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東方伊吹伝  作者: 大根
第四章:動乱の大陸
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大陸編エピロ-グ

PV30万ユニーク3万ありがとうございます。


今までありがとうございました。これからもお願いします


傷心中の大和です。現在、聖堂騎士団所有のテラスで僕とケビンさん、仕事を抜け出してきた団長の3人でテーブルを囲って話をしています。



「これで全て終わり、余はことも無し、か。なんや、えらい嫌な幕切れになってもうたなぁ」


「・・・そうだね」



大戦が収まってから一ヶ月。先生の遺体を城から運びだした後、僕は紅魔館の面々に事の全てを話した。先生の過去、悩み、そして死。話したあと、誰も僕を責めたりしなかった。フランでさえ、涙でグシャグシャになった顔で無理やり笑顔を作って、僕が生きててよかったと言ってくれた。・・・親を殺した僕を許してくれた。


アルフォードに遺言を伝えた時も、アイツは苦笑して『ありがとう』と言った。俺もこうなることがなんとなく解っていた、と言って。


みんな僕を気遣ってくれたけど、僕は紅魔館から逃げ出すように出て行った。みんなの優しい気遣いが辛くて、逃げだした。そして今はケビンさんたちに厄介になっている。



「ケビンさん。僕は正しかったのかな・・・」


「ああもう、何度も言うとるやろが!お前がそんなんやったら死んだシルフィーユさんが浮かばれへんて!!悩んで落ち込むくらいやったら、前向いて歩け!!それが人を殺したもんの責任っちゅうもんや!!」


「でも・・・」



先生もフィナンシエも悪くない。確かに戦争を引き起こしたことは駄目なことだと思う。でも、その根幹には人を思う気持ちがあったはずなんだ。僕らはそれに気がつくべきだったと思う。



「だがな伊吹、奴等は戦争で多くの人を殺している。それは紛れもない事実だ。教皇も今回の一件で魔女狩りの徹底を再び命じた。これは私の理屈だが、強ければ生き、弱ければ死ぬ。私の価値観で言えば、奴等の行動は間違っていたんだ」



団長カーネリアさんの言う通り、今まで以上に魔女狩りがその勢いを増している。欧州の妖怪が姿を消す日もいずれ来るのだろう。でもそんな極論でしか考えられないようなことになったら、それこそ世界は・・・



「当然今回の戦争も歴史には残らん。我々も忘れなければならない。そして我々聖堂騎士団も歴史に残されることなく消えて行く。・・・だから伊吹、お前だけは覚えておけ。例え歴史に刻まれなくとも、時代に翻弄された者たちがいたことをお前は胸に刻みこめ。そして誇れ。それがあいつらと私たちへの手向けになる」



本当に、強い。強くて厳しい人だ。先生とは正反対だ。



「辛気臭い話しはこれくらいにしよか。・・・・・・んで?これからどうするんや。ずっとこのままっちゅうのもアカンやろう?」


「・・・・・・て、手紙でも・・・」


「このどあほう!!さんざん人に時間と迷惑かけた癖に手紙やと!?裸に剥いて紅魔館に届けたろか!?」


「ご、ごめんなさい?!?!」



だ、だってしょうがないじゃないか!どの面下げて合いに行けっていうんだよ!?



「はぁ・・・。まあええわ。明日、手紙もってここにもう一度合いに来い。届けたるさかい」


「ケビンさ~~~~~~~~~~~ん」


「ええい離れろ!!女の子のアキナちゃんならともかく、男のお前が引っ付いたところで気持ち悪いだけや!!」


「まったく、馬鹿どもが・・・」



そのアキナ、実はもう月に帰ったんです。アキナも自分の能力を覚醒させてキリシマを後一歩の所まで追い詰めたらしいけど、結局逃げられたみたい。すっごく悔しがってたけど、それまでだったみたい。月からの帰還命令を受けて帰って行った。拉致されそうになったのを止めたのは目の前の悪友です。魔法が使えず、ケガも癒えてなかった僕の盾になってくれたんだ(してやったんだ★)


ああ、魔法が使えないっていうのは本当のことだ。少なくとも1年間は魔法を使うことが出来ないはずだ。あの時僕が引き出したのは僕の持つ1年間の魔力。だから使えなくて当然なんだ。もし使えたとしても、少しの間使わないと思うから・・・。



「そういえば、メイド長はどうしたの?」


「・・・ワイらもそれが唯一の気がかりなんや。結局、シルフィーユさんは拉致られたんやのうて、自分の意思であっちについたんやさかい、あの決戦で手を出してもおかしぃなかったんやけどな・・・」


「だが奴は戦場に姿を見せなかった。だがまあいい、一人では何も出来んさ。あのキリシマとやらも相当の痛手を受けたのだろう?なら問題はない。そこらで野たれ死ぬさ。・・・それより伊吹、最近弛んでいるようだから鍛え直してやろう」


