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東方伊吹伝  作者: 大根
第二章:外の世界
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ふざけた闘い

ああ、何をやってるんだろう僕は。こんにちはみなさん。今回もいつも通りの伊吹大和でお送りします。

帝と一緒に居たくなくてこっちに来たのはいいけど、何で母さんに喧嘩売ってるんだろうね僕。

母さんたちには僕だってことがばれたら面倒だし、陰陽師の人達には鬼の子供ってことがばれないように顔に布を巻いて出てきたけど、これじゃ僕ってわからないから逆に手加減なしで危ないかもしれない。


「何しに来た小僧。早くこの場から去れ、死ぬぞ。」


ホント、何しに来たんでしょうね僕。アハハ、自分でも解ってないんです。

まあ去れって言われてますから、喜んで引かせてもらいます。


「あんな派手な登場をしておいて引くなんてことないよな?やま・・・じゃなくて見知らぬ少年」


姉さん僕ってわかってて遊ぶつもりですか!?

あ、でも姉さんが気づいてるんだ、母さんだってわかってるよね。

若干の期待を込めて母さんの方を向くと、


「おまえ、子供にしてはできそうだな。遊んでやるよ、かかっておいで」


・・・気づいてるのかそうじゃないのかわからないんですけど。

今すぐにでも逃げたいのに、僕逃げられません。まったく、後先考えずに動くもんじゃないよね。

僕の大馬鹿野郎!


「じゃあお言葉に甘えて」


仕方ないから右目に魔力を集めて突撃する。突撃の最中に魔力糸を束ねて剣にして斬りかかる。

ついさっき思いついた技をうけるがいい!ふはははは!やけくそだコンチクショー!!


「だらっしゃぁぁぁぁ!!」


先読みで得た空間に思いっきり魔力剣を振った。・・・何時も同じで芸がないとか言わないでね。


「うおっと、危ない危ない」


うそん。なんで魔力剣を素手で止めることができるの!?


「なんだかわたしの動きが読まれてるみたいな攻撃だな・・・。

 あれ?子供で読む???未来を視る・・・。

 ああああああああああああ!!や、大和か!?お前大和だろ!!??」


気付いてなかったの!?それはそれで驚きなんだけどさ。

・・・悲しいとか思ってないデスヨ?


「なんだよ、それならそうと何でお前も勇儀も私に言ってくれないんだよ。母親なんだぞ、私は」


あ、バカ。そう姉さんの呟きが聞こえたけど、時既に遅し。


「「「「「はっ母親ぁぁぁぁ!!??」」」」


やっぱこういった反応をしますよねー。


「あれ、どうかしたのか?」


「・・・萃香、ここはどこだい?」「都。何言ってんのさ」「私たちは?」「鬼だ」「大和は」


「人間だよ・・・あ゛?」


「まったく、大和が顔を隠した理由くらい少し考えればわかるだろうが」


姉さんはよくわかってくれてたのね。母さんは僕が置かれている状況も分かってなかったみたいだったけどね!僕が後に引くのを邪魔したけど。

観念して顔をさらけ出す。うう、罪悪感が。


「小僧、伊吹の子じゃったのか。だがその前に、どうやってあ奴の腹から出てきた?」


そう言って母さんを指差すお爺さん。ああ、何だこの空気。


「義理の息子ですって!母さんみたいな成りで子供産める訳ないじゃないですか!

「あ゛?なんか言ったか大和?」何にもないです!!それに僕は鬼じゃないんです。

 ・・・隠していてすいません。でも、知られたら追われそうで」


怖!?母さん怖!?そんな成りだったらこう言われるのだって解ってたんじゃなかったの!?


「ふん、舐めるなよ小僧。そやつが人に害なすかどうかぐらい己の目で判断するわ」


「・・・ありがとうございます」


お爺さん、貴方様は大変いい人でございますね。


「そうだそうだ、家の大和は悪い奴なんかじゃないぞ!」


「あんたはもう黙っときな、それと今日はもう手を出すんじゃないよ。

 唯でさへ危うい大和の立場が更に悪くなるから」


僕からもお願いします。黙ってて下さい。それと都の中に帰らして下さい。


「わかってるよ。ほら大和、こっちで一緒に勇儀の喧嘩を見よう」


座り込んでポンポンと隣をたたく母さんの元に行こうかどうか悩む。

今すぐ帰りたいんだけどなぁ。


「かまわん、そこでわしの勇姿を目に焼き付けておれ」


おお、お爺さんカッコイイね。相変わらず大切なこと解ってくれないけど。

もう帰る雰囲気でもないので諦めて母さんの隣に座る。


「どうかねぇ、私も今日は負けられない理由ができたもんだから、さっ!!」


やる気満々な姉さんが突っ込むと同時に、何発もの蹴り放った。


「ふん!」


お爺さんはそれに障壁を展開して防いで


ドドドドドドドドド


二人がたった一瞬の内に行った攻防で周囲の大地は抉れ、衝撃波が襲った。


「なにこれぇ?」


「はは、これくらいまだ序の口だよ。しっかり見てこれからの参考にするんだよ」


呑気に酒飲みながら言うことじゃないよねそれ!?

