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東方伊吹伝  作者: 大根
第四章:動乱の大陸
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西へ行こう

なんかグダグダです


飯屋で働いて三ヶ月が過ぎた。今日の仕事を終えたら僕はお役御免となる。

少し寂しい気がするのはそれだけここが気に入ったわけで。


今日が最後の仕事ということで、店員からは今まで以上に扱き使われています。

皆さんなりの愛情表現ですよ、とは美鈴の言だ。


その美鈴も今日が最後の仕事らしく、追っかけが何時も以上に来ていて店は開店満席状態。僕だけならともかく、美鈴も辞めるとあってか客の中には涙する人や告白する人、果てには踏まれたい人など可笑しな人まで出て来て混沌としています。



「「「「紅さん!好きです踏んでください!!」」」」


「無理です。お願いですから離れてください!」



ほら、また特殊な人が群れをなして店にやってきた。何て言うかもう、皆さん必死ですね。目が血走っているし、美鈴ほとんど泣き顔になってきてるし。



「「「「ああ!紅さんのその顔も愛らしい!!」」」」



これが輝夜の言っていた馬鹿な男達って言うんだろうね。こんな相手に迫られたら、輝夜が引いたって言うのもよく解る。と言いますか、同じ男として逆に尊敬してしまいそうだ。欲望に忠実なところにだよ?決して変態的って意味の尊敬じゃないよ?



「ねぇ大和君、家の娘なんだけど・・・」



人のこと言ってる場合じゃない!?












「「今日までありがとうございました」」



二人、飯屋で働く人たち全員に頭を下げる。経緯はともかく、この店で働けて嬉しかったし楽しかった。

変な人達も大勢いたけど悪い人ではなかったし、忙しい毎日なだけに飽きることはない日々を送れた。



「紅さん、大和君お疲れ様」「飯屋の看板が一気に二枚もなくなるなんて・・・」「寂しくなりますねー」「紅さん!結婚してください!!」



お店の人達も想い想いの言葉を送ってくれる。約一名何かに侵されている人がいるみたいだけど、それも含めて飯屋で働いた仲間だ。



「紅に坊主、今までの給金・・・ほどじゃないが、俺たちの気持ちとしてこの金を受け取ってくれ」



そう言って店長さんはお金の詰まった袋を僕達に渡してきた。なんでお金を?



「店長!?この量は気持ちってものじゃないですよ!?」


「それに僕達、無銭飲食の代わりに働いたんですよ?これじゃ今までの働きが無意味になりますよ!」



袋はパンパンすぎて破けてしまいそうに膨らんでいる。明らかに渡しすぎだ、これじゃあ申し訳なさが余計に・・・。



「いいんだよ。それにな、これは感謝の気持ちだ。

 お前さんたちのおかげで店も前以上に繁盛するようになった。それくらい直に元取れるから心配すんな。何よりお前らみたいな大飯喰らいが金払って食べようと思ったらそれ位は必要だろうが!」



違いない!!と笑う皆に僕と美鈴は返す言葉を無くして一緒に笑っていた。ありがとう店長さん。












「これから大和さんはどうするんですか?」


「前にも言った通り、大陸の西を目指して旅をするつもりです」



飯屋から出て街を二人で歩いていると、美鈴がこれからどうするのかを聞いてきた。前からこういう話はしていたんだけど、晴れて自由の身になったからか、改めて聞いてきた。



「魔法使いになって早く帰らないと、母さんたち心配してるだろうしなぁ」



蓬莱島でどれだけの時間を過ごしたのかは解らないけど、とりあえず長い間閉ざされた空間の中に居たのは確かなことで。そのせいで自分が今何歳かもわからない。一応外見は変わってないから10歳でいいやって思っているけど・・・。



「そのことなんですけどね。私もその旅にお供していいですか?」


「え?別にいいけどなんでまた急に?」


「私自身まだ修行中なんですよ。今まではこの地域を中心に活動してましたけど、環境を変えるのもいい かなと思って。それに私も西に行ってみたいですし」



僕としても旅には道連れがいる方が楽しいし心強い。

美鈴自身がそう言ってくれるのならば凄くありがたいし、逆にこっちからお願いしたいくらいだ。

それにしても、美鈴ってまだ強くなるつもりなんだね。今でも十分強いと思うけど・・・。こういう向上

心を忘れたらダメなんだろうね。うん、僕ももっと強くなろう。強くなって、いつかは母さんたちを守れるほどの強さを手に入れるって決めたじゃないか。



「じゃあ美鈴、僕と一緒に旅をしよう!もっと強くなろう!」


「はい!お願いします!」


「こちらこそ!!」



頼れる人と一緒に居られるということは、心強い。










「ところで大和さん、西がどっちかとか解ってます?」



解らないです。とりあえず太陽の動きをみて何となくで行けるって思ってたから・・・。



「西に行くには険しい道中があって、砂漠越えもしなければならないですし。

 準備とかももちろんしてますよね?」



砂漠を越えるのに準備っているの?たかが砂如きに準備っているの?



