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東方伊吹伝  作者: 大根
断章:未来の子供たち
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欠片と友人と

タイトルは…ネタばれです



「やまと」


「なんだい霊夢、厠?」


「……おんぶ」


「よしよし、じゃあおいで。しっかりと肩を持つんだよ?」


「……ん」


「甘えんぼだなぁ霊夢は」



あぁ……生きてるって素晴らしい……。母さん、そりゃ貴方も自分の子供が好きにもなりますよ。今、僕はその気持ちを噛み締めてます……! こんな可愛い子、放っておけないもんね。



博麗霊夢は今年で四歳になる可愛い可愛い、それはもう可愛すぎる僕の娘。娘の後の(仮)なんてもういらない、この子は僕の娘です。


そんな霊夢が三歳になった頃、流石に巫女と妖怪が暮らすのは駄目だろうとルーミアちゃんが出て行った。出て行ったと言っても、神社が建っている山の山腹に家を構えたから直ぐに来れる距離にはいるんだけども。ご飯も毎回作りに来てくれているし。本人曰く通い妻。そこまでしてくれるのなら一緒に住んでいたら良いと思うんだけど、神社で暮らしているのは彼女の気分的にも良くないらしい。……妖怪だから? ちなみに霊夢が大きくなったらそれも無しらしい。



だから神社で暮らしているのは僕ら二人だけ。親子水入らず? 等と思っている。しかし、霊夢を育てている間にある問題が発生した。



それは霊夢が成長していくに連れて、嘗て僕が共に過ごした彼女とそっくりになってきたことだ。



そんな霊夢の姿を見ていると、僕は時々胸が苦しくなる。泣きたくもなるし、どうしようもなく愛おしく思ってしまったりもする。


霊夢は彼女よりも霊力は劣るし、性格も全然違う。僕に似て素直な子だからね。でも霊夢の顔立ちが、まるで彼女の生き写しのように見えて仕方が無い。時には霊夢と彼女がダブって見えてしまうこともあるくらいだ。それ程までに、霊夢と彼女は似過ぎている。外見だけなら、もはや同一人物と言っても過言ではない。一緒に過ごした僕が言うのだから、間違いは無いだろう。



このまま霊夢が大きくなると、僕は霊夢を零夢として扱ってしまうかもしれない。だからこそ僕は娘の後に(仮) を入れないようにした。そうじゃないと霊夢自身を見れないから。自分に線引きをすることで予防線を敷くことにしたのだ。



そしてこの子が五歳を過ぎたら、僕はこの子の前だけでは絶対に素の自分を出さないことに決めた。良い父で在りたいのもあるけど、他の人とは違う接し方をされているのだと気付いて貰いたいから。君と僕の関係は友人ではないのだ、と。なんならただの変な人くらいでもいいと思っている。……いや、やっぱり近所のお兄さんがいいかなぁ…。



とっとにかく、僕は霊夢をしっかりと育てる。その為には自分の意志なんか二の次、無視すべき事柄だ。心の中ではしっかりと愛して、表面上には絶対に出さない。今まで自分の為に巫女たちを見殺しにしてきた僕だ、自分を殺すことを苦だと思ってはいけないのだ。




「やまと、だっこ」


「はいはい」



でも今だけは、親馬鹿で居させてね。君の思い出の中には残らないようにするからさ―――




でもでも、霊夢が『どうしても』 お父さんとか大和兄さんとか呼びたいんなら吝かでもないけどね!!





◇◆◇◆◇◆◇




~アリス人形~



右を見たら人形。左を見ても人形。別にこの家には人形しかないわけじゃない。でも見慣れた西洋風の家具よりもやっぱり精巧に造られた人形に目が行ってしまう。



「うん、美味しい。相変わらず良い葉を使ってるね」


「そうね。でも幻想郷じゃ紅茶の葉は貴重だから……高いのよ」


「それをタダで飲ませてくれるなんて、アリスは人間の鏡だよ」


「勝手に入って来た人間の言う言葉じゃないわよ、まったく……」



最近になって漸くアリスとよく会うになった僕だけど、生憎と僕には霊夢の世話という仕事がある。アリス自身も忙しい僕を見てか、それとなく編んだ幼児服を渡して帰るだけなのでゆっくりと話をする機会が少なかった。