正直、実力差がありすぎて参考にもならないんですけど!


「はっはあ!闘いはいいなあ!!生きていると感じさせてくれる!!」


「わしは勘弁願いたいものじゃがなあ!!」


姉さんはその剛力で迫り、お爺さんはそれを避け、時折防ぎ、隙あらば符を放っている。


「か、母さんもこんな闘いをっ!?」


ぶつかり合うことで発生する衝撃波に飛ばされないように耐えながら聞く。

ば、馬鹿げてる!こんな闘い、見たことも聞いたこともない!


「私たちの闘いじゃ地形が変わることなんて朝飯前さ。大将なんかはもっと酷いことになる」


だからなんでそんな涼しい顔して酒飲めるの、この状況で!?

いったいどんな世界なんですかここは!?


言ってる間にもどんどん地形は変わっていく。うわーなんだあれ、僕が喰らったら体が消し飛ぶよ。


「怖いか、大和。でもお前はもう一歩を踏み出したんだ、この闘争の世界に。

 そしていつかは私たちのいる高みまでやってくることになるだろう。

 だから今一度聞いておく。・・・己の選択に後悔はないか?」


「母さん・・・」


その問答の答えは、ついさっき出したばかりだ。


母さんがなんで僕を傍に置いておきたかったのか、今ならなんとなく解る気がする。

だって、息子を何時死ぬかわからない世界に旅立たせるなんてこと、普通はしないじゃないか。


「僕は才能に恵まれていません。母さんたちのようになれるかもわかりません。

 でも、何もしないぐらいならしてから考えます!

 嬉しいこともつらいことも、後で笑って酒のつまみにできるぐらい精一杯生きていきます!!」


あの時のように、精一杯の笑顔でそう応えた。


「なら、自分の信じた道をまっすぐに進みな。・・・お、そろそろ決着がつきそうじゃないか」


母さんはそう言って話を切り上げた。その横顔はとても嬉しそうで、とても綺麗だった。








「ぜぇ、ぜぇ、」「はぁ、はぁ、」


「さ、流石は好敵手。私相手に一歩も引かないとは」


「お、お主こそ」


あれからそんなに時間は経っていないはずなんだけど、この闘いの激しさは周りを見渡してもらうと理解できると思う。なんかもう、戦場跡?


「でもそろそろ終わりにしようか。・・・大和!!見ておきな!!これが私の必殺だ!!」


そう言うと姉さんは一歩、また一歩と歩を進める。なんすかその冗談みたいな妖力は?


「っ!?ならばわしも奥義をもって打ち砕かん!!」


お爺さんは莫大な霊力を符に込めていく。お爺さん人間だよね?人間だって言ってたよね!?

才能なかったって言ってたよねぇ!?


「  三歩必殺  」



「  天文道 奥義  空のオト  」



えっちょっそんな力でぶつかり合ったら!!??


冗談のような爆音と共に世界は光に包まれた。





煙がはれ、そこにはお互い横たわっている二人がいた。


「はい決着、引き分け~」


キャキャキャと酔った勢いのまま笑う母さん。いつも思うんですけど、はしたないです。


「ま、まちな萃香。私はまだやれる」


「ふ、ふふふ。わしだってまだやれるわい」


二人ともなんとか立ち上がろうとしているけど無理みたいだ。

そりゃそうだろう。むしろアレだけやってまだ物足りないとか言うとかふざけてる。


「何言ってんのさ、両方とも戦闘続行不可能で引き分け。さ、帰るよ勇儀」


そう言って姉さんを担ぐ。


「いたた、あんたはいいのかい?せっかく大和と会えたのにもう少し話さなくも?」


「あの子は、もう自分の道を自分で歩いて行けるよ・・・。さ、背負ってやるから帰るぞ」


「すまないね。やいこの馬鹿爺!また来るからな!」「二度と来るな!この馬鹿鬼!」


「あ、そうだ大和。強くなるなら私みたいな一撃必殺の技を作りな。師匠からの命令だよ!」


「が、がんばります」


あんなのできるか!?引き攣って返した僕の言葉にわらいながら二人は去っていった。








~今日の母~


「今日はやけ酒だ~!!大和の親不孝者~~~!!」「はあ、これだよ全く」

はい、長いのか短いのか知りませんけど、20話です。今回主人公はただ見てるだけでした。まぁ彼なりの社会見学みたいなものですね。世界は広いということを知るのは早い方がいいだろうということでの今回でした。


・・・いずれはチートになってバリバリやってもらうわけですしね。それを書く日が楽しみです。・・・来るのかそんな日は!?


では読んで下さっているみなさん、また明日に会いましょう。

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