいた山とは少し違うようだけど、それでも10年間育った場所だ。迷う心配もないので山の上空を川目指して飛んでいく。



「見られてる…なんで?」



あちこちから視線を感じる。山に自由に入れる許可は既に貰っているのだけど、それでも多くの視線が僕を捉えている。僕が『伊吹』だからなのか、それとも人間まほうつかいだからなのかは知らないけど、見え透いた監視体制にはうんざりする。



「大和さん大和さん、何処行くんですか?」


「文、ひさしぶり~。ちょっとにとりに会いに行こうと思って」



シュバッ!! という擬音がピッタリな速度で僕の目の前に文が現れた。何時も通りのペンと手帳を持ってネタを探していたのだろうけど、監視の目に気がついたのだろうか周囲を睨みつけていた。



「文も気がついた?」


「ふん。大方山に入ることを簡単に許された大和に嫉妬している連中でしょ、ド三流ばかりだから気にすることないわ」


「相変わらず他人には酷いね…」


「私は自分の周りがよければそれいいのよ。…ってなわけで大和さん、私も取材がてら付いて行っていいですかね?」


「別にいいよー」



表と裏と忙しい人だよまったく。どちらも文だし昔からこんなだから何とも思わないけど、他の人は違うのだろう。だって文、友達少ないもん。本人にそれ言ったら泣くだろうけど。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「にーとーりーー、あーそびーましょ~~~~」



川に向かって叫ぶ。姿は変わっても中身が昔と変わらない僕の姿に文が腹を抱えて笑っている。



「文、笑っちゃいけない。子供の頃もこうやってたじゃないか」


「そっそうは言ってもッ、おとっ大きくなってその誘い方は…ブフッ、ムリムリ我慢できなヒィ!?」



ついには膝を着いて笑いだした文。むぅ…僕は大真面目なんだけどなぁ。



「認めたくないものだな、若さ故の過ちというものを」


「むむ、その声はまさしくにとり! 何処にいる!?」



にとりの声が周囲から聞こえてくるが姿は見えない。川の中から声は聞こえなかったからおそらく陸地からだろう。ならば! 成長した僕ならにとりの妖力を読みとって場所を見つけることができるはず!



「そこだ!」


「ひゅいッ!?」



何もない空間に向けて手を突きだし、咄嗟にそこにあった物を鷲掴みにする。たぶんにとりの顔なのだろう、柔らかい感触を掌に感じさせてくれる。



「もしかしてにとり太った? なんか柔らかくなったみたいだけど」



何度も握ったり離したりしているとプニプニした感触がよく伝わってくる。それにしてもこれは太りすぎだろう、いったいにとりに何が起きたの言うのか?



「あぁ、ん、何処触って、ちょ、んん!? やめろってばぁ…やめろよーーーーーーーーーう!!」


「プゲラッ!?」



いきなり目の前に現れたにとりに高水圧の水で吹き飛ばされ、僕は懐かしい気絶を味わうことになった。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「目が覚めた?」



目が覚めてみるとにとりと文は何やら作業をしていたけど、僕に気がつくと一旦作業を止めてこちらを気にしてくれた。しかし一言いっておきたい。



「久しぶりの再会に水を差すのはどうかと思うんだけど」



うん、今上手いこと言った。



「大和に言われたらお終いだ」


「アレは大和さんが全面的に悪いです。ただの変態でしたから」


「何それ酷い」



二人ともジト目で見てくる。まるで変態を見るかのように、軽蔑した目で僕を見てくる。何なんだよいったい? 僕が何かした?