「あはは、でもアリスはもてなしてくれたじゃないか」


「ぅ……ま、まあね。私だって薄情な人間じゃないもの」


「霊夢の幼児服もね。ありがとう、助かってるよ」


「……どういたしまして。そう言えば、その霊夢は放っておいていいの?」


「今はお昼寝中。分身も置いてあるから大丈夫」



霊夢も少し大きくなったので、この際アリスとも親交を深めようと思った僕なのであります。まぁ遊び半分、お願い半分と言ったところなんだけどね。お願いと言っても、霊夢を育てている時にふと思ったことなんだけどね。あったら便利になるんじゃないかなぁ、くらいのどうでもいいことなんだけど。



「アリス、出来ればお願いがあるんだけど…」


「なに? 無茶なことは言わないでよ?」


「無茶と言えば無茶なんだけどさ…。アリスの人形を一つ貰えないかなぁ、と」



僕一人じゃ流石に家事はキツイからなぁ……。僕も魔力糸なら扱えるから、アリスみたいに人形を使って家事を分担でも出来たらいいと思っていたんだけど―――



「あの~……アリスさん? 何で僕は人形に槍を向けられているのでショウ?」


「……私もね、理解はしているつもりなの。それに貴方はあの大和だものね、人よりそういうのが多いのも当たり前よね。でも貴方、よくもまぁ本人を前にそんなことが言えるわ」


「へ?」


アリスは何を言っているんでショウ?


……よし、とりあえず落ち着け僕。突いてくる尖った物なんて目に入らないぞ、うん。大丈夫、僕ももう一児の父。何時もはここいらで自爆してきたけどそれは卒業しないとね。なんといっても一児の父だし。


とりあえず僕がアリスに何を言ったか? 内容はアリスの人形が欲しい。つまり、家事手伝いの人形が欲しい。誰が操るのか? 僕が操る。……何も問題ないじゃないか。



「だってアリス以外に人形に詳しい人は知らないんだから仕様が無いじゃないか」

「そう」

「うん、そう」


「一度死んどけ、この変態」




いったい何が悪かったと言うのだろうか。


ぼっこぼこに顔が腫れるまでタコ殴りにされました。しかもアリスは僕が等身大のアリス人形を使って、あーんなことやこーんなことをするつもだったと勘違いしていたらしい。


お人形遊びは趣味じゃないです、ええ。しかもその発想はなかった。アリスのエッチ。



腫れた顔のまま文句を言うと、目を泳がせながらそんな風に勘違いされる普段の行いが悪いと返された。


でも悪いことをしたと思っているからか、傷の手当てはしてもらった。結局人形はくれなかったけどね! 魔力糸の扱いが人形にあってないやらなんやらと言うから、じゃあアリス人形を頂戴と言っておいた。顔を真っ赤にしたアリスに今度は拳で殴られたけどね! 悔いはないね!




人形遣い:アリス・マーガトロイド。魔法と人形を用いた闘い方を主体とする技巧派魔法使い。


―――募集完了




◇◆◇◆◇◆◇



~見える背中~



「シッ!」


「ハァッ!」



剣術三倍段と言う言葉がある。無手の者などは剣を用いる者の三倍の実力を持っていなければ相手にならない、と言う言葉だ。ならば、今ようむを圧倒している相手やまとさんは私の三倍以上の実力を持っていることになる。


―――正直イライラする。


私だって昔に比べたら身体も成長したし、強くなった。料理の腕もかなり上達したと思う。それでも目の前のこの人には未だ手が届かない。拳撃と剣撃。武器を使う私が有利なのは明らかなのに、それでも届かない。しかも口元に若干の笑みを浮かべながら次々と私の剣撃を往なしていく。そんな顔を見ていると、どうにかしてその顔面に剣を叩きこみたくなる。むしろ叩きこませろ。



……決めた、少し無茶をしてでもやってやろう。



そう決めた私はすぐ傍に漂っていた半身を掴んで



「うおりゃぁああ!!」


「へ……うぉわ!?」



そのまま投げつけてやった。許せ半身、君も私なんだからちょっとは貢献してもらわないと。

そんな私の奇行を見て思わず大和さんは思わず声を上げて大袈裟な回避行動をとる。そこに私は今回の模擬戦で初めての好機を見た。一瞬の思考の内に左手の白楼剣を投げ捨て、代わりに桜観剣の鞘を持ち、その中に桜観剣を納める。



「斬り捨て御免!!」



そして抜刀術の要領で楼観剣を一閃! 狙いはもちろん顔面、と見せかけて首。その鬱陶しい顔を飾り物にしてやる! と思っていたけど辛うじて逃れられた。けれど残念、私にはまだ左手が残っている!



