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東方伊吹伝  作者: 大根
第四章:動乱の大陸
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イイコトと悪いコト

咲夜さんについては2)との意見が多かったので2)でいきます


紅魔館に住み始めて6年と少し経った。伊吹大和16歳です。あの魔道機関の改造は誠に遺憾ながらケビンさんの古い友人に頼んで改良が進んでいる。何処で僕が剣の練習をしているのを知ったのか、フランがケビンさんに頼んで剣に組み込んで貰うように頼んだらしい。何時の間にそこまで仲良くなったんだよ…。



魔法についても改良は進んでいる。先生に加え、パチュリーが手伝ってくれているおかげで新たな魔法の習得もできた(習得までに頭がどうにかなりそうだった。むしろ頭弄られた)。所謂属性魔法である。



予てからの願いであった炎を扱う魔法なのだ!妹紅の炎に憧れていた僕も、ついに炎を使えるようになったんだよ!!けど僕の属性魔法への適正は高くなかった・・・。だから火属性の一つに絞った(絞らされた)。一応他の属性も使えるけど、日常生活になんとか使えるぐらいで戦闘に使えるようなものではない。とは言ってもまだ炎も碌に使えないんだけどね…。まともに使えるのは一つぐらいかな?しかも超接近戦でしか使えない。



それにしてもパチュリーが属性魔法のスペシャリストでよかった・・・。ほんとパチュリーには助けられてばかりだ。






















今の季節は秋であり、寒くもなく、かといって暑くもないので身体の弱いパチュリーを誘っても大丈夫だろう。今まで手伝ってくれたパチュリーのために今日一日使うぞと思い、所謂デートとやらに誘ってみた。何も卑しいものはない、ただ純粋に感謝の気持ちを受け取ってもらおうと考えたからだ。普段から引き籠りがちなパチュリーを誘う時にレミリアとフランが絶望してけど、おそらく今日一日話相手が居なくなるからだろう。お土産まで頼まれたし。ああそうだ、最近門番にジョブチェンジした美鈴が「今日はお泊りですか?」と尋ねてきた時はパチュリーが魔法をぶっ放してた。そりゃ怒るだろうよ。




「で?何処に連れて行ってくれるの?」




煉瓦造りの町並みを二人並んで歩く。外に出る機会が少ないパチュリーにとっては珍しい物が多いのだろう、しきりに周りを見渡しながら歩いている。時折目に入る露天が気になっている様だ。




「とりあえずお茶でもしようか」




騎士団での仕事をこなしていると、自然と何処に何があるかを憶えてしまった。おかげで何処のお茶が美味しいとか、あそこの料理が上手いとかも耳に入ってくる。・・・ほとんどケビンさんの情報だけど。




「あら、いい葉を使ってるわね」




女の子を連れて行くならこのお店、とまで言われる喫茶店に入って紅茶を飲む。そんな謳い文句があるだけあって、喫茶店内はカップルだらけだ。そして紅茶も美味い。ケビンさんのお勧めだから正直不安だったけど当てが外れなくて良かった。なんと言っても今日はパチュリーの慰労だからね。喜んでもらうことが一番だから。




「お口にあって何より。パチュリーの好みに合う喫茶店を選べてよかったよ」


「フフ・・・」


「ん?何か気になった?」


「何もないわ。ただ、少し嬉しいと思った自分がいただけよ」


「そっか・・・」




店内の雰囲気に当てられたのだろうか。それともパチュリーが落ち着いているからか、自然と優しい気持ちになれた。普段忙しい分、見てるだけで癒しを貰えた。こうしているとまるで僕らもカップルのように思えてしまう。・・・まあこのお店に入るのはカップルだけなんだけどね。ちなみに僕らはカップルでも何でもない。パチュリーの為のデートなのに、いつの間にか僕がいい気分になるとか・・・ダメだなぁ。




「そろそろ次に行きましょうか」




どうしようもない思考に時間をとられていたようだ。気がつけば紅茶の入っていたカップは空になっていた。こうしてはいられない。紳士たるもの、淑女をエスコートしなければね。




「ではミス・ノーレッジ。お手を」


「・・・似合わないわよ、馬鹿」



す、少しぐらいカッコつけさせてよ!?