「ちょっ!?今の僕って気しか使えないんですよ!?」


「好都合じゃないか、なあ救世主君?」


「お、おたすけーーーーーーーーーーーーーー!!??」



結局、騎士団に居ても僕はこうやって気遣われている。一人じゃ歩けない、まったく駄目な男なんだ。


















  ~次の日の朝~



「じゃあこの手紙を渡しておいて下さい」


「・・・・・・ホンマに何も言わんと行くんか?」


「今の僕じゃ、会っても迷惑かけるだけです。少し落ち着いて、自分なりの答えを出してからもう一度会いに行くつもりです」



昨晩、紅魔館のみんなに向けた手紙を書いた。書いた内容は謝罪とこれからについて。そして僕は旅に出るために身支度をすませてケビンさんたちに会いに来た。そして今、こんな僕を見送るために団長や副団長まで来てくれている。



「・・・少年。確かに君は直接的ではないかもしれないがシルフィーユの命を奪ったのだろう。だが憶えておいて欲しい。それと同時に、君は何百万もの命を救ったのだ。それは誇っていいことだ」



「我々もフィナンシエたちのことをどうも言えん。ただ、互いの正義をぶつけ合った結果こうなった。伊吹、お前はまだ若い。答えを見つけ、もう一度合える日を楽しみにしているぞ」



「・・・今までお世話になりました」



深く一礼する。役に立てたのだろうけど、それ以上に迷惑を掛けたから。数秒の後、頭を上げるといきなり脳天にチョップを喰らった。



「~~~~~~~~~~~~~~~ッツ!!??何するんだよ!?」


「ハッ!なに別れ際まで辛気臭い顔しとるんや、いつもみたいに笑わんかい!」


「だからってこんなことしなくても「おい大和君」・・・なんだよ」



「ありがとう。こんなワイに今まで付き合うてくれて。楽しかったで、お前さんとの日々は。こんなワイに真正面から向き合ってくれたのは大和君が初めてや。・・・嬉しかったで」


「ケビンさん・・・」


「なんや、ワイまで辛気臭なってもうたやないかい。ホレ、はよ行けや」



シッシッ、と腕を振るケビンさん。まったく・・・最後まで意地張るんだからなぁ。でも、これが最後じゃないんだ。また会いにくればいい。



「じゃあ行きます。・・・でもその前に」



一発は一発、目の前のアホを思いっきりぶん殴ったらー!!コンチクショウめ、最後まで人のこと叩きやがって!!



「ブフォアアア!!??このアホ、いきなり何すんねん?!」


「じゃかあしい!今までの怨み辛みを出してからじゃないと気持ちよく行けるわけないでしょーが!!」


「上等じゃボケ!!やったらあ!!!!」


「積年の恨み、ここで晴らすぞこの馬鹿野郎!!!!」



―――――拳と拳で語り合うのは得意でしょ?―――――



「まったく、こいつ等は最後までこうなのか」


「まあいいではないか。ケビンも少年も、湿っぽいのは良くないからな」



涙を見せるのが嫌で始めた殴り合いだけど、どうやら大人二人にはバレていたみたい。


喧嘩の結果?引き分けで痛み分け。最高の別れになったに決まってるじゃないか。








  













一人、荷物を持って街を出る。太陽は真上まで昇っている。行き先はまだ決まってないけど、とりあえず東に向かって旅をしよう。自分の答えを見つけて、また戻って来るために。




「あら、じゃあもうここに用はないのね?」


「想い残したことはあるよ。先生のこととか、紅魔館のみんなのこととか・・・。魔法使いには成れたけど、本当にこれで良かったのか・・・。それを見つけに・・・・・・・・・・・・・・・え!?」


「ウフフ、久しぶりね大和。そしてしばしのサヨナラよ」



振り向いた先には懐かしい顔。僕は声を上げる前に開いた地面に吸い込まれていった。

これにて大陸編は終了です。では少し語らせてもらいますね。


まず大陸編の人妖大戦です。これを書いた理由は、八雲紫との対比を書きたかったからです。八雲紫は来るであろう人間と妖怪のパワーバランスを守る為に幻想郷という共存できる世界を作った。フィナンシエは共存を選べず世界を変えようとした。そしてその原因は魔女狩りという人間の台頭であったということ。まったく逆の関係を書きたかったんです。こういう話もあっていいのではないかと思って。


そして紅魔館。一応タグにもある通り、『親子』がテーマです。子のために一人奮闘する母親、自らの存在そのものをかけて子供を守ろうとする関係を書きましたが、伝わったでしょうか?伝わっていただけたら幸いです。


次に大和とアキナ。本編通りですが、能力の命運を分けたのはやはり才能かと。デキる人は違うんですと言わんばかりのチートな妹でした。大和も頑張ればアキナと同じことが出来るかもしれませんが、その予定はないですw


後、これは前話の後書きに書き忘れていたことです。浸透水鏡・紅蓮一式です。まあギアスの輻射波動と思って頂けたら。一式なのは本編でもあったとおり、本来ならマスパにやるつもりが失敗したためです。マスパならマスタースパーク・紅蓮二式ですかね?ゴロ悪いなぁ。


宣言通り、このあとNEW設定集を上げてから遂に幻想郷入りです。ここまで読んでくれた皆様には感謝感激雨嵐。今まで通り生温かい目で見て上げて下さい。


じらいでした。

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