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東方伊吹伝  作者: 大根
第三章:永遠の蓬莱島
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もう何年たった?

3月15日改訂

こんにちは、輝夜よ。ついに大和の修行が始まったわ。

そんな修行を伝えたいんだけど、あまりにも修行内容が『こゆい』し、見ててこっちも辛くなるからダイジェストで伝えるわね。


「ぎゃあああああああああ!!??」


魔力による身体強化抜きでの筋肉強化トレーニング。特に足腰に重点をおいて約半日の間武天が鍛える。

他にも腕立て腹筋。なんでも全身を瞬発力と持続力を兼ね備えた中間筋肉? に改造するやら何やらと永琳が言っていた。そのために食事も制限されているみたいだ。


「どわぁあああああああもう駄目だあああああああ!!??」


永琳が放つ霊弾を魔力糸のみで捌いていく修行。もちろん手加減はされているみたい。密度や速度、威力はギリギリ大和が耐えられない強さで放たれているのはエグいけど……。

でも日に日に霊弾の威力も強くなっているし、大和も打たれ強くなっているといったところなのね。ここら辺はさすがの永琳といったところ。

でもねぇ……その場から一歩でも動けばぴちゅるのよね。


「いい?魔力も霊力も、きちんとした運用ができれば使われる力以上の力を引き出すことができるの。あなたの場合はその魔力運用が全くできてない。つまり、無駄が多すぎるというわけ。まずは効率のいい魔力の運用について教えましょう。まずは・・・」


身体を動かした後は魔力運用・幻術魔法についての座学。疲れてきたところの座学だから頭に入らないかと思いきや、動いたあとで頭が活性化して逆にいいらしい。



と、そんな厳しい修行の毎日を送っていても、私の都合には合わせるのだけどね。


「今日は何処まで行く?なんなら島一周でもしようかしら」

「・・・重い」「あ゛?」


まったく、失礼なやつだ。私の遊び相手の権利は帝にさへ与えていなかったのよ?


修行の後は私の遊び相手。やることは島の探検。軽く島を何周か回った後、山を登る。もちろんこの時もコイツは修行と平行して行われている。何をするかと言うと、この島にだけある普通よりだいぶ重い木を使った牛車を一人で運ぶこと。乗っているのはもちろん私……あと特性の重りの数々。これがまたトンデモなく重い。これまたこの馬鹿がギリギリ動かせる重さで調整された物である。

製作はこれまた永琳。・・・永琳ってやっぱり天才ね。


これが最近の一日の出来事だ。え?私の暇つぶしの時間が短いんじゃないかって?

そんなことはないわ。だって見てるだけで面白いんだもの。




◇◆◇◆◇◆◇




「師父(武天)ー!? 来る日も来る日も筋肉トレーニングばかり!! いったいどんな武術を教えてくれるんですか!?」


大和です。来る日も来る日も筋トレばかり、凄くしんどいです!

今も中腰になって木の杭の間を早く移動する修行をしてます。足腰鍛えてどうなるの? 走るのが早くなるの!?


「まずは純粋な"力"が必要だ。いかに優れた技を用いても蟻がゾウには勝てないだろう?」


ゾウってなんですか!? 僕は地を這う蟻と同列ってことですか!?


「ああ、蟻に失礼だったか」

「馬鹿にしてますよね!してますよね!!怒っていいですよね!?」


こ、このやろう……僕だって怒るんだぞこの髭じじい!!

……そう言えたらいいのにね。その後が怖くて言えません。ヘタレでごめんね。


「それもそうねぇ、こうも筋トレばかりでは"あき"がくるわね。……少し早いけど技の修行に入りましょうか」

「ほんとですか!? やった! 流石師匠! わかってるぅ!!」

「これはいよいよ死ぬかもね……」


何だろう、輝夜の一言に憐れみを感じる。嬉しいことなのに。




◇◆◇◆◇◆◇




「こ、これでは殺人未遂だ……」


あれから随分とたったある日の一言。まさに絞りだした心の一言です。

あれから更に激しくなった筋トレ・魔法・座学に加えて技の練習。師父の拳法に師匠(永琳)の月流柔術。独自の拳法とか、合気の混じった柔術とか名前を聞いただけではわからないモノをもう何年行ったんだろうね……。気絶する回数が多くて、時間の感覚なんかどこかへ飛んで行っちゃいました。

臨死体験の回数も数えきれないほど体験してしまったよ? 何て言うかこう……魂が引っ張られるっていう感じで気持ちがイイんだ、エヘヘ。三途の川の死神ともいまや仲良しです。僕の愚痴を聞いてくれるいい人なのだ。

なんて、普通じゃ味わえない体験を続けてきたけど、正直僕は強くなったのかな? 師匠達には全く歯が立たないし、輝夜にだって負ける。新しく使えるようになったのは"気"と"幻術魔法"ぐらいだ。

でもね、この二つ凄いんですよ。気は身体を鍛えれば鍛えるだけ量が増えるし、幻術に関しては師匠からお墨付きを貰えたんだ! これは嬉しいね!


……魔力?もう増えません。だいたいが人間にしたら破格の量らしくて、これ以上は見込めないって。残念、魔法で大和さん無双がしたかったのに……。

その分、魔力の運用に力を入れるようになった。能力も長持ちするようになってきたし、魔法と気の二つ同時使用なんかができるようになったし。


「それでも勝てないんだよなぁ……」

「仕方ないじゃない。あんた才能無いし」

「うるせぇやい」


輝夜とは互いに軽口を言い合う仲。時々喧嘩もする。その度にのされてるけど。

そう言えば、何時だったか師匠に、何で思った以上に僕が伸びないかを聞いたことがある。そのとき帰ってくる言葉が、お前には才能がない、の一言。


でも師匠達はそんな事は関係ないと言った。


「武は才能より信念」「魔は培った年月」

「こんなにすごい技や魔法が簡単に使える、のではなく、こんな基本的な技なのにすごい威力がある。そう言われるようになりなさい。君は不器用なのだから」


この言葉を信じ修行を続けてきた。でも輝夜にすら勝てないんだけど……。本当に、僕は今どれくらいの強さなのだろうね……。


「今日の分の修行はもう終わったんでしょう? なら私に付き合ってもらうわよ」

「はいはい、解りましたよお姫様」


こんな日が続くのも悪くないね。


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