表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方伊吹伝  作者: 大根
断章:未来の子供たち
136/188

子育て最前線

子育てなんて、したことないです。



~母、地下にて衝撃す~



「萃香よ、ちょっといいかの?」


「なんだい大将? 今日は暴れずに静かにしてるよ」


「ならばそのまま暴れずに聞いてくれるかの。……大和が子育てをするらしい。元気な娘じゃと」


「…………………………ゑ?」




萃香おばあちゃん、暴走開始。





◇◆◇◆◇◆◇





~博麗神社~



藍さんの言っていた通り、博麗神社にはもう巫女の姿はなかった。つい先日、と言っていた通り、境内も母屋も綺麗なままだったので大規模な掃除をする必要はなくてよかった思う。でもその巫女さんがどんな人で、どんな人生を送ったのか。何故亡くなったのかは知らない。そう思うと、なんだかやるせない気持ちが沸いてきた。



「……ありがとう。そしてごめんなさい。僕は自分の為に、君たちを見捨ました」



賽銭を入れて祈る。こんなことをするのは場違いな気がするけど、それでも祈らずにはいられなかった。例えそれが何もしなかった自分を擁護するためであったとしても。



「……ご主人さま」



そんな僕の心境を察してくれていたのだろう、ルーミアちゃんは僕の祈りが終わるまで待ってくれていた。現状で一番僕のことを理解してくれている子だ、僕が何を思っているかくらい分かってくれているのだと思う。


でも暗くなるのはこれでおしまい! 今からはやることが沢山あるからね。一番忙しいのは引っ越しかな? まぁ収納用の魔法があるからなんとか半日で終わるだろうけど。でも便利だねー魔法。なんでも修得してみるものだよ。



「じゃあとりあえず、子育て頑張っていきますか!」


「うん! あ、霊夢のお風呂と下穿きの取り換えは私がするね」


「なんで? 僕だって練習すればそれくらい出来るよ」



むしろ出来なかったら駄目だろう。霊夢の父(仮) としても、一人間としてもいろいろと。むしろこの子の為ならお父さん、どんなことでも張り切っちゃうつもりなんですよ?



「見ちゃ駄目なのだ」


「……ルーミアちゃん? 僕、大人。霊夢、赤ちゃん。そして僕、お父さん(仮)。OK?」


「だ め。見たらご主人さまを食べるよ。封印解いて、抵抗出来ない様に影で縫い付けて食べるよ?」


「そ、その程度で責任あるお父さん役は引けないのです!」


「……じゃあ本人に聞いてみるのだ」



笑顔でにじり寄ってくるルーミアちゃんのプレッシャーに耐えつつ、何とか父としての最終ラインの防衛戦で踏みとどまる。コンチクショウめ、お札リボンをちょっと緩めるなんて味なマネをしおって! 背中の霊夢が泣いたらどうしてくれる!



「霊夢はご主人さまにお風呂入れて貰うのかー?」



そんな僕の心配とは裏腹に、ルーミアちゃんは背中に背負われた霊夢の頬を突きながらそう聞いた。はは、流石のルーミアちゃんもまだ赤ちゃんには疎いようだね。まだ一歳にもなってない赤ちゃんがハイかイイエを聞かれて答えられるわけが……



「おぎゃぁああああああああああああああああ!!」


「…………」


「……どんまい、なのだ」



肩に手を置かないで。なんだかとっても切なくなるから……はぁ





◇◆◇◆◇◆◇





大掃除をする必要がないとはいえ、赤ちゃんには清潔な場所で育ってほしいと思うのは父親として当然のこと。そう思ってお掃除専用魔法を全力で母屋全体に掛けた翌日の朝。生活魔法は得意な僕だけど、建物一つ丸ごととなると中々に疲れました。


なのでちょっと三人で川の字に寝転がっていると、いろいろと心配性な慧音さんと、意外と世話焼きな妹紅がやって来た。慧音さんからは子育ての経験のある母親たちからの経験談が聞けて、とても有意義な時間が過ごせた。妹紅? ルーミアちゃんと二人で霊夢の相手をしてました。……いったい何しに来たのさ。



