争いの始まりは誤解から
ヒロイン1人の小説を書いているつもりが、気がついたら微ハーレムになりかけていた・・・。と言う事で、そういう事です。わけがわからないよ。
こういう形では初めてですかね?皆のお姉さん紅美鈴です。
逃げ続けてどれくらいたったでしょうか。私とケビンさんは思いのほか逃げおおせることが出来ています。
「そら、もっと避けてみろ!」
パワー・スピード共に最強種である吸血鬼であることに変わりはない。だけどもこの吸血鬼の攻撃はとても読みやすい。実際に私とケビンさんも服を掠る程度にしか攻撃が当たっていない。舐められているのだろうかと思い接近戦を仕掛けてみると、これまた驚いたことに気が着いた。
この吸血鬼は闘いを知らない。
おそらく、と前には着くが、この吸血鬼は戦闘経験が極端に少ないのではないだろうか?私たち程の強さを誇る妖怪ならば闘いにおけるカンというモノを誰しも少なからずは持っているものです。例えばそれは敵の隙を瞬時に見つけることであったり、相手側の手の内を見切る目を持っていることであったり、戦闘においては重要なファクターであることは変わりはありません。
だがこの吸血鬼にはそれが感じられない。
戦闘経験の少ない大和さんでさえ、多少のカンを持っている。彼には修行で見に着く程度でしかないが、確かに身に付いている。だが目の前の存在はどうだ?闘いの『た』の字も感じられないではないか。それを証明するために一つ隙を見せたのだが、私の予想通りそれを見つけられることはなかった。
「ワイもう限界やー誰かたすけてーやー」
「うわーわたしももうダメですー」
つまりは力があるだけの素人。私にとって脅威に成り得る存在ではないということだ。
あははー大和さん、この吸血鬼は力だけみたいです。敵の力を往なせる貴方が直接闘ったほうが楽にすんだかもしれませんねー?
「弟・・・。お父様って弟がいたの?」
「お嬢様。しばし難しい話をしますので耳を塞いでおいてください」
「却下で」
「・・・では聞いていないフリをしていてください。
旦那様にはフィナンシエという弟様が居られるのだ。二人は仲も良く、共に召使いの私を困らせては笑っていらっしゃった。お二方とも心優しい方だったのだが、ある日を境にフィナンシエ様は変わってしまった。私は私用でその場に居なかったから詳しいことは知らない上に、旦那様も何も語らぬので当時の事は何一つ解らないままなのだが。
出て行ったフィナンシエ様の行動は早かった。これは旦那様は知らぬことであるが、同類である吸血鬼を殺し尽くしたのだ。何故かは解らん。だが嘗ては妖怪の中でも一大勢力だった吸血鬼も、今となってはこの紅魔館に住む旦那様とシルフィーユ様、あとは此処におられるお嬢様と新たに産まれる妹様だけになってしまった。
そして旦那様は此処から一切出ていかない引き籠りだ。なので今回の事件はフィナンシエ様が起こしたとしか考えられないのだ」
「そのシルフィーユって吸血鬼が起こした可能性は?」
「身籠ってからもう長い。何時産まれるか解らないのに出歩く者は妖怪にも居ない」
なるほどねぇ。つまり僕らの勘違いだったってわけだ。おまけに吸血鬼アルフォードは人を襲ったこともない、と。証拠はないけど。だとすると、騎士団も上手く躍らされたわけだ。当然僕達も。せっかく魔法陣も書き終わったのに無駄骨だとはこれ如何に。はぁ、美鈴が帰ってきたら僕達も帰らしてもらおう。
「勘違いしてすいませんでした。連れが帰ってきたら僕も引き上げていいですかね?」
「別にかまわん。私達とて騎士団とコトを起こしたくないのでな。説明もして貰えると助かる」
「お安い御用です「ちょっと待ちなさい」?」
「貴方、ここに住みなさい」
・・・・・・・・・・・・はあ!?
「言ったでしょ?私暇なの。大和は魔法使いに成りたいんでしょ?ならここで成ればいいわ。ここなら魔道書も沢山あるし、なんたってお母様は今世紀最強の魔法使い兼吸血鬼よ!!」
「待った待った!ケビンさんが魔法使いになる援助をしてくれるって約束があるんだ!だからもういらないよ!」
そう。吸血鬼退治に助力すれば魔法使いになる手伝いをして貰えるとの約束がある。紅魔館なんて騎士団が目の付けている場所なんかより、世間公認の聖堂騎士団の下で成ったほうが大分いい。
「ダーメー!コーコーにーすーむーのー!!」
「腕を引っ張るんじゃありません!」
こんにゃろ、チョップしてくれるわ。うーうー☆なんて涙目になっても大和さんは落ちませんよ!
