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東方伊吹伝  作者: 大根
第五章:幻想となった故郷
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吸血鬼異変―裏―

文章メチャメチャですので注意


「大和が帰って来たって!?だったら早く迎えに行かないと!!」



鬼の四天王でありながら人間の子供の母親であるわたしは、古い友人ゆかりから可愛いわが子が長旅から帰って来たことを知らされた。旅に出て、都で再開したが最後、音信不通になっていた息子が無事帰還したとあって、私は喜びでいっぱいだった。早く勇儀達にも教えて宴会の準備をしなければ、ああでも最初は親子水入らずで飲み合いたい…。夢は膨らんでいくが、その浮かれ気分を吹き飛ばしたのもまた紫であった。



「あの子、今すごく悩んでいるの。そこで一芝居うつつもりなんだけど、貴方にも協力して貰うわ。だから面と向かい合うのはまだまだ先になるわよ」


「ふざけるな。いくら友と言ってもこればかりは譲れない。邪魔をするというのなら、その身に鬼の力を刻みこむことになるよ」


「話は最後まで聞きなさいな。いい萃香?大和は今岐路に立っているの。己の立ち位置と、手に入れた力の遣い方に悩んでいる。貴方ほど長生きしていたら、力を持った者の末路くらい知っているでしょう?私たち大人があの子を導いてやらないとダメなのよ」


「大和は自分で歩いて行けると言った。息子を信じるのも母の務めだろう?」


「今のあの子が嘗てないほどに不安定になっているのは確かよ。それでも貴方は手を貸してくれないの?」



悩む。母親としての私と、紫の友であるわたし。大和のことを考えれば、この話に乗った方がいいことは明白だ。けど、わたしとしては大和と早く会いたいな~、って思うんだよねぇ。



「大丈夫よ。悪いようにはしない」



そして目の前の友。御世辞にも良い性格をしているとは言えない。いや、違う見方をすればいい性格をしているのだが。とにかく今の紫が何を考えているのかが解れば手の打ちようもあるんだけども…



「私があの子に酷いことしたことはないでしょう?信じてみなさいな、貴方の友である八雲紫を」



信じると言う言葉を紫から聞くとは思ってもみなかったな。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇




その後の動きを大まかに説明すると、①大和の姿を見て感涙。隣の紫はドン引き。②悩む大和を見て飛び出しそうになるのを止められる。隙間の中で久しぶりに本気で暴れた。③先回りして花の妖怪に頭を下げる。大和の為ならいくらでも下げてやるぞ。④そろそろ限界←今ココ。


今も隙間から見ているけれど、もうお預けは限界だ。常に大和の隣で話している天狗を見て殺意が沸いてくる。隙間の中では私の放つ妖力が紫の顔を紫に染め上げているが、そんなこと知ったこっちゃない。自業自得だ。次に大和が動いたらわたしも動くぞと告げるが、紫は座ったままわたしの足を掴んでイヤイヤと頭を振る。言いたいことがあれば口を使えと。



更に半獣と仲良さげに話をしているのを見てわたしの怒りは有頂天。鼻の下を伸ばした息子を見て真剣に半獣を排除するか更生させるかどうか悩んだ。そんなに胸がいいのか胸が!?と言うかわたしのことはどうでもいいのか息子よ。母はお前をいつも見ているんだぞ。



そして妖怪たちが人里を襲うのを見てわたしは驚いた。人里を襲ってはいけないのは最早暗黙の了解となっていたはずだ。なのにそれを破るとは、管理者に対して宣戦布告したも同然だからだ。



「紫、これほっといていいのかい?」



隙間の中、隣にいる人物は笑っていた。そして今から起こることを見ていましょうと。それはいいけど、あんたの式神が可哀そうだよ。



しばらくして大和と半獣が参戦した。初撃の蹴りを見てガッカリしたが、どうやら手を抜いていたらしい。何を思ったのか知らないが、一人も殺さないように戦っているようだ。まったく危なっかしいたらありゃしないよ。



