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東方伊吹伝  作者: 大根
第四章:動乱の大陸
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信じた道、違えた道

11時過ぎた頃に大陸編エピローグとNEW設定集を上げます…だぶん


3月18日改訂

アルフォード・スカーレットとフィナンシエ・スカーレット。欧州最強と言っても過言ではないだろう二人の吸血鬼が向かい合って立っている。即座に戦闘に入るかと思われたが二人だが、当初の予想を裏切る形での睨み合いが続いていた。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何故だ」


「??兄よ、何か言ったか?」


「何故、こんなことをした」



解らない。俺にはフィナンシエが、弟が何故こんな戦争を引き起こしたのかさっぱり解らない。



「聞いたところで意味はない」


「だが、それでも俺は知っておかなければならない。なによりお前の『兄』として、あの時お前を引き留めれなかった俺は知っておかなければならない」


「・・・・・・・・・・・・・・・いいだろう」





























「ねえ大和君、貴方の目には今の世界はどう映っているの?」



城の中、先生シルフィーユと僕は空に浮かんで向かい合っていた。いきなり攻撃してきた…ということは、僕が視た未来がおそらく真実だということ。間違いであってほしい、きっと何かの間違いだと自分に思い込ませてきたけど、やはり僕の能力は間違った光景を映すことはないらしい。でも僕は、先生と闘いたくない。どうやって先生を退かせるかと思考を巡らしていると、いきなりそう質問された。



「どうって・・・特に嫌なことはないです」


「でしょうね・・・。だって、大和君はまだ人間だもの。身体は老いることはなくなったようだけど、貴方の心はまだ人間よ。だから、私たち妖怪の気持ちなんて解らないでしょうね」


「妖怪の・・・気持ち?」



どういうことなんだ・・・?妖怪の気持ちだなんて、そんなの人間の持つ感情と大差ないんじゃないの?喜怒哀楽。楽しかったら笑って、悲しかったら泣く。妖怪の山ではみんなそうだった。



「私はね、人間が好きなの。フフ、何を言ってるのか解らないって顔をしてるわね。当然よ、私たち妖怪を理解しようとしないのは貴方たち人間なのだから」


「すいません、先生が何を言いたいのか僕にはさっぱり理解できないです。でもこれだけは言わせて下さい。今、レミリアとフランが先生を助けるために外で戦っています。僕は貴方を助けに来たんです。だから一緒に外に行きましょう」



「私の話を聞いてた?これが私と大和君の最後の話になるんだから、しっかりと聞いておきなさい。それに、いきなり襲った相手によくそんな事が言えるわね」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



「私もね、小さい頃は妖怪だってことを隠して人間の子供と一緒に遊んでたの。私は日光に弱いから日傘をさしてお友達とお話したり、人間の男の人に淡い恋心を抱いたりもしたわ。…幸せだった。何故人間に産まれなかったのか真剣に悩んだこともあった」



「年月が経つにつれて人は歳をとる。友人の外見は成長して、私だけが成長しなかった。幻術で見かけを変えても良かったのだけど、私は皆に嘘を吐くのが嫌だったの。だから全部話したわ。彼らなら私を受け入れてくれると思ったから」



「結果は失敗。正体を告げた途端にバケモノ呼ばわりされて、捕まったわ。××されたし、××××にもされた。でも、抵抗なんて出来なかった。騙していた負い目もあったし、何より友人を傷つけたくなかったの」



「その時ね、同じ境遇の妖怪と出会ったの。それがアルフォードの弟よ」










































「いくら人間を他の妖怪から救おうと、いくら人間を愛しようとも奴等は私をバケモノと言い放った。自分勝手で厭らしい、ゴミ共だと思わないか?それからは兄も知っての通り、私は紅魔館を出た。その時の私はまだ人間を信じていたよ。だが、その期待も裏切られた」



