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東方伊吹伝  作者: 大根
第五章:幻想となった故郷
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人によって考えが違うのは当たり前だよね

感想・要望・なんでもござれ。手の届く範囲で形にしてみましょう


突然だけど、ここは何処なのだろうか?いきなり地面に吸い込まれたと思ったら天狗に襲われて、文の家で一夜を過ごした僕の今朝一番の疑問がこれだ。文がいるということは妖怪の山…で間違いないと思うんだけど、この山からは少し違った印象を受けるのは何で?



「今この周辺一帯は幻想郷と呼ばれているわ。そしてこの山は確かに妖怪の山であってる。たぶん大和の違和感はこの山に鬼がいないからだと思う」


「鬼がいないって…母さんは!?姉さんやみんなは何処に行った!?」


「おおおおお!?揺すらないで下さいぃぃ~~!鬼の皆さんは地底で生活してます!!」



地底って何だ?地面の下の何処らへん?というか、僕を放って行ったってどういうこと…?



「大丈夫ですって!萃香様は大和さんが帰ってきたら直ぐに地上に帰るって言ってましたから、そのうち帰ってきますから落ち着いて!!」



…そーなのか。ならいいや。今会ったとしても、情けない!とか言ってブッ飛ばされるのが目に見えているし。



「幻想郷って言ったっけ?にとりたち河童もいるんだよね?」


「それだけじゃないですよ?ありとあらゆる妖怪がこの地にはいます。そして人間の住む人里も幻想郷にはあります。ま、簡単に言うと人間と妖怪の共存した世界ですかねぇ」



人間と妖怪の共存…先生たちが目指した世界そのものじゃないか…。この地なら僕は答えを見つけられるかもしれない。先生たちが望んだ世界なら。



「ちょっとこの辺りを回ってみたいんだけど、案内とか頼める?」


「別にいいですよ?でも条件があります」


「う…どんな条件?」



流石に文も暇じゃないんだろう。手帳をビシッ、と僕に突き付けてそう言った。



「簡単なことですよ。私は文々。新聞という新聞を書いているんですよ。その記事に大和さんを載せたいんですけど、それが条件です」


「新聞?何それ?」


「ええとですね、大和さんの行動をあれこれ書いて皆さんに知らせるんです「却下で」じゃあこの話はなかったことで「待ったで」…もう、別にいいじゃないですか」



よかないよ。何でわざわざ情けない姿を、しかもまったく知らない人にまで知られなくちゃならないんだよ。社会から指差された生活なんて送ってられるか!?



「僕と文の仲じゃないか。今回だけ!今回だけお願いできない?」


「むむむ、そう言われると辛いものがありますね。…今回だけですよ?」



…良し、何でも言ってみるものだ。でもまさかこの歳になって媚びることになるとは…。でも媚びるのはこれっきりにしたいね、うん。



「じゃあさっそく行きましょうか」


「待って。最初に行くところの希望があるんだ。その人が幻想郷にいればの話なんだけど」


「?誰の所ですか?」


「…風見幽香。フラワーマスターの所だよ」




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




太陽の畑と呼ばれる場所がある。夏には沢山の向日葵が咲き、見る者を魅了する場所である。向日葵以外にも沢山の四季折々の花が咲いている。そこに住むのは世に名高きフラワーマスター・風見幽香その人である。