「フフ、ウソよ。さ、行きましょう。エスコートしてくださるのでしょ、ミスタ?」



かなわないなぁもう。



























露店を一緒に回ろう、そんなパチュリーのお誘いを受けて二人で通りを歩く。この通りには露店が所狭しに並んでいる。売り物はそれぞれの露店で異なっていて、食料品から身につけるアクセサリーまで幅広い品物が扱われている。露店だからと侮るなかれ、案外掘り出し物が多いこの通りでは買い物客でいっぱいだ。人が多いのでパチュリーの身体が心配になったけど、本人はいたって普通に露店巡りを楽しんでいるようだ。



「あ・・・」



そんな時、アクセサリーを見ていたパチュリーが声をあげた。



「どうかした?・・・これは」


「ええ。僅かだけど魔力を感じるわ。たしか魔法に関する物は御禁制じゃ・・・?」



僅かに魔力を発している月を模したアクセサリー。


魔女狩りの影響は日常生活にも影響を与えている。今までは魔法の掛っている商品が多く市場にも出ていたけど、今ではそれも禁止されている。それだけではない。街に設置されていた魔法を使った街灯も撤去され、夜は松明の灯りしか街を照らさなくなった。妖怪や魔法、幻想と思われるものを排除しようと教皇とその一派が必死になっているのだ。




「大和どうするの?」


「どうするって・・・。僕も一応騎士団の仕事を手伝ってるからなぁ」




そういってを頭から外套を被っている店主を見る。この人も魔女狩りの影響を受けた被害者なのだろう。出来れば見逃してあげたい、けれど今の僕には立場と言うモノが存在する。聖堂騎士団は魔女狩りに積極的に参加していないとはいえ、教皇傘下の騎士団である。『外部協力者』である僕がそれを見逃したとあっては騎士団のみんなに迷惑がかかるかもしれない。・・・仕方がないけど通報するしかない。




「へ~。最近地上じゃ『魔女狩り』とか言うのが流行ってるって噂は本当だったのね。それより兄さんって騎士団に入ってるの?執事服なんか着てるから執事でもしてるのかと思ったけど意外ね~」


「へ?」


「あれ?もしかしてこのカワイイ声を忘れちゃった?酷いなぁ兄さんは」


「ア、アキナあ!?どうして地上に!?」



いやいやいや、何で此処にいるんだよ!?そう言って外套を脱いだ人物は僕と同じ存在の妹。髪の毛は伸びてロングになっていた。どうやら成長麗しいらしく、僕にはない女らしさが垣間見えている。



「こんにちは彼女さん。「ちょ!?」兄さんの調子はどう?結構ヤルと思うんだけど」


「生憎と私は彼女じゃないわ。ただの同僚よ」



・・・パチュリーさんや、少し恥ずかしがるとかしてくれたら僕としては嬉しいんですけどね。アキナも何安心してるんだよ。ここは不安に成るべきじゃないのか?兄に恋人の一人もできないことに。



「・・・貴方本当に妹なの?魔力の質や貴方の放つ波長もそっくりそのままなんだけど」




・・・流石はパチュリー・ノーレッジといったところか。一瞬の内にアキナと僕の魔力の質を感じ取り、不自然な点を指摘してくる。顔に出やすい僕は無表情を貫き通してアキナに全てを任せることにした。




「あらら。地上もまだまだ捨てたもんじゃないわね。その辺も含めて兄さん、話をしましょうか」


「わかった」



振られた話題を断れることもなく、慰労のためのデートは妹との顔合わせに変わってしまうのでしたとさ。






































「で?なんでお前がここに居るの?」


「つれへんなぁ大和君は。この店教えたのはワイやとゆうのに・・・」




とりあえず落ち着ける場所を、とのことで来たのは静かで雰囲気のよい喫茶店(さっきの所じゃないよ)。ここなら内緒話もしやすいだろう、兄も少しはヤルのだよと意気込んで選んだ先には待ち構えていたかのように座っているケビンさん。




「私が前もって言っておいたのよ。兄さんはこの店に私たちを連れて行くってね」


「なんで・・・ってそうか。視たんだよね?」



アキナも僕と同じ能力を持っている。しかも僕には出来ないような芸当も出来るのだから、これくらいは当然なんだろう。出来た妹を持つことは嬉しいけれど、それが自分を遙かに凌ぐとあっては、兄にしてみればいろいろと複雑な心境だ。