「えい!や!そこだ!おお巧いぞ大和!」



息子の晴れ姿を見れてわたしは嬉しかった。あんなに小さかった大和が今では立派に戦えている。まだ粗削りで危ない部分も多いが、それでも目を見張るものがあった。



しばらく妖怪の相手をした後、吸血鬼が現れた。その力の大きさをわたしははっきりと理解した。そして大和では相手にならないと判断し、紫に隙間を出ると伝えたが、それでもまだだと言われた。これでは大和がやられる。そう言っても紫は真剣な面持ちでまだ全員揃っていないと言う。



そして幼い吸血鬼と武人が大和と闘っている中、わたしは紫から最後の注意を受けていた。



「大和と必要以上の話をしては駄目。相手を殺しても駄目。私の指示に従うこと。思念を送るからそれに合わせてちょうだい」


「無理」


「大和のこれからがかかってるのよ?」


「…わかったよ。でもこれが終わったらもういいんだろ?」


「それを決めるのは大和よ。じゃあ行くわよ」



わたしは遂に大和の前に姿を見せた。大和はわたしを見て驚き、そして嬉しそうな顔をするが、わたしは何も出来ない。紫が先程から常に顔がニヤけないように!と思念を送り続けているからだ。無理だよ、今すぐ大和に抱きついて『おかえり』を言ってやりたい。それにしても大きくなったねぇ。


そんな葛藤を続けていると、紫が大和と吸血鬼から脅されていた。いい気味だ、と思っているのもつかの間。次の思念が送られてきた。



『大和を後ろから威嚇して』



…決めた。終わったら紫をしこたま殴ろう。大和には謝ろう。その後うんと甘やかしてあげよう。



そして全てが終わった後、



「あの小さい吸血鬼は大和を好いているわよ?」


「何ぃ!?!?」



爆弾落して紫は消えて行った。ふ、ふふふふふ……。レミリア・スカーレット、お前の名前と顔は絶対に忘れやしないよ。大和が欲しいのなら私を倒してもらわないとねぇ…!!


今は霧状になって大和の周りに漂っている。あの子が真剣に悩んでいるのを知ったから、わたしはそれを身守ろうと思う。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇




上手くいった。大和というカードをチラつかせ、紅魔館という戦力を幻想郷に引き込むことが出来た。そして大和を紅魔館から引き離すことも完了。今は落ち込んでいるだろうけど、あの子には早く立ち直ってもらわないといけない。



「あ~早く有望な若者が出て来ないかしら?」



いい加減私も疲れた。悪役になるのも慣れたけど私だって人の目くらいは気になる。…ほんの少しだけだけど。友人の子供を自分の思惑に使うのは忍びないけれどそうも言ってられない。幻想郷という世界を創り上げるのは速い方がいい。



「あ~疲れた疲れた。萃香も怒っていたし、私も良心が痛いわ」


「…そんな笑顔で言われても誰も同情しませんよ?」


「藍が酷いわ。私だって心を痛めることくらいあるわよ?」


「今まで陰謀策略恐喝殲滅縦横無尽唯我独尊で邪魔者を消してきた方がよく言う…」


「アハッ!藍ったらその片棒担いでいるのによく言うわぁ」



幻想郷設立にあたり、私たちは邪魔者を穏便な方法で消してきた。仲の悪い強者同士を相討ちにさせたり、弱ったところをついたり。んー、でも一番の成功は月への侵略かな?月に行けば強くなるぞー、なんて言ったら馬鹿が湧く湧く。少しでも野心のある者を排除出来ればと思ったら、ほとんどの妖怪が月に攻めて行ってくれるなんてねぇ。オマケに全滅。月の戦力にも驚いたけど、妖怪連中にも流石に呆れたわ。


まあ結果は良好で今に至る、と。



「悪いわね萃香。大和にはいい人形でいてもらわないと困るのよ」



主に私の目指す世界の為にね

裏のじらいです。…裏じらいって何だよ?とにかくじらいです。昨日ぶりですね。裏なんで出来れば昨日のうちに更新出来たらよかったんですけど無理でしたorz


一応裏としてますが、ほとんど萃香の話です。紫の話も少しあったかな?とりあえず母回でした。さて!次は裁判長だよ!!…たぶん

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