「何も最初に超危険人物に会わなくてもいいじゃないですか…」


「ごめん。でも幽香さんに聞きたいことがあるから」



幽香さんは強い。その強さを振るう時にいったい何を考えているのか、僕はそれが知りたい。



「…危なくなったら逃げてもいいですかね?」


「いいよ、危険を感じたら直ぐに逃げてもらって構わない」


「そこは守ってあげる、くらい言ってもいいと思うんですけど?」


「別に守る必要もないくらい文も強いじゃないか。隠しているのか知らないけど、だいぶ強くなったね」



最後に会った時と比べ物にならない程に妖力が大きく感じる。何で僕の前で隠しているかは知らないけど、上級クラスの力はあると見ていいはずだ。



「へぇ…、大和もやるようになったわね。合格よ。これが解るくらい強くなったのなら私が一人気張ることもないわね」


「嬉しいこと言ってくれるね」



でも文、それは外面的な強さだ。心の強さは全然足りないんだ。もし僕が本当に強かったら逃げ出さずに向き合えたはずだから。



「もうすぐ着きますよ。…これは驚いた、本人自らのお出ましとは」



幽香さんは花の中に堂々と立っていた。飛んで来る僕らを待ち構えていたかのように、こちらをその双眸でしっかりと捉えて離さなかった。



「お久しぶりです、幽香さん」


「そうね。最後にあったのは何時だったかしら?月日が経ったと言うのにあの時より弱く見えるのは何故かしらね」


「…今日は幽香さんと話がしたくて来ました。聞いてもらえますか?」


「ご丁寧に護衛まで付けて?嫌ね。あの頃ならいざ知らず、今の貴方に興味ないわ」



話はこれでお終い、そう言って幽香さんは花の世話に移った。歯牙にもかけないと言わんばかりの対応。…あの時より弱く見える、か。酷い言われようだ。いや、その通りなんだけどね。



「だったら試してみませんか?僕が幽香さんの思っているより弱いかどうか」


「ちょ!?大和さんそれは無茶ですよ!!」



なら認めてもらうしかないじゃないか。せめてそこらの石を見るかのように向けられる視線を変えないと話しにもなりゃしないよ。だったら無茶でも無謀でも幽香さんの気を引かないとしょうがないじゃん?



「へぇ…それは面白いわね。でも今の貴方じゃサンドバックにしかならないけどいいかしら?」


「ど、どんとこいや!いや、やっぱり一発耐えれたらにしてくださいどうかお願いします無理ですか?」



マジだ、この人本気でボコボコにしてやるって顔してる!?ムリムリ!強がったらあの世に一直線だから!



「…その腐った根性に免じて本気一発で勘弁してあげるわ」


「ありがとうございます!ありがとうございますぅ!??」



全然ありがたくないよ!ブンブン日傘振りまわして威嚇するとか酷すぎる。前から思ってたけど幽香さんってドSですよね。さっきからマスパのトラウマ甦って脚が竦んでるんですけど。しかも魔力なし気オンリーとか無茶すぎる。僕、今は出来るだけ拳を振るいたくないんだ…とかカッコつけた罰ですね解ります。



「耐えてみなさい」


「む、むりかなぁ…」



無理でした。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




パチッと眼が覚めることを覚醒すると言うのだろうか。だったら僕はいっつも覚醒しているはずなのに全然強くならないんだけど。



「遅い御目覚めね。そこ、早くどいてくれないかしら?」


「このベッド幽香さんの匂いが…嘘です勘弁してください」



ねえ知ってる?向日葵で人を拘束することも出来るんだって。そんなことない?だったら今すぐ僕の目の前に来て変わってもらいたい。イイ笑顔で嗤っている人を見せてあげよう。



「あんまりふざけたこと抜かすと頭割るわよ」


「上と見せかけて下をした人が何を言ってるんですか…」



左の顔面ストレートと見せかけて右のアッパーとか鬼畜すぎます。あれだよ、『騙してもらえる上にアッパーしてもらえる』ってやつだね。そんな趣味じゃないから嬉しくもなんともない。…嘘じゃない!嘘じゃないよ!?



「大和さんエッチになりましたね」


「ツッコミが遅いよ文さん…。あと僕は受けじゃない」


「漫才するなら帰りなさい」



幽香さんの生態調査するまで帰れまテン。何かアレだ、故郷に戻って来て文にも会ったせいか、小さかった時みたいにふざけて馬鹿やってた頃に戻ったみたいで楽しい。



「で、ではまず最初の質問から」


「誰が答えるって言ったのよ。貴方見事に気絶したじゃない」


「ノーガードで受けた男気を買ってください」


「直ぐに果てる男に興味はないわ」



うぐ…なんて冷たい人なんだ!既に砕け散っている僕のハートを更に足で踏みつぶすなんて流石ドS。もうこれからそう心の中で呼ばせてもらおう。別の意味で痺れるけど憧れるわけがない。



「では最初の質問です!」



良し!行くんだ文!新聞記者としての意地を僕に見せてくれ!!僕は幽香さんが怖くてどうしようもないからここで黙って応援させてもらうよ!!