「そうよ。だからこの魔法使いのことを彼女だと思ってたんだけど」


「そんなことより早く話をしない?私も暇じゃないの」




う…パチュリー怒ってる…。望みもしてない外出した先でこんな事が起きれば誰でも怒るよね普通。



「ボソ(せっかく外にまで出たのに…」


「何か「さ~て、それじゃあ話をしましょうか!」「そやそや、始めるでえ!」・・・じゃあ始めようか」



パチュリーが何か言った気がするけど、いつも独り言の多いパチュリーのことだ。状況整理でもしているのだろう。・・・だから睨まないでくださいコワイです。



「じゃあまず私から。兄さんには悪いけど、今回は遊びに来たわけでも連れ戻しに来たわけでもないの。ちょっとした指名手配犯をしょっ引きに来たの。で、この男が今回の目標であるDrキリシマ。見たことない?」


「見たことない」




男の写真と、どこで手に入れたのだろうか、詳細な地図を出しながら話を進めるアキナ。しかしこの写真に写っている男、犯人面である。金の短髪、顔に入れ墨までいれて、おまけに研究者の割には体つきがゴツイ。体つきだけ羨ましいぞコノヤロウ!




「続けるで?急に表れた得体の知れない魔力を感じた教会はワイを調査に派遣。そしたら大和君によー似とる女の子がおるやないか。ナンパする勢いで話かけたら、これまた大和君と良く似とる。んで大和君の話をしてみたらビンゴってわけや」



「・・・ケビンさん、女の子とはいえ僕そっくりさんにナンパとか勇気ありますね」


「何言っとるんや?大和君もアキナちゃんもえらいカワイイやんか」


「や~ねもうケビンさんたら!そんなこと言っても何も出ないわよ?」


「・・・話を進めてくれるかしら」




そのテの人間が居ないとは言えない。僕は後を気をつけた方がいいのだろうか・・・?




「んで今度の聖堂騎士団ワイらの標的はこの研究所で・・・」


「指名手配犯の居場所もこの研究所ってわけ。私一人でもイケると思うんだけど兄さんが近くに居るって言うじゃない?だから手伝ってもらおうと思って」




二人の指差す場所は全くの同じ場所だ。おいおい、何もない空き地って記載されてるじゃないか。………今までの経験から言うと、地下か?………今回も厄介な事になりそうだ。おまけにアキナまで一緒とか・・・。




「・・・僕今すっごく忙しいんだけど」



言外に僕は遠慮させて貰いますと伝える。



「八意」



ッッツ!!


一気に場の空気に緊張が走る



「これは私たち兄妹で片付けるのよ。兄さんも解ってるでしょ?これ以上はイケナイ」


「・・・本当に?」




あり得ない。仮にそうだとしてもあの計画はアキナで終わったはずだ。この写真の男がどれほどデキルのかは知らないけれど、たった一人でやれるものじゃない。なんといっても月の頭脳と言われた師匠でさえ失敗に失敗を重ねた上での成功だったのだから。でも、既に僕とアキナという結果ができてしまっている。もしそのデータを手に入れていたとしていたら・・・?




「心配しなくても八意じゃないわ。けど、それ(・・)に関係しているのは間違いない。断言できることは『私たち』に関係しているということ。いいこと兄さん?もしアレが今もまだ続けられているとしたら私はもう我慢できない。だから潰す。粉々になるまでね」


「わかった。手伝うよ、いや、手伝わせてもらう」


「ありがとう。兄さんならそう言ってくれると信じていたわ」



真実かどうかは分からない。けどもしアキナの言った通りだとしたら、それは僕らの問題だ。これ以上僕たちのような存在を生まないためにも、この男をしょっ引く。




「ほな明日紅魔館まで迎えに行くさかい、今日はこれにて解散っちゅうことで」



真面目な時間はこれでお終い、ケビンさんがそう纏めて今日はお開きになった。



「じゃあ兄さん、今日は停めてね♥」



・・・兄はつらいよ


















オマケ



「ヤマト、お土産は?」


「私で~す!はいカワイイ吸血鬼ちゃん、アキナちゃんだよ~」


「ヤマト・・・お姉ちゃん?」


「大和が…大和が女の子を連れて帰ってきた~~~~~~!!??」


「なにこのカオス・・・」



大陸編も最終章に入ったところでしょうか、じらいです。アキナ再登場!前回よりパワーアップした彼女に期待です!



そう言えば最近は設定集を弄ってませんね。あの設定集、最初は出たキャラ全部書くつもりでしたが、ちょっと長くなりすぎるので困ってます。なので、一旦消してからオリキャラのみ記載して、常に最新話の下に置いておこうかな?と思っています。ネタバレ激しいですし。・・・割込更新でも新着順になるのかな?それだけが心配です。


近日中にも作業しようと思います。消さないで欲しいとの意見があればまた別の案を考えます。

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