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東方伊吹伝  作者: 大根
前章:狂言紅魔郷
146/188

霊夢、大地に立つとか立たないとか


―――パチッ


―――パチッ


パチッ―――乾いた音が清閑な部屋に響く。



「ぅ……ま、まだまだ!」


―――パチッ


「甘い甘い」

「うげっ……」

「ふふん、投了しなさいな」

「ま、まだ終わっちゃいない…」



パチッ。右手で持った碁石を網目模様の盤上へと打つ。碁盤を挟んで座る相手は月の姫、蓬莱山輝夜。弟子を卒業してからと言うと、たまに永遠亭に遊びに行けばこうして輝夜の遊び相手をすることが多い。今日も今日とて遊び相手として碁を打っているのだが……形勢は圧倒的不利。でも諦めたら駄目なんだ、諦めたら……



「フフ、諦めない心は流石だけど……終いよ」



パチッ――――――だが無常にも、僅かに残っていた息の音を盤上で殺された。


「………」


ぐぅの音も出ないほどの敗北。今の僕はさぞかし醜い顔をしていることだろう。



「じゃあ今回の罰ゲームね。これで何度目かしら?」



罰ゲームが待っているからだ。今回は囲碁だったけど、将棋やオセロ、チェスなんかでもやっている。でも賭ける内容だけは何時も同じ。勝った方が相手に一つお願いを言う、と言うシンプルなものだが、それだけに性質が悪い。もっとも、あまり無茶な要求は突っぱねることが出来るのだけど。



「ほら、その胡坐をやめなさい。今回は膝枕よ」

「はいはい、どうぞお姫さま。……ちぇ、今回は自信あったのになぁ」



碁盤を除けて胡坐を組んでいた足を伸ばすと、そこに輝夜の頭が乗ってくる。僕の顔を見上げている輝夜は満足気だけど、見下ろす僕の表情はきっとげっそりしていることだろう。相手が輝夜だから、と言うのが多いけれども。



別に不満があるわけじゃない。ただ、なんて言うかこう……いいようにしてやられてるからだ。



「それ、前も聞いたわ。何時になったら私に勝ってくれるのやら。ほら、姫様の髪を手櫛なさい」

「……よ~しよしよしよし!」

「わ! こっ、こら! せっかく揃えてあるのにクシャクシャにしないで!」




撫でろと言っておいて怒るとは。…ん? 手櫛はもっと優しく丁寧にだって? はは、そりゃあ僕の待遇に関しても言えることですよお姫様。



「ちゃんとやりなさい。約束を守らない貴方じゃないでしょう?」

「……見てろよ、次は勝つ!」

「聞き飽きたわ」



ぐぬぬ……鬼の一族としても僕個人としても、約束と言われれば文句が付けられない。仕方が無いので前髪を手櫛で髪を梳いてやると、擽ったそうに目を半分閉じて笑っている。こうしているとすごく可愛いのに……などと思っていると、不満げな顔をされた。見惚れてしまっていたのか、手櫛が止まっていたようだ。



「大和」

「うん? 何?」

「なんだっけあのルール……弾幕?」

「ああ、弾幕ごっこね。名付けたのは僕じゃないけど」

「でしょうね。貴方が闘いに『ごっこ』 なんて名前、付けるはずがないもの」



幻想郷の新しいルール、通称『弾幕ごっこ』。『スペルカード』 という幻想郷の体制そのものを変える全く新しいルールを、霊夢名義で広めるように文に頼んだのは僕だけどね。その主なルールとしては



一、相手を殺すことを禁じる

二、決闘前に決闘内での使用回数を掲示すること

三、技を使う際には「カード宣言」をすること



まぁ大きな決まりごとはこの三つ……かな? 他にもあるけど省略。まぁ霊夢が案を出して僕が煮詰めたのだけど、中々のモノが出来あがったと思っている。でも驚いたことに、一については僕が言いだしたことじゃない。霊夢自身が『後々に遺恨が残るのは面倒だからパス』 と最初に言ってきたのだ。大和さんもそうでしょう? と付け加えられた時には、僕のことを理解してくれてるのかなぁ……? なんてちょっと嬉しく想ってみたり。思わず『よしよし』 したくなってしまったのは秘密だ。