「・・・魔女狩り」



「そうだ。奴等は妖怪の存在すら否定し始めた。奴等は己の利益のみ追求し!隣人である我々を忘れ、そして存在すら殺す!その傲慢はいずれ人間、いや世界すら滅ぼす!なればこそ、私は人間を救わなければならない!!決して人間が我々を忘れられないよう、己の存在を末代の魂まで刻みつけるために!!!」




「・・・・・・・・・・・・・・・すまなかった」


「なんだと・・・・・・?」


「俺がお前を理解してやれないばかりに、お前を追い詰めてしまった・・・。本当にすまない」


「何を言っている・・・!?」



フィナンシエがこうなってしまったのは、俺のせいだ。


当主の長兄として産まれた俺には主となる義務があった。その義務感故に俺は弟に構ってやる時間なんてなかった。こいつが紅魔館をたびたび出て行くことも、一人で悩んでいることも俺は知っていたのにな。知っていて何もしてやれなかった。だから弟が紅魔館を飛び出て行った時も俺は何も出来なかった。だからこそ、



「フィナンシエ、俺がお前を止めてやる。今度こそ!」


「そうやって兄は何でも解った気でいる。・・・嫌いだ。私を、理解わかるな!!」


























「その時フィナンシエに誘われたけど、私は断ったわ。まだ人間を信じたかったから。でもアルフォードと結婚して、魔女狩りが始まり、子供も産まれた。だからフィナンシエに協力することにしたの。あの子たちの未来を守るためにはこうするしかなかったのよ」



「・・・・・・・だからって、だからってこんな方法で守らなくてもいいじゃないですか!!もっと他に方法があったはずだ!!」



なんでだよ・・・!どうしてこんなことになったんだよ!?人間が好きだったフィナンシエたちも、豊かになろうとした人間たちも、誰も悪くないじゃないか!!



「今からでも遅くないはずです!これだけの力を持った貴方達だ、今からでも遅くない!その力を平和と協調に使うことができれば!!」


「強い子ね・・・。すべての人間が、大和君みたいな人だったらよかったのに・・・。話は終わりよ、構えなさい」


「ッ先生!!」



(無駄よ大和、もうどうしようもないわ。魔法陣を止めるには貴方が彼女を倒すしかない。おそらく核となっているのは彼女のはず。制御に魔力を回している分、一発が勝負を決めるわよ)


(・・・・・・絶対に止める!!)


(その意気よ。なんたって彼女は史上最強の魔法使いと言われる存在なんだから)





始まりは先生から。火・水・風の三種類の属性を含んだ魔力弾が迫って来る。距離があるため余裕を持って避ける事が出来るが、こちらは始まる前から不利な状況なのだ。


なぜなら僕は自分の手の内を全て知られているからだ。僕は先生が魔法を使っているところを見たことないけど、先生は僕を知り尽くしている。十八番である幻術は解析されているので使うことが出来ないし、いかにパチュリーの魔力があるといっても魔力糸では吸血鬼を仕留めることなんて出来ない。


つまり、僕の出来ることは



―――――――――――魔砲 マスタースパーク―――――――――



「魔法はパワーだ!!」



脳筋らしくパワーで押し切るか、超接近戦しかない。


パチュリーの魔力も合わせ、何時もよりも威力が上がっているマスタースパークだが、相手は最強の魔法使い。僕の見たことも聞いたこともない障壁で完全に防がれてしまった。



「絶対守護領域とでも言っておきましょうか。これを破るなんてことは大和君には出来ないわ」


(特殊な障壁・・・おそらく対魔法対物理の6重障壁ね。破れそう?)


(接近して連続でたたみ込めばなんとか・・・)



「ほら、次は天の魔法よ」



―――――――――七つの彗星―――――――――



「い゛ッツ!?」



七つどころか1000を超えるほどの隕石が空から墜ちてくる。



(大和!!)


(ッ桜花制空圏発動!!)