「ふん……だあッ!!」


「ッ鞘!? ……っ~~~~!」


「一撃……確かに入れましたよ?」



楼観剣とその鞘による二段抜刀術。魂魄流ではないけど、私なりに考えて創り出した一撃。タイミングはばっちしだったにも関わらず、顔面ギリギリの所で神速の鞘は大和さんの腕に止められた。おそらく制空圏の恩恵なんだろうけど……厄介な。もう少しで顔面を殴打できていたのに……。



「ギリギリ! ギリギリ掠っただけ! だからノーカウント! ノーカウントだよ妖夢ちゃん・・・・・

「約束通り一撃入れたじゃないですか! 妖夢ちゃんは止めてください!!」

「いーや今のは掠っただけだね!」

「掠ったのも当たり判定です!」

「それなら何人もピチュってるね! だからノーカウント!」

「そんなの私は知りませんよ!」



私が一撃入れたら妖夢ちゃんではなく、妖夢と呼んで貰う。模擬戦の前にそう言われたから頑張って一撃入れたのにこの始末、どうしてあげよう。



「妖夢妖夢~、あまり大和さんを苛めないであげてね~。彼、貴方に追い詰められて切羽詰まってるから~」


「な! 西行寺さん、僕は切羽詰まってないです! よゆーですよ、よゆー」



大和さんは手をカクカクとぎこちなく動かして余裕のアピール? をしているのだけど……正直それが本当かどうか解らない。まぁ……大和さんのことだから本当に余裕なのかもしれないけど。なんせ私が最初に立てた目標だ、数十年で追いつかれて貰っても困るもん。



「まぁいいですけど。師から受け継いだ技ばかりで私みたいにオリジナル技を生み出さない大和さんなんて、もうすぐにでも追い抜きますから」



だからちょっと挑発しておく。簡単に私に追いつかれないでくださいね? と。



「……そう、だね。オリジナル技か……砕月もそうだったし、久しぶりに頑張ってみるか……。妖夢ちゃんの言う通りだね。師匠たちの技だけじゃ師匠たちを超えられない。自分だけの技を創らないとね!」



深く考え込みながらブツブツと、あーでもないこーでもないと思案している。……要らないことを言ったかもしれない。これでまた一段と背中が遠くなるかもしれない。そう思ったけど、何故か私は大和さんが強くなるかもしれないと思うと嬉しかった。


でも絶対に追いつく。今回のことで少しは背中も見えたことだし、私だって出来るはず! 見てて下さいおじいちゃん、幽々子様。私は頑張ります!






















「ホントにあぶなかった……。妖夢ちゃんめ、滅茶苦茶強くなってるじゃないか。あまりの成長と実力に僕ももう笑うしかなかったしね…。実際に一太刀入れられたし、正直苦しかったからなぁ。―――もう一度鍛え直そう。言われた通り、オリジナルも含めてね」




幽人の庭師:魂魄妖夢。楼観剣と白楼剣の二刀を使う剣格


―――募集完了




遅くなりましたじらいです。まぁこれからはこのスピードになるかもしれません。話も佳境に入って来ますし、後のこと考えると下手な進行は出来ないので。頭の中で展開を妄想してたら遅くなりましたw お陰でネタ帳と称したメモ帳texが埋まる埋まる…うへぇ、全部は出来ませんよorz もちろん奇跡の魔法やらなんやらも考えてますが、未だに最終決定じゃないんですよねぇ…。大方は決まっているんですが。


タイトルはネタばれ、本編にも完璧にネタばれが入っています。正直なんにも無しに奇跡の魔法を展開だ! 大和最強だ! ヒャッハー! な感じでもいいじゃないか私も疲れたよ…と弱音を吐く頭に喝入れてます。出来ればこれからは熱い話にしたいですね。


次回は魔理沙編。出会いから始まる男女の第一種接近遭遇まで…第一種接近遭遇って何です? とりあえず魔理沙編(小)です。

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