ところで何故こんなルールを制定したかと言うと、藍さんから送られた手紙が原因だ。妖怪の弱体化が~、なんて書いてあったけど、実感が無かった僕としては動くつもりが無かったのだけど。だからどうすればいいのか華仙さんに相談してみると『好きな時に暴れる口実でも欲しいのよ。最近は暴れられないことにイライラが溜まっていた妖怪が多いから』 と言われた。



まぁ……暴れられない理由は僕にもあるらしいんだけど。博麗の巫女と伊吹大和が同時に在るということは、妖怪連中にしてみればトラウマらしい。やんちゃしすぎたあの頃、妖怪が勝手に自分たちで自分たちに植付けた『敵うわけがない』 なんて可笑しな先入観に怯えて動けないでいる……らしい。


まぁそれは置いておいて。妖怪が気楽に人を襲えない→恐れの感情が弱まって弱体化。そんな流れを喰い止める……もとい喰い止めなさい、それも博麗の役割でしょうが。なんて敵味方両方から言われたら流石に動かない訳にもいかない、という流れでこうなった。霊夢は面倒だって言ってたけど、本心じゃやる気だったに違いない。面倒だと言う割には真面目に話を聞いてくれてたし。




「それにしても弾幕ごっこ、ねぇ。大和には相当不利なんじゃないの? 遠距離戦、苦手なんでしょう?」

「うーん…どうだろう。相手が張る弾幕の質と量にもよるけど、簡単に堕ちるつもりもないし。まぁ……僕の場合は弾幕ごっこなんては呼べないんだろうね。どうせ今までと同じ闘い方に、スペルカードルールが加わったくらいかな」

「この間の模擬戦で永琳を正面から吹き飛ばしたアレもあるし……その後ボッコボコにされてたけど。でも貴方を相手に場合、近寄られたら殆どの人が終わりかもしれないわね」

「師匠のアレには僕も本当に驚いたよ。まさか単純な技で、あれ程の成果を出してくれるなんて思わなかったから。でも……簡単に終わってくれる相手ばかりならいいのにね。輝夜でも師匠に柔術を仕込まれているし、正直不利なことに変わりは無いのかも」

「でもって何よ、でもって」

「そのまんまの意味じゃないか。見た目はこうなのに、何で怪力なんだか……」




輝夜に全力で殴られたら頭蓋骨陥没は免れないと思う。誰が永遠亭の屋根を剥がして……いや、言うまい。とにかくこんなナリをして本当に恐ろしいほどの怪力だ。そのうち永遠亭そのものを投げてきそうで怖い。



そんな輝夜はさておき、僕の闘い方は変わらないだろう。魔法・拳。遠距離も出来ないことはないけど、僕の魔力弾はマスタースパークを除いたら貧弱な部類に入るからなぁ。やっぱり避けて弾いて、後は蹴って殴って。うん、いっそ清々しいほど愚直な闘い方だ。魔法の引き出しが多くなった分、トリッキーな闘い方が出来るだろうけど。あ…でもスペル宣言があった。



「それにしてもこの紅い霧はどうにかならないの? こう言うのは博麗の仕事なんでしょう? 監督者として何か策はないの?」

「あー……まぁ輝夜になら話してもいいかな。この霧、元はと言えば僕が原因なんだ」

「――――――は?」

「いや、ちょっと知り合いの吸血鬼に頼んで……ね?」



何やってるのよ、と言いたそうな顔から逃げるように目線を泳がせる。僕だってここまで大事になるなんて思ってなかったんだよね。でも―――たぶん、レミリアは張り切ってるんだろうなぁ。そこそこでいいって僕は言ったんだけど、なんで幻想郷を覆うほどの霧を発生させているんだか…。



「ね? じゃないわよ。説明してくれるんでしょうね?」

「まぁ、ね。目的はさっき話していたスペルカードルールと弾幕ごっこ。この二つを迅速に広めるためにレミリア、知り合いの吸血鬼に一役かってもらったわけ。『何か悪さをして、負けてくれ』 って。ぶっちゃけると、この騒動は狂言なんだ」

「何と言うか……一気にどうでもよくなったわ。それにしても吸血鬼……あの時の餓鬼は無駄にプライドが高そうだったけど、よく負けることを了承してくれたわね」

「いや、騒動を起こすのはいいけど負けないって言ってたよ。しかも騒動を起こすに当たっての対価と、勝負の賭け品も求められたし」

「……いいこと無しじゃない、貴方」

「そうかなぁ……」



僕はそうは思えないんだけど。霊夢が新しいルールでレミリアを倒せばそれだけで普及速度は上がるし、霊夢には吸血鬼を倒した名声と経験を積ませる事が出来る。それだけでも十分だと思うんだけど。



