表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方伊吹伝  作者: 大根
第四章:動乱の大陸
61/188

最後の人妖大戦

副題 激戦なう


      その日は、冬の夜にしては珍しく、吹雪いていなかった。





轟音を上げ飛ぶ砲弾。それが直撃し粉々に吹き飛ぶ妖怪。悲鳴と血飛沫を上げながら倒れ込む人間。怒号が飛び交い、目の前の敵を打倒せんと己の武器を振るう者たち。遙か昔に起こった人妖大戦を彷彿させる戦場の中で、彼らは必死に生きていた。
















「魔道士隊、貫通付与魔槍形成!数五!目標正面・・・放て!!」



カーネリア団長の号令に合わせて聖堂騎士団の術士が魔力で出来た槍を形成、正面に放つ。目の前まで迫っていた妖怪たちに直撃。更には貫通してその後ろの妖怪にもダメージを与える。



「次!魔力弾連続発射!目標地面・・・撃ぇ!!」



次々と地面に直撃する魔力弾。それは地面を抉り、土のカーテンとして双方の姿を隠した。



「吶喊する!騎士たちよ、私に続け!!」



土のカーテンが隠している中、槍や剣を構えた聖堂・ヨハネが誇る近接部隊がヴリアント副団長を戦闘にカーテンの向こう側、もはや壁と化した妖怪の中に突撃して行く。組織だった攻撃を前に、ただの群れでしかない妖怪たちは次々と葬られていく。3倍という戦力差の中でも、組織され、一つの軍団と化した騎士団は互角以上の戦いを見せていた。









アキナはその戦場の中を守護騎士のケビン・フォレストと共に駆けていた。



「キリシマがいない!ケビンさん、何か感じない!?」


「残念ながら!やけど必ず奴は出てくる!!それまで待ちぃ!!」



ッチ、いったいどこに隠れている!?私たちは空を飛びながら戦っている。主な戦場は地上だが、空中でも激戦が繰り広げられている。空を飛べる騎士を中心に空中戦闘を行っているが、妖怪側に比べて数が少なすぎる。ケビンさん以外の守護騎士も空を駆けているが、戦況は妖怪側に有利な状況だ。制空権をとられれば戦況は一気にこちら側が不利になる。そのために私もここを離れてキリシマを探しに行けないでいた。


向かってくる弾幕を躱し、お返しとばかりに両手に握った銃から魔力弾を放つ。ギリギリの戦いが続いている中で、急に妖怪たちの動きが変わった。



「妖怪たちが下がった・・・?マズイ!!ケビンさん、全員に防御をするよう指示を!!」



不審に思った私は即座に能力を発動し、この後の展開を探る。未来を視れる私にはこの後の光景が直ぐに視えた。ヤバイ、ここに向かって凄まじい砲撃が来る!!



「!?各員、防御の陣を!!」



言うや否や、戦略兵器並の一筋の光線がこちらに向かって放たれた。駄目だ間に合わない!!私は能力を使い加速、砲撃がここ一帯を包む前にケビンさんを抱きかかえて離脱した。





「・・・半分は持っていかれたわね」



地上部隊とは離れた場所で戦っていたが、それでも地上部隊にもそれなりの被害が出ている。そして空中部隊は少しの部隊を残してほとんどの団員が影も残さず消滅した。



「っ畜生がッ!オイ!生きとる奴はワイを中心に陣形を作れ!!空を抑えられるわけにはイカン!!」



集結し、なんとか体勢を立て直そうとする私たちを妨害しようとする妖怪たち。一人に対して数人で囲い、確実に墜として行く算段なのだろう。先程には見受けられなかった組織だった動きが見られる。ネチネチとこちらの自滅を待っているかのように決して近づかず、しつこいまでに弾幕のみ撃ってくる。



「この厭らしい戦略、キリシマか・・・!」


「そんなん今はどうでもええ!これじゃあ全滅や!!」



こちらの空中戦力はほぼ全滅。先程の砲撃を逃れた団員も孤立し、四面楚歌の中で必死に戦っている。私も両腕の銃を振るい、弾を放つ。隣ではケビンさんが必死に矢を放ち、術を行使している。一人でも救おうと弾を放つが、その努力虚しく、一人、また一人墜とされていく仲間を見て、私たちの焦りは頂点に達した。



もうここまでなのか、そう思ってしまうほど絶望的な状況。知らず銃口を下に向けてしまいそうになる。




「あら?アキナって案外諦めが早いのね」


「ヤマトはしつこいよ~。諦めの悪さだったら世界一かも」




紅の槍と炎の剣。二つの閃光が走った後には墜ちていく妖怪の群れ。散歩途中で知り合いに話かけるかの様子で現れた二人は、瞬く間に周辺の妖怪を墜とした吸血鬼の姉妹。両名をレミリア、フランドールと言う。