「いい根性してるわね貴方たち…!」


「ずばり!好きな食べ物と好きな花と好きな男性のタイプは!?」



え?幽香さん何か言ったの?そんな無視して馬鹿なの死ぬの?文さんや、もうそろそろ限界ですぜ。幽香さんの肩プルプル震えて怒りマックスじゃないですか。


プチ#なんて効果音を初めて聞きました。



「…今日は鳥の唐揚げね。いい獲物が目の前にいることだし、生け捕りにするわ」


「その鳥を生け捕りにする時、幽香さんは何を考えているんですか?」



…無言。突然真面目になった僕を見てか、まるで何かを確かめているかのように僕を見つめる幽香さん。しばらくした後、再び口を開いた。



「…楽しんでいるだけよ」


「…え?」


「生きるか死ぬか、とても解りやすい二つの答えがあるだけ。強ければ生き、弱ければ死ぬ弱肉強食の世界。力を持った者の宿命。よかったわね、貴方は『こちら側』の生き物よ」


「幽香さんは…自分の力にを振るうことに、命を奪うことに対して何も思わないんですか?」


「楽しいと言った。結局のところ、貴方はもう逃げられない。だったら覚悟を決めるか、死ぬまで綺麗事を言ってなさい。話は終わりよ、出て行きなさい」




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




太陽の畑を出た頃には日も傾いていた。今日はもう文の家に帰ろうと飛んでいたのだけど、「忘れ物したので大和さんは先に帰っていてください」と言われたので先に帰っている。せっかくだから夕飯でも作っておこう。…大丈夫だよね?今日の夕飯が鳥の空揚げとか僕嫌だよ?




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「ちょっといいですかね?」


「まだ何かあるの?」


「大和さんが来ることを知っていたんですか?」



太陽の畑での第一接触・今の大和さんを試す絶妙な力加減・そして風見幽香にしてはあり得ない質疑応答。自分の気が乗らなければ動かないこの人が何故あれほどまでに大和さんと向き合ったのか?考えれば考えるほど気味が悪い。



「鳥頭に話した所で意味はないわ」


「私は萃香様に大和のことを頼まれている。それに私も気になることを放っておけないたちなのよね」



これは萃香様たち鬼の総意であると言っておく。今も昔も大和は鬼たち全員の子供だ。あの人に危害を与えるようなことになればあの力、日の本を震わした力を敵に回すことになる。もっとも、コイツは嬉々としてそれを受け入れるのかもしれないが。



「…馬鹿が頭を下げたのよ。来たら頼むと」


「…そんなことするはずがない。第一、そんなことをするのなら直ぐに顔を見せるハズ」


「そんなこと私は知らないわ。聞くばかりではなく、少しはその足りない頭で考えてみたらどう?」


「何を企んでいる」


「それも貴方自身で考えなさいな」



そのまま家の入って行く姿を見て、私もその場を飛び去った。いったい何が起きている?萃香様が姿を見せない…いや、見せられない程の何かがあるとでも言うのか?これはきな臭くなってきたわ…なんてね。射命丸文、チャンスですよ!?大和さんに引っ付いていればスクープを撮れるかもしれません!あやややや、個人としても記者としても、これはもう離れませんね!?












 オマケ



「あ、お帰り。夕飯できてるよ」


「あやや、どうもありがとうごさいます。では食べましょうか」


「「頂きます」」



次の日の周辺探索は中止になりました。理由は文の食中り。僕は平気だったのになぁ。何故かそのまま調理場にだけは立たないでと言われました。


人間、やればなんでも出来るんだなと。これが今やるべきことなのかと言われれば…うん、なんだ、言わなくても解るだろうか。なんでいきなりレポートがあるのか?叫びたくなるね、勉強で作者を殺す気かと。けっこう追い詰められているのでこうやって発散させてもらってます。


さーて今回はちょっとだけ遊んでみました。たぶん大和の幼いころはふざけ回ってたんだろうなぁと自分で想像してみたり。作者のお前が言うなと。まぁいつか書けたらいいね。自答編とか鬱展開多いのでサクサク行きます。次に上げられるのは早くて水曜日・遅くて日曜日です。それでは

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