「それに対価と賭け品って、貴方に払えるモノなんてないでしょうに。宝物の一つも持ってないのに」

「…? あるじゃないか、僕にだって」



そう言って、僕は僕自身を親指で指した。



「貴方まさか…!?」

「察しの通り、僕の出した対価と賭け品は『僕自身』。こっちのルールでやってくれるって言ってるんだ、相手側が最も欲しがったモノを差し出すのが当然だろ?」



モノではないけど、僕自身なら賭けることが出来る。僕程度で霊夢の今後が明るくなるのなら、すぐにでも差し出すさ。もちろん相手は選ばせてもらうけどね。



「ばっ、馬鹿じゃないの!? じゃあ貴方、この騒動が終われば吸血鬼の所に行くって言うの!? 私を置いて!」

「私を置いてかはどうか知らないけど、その前にこれが賭けだってことをもう一回確認し直してよ。対価はせいぜい数日向こうで過ごすこと。賭け品は相手が勝てば持って行かれるもの。とにかく、霊夢が勝てばいいんだよ」

「貴方ってやつは……」




まあそう言わずに。勝てばいいんだよ、勝てば。それに僕だっている。闘いに勝つための一番の課題は、如何に霊夢の消費を抑えてレミリアまで辿り着かせるか。それさえ出来れば、あとは霊夢が何とかする。道中の露払いこそ一緒にするだろうけど、相手側の戦力は僕が削らせて貰うつもりだ。とは言っても、パチュリーには別のことを頼んでいるから戦力は減っているんだけれど。




「……負けた時はどうするのよ」

「負ける? はは、輝夜は何も解っちゃいないね。霊夢は強いよ。零夢ほどじゃないけど、そこいらの妖怪なんか一呼吸のうちに倒すくらいだ。普通じゃないんだよ、あの子も」



霊夢が、れいむが負けるわけがない。修行はあまりしてないけど、そんなのあの子の前では通用しない。何と言っても真の天才だからね。咲夜ちゃんは鍛えたら光る天才だったけど、あの子は違う。最初から輝きを放っていた。そうさ、だかられいむが負けるなんてありはしない。



「……大和、あなた少しおかしいわ。どうして考えても部の悪い賭けじゃない。経験の浅い巫女と、長い年月を生きたホンモノの吸血鬼。誰が見たって勝負は決まっているようなものじゃない」

「輝夜はれいむを知らないからそう言えるんだよ。あの子の傍にいた僕には解る。あの子は勝つよ」

「……やっぱり貴方、変よ。期待したくなるのもわかるけど、それでも異常だわ。―――名前や姿が同じでも、嘗ての巫女とは違うのよ?」

「解ってるさ、解った上で言ってる。れいむが負けることは絶対に無い」

「……亡霊の姿に惑わされていないと、はっきり言えるの?」

「……誓って。その為に線引きまでしたんだ…」



輝夜も可笑しな事を言ってくれる。そんな錯乱をしているのなら、今のれいむにも昔のれいむにも申し訳がたたないじゃないか。悲しそうな顔をしていたあの頃のれいむに、僕はどう謝ってやれと言うんだ。終わったことはもうどうすることも出来ない。だから僕は霊夢に賭けたい。



「どちらにしろこの霧は消える。それまで辛抱して貰ってもいいかな?」

「……わかったわ。でも早くしてよね、鬱陶しいから」

「もちろん」







―――そう言って大和は笑っていた。でもかぐやは、どうしても大和があの女の影を追っているようにしか見えなかった。嘗て大和の隣に立ち、全ての妖怪から恐れられた巫女、博麗零夢の影を―――






◇◆◇◆◇◆◇





「はてさて、狂言と言ってもそろそろ動きださないと慧音さんに文句を言われそうだ。働かない奴だ、なんて思われたら嫌だし、そろそろ動きだす人もいるかもしれない」



紅い霧の中、神社を目指して飛びながら思考を巡らせる。霊夢だってこの霧のことは何日も前から気付いているのに、全く動こうとしないからなぁ。期を待っているのかもしれないけど……まぁそれはないか。面倒だ面倒だと言うことが多くなった霊夢だけど、まさか本当に面倒だから動かないわけじゃない……よね?