「・・・もしかして、なんの準備もしてなかったり?」


「その通り!!」



そう言うと美鈴は呆気にとられたようだった。ポカーンと口を開けてこっちを見ている。もしもーし、どうしたんですかー?



「大和さん、あなた旅を舐めてます。準備やアテのない旅なんて自殺と変わりません!

 それに、道を知らずにどうやって行くつもりだったんですか!?せめて最低限の準備というものをです ね・・・」



いきなり旅とは何か?という美鈴先生の授業が始まりました。

・・・いろいろと長いのでとりあえず準備に取り掛かるらしいです。







「砂漠越えには専用の装備が必要です」


「装備って・・・。そんなに過酷なの?」



そんなに準備に意気込む必要あるかなぁ。

所詮は砂の土地でしょ?あと、昼は暑くて夜は寒い、たったそれだけのことなんでしょ?



「私も旅をする商隊に聞いた話ですけど、正に命がけらしいですよ」


「ホントかなぁ・・・」


「むぅ、そこまで言うのなら買い物は商隊の人に話を聞いてからにしましょう」


「じゃあそうしようか」












「坊主、お前さんは甘いぜ。シルクロードっていうのは正に旅人殺し。

 それは商隊の俺たちにも言えることだ。それに脅威はそれだけじゃあない。

 道中妖怪に襲われることもある。その妖怪に売り物ばかりか命まで取られる奴までいるんだ。

 護衛は付いているんだけどな。まあ今言った以上に旅ってのは危険と隣合わせだ。そんな考えだったら止めといた方が身の為だぜ」



「ほら大和さん、私の言った通りじゃないですか」



むぅ。さすがに何回も西に行っている人の話を無視することはできないね。


でもだったらどうしようかな?

道も知らない、砂漠越えの基本も知らないんじゃ危ないし・・・。

妖怪?多分大丈夫だと思うよ、師匠クラスじゃない限り。そう思わないとやっていけないよ。



「今から私たち西に向かうんですけど、よければ貴方達に付いて行かせてもらっていいですか?」



なんの相談もなくそう切り出した美鈴。



「ちょっと美鈴、何言ってるの!?」



小声で美鈴に聞くと、なにやら、私イイコト考え付きました!って感じのイイ笑顔を向けられました。



「考えてみてください。私たちはどうやって行くかすらも知らないんですよ?

 だったらこの人達と一緒に行ったほうが遙かに楽だし安全そうじゃないですか。

 それとも砂漠で野垂れ死にますか?」


「う・・・確かに」


「だったらここは私に任せてください。悪いようにはしませんから」


「よろしくお願いします」



「・・・連れていくって言ったって、お前さんたちが何かの役に立つとは思えないし、逆に足を引っ張りそ うだからこちらとしては勘弁願いたいんだが」



僕達の相談が終わるのを見計らってか、そう拒否する旅商人。



「こう見えて、私もこの子も武術をやっています。そこんじょそこらの妖怪には遅れをとりませんよ。

 聞けば道中妖怪が出るとか。そこで提案です。貴方は私たちを西に連れていく、私たちは貴方の商隊を守る。端的に言いますと、私たちを護衛にしませんか?」



おお!確かにいい案かも!美鈴偉いね!!



「・・・いいだろう。だが試させてもらう。おい、護衛の中から選りすぐりの二人を呼んで来い!」






そうして呼ばれてきた人を見たんだけど、なんとその中の一人は飯屋で食い逃げした人でした。

僕の顔を見るなり逃げ出してどっかに行っちゃいましたよ。


酷いなぁ、なんで顔を見るなり悲鳴を上げて逃げるんだよ。

たかが関節を何個かはずして詰所の前に放置しただけなのに。


隣は隣で美鈴のパンチ一発で沈んでるし。ホントに大丈夫なのここの護衛?もしかして今までも運だけで生きてきたんじゃないの?



「・・・あんたら何者だ?それだけ強いなら噂ぐらい立ってるはずだろうに」



「「飯屋の元看板息子(娘)です」」



そう言うと笑って、準備はこっちが整えておいてやる、と言ってくれたので今日は商隊仲間に挨拶して終わりました。ただし準備にかかったお金はとられました。


ちぇ、ケチだなぁ。

三日ぶりのじらいです。大陸編は早めに切り上げます。内容的に薄くなりますけど、幻想入りしないと東方じゃないような気がしますので。と言いますか、早く霊夢たちとの絡みが書きたいだけなんですが。オリキャラ尽くしの大陸編になるので早いこと終わらせます。

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