次々に堕ちてくる隕石を紙一重で躱し、それと同時に距離を詰めていく。だけど先生の目を見て心の流れを読むことで、そこから感じとれる感情が僕を動揺させる。先生は本心から人間が好きで、でも憎くて、家族や他の妖怪を守るために戦っていることが解ってしまった。・・・なんて哀しい人なんだ。



「終わりよ」



―――――――完全模倣 マスタースパーク―――――――



「やばッ(大和!!)」

























大和が城内で戦っている時、外でも激戦が繰り広げられ、辺りは二人のぶつかり合いによって生じた衝撃波で荒れ果てていた。そんな二人の一騎討ちに見惚れてか、妖怪と騎士団の戦いはもう鎮まり、その場にいた全員が勝負の行方を見守っていた。



「クッ!こうも互角とは・・・」


「争いは嫌いだが、今の俺はどうしても負けられない。その想いが俺を後押ししてくれているのだろう」



お互いボロボロの二人。常人なら既に何度死んだか解らない攻撃の応酬があったが、互いの再生能力が高いために必殺の一撃を受けても怯むことはない。だが、いかな再生能力とはいえガタはくる。おそらく次が最後の撃ち合いになるだろう。



「最後だ、兄よ。勝敗は世界が選んだ方になる。私が勝てば世界は私に味方したことになる。そして…」


「俺が勝てば、お前の考えは間違っていることとなる。・・・行くぞ!!」



戦場にいる誰もが固唾をのんで見守る中、一つの影が城へと入って行った。























「・・・・・・・・・・・・ハズれた?完璧なタイミングだと思ったのだけど」



飲み込んだと思われた閃光から出てきた大和の身体は紅く輝いていた。逆手に構えた短剣に付けられた魔道機関『イクシード』に込められた弾を使い、急激に自身の身体能力を上げて躱したのだ。



(時間がない!パチュリー、アレ使うよ!!)


(魔力制御は任せなさい!貴方は倒すことだけ考えて!!)



魔法媒体としても優秀な短剣からは今まで以上にスムーズに魔法を使うことができる。その剣先から通常の3倍の威力であるマスタースパークを牽制として使って接近を試みるも、それは防がれ、張られた濃い弾幕によって近づけないでいた。



(3倍で障壁二枚だけ!?)


(でも破れる!完璧な魔法なんて存在しないわ!!)



たった2枚しか破れない上に、接近できない。オマケに直ぐ障壁は完全な状態に修復されていく。どうにかして接近できれば・・・。幻術で騙すか?いや無意味だ。なんとかして死角に入れれば・・・。師匠、お受けした技を使わしてもらいます!!


―――劣化 柳葉揺らし―――


相手より早く、常に死角へと回り込む師匠の十八番。どれだけ周囲を見渡してもその姿が目に映ることはないなんて相手にとっては悪夢の技だけど、僕にはまだ使いこなせてない。加速で自身の動きを速め、一瞬であれば通用するであろう幻術を使って死角に入るのが精一杯。でもその一瞬さえあれば、後は何とかしてみせる!

そして右手に魔力、左手に気を纏わせて合成!


「ッどこへ!!??」


「うッッらああああ!!」


その力を右手に纏わせ、障壁を貫く一撃を放つ!!


―――剛堕浸透掌――――


「~~~~ッ無茶苦茶な威力だけど、まだ私を倒すには至らないわっ!」



障壁を完全に破った。だけど先生に傷を負わせるには至らなかった。けど、ここからが僕のオリジナル!師父のマネだけではこれ以上強く成れないと考えた僕が、パチュリーと共に考えだした必殺の一撃!!



「剛堕浸透…紅蓮一式!!」



僕が唯一使うことの出来る属性は炎。マスパを炎属性にして使う案もあったけど、成功には至らなかった。けど失敗から成功も生まれた。接近し、掌から直接相手の内部に炎を送りこむ技。欠点と言えば、



「あああああああああぁああああああああああああああっぁぁぁぁぁっぁ!!??」



威力が高すぎることぐらいだ。上級妖怪すら一撃で屠る威力故に、相手をほぼ確実に殺してしまう可能性が大きいので多様はできない。更に今回は気と3倍魔力の合成だ。耐えられるのは最強クラスでも極一部のみのはず。一人では到底出来ないが、今回は魔力の制御をパチュリーに回しているおかげで僕は気だけを制御すればよかったため、威力をまったく逃がすことがなかったことも大きい。



(いいえ、まだよ!!)