「あ、大和さーん!」


その帰り途の道中、聞きなれた声が風に乗って聞こえてきた。



「あれ? 文じゃないか。たしか山って警戒中で出れないんじゃ?」



この霧のせいで山は全面出入り禁止。そんな噂が流れていたんだけど……まぁ文には関係ないかもしれない。だとしても、いったい何の用だろうか。取材って感じじゃなさそうだけど。



「抜け出してきちゃいました。それよりも以前に頼まれていた資料です」

「おお! ありがとう文!」

「いえいえ、こちらこそ時間が掛ってすいません。でも、これで少しは恩も返せたってものです」



以前、といってもかなり昔の話になる。紫さんと山で決別した百年程前、文に頼んでいたものだ。それは紫さんの身辺調査書。何時、何処で、何をしたのか。何故此処を作ったのか。消された妖怪と紫さんの関係。その他いろいろ。言葉の通り、解ることの全てだ。



「やっぱり多いね」

「その分細かいことまで書かれてますよ。苦労したんですから」

「ありがとう。今度何か奢るよ」

「本当ですか? 楽しみにしておきますね!」



やっほう! と両手を上げる文にもう一度礼を言っておく。両手で漸く持てるほどの資料を集めてくれたんだ、そんなことでいいのなら何処へでも連れて行ってあげようじゃないか。



「 ……っと、一つだけ謝っておくことがあるんです」



喜びの顔が一転、文が真面目な表情を浮かべた。それにしても謝る? 何か対価を要求するのなら解るし、どちらかと言うと謝るのは僕の方だと思うんだけど……。



「調べていく内に……その、大和さんの同類の方との関係が……」

「……それも、この中に?」

「…はい」



……何と言うか、何処までも生まれは付き纏ってくるみたいだ。文は紫さんと『僕ら』 に、何かしらの関係があると気付いたのだろう。僕自身も知らない何かを。



「その……すいませんでした」

「へ…? 何で謝るの?」

「私なりのけじめです。もっと早くに気付いていれば、大和さんを苦しめずに済んだかもしれないのに」



……。まったく、このお人好し鴉天狗は…



「お馬鹿。もう済んだことだし、僕自身気にして無いって帰って来た時に言ったじゃないか」

「でも……」

「はいはい、じゃあ受け取っておくよ。それでこの話はお終い」



まったく、何時もは厚顔なくせに変な所で義に厚いんだから。まぁそこが文の良い所で、好きな所なんだけどさ。



「じゃあ読んでおくね。ありがとう」

「いえ、じゃあ私はこれで。奢りの話、楽しみにしてます」






◇◆◇◆◇◆◇





文から受け取った大量の資料を魔法で収納をした後、博麗神社に戻ってきた。少し話しこんでいたせいか、太陽が少しずつ傾いて来ている。



「さて、ちょっと話をしに行きますか」



境内に降り立った後、とりあえず居間にいるであろう霊夢を探しに行くことにした。ここから先は顔の表情を変えない鉄仮面に変身だ。平常心を繕うのが難しいから苦手なんだけど、スイッチの切り替えはちゃんとしないとね。



この時間帯だと……丁度夕飯の支度をしているだろう。それを眺め終わって、食べながらでも今回のことについての話をすればいいか。とりあえず話があることだけ言っておこう。



「霊夢、ちょっと話が……ってあれ? いない…」



その霊夢が台所に居なかった。おかしいなぁ、今までの霊夢の行動から予測したら此処にいるはずなんだけど。此処にいないとなると私室かな? ……仕方ない、少し気が乗らないけど訪ねてみよう。そう言えばかなり久しぶりかもしれない。こうやって霊夢の私室を訪ねるのは…もう何年振りにもなるのか。



「霊夢? 入るよ」

「大和さん? どうぞ」

「お邪魔しm……!?」

「こんな格好でごめんなさい、着替える最中なの」



襖を開けて入ると霊夢の姿が目に入った。ただしサラシ姿の、だ。サラシを捲いているだけなので、身体のラインが完全に見えている。と言うか、ほぼ裸。



「(大和自主規制モードハイリマス)」

「最近鬱陶しい霧が出てるでしょう? それの元凶を探しに行こうと思って着替えてたの……って、大和さん? どうかした?」

「い、いや別に……。着替えてるのならそう言ってくれれば良かったのにって……」

「……? 小さい頃から一緒にいたんだから見慣れてるんじゃないの? 別に私はどうとも思わないんだけど……流石に見つめられると恥ずかしいわ」

「あ、いや……ごめん」

「ううん、別にいい」



恥ずかしそうにモゾモゾとしだした霊夢に背を向けて……心の中で頭を抱えた。拝啓、ルーミアちゃん。貴方様が昔担当していたお世話は、僕がやっていたことになってますよ。でもそれ以上に驚きなのが、お兄さんはこの子のサラシ姿を見て動揺しそうになったけど、当の本人は何も思っていないんだ。これって喜ぶべきなのかな?