そうこうしていると、通路の方から爆音やら可笑しな声が聞こえてきた。もうダメですー、なんて全然平気そうだね美鈴。
「あ!大和さんお久しぶりですね!どうぞ魔法陣を!!」
「あ、その件だけどね「貴様!レミリアに何をした!?」へ?」
レミリアに何をした!?ってぺしぺしと頭を叩いただけですけど?吸血鬼なんだからこれくらいなんともないでしょ?そう思ってレミリアを見るとなんと泣きべそをかいていた。
「お父様・・・?」
なんて声を上げて父親を見るレミリア。あ、涙こぼれた。
「貴様ーーーーーーー!!!」
「誤解だーーーーーーー!!!」
「娘を泣かす者は許さん!!」
「ちょ!?それ誤解ですって!!」
「聞く耳もたん!!」
「この親馬鹿・・・話を、聞け!!」
クソ!美鈴たち何であんなに余裕があったんだ!?噂に違わぬ実力じゃないか!付いていくすら出来てないじゃないか!?
「大和君下がれ!!」
!?大量の矢がアルフォード目がけて降り注ぐ。アルフォードが矢を防いでいる間に、僕は美鈴とケビンさんたちに合流する。
「いったいどういうこと?美鈴たちの様子から、だいぶ余裕があると思ったんだけど・・・?」
「私も驚いています。今まではこんなことなかったのに何故か急に・・・」
「今までとはまるで別人や。大方、大和君があの子供を泣かしてるのを見てブチ切れでもしたんだろう」
「「・・・・・・・・・・・・・・」」
なっなんだよ二人とも!?僕が悪いって言うの?
・・・えぇえぇわかってますとも、前々から思ってましたとも。僕って人を逆撫でするのが上手いんじゃないのかなぁって。それが今回も上手い具合に作用したみたいだね・・・・・・僕の大馬鹿野郎!どうしてこうなるんだよ!?
「こうなったらもう仕方ない、殴ってから話をしよう。ほら、拳で語り合うのって美鈴もケビンさんも得意でしょ?」
「「一人でやれこの馬鹿野郎」」
僕に対する二人の反応に感涙を隠せません。
「死ねこの糞餓鬼が!」
「「「どわー!?」」」
危ない!話を聞く気もなく、こちら(特に僕)を狙った魔力弾を放ってくる。ああもう!これだから親馬鹿は!!
「とにかく大和君の言う通りにするしかないな。叩きのめすで!!」
ケビンさんの声を皮切りに、僕と美鈴は同時に突っ込んだ。
「「だぁッ!!」」
地面を踏みしめ拳を放つ。僕と美鈴の使う武術は地に足が着いている方が威力を増す。なので空中で闘うよりも地面に貼りついて闘うほうが得意なのである。もちろん空中戦が出来ないというわけではない。美鈴は気を使って空を歩いたり蹴ったりすることが出来るし、僕はそれに加えて簡単な魔法陣で足場を創ることが出来る。だが、やはり地面での闘いの方がやりやすいことに代わりはない。なので僕も地上戦ではそれなりに自信を持っているのだが、
「速い!?クソ、当たらない!」
「動きは素人そのものなのに!」
美鈴の言う通り、アルフォードの動きは素人そのものだ。だけど素人故に無茶苦茶なその動きが読みにくい。それがやっと目で追える程の早さになれば尚更だ。
「ワイを忘れるなや!!」
僕らがまだ一発貰っていないのは、ケビンさんの神がかった援護があるおかげである。戦力とは数えてなかったけど、今この状況に於いては無くてはならない存在にまでなっている。
「一発当てれればこんな奴・・・」
「なら当ててみるか?」
「え?」
突如、アルフォードの動きが止まる。メッチャ舐めてるね僕のこと。だったらお望み通り一発イイヤツをあげようじゃないか。悪いけど、一撃で眠ってもらうよ!特殊な呼吸法を用い、身体を一つの弾丸とする―――
「雷声砕月!!」
アキナを沈めた僕の最高の一撃。この技の威力は美鈴の持つ技には決して負けず、むしろ勝っているほどの技だ。これをノーガードで喰らったら如何な吸血鬼とはいえ・・・
「この程度か?笑わせる…」
「な!?うわッ!!??」
!?迫る右腕を受け止める。あ、危なかった。瞬時に防御の魔法陣を組めていなければこの首とはおさらばすることになっていただろう。防げたといっても僕だけの力ではなく、咄嗟に張ってくれたのであろうケビンさんの障壁のおかげでもある。
「無礼るなよ人間。今お前の目の前に立っているのは最強の吸血鬼。人間如きの技など児戯にも劣る」
空中からそう告げる最強種。人間の技が児戯だって?フザケてるね。僕ならいくらでもバカにしてもらっていいけど、その技を授けてくれた師匠を馬鹿にするのは許さないよ・・・!
「言ってくれるね吸血鬼。なら人間の底力ってやつを見せてやる」
さあ、ふざけた親馬鹿をブッ飛ばそうか!!
・・・デキルカナァ?
紅魔館が出てしまえば微ハーレムへと路線を変更せざるを得ない、じらいです。だがしかし、最後には1人に絞るのが男ってもんだ‼そこは譲らない!つまり何が言いたいかと言うと、浮気性な作者を許してやってくださいww