「来てくれたんか!!」


「私たちだけじゃないわ」





「紅砲!!」



声が聞こえてきた先は地上で最も激しく戦闘が行われている場所、副団長たちが戦っている場所だ。紅色の気が空に噴き出るのと共に、多くの妖怪が宙を舞っているのが見えた。見る者を魅了させるほど美しい気を纏って戦うのは紅魔館の誇る最強の門番、紅美鈴。



「大和さんが来るまではここを防ぎきる!!」



虹色の気を纏いながら敵陣を噛み砕かん勢いを見せる姿は正に龍そのものであった。



「この紅魔館の執事長、主の危急を御救いいたすため貴様らを地獄へ送ろう!!」



その隣では一匹の巨大な狼となった執事長クラウスが猛威を奮っていた。引き裂き、食い千切られ、為すすべもなく散って逝く妖怪たち。その爪、牙はただ主の敵を殲滅するためだけに。


































「おいおい、あいつら息吹き返しやがったぜ。どーすんだフィナンシエ?」


「心配はいらんよ。現に私たちが出なくとも戦況は互角ではないか」



城のテラスで戦況を見つめるのは一人の妖怪と月人。フィナンシエ・スカーレットとDrキリシマである。この戦争を仕掛けた張本人たちである。



「しっかし、お前と初めて会った時は流石に肝が冷えたぜ。いきなり『俺に力を貸せ、さもなくば殺す』だもんなァ。もっとも、あの時のお前に俺を殺せるはずなんてなかったがな」



「それに快く応えてくれたのも君だったと私は覚えているが」



二人の出会いは遙か昔のこと。一方は世界に絶望し、もう一方は自らの行いで居場所をなくした二人は出会うベくして出会った。そして誓った。世界を変えると/全てを破壊すると。そのためにはまず自分たちが頂点に立つ必要がある。そう決めた二人の行動は速かった。決起の邪魔になるであろう存在を抹消して己の地盤を固め、妖怪たちが行動に移るように扇動する。『このままでは妖怪という存在が消えてなくなるぞ』と。魔女狩りによって力の減衰を感じていた者たちの動きは速かった。すぐさま協力の意を示し、二人の下についた。


そして今日この日、どのような形であれ世界は変わる。



「妖怪と言う存在を、世界に示すために/気に入らねェ世の中なんざ、ブチ殺してやる」



求めている結果は同じ。ただ、自分にとってより良い世界を創るために。


空に描かれた魔法陣の輝きは増して行く。

























人間は脆弱であり、あらゆる点で妖怪に劣る。一発の銃弾でも人は死ぬが、妖怪は死なない。簡単なことだ。彼らは人の理解を超えた存在であるのだから。



「ック!こうも数が多くては・・・!!」



それは守護騎士であるヴリアントも同じだ。神の遣いと呼ばれ、いくら身体が丈夫で死ににくいとはいえ、精神は元となった人間の物だ。身体に影響はなくとも、心は長く続く戦いによって擦り減っている。それがただの人間である騎士たちならばどうなる?



我々は嘗てないほどに追い詰められていた。



斬っても斬っても沸いてくる妖怪。一撃で沈むこちらの兵とは違い、何度も斬らなければならない敵。元々の4倍の戦力差というものを埋めることはもはや不可能である。上空で戦っていた者たちも数は減り、今では僅かに残ったケビンを中心に私の上で戦っている。一人、また一人と目の前で散って行く戦友たち。助けられなくてすまない。仇はとってやる。その思いだけが彼を奮い立たせていた。


そしてまた、私の前で一人の戦友が散ろうとしていた。




「ケビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!」

エイプリルフール?鬼は嘘が嫌いなんだよ。ケビンさん?ああ、やっちゃったね★



はい、じらいです。確か今日は何を言っても『嘘ウサ』で通る日だったはず。嘘吐きな私としては嬉しい限りですw


さて、最終戦始まりました。今回は大和が一度も出なかったので、↑で一言。題名通り、大陸編最大にして最後の見せ場です。明日は更新出来ません。できないったら出来ません。書けてないから。・・・ホントウデスヨ?


しまった、今気がついたけど、エイプリルフール番外編とかすればよかった!?輝夜かレミリア辺りとすればよかった・・・。2日以降(何時になるか分からないよ)になってもいいと言う猛者がいるのなら、リクエスト貰います。輝夜か、レミリアか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