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東方伊吹伝  作者: 大根
第三章:永遠の蓬莱島
31/188

戦闘開始

3月16日改訂

~月部隊 隊長~


「此処か……」

「隊長、全員配置に着きました」

「了解した」


我が隊の任務。それは八意永琳、並びに輝夜姫の『確保』 である。

何事もなく確保できればそれが一番いい。だが彼女たちは既に月の民を殺して逃亡している。故に不足の事態に備え、我らのような戦闘部隊が送り込まれた。我々は月の中でも優秀な部隊であり錬度も高い。あの二人といえど、十分相手ができるはずだと自負している。


「隊長、どうかしました?」


それにこの少女もいる。まだ若いが能力は十分ある将来有望な若手で、今回私の副官も務めている。ただ、この子にはいつも黒い噂が絶えない。なんでも人道に反する研究を行っているとか……。まあいい、根も葉もない噂だ。今は関係ない。


「いや、なんでもない。それにしても今回はやる気があるな。訓練の時には随分怠けているというのに」

「あらら、ばれてましたか。……そうですね、今回あちらには興味深い人がいるもので」

「珍しいな、貴官が興味をもつとは」


いつもの彼女からは想像もできないことだ。訓練では力を抜いてふざけていたのにな……。そんな彼女も今回は精力的だ。きっと全てが旨くいく。


少なくとも私はその時にはそう思っていた。


「ターゲットを確認、これより確保に入ります」


第一陣からの報告が入る。どうやら目視距離まで接近できたようだ。


「了解。ただし注意しろ、相手はあの月の頭脳だ。罠を張っているかもしれん」

「どうやら食事中みたいです。月の頭脳も落ちた物ですね……行きます!!」





◇◆◇◆◇◆◇




~とある隊員~


私たちはターゲットを既に目視できる距離まで近づいていた。


「ここまで近づいて気がつかないとは、月の頭脳も鈍ったな」


皆口々にそう言う。私も口には出さないがそう思った。だが任務が楽になるのなら大歓迎だ。


「確保する。私に続け!」




「動くな!動かなければ危害は加えない!」


沈黙目標は4人。私はその中の少年の手をとり、地に身体を押しつけて宣言する。

他の隊員たちも同じように確保を完了していた。


「拍子抜けだな。これがかつての月の頭脳の姿か・・・」


私が話に聞く人物とは全く違う手応えに拍子抜けしていた。月の頭脳とは全てにおいて完璧であり、他を寄せ付けないモノを誇ると聞いた。だが結果は見ての様。所詮は地上で穢れきった身だということか……。


「八意永琳は……」


私の下にいる子供が何かを言っている。何を……?


「僕の師匠は、愚かじゃないぞ?」


途端、少年の身体が爆発。それが私たちが最後にみた光景だった。





◇◆◇◆◇◆◇



~先日~



「師匠、僕に何か秘密にしてることありませんか?」

「いきなり何? ……ありすぎて困るわね」


おおう、いきなりコケそうになったじゃないですか!? でも今はそうしてる場合じゃないんだよ。危機が迫ってきているんだから。


「輝夜から聞きました。明日にも月の民が攻めてくるんですよね?」

「……あの馬鹿」


額に手を当てて俯く師匠。本当に輝夜に仕えているの?扱い酷いよ。仮にも教育係だったんだから、輝夜が馬鹿なのは貴方の責任ですよ?


「だとしても、貴方には関係ないわ」

「師匠が困っているんです。僕は弟子としてできることをしたいんです!!」

「あなた程度で「永琳、私からもお願い!」 ……輝夜?これは一体どういうことなの?」


師匠が本気で怒っている……! 怖い……メッチャ怖いんだけど!? 輝夜と永琳の睨み合い……師父、タスケテ!!


「永琳、私決めたの……。もう逃げない、闘うって!」

「闘うって貴方、月と一戦交えるつもりなの!?」

「ええ!」


額に若干の汗を滲ませ、そう宣言した輝夜の顔には計り知れない覚悟が見えていた。


「僕も闘います!」


あの時輝夜から話を聞いた。そして手を貸してくれと頼まれた。あの輝夜が頭まで下げてまで。

「もう逃げない、私も闘う。だから助けて」 って。そこまでされて断るほど、薄情な関係ではもうない。


だから今こうやって此処に居る。


「貴方達が闘っても「なら私も参加しよう」 …貴方までそんなことを」


武天師父も僕たちの意見に賛成してくれる人だ。実は永琳師匠に話す前に武天師父にこの話をしたんだ。そしたらなんと簡単にOKを出してくれた。久しぶりに暴れられるとか言って喜んでましたよ、ええ。


「永琳お願い、もう逃げ続けるのは嫌なの。今回でケリをつけたいの」

「僕からもお願いします」


絶対に引かない。そう想いを込めて二人、もう一度頭を下げる。



「……来ることがわかっていれば、出来ることも多い」

「え?」

「大和、今回のケースではどういう対処が最適かしら?」


師匠!!


「はい!えっと、今回は相手から攻めてくることが解っていますから罠を張ります。……そうですね、僕の幻術を使いましょう。その後幻術を爆破、敵を吹き飛ばします」

「じゃあその案でいきましょう。……ありがとう、力を貸してくれて」


準備がある、そう言って師匠は行ってしまった。






そして今日、月の民が攻めてきた。計画通り、僕の幻術に見事引っ掛かり敵部隊は壊滅した。


「中々の威力ね。あそこにいる奴ら、全員吹き飛ばせたじゃない」


輝夜の言には僕が一番驚いています。でも油断しきってたし、あの程度の相手ならヤッちまえますよ?


「やはり幻術に才が偏っているようだ。今の幻術を初見で見抜ける者はそういないだろう」


ほう、僕は幻術の才能があるとそう言いたいんですね? へっへっへ。


「偏ってるって言ったでしょう。他は駄目なのよ」


持ち上げてから叩き落とす!ホント何時も酷いですよね!!


「馬鹿やってる場合じゃないわ、来るわよ!!」


第二陣が向かってくる。さあ来い、修行の成果を見せてやる!!



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