「―――んな!?」



身体が蝙蝠となって霧散し、離れた場所で再び先生を形作る。手にはフランと同じレーヴァテインが握られている。



(内部に送りこまれた炎の魔法を操って致命傷を避けたの!?)


「クッソぉ・・・。こっちはもうスッカラカンだっていうのに・・・」


(でも向こうももう限界のはず・・・ッ大和避けて!!)


「ここまで追い込まれたのは初めてよ・・・死になさい!!」




動けないでいる僕の目の前で振られると同時に、目の前に紅い槍がを持ったレミリアが立ちふさがった。




「「レミリア(レミィ)!!??」」


「お母様・・・もう、もういいじゃない・・・」



剣を槍で受け止めたまま、レミリアが先生に話掛ける。その顔は酷く歪んでいた。



「・・・お父様は言ってた。時計の針が狂ったのなら、直せばいいって。人間にも、大和のような人だっているの!だったら!!」


「いいえ、一度狂った時計の針は壊してから零に戻すしかないわ。全てを零に戻し、次の新しい時代に生きる者たちに全てを任せるのよ」


「そのためなら大和のような優しい人間を殺してでもいいの!?」


「だったら、今すぐ貴方が全ての人間を彼のようにしてみなさい!!!!」


「~~~~~~~~~ッ!!??」





「レミリア・・・どいて」



もう、止まれないんだ。先生もフィナンシエも。二人とも人間を愛しすぎたから、こんな不幸なことが起きてしまった。誰かが受け入れてあげるべきだったんだ。傷ついた二人を正面から受け止めて上げる誰かがいれば、こんなことにはならなかったはずだ。だから・・・



「大気中に分散した、魔力を、集中・・・・・・」



気の酷使で身体は限界、おまけに僕もパチュリーも魔力は残っていない。大気中の魔力を掻き集めても全然足りない。だったら、



「能力の応用しかないよなぁアキナ・・・」



僕の『先を操る程度の能力』。アキナはもう自分の答えを出したのだろうか。アキナなら、きっと僕以上のことをして、今頃はキリシマを倒しているだろう。僕は駄目駄目だから、一つを突き詰めることしか出来ない。



「ここより僕が『先』に保有している魔力を今ここに・・・」



こんなすごい技が簡単に使える、ではない。たった一つの基本をとことん極める。才能が無い僕に師匠たちが言った言葉。今ならそれを証明できるはずだ。



(ッ止めなさい大和!貴方が保有できる魔力量を超えている!このまま発動させたら死ぬわよ!!)


「引くもんか!僕がここで引いたら誰も先生を受け入れてやれないじゃないか!!」


(・・・・・・馬鹿。好きにしなさい)



ごめんパチュリー、無茶言った。横にいるレミリアを見る。レミリアの能力は運命に関わっている。だから先生と僕が闘うことを実は解っていたんじゃないのかな。そしてこのあとの事も・・・。だとしたら変えられない運命だったのかもしれない。


涙を流しながら僕を見ているレミリアを見て、心の中で謝る。・・・ごめん。僕は結局未来を変えることができなかったみたいだ。




「勝負です先生。僕が勝てば馬鹿なマネはやめて、紅魔館で何時もの日々を暮らしましょう」


「・・・無理ね。勝つのは私だから」



『先を操る程度の能力』の応用。それは未来の僕が保有しているであろう魔力を先取りすることだ。その量約1年分。その全てをマスタースパークにつぎ込む。手や腕、頬は無茶な魔力運用からか裂け、血が滲み出てきている。意識は朦朧とし、剣先を向けるも腕は震えて照準が定まらない。