「それでも、だよ。それに、乙女の肌は簡単に人に晒したら駄目だからね。霊夢も注意するんだよ?」



一応注意はしておく。人前で肌なんか晒して、それが誰か男の目に留まってみろ。僕、久しぶりにその人を殺さなきゃならなくなる。そんなの嫌だからね?



「今の所は大和さん以外に見せるつもりはないけど、わかったわ」

「いや、僕にも駄目だからね?」

「はいはい」



そう言って巫女服を着ていく霊夢。見てないよ? 音で判断しているだけです。ちなみに香霖堂から調達したもので、脇を露出する新しい巫女服になっている。初めて霊夢がそれを着た時は霖之助君には酷い事をしてしまった。だって脇丸出しだよ? 下心丸出しで作ったんじゃないのかと勘ぐりもするさ、お父さんだし。



それにしても霊夢の…は……いや、何でもないです、ハイ。お父さんですからね、僕。スタイル云々よりも、羞恥心の欠片も無いこの娘の方が心配だ。嫁に行かせるつもりはないけどこれほどに器量の良い霊夢だ。何れは里のクソッタレの馬鹿共による争奪戦が始まるに違いない。まぁそうなったら……里から男はいなくなるだろうねぇ。ま、無駄なことは考えなくていいか。行かせないし。



「それよりも大和さん、頼みがあるのだけど」

「ん? 何?」

「今回の騒動の解決、手伝って貰えないかしら」

「……この霧のことかな?」

「ええ。私一人でも十分だろうけど、手伝って貰ったほうが楽になるだろうし」



どうやら、霊夢も漸く動く気になってくれたらしい。それも僕が望んでいた通りに、僕を連れて。これが霊夢にとって最初の、僕にとっては……。だからここで誓っておこう。前々から考えていたことを伝えておこう。……悔いの残らないように。



「霊夢」

「何かしら?」

「僕は君の盾であり、君の拳だ。助けを求めるのならどんなことをしてでも助けてあげよう。怪我をするのなら僕が。恨まれるのなら僕が。そして死が避けられないのなら、僕の命を代わりに差し出す」

「大和さん…?」


怪訝な表情を浮かべる霊夢。そでれも関係なく、僕は続けていく。


「僕は僕の全てを君に預ける。だから一つ、約束して欲しい」

「……何かしら?」

「僕を信じて」

「――――――わかったわ。私は、大和さんを信じる」



真っ直ぐにお互いの目を見ながら、そう誓いあった。―――さあ行くぞレミリア。君には悪いけど、負ける気がしないね。
















「お、霊夢は行ったな? じゃあ私も―――あ? なんであのへっぽこまで一緒なんだ? 足手纏いにしかならないだろうに。……まぁいいさ、私も勝手にやらせて貰うぜ」



二人の影を確認した魔法使いも、箒に跨って地を蹴った。不敵な笑みを浮かべながら…




~少女祈祷中~





一週間でストックなんて出来るわけないじらいです。前に出し過ぎたせいでストックはゼロ! 一週間に最低でも一話との目標はなんとか達成ですが、続きが無い…。


紅魔郷、始まります。でもその前に弾幕ごっこのルール説明を、とのことで輝夜さん登場。輝夜に膝枕? だれかクリスm(ry

大雑把にルールを言うとだいたい緋想天とか、そんな感じです。むしろ緋想天がいいです。ぶっちゃけ大和にとっては殴って蹴ってしか出来ないのでそんな感じで。魔理沙流に言うと『アレは弾幕じゃない』。



その魔理沙にはだいぶ苦しい想いをして貰おうと思ってます。扱いヒデェ…と思われる方もいると思います。しかし東方での努力系な魔理沙には辛い思いをしてもらい、頑張って報われて貰おうと思ってますので。魔理沙ファンの方には申し訳ないですが、飛鳥文化アタックは避けて貰いたいです。ここ、狭いですから(笑)

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