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東方伊吹伝  作者: 大根
第三章:永遠の蓬莱島
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初陣、そして圧倒

3月16日改訂


「第二陣は二人に任せる。私たちは敵の本陣を潰してくるので」

「初陣だけど焦らないでね大和。あなたの実力なら問題ないから。輝夜も無茶しないでね」

「わかりました」「わかってるわよ」


そう言うと師匠達は敵の第二陣を無視して走り去っていった。


「待て!」

「待つのはそっちだ!!」


追いすがろうとする敵に魔力糸を放ち足止めをする。敵の数はおよそ15人弱。師匠はああ言っていたが、今回は実力的には僕と変わらないと思われる人も数人いる。対人戦に対多数戦闘……少し不安だけど…!


「対多数戦闘……初めてだろうけど、出来る?」

「もちろん!!」


輝夜の言葉に自信を持って答える。大丈夫だ! 師匠達の修行には対多数・対武器の戦闘も考慮されていたんだ、出来ないわけがない。


「あいつら、地の力はそれほどではないわ。持っている武器が脅威ね。特に後方で飛び道具(銃)を持っている奴には注意しなさい。当たり所によっては即死するわよ」

「わかった。半分は任せて……行くぞ!!」


敵がこちらへ攻撃を仕掛けようとした瞬間に跳ぶ。元居た場所に銃弾が多数撃ち込まれた。……確かに当たれば痛そうだ。だったら、まず最初にあの後方の人達を黙らせよう。

そう思い敵陣に着地すると、魔力剣のような物を使って斬りかかって来る人達が目に入った。


「死ね!」


……見えるッ! 師父の攻撃にしたらまるで止まっているみたいだ!

斬りかかる一人の手を、勢いがのる前に両手で払い流す。そのまま両手を相手の胸に当てる。その過程で両足から震脚のように力を込め、送りこまれた力を背中で増幅させて掌打!


「ハァッ!!」


防御されたけど、浸透の衝撃は防御の奥まで響く。吹き飛んだ相手は動かなくなった……次!


「お前!?」


勢いののった斬りを前進することで避ける。後に下がっては駄目だ。敵が恐れるのは自分の領域に入られることなのだから!


「どぅおりゃあッ!」

「ぐっ!?」


そのまま相手の鳩尾を殴り、前屈みになったところで左手を右手に重ね、勢いよく突き出す。


「月まで吹き飛べ!」


錐揉みしながら後方まで吹き飛ばした。少しは後方を巻き込めたみたい。


「…囲い込む! 陣形を組め!」


円陣を組まれ、周囲をガチガチに囲まれてしまった。でも甘い! 甘いよ! 戦略的には正しいだろうけど、あの地獄の修行を体験している僕にそんなもの脅威には成りえない!!


「今だ!掛かれ!!」


こういう時にこそ、この技は真価を発揮するのだから。心を落ち着かせ、向かってくる敵を迎え撃つ。


「制空圏……」

「くっ……パーソナルスペースか!?」


自分のパーソナルスペース内の攻撃を完全に無効化する。今の僕に死角など存在しない!

敵の剣、拳、蹴りを捌き、逆にこちらの攻撃は確実に当てていく。気がつけば僕の近くには一人しか立っていなかった。


「く、くそっ…!」


仲間をやられて焦りでもしたのか、攻撃には勢いがなかった。そんなんじゃ、投げられても文句は言えないよ!


「せ・お・い・投げー!」


腕をとり、思いっきり投げてやった。

―――パンッ

乾いた音とともに僕崩れ落ちる。撃った本人はそう思っただろうね。


「けど残念、幻術だよ。いい夢見れた?」

「何時の間に!?」


回復していた後方隊員の後で、笑いながら声をかける。そんなこと言う訳ないじゃないか。幻術は魔法マジックなんだ。ネタがバレると通用しないからね。


「おやすみ~」


最後の一人の間接を決めた上で気絶させる。ふぅ、とりあえず僕のノルマは達成。怪我一つなく、気・魔力共にほぼ消費無しで撃退できたぞ! ……僕って実は強い? ムフフ、あの修行を耐えたんだから当然だよねぇ……!

それでも敵はどれだけいるか解らないから、出来るだけ使わないで勝てたのは大きい。勝利の余韻に浸るのはいいけど、一応この危ない銃は魔力糸で切断しておこう。

さて、輝夜の方はどうだろうか?


「あら、もう終わりなの? だらしないわね」


……問題ないみたい。輝夜も怪我一つなく倒していた。まぁ当然だろうね。僕で勝てるのだから、輝夜が負けるはずがない。


「ふ~ん。中々やるもんだね、元・月の姫。それに『兄さん』も」


天狗になっているところを、空から弾丸ふって来た。これは……魔力弾! っ何処から!?


「お、避けた避けた。まぁ当然だよね、兄妹なんだから」

「あんた、一体何者?」


目の前の相手に僕は度肝を抜かれた。


「ハジメマシテ。私はシリアルナンバー3000046、個体名はアキナって名乗ってるわ」


何故ならば、目の前の存在は僕そのままで、女の子になった僕自身の姿だったのだから。





◇◆◇◆◇◆◇






月から更に降下する気を感じたので、そちらを迎撃する。

そう言い残し、武天は月からの増援へ向かって行った。


「久しぶりだな、八意永琳」


だから私は今、一人で隊長格(おそらく最低でも中級クラス。ほぼ全員が上級)たちと向かい合っている。


「ええそうね。できればもう会いたくなかったのだけれど。今からでも遅くないわ、帰ってくれない?」

「それはこちらのセリフだ。今からでも私たちと月へ戻れ。月はお前を必要としている」

「私ではなく、私の頭脳を、でしょうに」


どの口がものを言うのか。月に戻れば、おそらく輝夜は実験室行き。貴重な蓬莱人の実験体として、精神が崩壊するまで体中を切り刻まれるだろう。

私も似たようなことになるはずだ。脳を取り出し、移植するなど月では珍しいことでもない。脳さえあれば後はどうとでもなる。その技術を生みだしたのが私という所が皮肉なのだが。


「月とはもう手を切ったの。私たちの邪魔をするなら消すわよ」


殺気と共に力を解放。並の者なら立っていられないほどの圧力をかける。実際に怯む者もいたが、それでも平然と立っている者が5人。今から私が闘う相手はそれほどの猛者たち。楽な戦いにはなりそうにないわね……。


「技術畑とはいえその力。一度闘ってみたいと思っていたのだ。このような場所とはいえ、闘う機会を得たことに私としては感謝している」


彼を中心に5人が力を解放する。……やはり、一筋縄ではいきそうにない。


「なら掛かって来るといいわ。月の頭脳の実力、その身で確かめなさい!!」




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