ピンチピンチってそれはチャンスだよ!
吸血鬼
膨大な魔力・妖力を誇る大陸最強の妖怪の一種。身体能力も人間のそれとは比べ物にもならない。
圧倒的な力を持つ故、討伐を行うには一個師団が壊滅する覚悟で臨まなければならない。
最強種としてのプライドが高い個体が多く、その誇りを傷つけられることを何よりも嫌う。
銀製の武器が有効。それ以外で倒せないという訳ではないが、滅することはできない。
詳しくは312ページを・・・
「ええい、なんだよこの吸血鬼の項目は?特に目ぼしいことは書いてないじゃないか!」
紅魔館
代々続く『吸血鬼』スカーレット家の根城。西側ほぼ全域の妖怪を統べていると噂される。
紅魔館の中には大量の魔道書が存在しているらしい。理由として挙げられているのは現頭首の妻である
シルフィーユ・スカーレットが魔法に大変興味を持つという噂から。
館には執事・メイドが存在し、彼らもそれなりの戦闘力を持っているはずである。
「大和さん、紅魔館には魔道書がたくさんあるかもしれないですよ!」
「本当!?」
ホイホイとケビンさんの依頼を受けた大和です。
あの後ケビンさんに教会支部に連れていかれて、吸血鬼対策を練っています。
美鈴は吸血鬼と聞いた時点で後に向かってダッシュしようとしたけど、ケビンさんが「武術家が逃げるんかいな」と放った一言で撃沈。そして血の涙を流さんばかりの勢いで僕を説得に掛かってきた。
曰く、吸血鬼にだけは手を出してはならない。
曰く、吸血鬼相手に勝てるわけがないなど。
けど、その時の僕にはケビンさんが示した報酬に目が眩んで美鈴の言葉が耳には入ってなかった。
話を聞いていればよかったと思ったのは、ここに連れてこられた時。
「言うとくけど、吸血鬼相手にするんや。ちゃんと死ぬ覚悟はしといてや」
ああ僕の馬鹿!嵌められた!?と思って逃げ出そうとすると、
「今逃げたら異端審問にかけるでー。運よく逃げられたとしても、もう西では活動できんやろなぁ。
心配すんなや、骨は拾たるさかい」
流石は教会、アフターサービスもバッチリですね。
馬鹿を言う暇があったら対策を練りましょう!と必死に訴える美鈴に全力で同意して今に至ります。あの不良騎士は吸血鬼に食べられてしまえばいいのに・・・。
「でもどうする?銀製の武器なんて持ってないし、倒せてもキュッとできない。
でも相手は簡単に僕らをキュッとできる。これって無謀じゃない?」
「だから言ったんですよぉ。吸血鬼だけは辞めましょうってぇ。てか、キュッてなんなんですよ~」
私はまだ死にたくないんです~、と言って机に突っ伏す美鈴を見て僕も頭を抱える。自業自得とはいえ、美鈴まで巻き込んじゃったことには反省してます。着いてきてもらったのは死に場所までだったのだー、なんて馬鹿なことも言っても場が和むわけないし、逆に暗くなるだろう。
しかしながら、僕と美鈴は一蓮托生の身となってしまった。
「美鈴、落ち込んでてもしょうがないから具体的な対策を立てよう」
「わかってますよ・・・」
誰のせいですかまったく、と言いつつも見捨てないでくれる美鈴にありがとうと言っておく。
しかし本当にどうする?相手は最強の一角である吸血鬼。強さは師匠クラスと思ったほうがいいだろう。だとすると、僕にできることは時間稼ぎ程度だろうね。けど今回そんな時間稼ぎをしても、文字通り死ぬまでの時間稼ぎにしかならない。勝たなければキュッされるだけだから。
じゃあどうしようか?美鈴も強いけど、師匠達のような強さではない。ケビンさんは正直どこまで出来るのかすら解らない。同じく雇われた人達は僕らよりも弱いと聞いているし・・・。
あーもう!八方塞がりじゃないか!?
なら一泡だけでも吹かせてみせようか?勝てないにしろ、何かは出きる筈だ。
・・・ちょっと待って?元々銀製の装備を持たない僕達を大量に雇ったのは何故だろう。
弱くても束になれば勝てるなんて安易な考えではないだろうし・・・。
考えろ、師匠にもらった頭を使うんだ大和。こんな時師匠なら何て言う?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・暗殺。
それしかないね。正面からケビンさんが勝てるわけがない。襲撃に気をとられた瞬間に一撃必殺するなんらかの方法でもあるのだろう。
つまり僕らは最初からただの捨て駒だ。・・・やってくれるね。流石に僕でも怒りが沸いてきましたよ・・・。問題はそのやり方が成功したところで僕達はキュッされてることだ。だから別の方法を考えなければならない。
「大和さんって仮にも鬼の子供なんでしょう?なら吸血鬼のマネでもして話し合いにでも持ち込んでくださいよ~」
「美鈴・・・。いくらなんでも鬼のマネだなんて・・・ってそうか!いいこと考えた!!」
普通にやったら死ぬんだ。何も殴り合いだけが勝負じゃないんだ!いやでも最後は腕っ節がモノを言うだろうけど、やってみる価値はある!だったら一か八かの賭けに出てみよう!!
「美鈴、今から僕の話す作戦が成功するかどうか考えてみてね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・で・・・・・・・・・・・・P312の・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「ええ!?それ無茶ですって!最悪の場合何も出来ずに全滅ですよ!?」
「普通に闘うよりは可能性ありそうじゃない?」
「目に見えない程の大きさしかないですけど、確かに正面からよりはマシかなぁ」
「じゃあ、雇われた人にも話をしようか。美鈴頼んだよ」
「ええ!?私ですか!?」
「何言ってるの。こういうのは年長者の仕事だし、美人な美鈴の言葉ならみんな賛成してくれるって」
フッフッフ、待ってろよケビン・フォレスト。君がどれだけの人物かは知らないけど、僕を敵に回したことを後悔させてやる。
スランプ真っ只中のじらいです。ネタは浮かんでも書く気が中々起きないorz
ちょこちょこネタを保存することしかできない・・・なんてこった。
大陸編も何も要望がないようなので私の好きなようにするのであしからず。