そんな僕を、細く白い腕が支えてくれた。



「大和だけに、責任を押し付けるわけにはいかない」


「・・・ありがとう」


(私も出来るだけ大和の魔力を制御してみるわ)



はは、どうですか先生。僕らは解り合えている。・・・確かに人間と妖怪の関係はもう駄目なのかもしれません。でも、まだ希望を捨てたら駄目なんです。進むことを諦めたら、狂った時計を零に戻すことすらできないんだから。


それを僕が証明してみせる



――――――大魔砲 月隠す極光――――――



空が墜ちてくる――――――。それほどまでの膨大な魔力の奔流は、同時にシルフィーユから放たれた閃光を丸ごと飲み込み、そのまま包み込んだ。


































「結局、世界は私に味方しなかった、か」


「・・・・・・なぜ最後に手を抜いた。あれさえなければ、今倒れているのは俺だったはずだ」


「フ・・・何故だろうな。私も自分が解らん。・・・だが、最後に敗れる。それもまた、運命なのかもしれないな」



決着はついた。アルフォードとフィナンシエの一騎打ちはアルフォードの勝ちで終わった。妖怪たちは頭首、そして主だった幹部を失い敗走していく。騎士団はそれを追うまでもなく、ただ見ていた。彼らも今回の戦いでの被害が大きすぎたからだ。その中から一人の女性が歩み出る。



「馬鹿な最後だな、フィナンシエ・スカーレット。結局貴様は負けた。時代が我々を選んだのだ」



出てきた女性は聖堂騎士団団長カーネリア。この激戦の後でも何時も通りでいるのは流石と言うべきか。



「・・・確かに私は負けた。だが憶えておけ、貴様たちの行いそのものが人類を壊死させるのだと」


「・・・・・・・・・連れていけ」



今まで空に輝いていた魔法陣は消え、空には新たな未来を告げる太陽が昇ろうとしていた。


























そして城でも、一つの命が終わりを告げようとしていた。



「お母様!お母様!!しっかりしてください!!」


「フフ、もう無理よ。私の全魔力を魔法陣につぎ込んだの、再生能力ももうないわ」



大魔法使いであるシルフィーユ・スカーレットをもっても、あの魔法陣を完璧に操ることは出来なかった。だから彼女は己の命すら使って魔法陣を完成させようとしていた。それを邪魔され、力の大半を失った状態で闘い、蝙蝠となって避けた時点で既に限界だったのだ。己を貫くために、彼女はその命を使ってまで大和に応えた結果である。



「レミリア、どうか泣かないでちょうだい。私はもう駄目だけど、貴方には妹も父親もいる。心強い友達も・・・」



そう言って力無く僕を見る先生の顔はどこか嬉しそうで、泣きそうだった。もう体に力が入らず、目が見えているのかすらも分からない。



「大和君、この子たちのこと頼めるかしら・・・?」


「・・・・・・嫌です。先生が自分で面倒見て下さいよ。我儘過ぎて困ってるんです」


「もう、意地悪ね。・・・あの人に伝えて頂戴。『幸せでした』って」


「・・・・・わかり、ました」



本当に、本当にもう、駄目なんですね・・・。僕は、僕は貴方を受け止められたでしょうか?



「強い子に会えてよかった・・・。レミリア、フランドール、貴方たちはいい友人を持ったわ。どうか、幸せに――――――――――――――――――」





「お・・・かあ・・・さま・・・・?ねえ・・・、目を開けてよ・・・・頭撫でてよ・・・・私を・・・レミリアって呼んでよ!!――――――――――――うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」




最後にそう言い残し、先生は静かに息を引き取った。レミリアに看取られながら逝った先生は、穏やかな笑顔で、ただ寝ている様だった。










その日、僕は確かに世界の危機を救ったのかもしれない。でも、目の前で泣いている女の子を救うことは出来なかった。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい。先生は亡くなりました。嘘でもなんでもございません。


次は大陸編エピローグです。後書きが長くなりそうだ…。

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