「文は今も記者モードなんだ?」


「そのために着いて来ましたから」



気にしていても仕方ないので話を勧める。二人ともまだ冷たいけどそんなの僕が気にしても仕方ない。だって何でこうなったか分からないんだから。



「大和の持ってたカメラを現像してるけど、別にいいよね? 答えは聞いてない」


「別にいいよ。気にしてない」



テキパキと不思議な機械を使って写真をカメラから取り出して行く? にとりは昔と変わらず、いや昔以上に機械好きみたいだ。次々と出てくる写真には僕が今まで映してきた光景や人が多く映っていた。



「大和さん、この女性が輝夜さんですか?」


「ん~? そうだよ、月の元お姫様でこっちに映っている師匠の被保護者。師匠っていうのは僕が武術やら魔法の基礎を教わった人で、永琳って言うんだ」


「へぇ…。大和、前言ったこと忘れてないでしょうね?」


「オボエテイマストモ」



輝夜と会う時は文が隣に立つ『らしい』。保護者としては当然とか言っているけど、僕の保護者は母さんだけですどうもありがとうございました。



「こ、これはまさか大陸の光景!? しかも僅かに機械が映っている!?」


「ああ、機械だけの写真もあるけどそれはまだ現像してないんだね」


「な、なんだってーーーーーーー!?」



大陸にあった最先端の機械の写真も撮ってある。主ににとりのために。たぶんそういうことも含めて僕にカメラを渡したのだろうから。


その後も珍しい光景やら、紅魔館での1コマなど色々あったけど、蓬莱島の景色を映したものだけなぜか撮れてなかった。いや、写真自体が真っ白になっていたと言う方がいい。記録にすら残らない島、蓬莱島。そう言えば師父は今どこで何をしているのだろう。





「おいお前たち、少しいいか」


「よくない」


久しぶりの再会に邪魔は付き物というのだろうか、1人の天狗が声を掛けてきた。それと同時に何人もの天狗出てくるが、文が素っ気なく返すと一瞬たじろぐ。しかしそれでも負けじと声を掛けてくるのは天狗のプライドなのか。



「文屋に用はない。俺達はそこの人間に用がある」


「人間じゃなくて魔法使いだよ」


「オマケに『伊吹』の名前持ち。天狗様といえど、下手に手を出すと危ないよ?」


「河童にも用はない。ただ何の力も持ってない子供が『伊吹』と言うだけで山で自由にしているのが気に食わない」


「これでも400年以上生きてるんだけど…」



しかしこんな輩に絡まれるなんて大陸以来だ。騎士団で仕事してた時なんてほぼ毎日絡まれてたからね。聖ヨハネの連中からしてみれば、紅魔館からの協力者とか屈辱的だったんだろう。


ゆっくりと立ち上がり、天狗たちと向き合う。



「ふん、やる気になったか」


「文、にとりも耳塞いでて。ちょっと酷いから」


「お前の悲鳴がか?」


「違う…僕の笛の音痴さがだ!!」



―――秘儀・輩撃退音痴笛やからげきたいおんちぶえ―――



説明しよう! とてつもなく音痴な僕は笛を吹くことが出来ない! そんな僕が全力で笛を吹いたらどうなると思う? 答えは至って単純。音を奏でる笛が聴力破壊兵器に変わるのだよ!!



「耳が、耳がぁ~~~~~~~~~!?」 「鼓膜から出血!? 嘘でしょ!?」 「パルスッ!?」



耳を塞いでいた二人以外はまともに僕の兵器で耳を破壊されたようで、足元が覚束ない様子の天狗たち。それでも必死に立っていようとするが、努力虚しく耳を押さえて空に消えて行った。



「ふっ、恐れ入ったか」


「私の上げた上等の笛をそんな風に使うなんて…」



文が項垂れているけど知ったこっちゃない。練習しても出来ないことってあると思うんだ。うん、本当に申し訳ないとは思っている。



「それよりも現像だよ現像、まだ文のカメラの分も余ってるんだからさ」


「にとりの言う通りだよ。早くやらないと日が暮れる」


「私の笛が~~~~~~」



だから悪かったって言ってるよ!

幻術って言えばリボーンの幻術が出てくるじらいです。有幻覚ってのもあれですよ、もうリアルと区別着かないようなやつ。でもアーチャーみたいにその場に贋作作るわけじゃないですから。


うむむ…説明が難しい。リボーンの幻術と大体同じって考えてもらえるといいんですけど、やっぱそれじゃ分かりづらいですよねぇ。なんとか出来ればいいんですけど…。

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