そこで慧音さんに教えて貰った一つが『育児日記』 と言うもの。文字通り、赤ちゃんの成長を記録するものだ。何でも親たちはこれを見て我が子の成長を数値でも確認するらしい。あんなだったこの子もこんなに大きくなって……と言える日が来るように、僕も頑張って付けていこうと思う。





◇◆◇◆◇◆◇




~初めての御引越手伝い~



3日ぶりに家に帰ってみると、何故か人形たちが部屋を綺麗に掃除していた。アリスの人形がなんで? と僕は不思議がっていたけど当の本人の姿は見当たらず。頭を捻っている僕とは違って、背中に背負った霊夢はそんな人形に興味津々の様子。きゃっきゃっと笑って何やら満足気にぶぅーと唸ってみたり。


そんな我が子(仮) のあまりの可愛さに悶えているとお尻に激痛が走った。オウッ!? と思わず跳ねてしまうと、霊夢の笑い声は更に大きくなる。そうかー僕が蹴られて楽しいのかー……。


赤ちゃんの笑いのツボはよく解らないね。まぁ可愛いからいいけど。とりあえず僕を蹴ったと思われる犯人には抗議をしておこう。蹴った犯人は分かっているからね。一緒に引っ越し作業をしているのはルーミアちゃんしかいないから。お尻を抑えながら振り返ってみると頬を膨らませて不満げな顔。どうしたのかと聞いても無言で、必要な家具・食器類を淡々と外に運んでいる始末。そんなちょっと気不味い雰囲気の中で引っ越し作業を続けていると、アリスが現れた。



「あら……もしかして、おめでた? 相手はルーミアね?」


僕の背中を見て一言。


「残念ながらお相手がいないよ」


「別に隠さなくてもいいじゃない。隠せない証拠もあるんだし」



私には理解出来ないけど納得はするわ、この変態ロリコン。まるで汚物を見るような目で僕を見てくるアリスに仕返ししてやろうと思ったけど、やめておいた。何と言っても霊夢が見ているのだ、悪い影響は与えたくない。この子にはお淑やかに、周囲を煩い人達に囲まれた僕のためにもお淑やかに育って貰いたいのです。


でも説明しても相変わらず冗談を言う人にはお仕置きも必要。なので出来るだけ見えない様に、魔力糸を放ってあげた。けど駄目だったよ、アリスの方が糸の操る技術は何倍も上でした。魔力糸で防御魔法描くなんてどれだけ器用なんだよ。……ちょっと練習してみよ



「あ、一応聞いておくけど、ただいまお母さん募集中です?」


「顔をあらって出直しなさい」



少しくらい考えてくれてもいいと思います。




◇◆◇◆◇◆◇




~夜泣き朝泣き~



引き取ってからはずっと霊夢に付きっきりの生活。初めての事ばかりで手探りで進めて行くしかないため、何事にも手を抜いたり集中力を切らせたりは出来ない。そんな日が何日、何週間も続くと如何に妖怪や魔法使いといった人外でさえ、身体はともかく精神面での疲れは隠しきれない。時刻も草木も寝静る丑三つ時を過ぎ、当然のように僕らも床についている。しかし、赤ちゃんにはそんなこと関係ないのだ。



「ぅgぇあ、ぅgぇああ! おぎゃあ、おぎゃあ!!」


「―――はいはい! なんだい霊夢、よーしよし。ミルクか~? それともおねしょかな?」



泣き声が聞こえてきた跳ね上がる直ぐに起きる。


精神面での疲れは隠しきれない? 普通ならそうだろうね! でも残念、僕には通用しないのだ。疲れは溜まってるよ? でもこの程度でどうこうなるようなら輝夜の相手なんて出来ません。あの我儘姫様に昼も夜もないのだから。須臾を生きる私に時間なんて関係ないわ、とか言ってたけど僕の時間にそんなものないと思った蓬莱島での日々。それに比べたら何のその、しかも今回は僕が育てている子供相手だ。疲れたとしてもそれを理由に逃げたりなんて出来ない。



「下穿きは濡れてない。と言うことは……ミルク? じゃあ作りますか!」



とりあえず、今はこの子を立派に成長させる。紫さん? ……魔法の完成を急ごうか。





◇◆◇◆◇◆◇




~仙人と記者と忠犬~



「この子が噂の赤ちゃんですか。この年にしてこの霊力、中々育てがいがあるわね。どうです? 大きくなれば私に一度預けてみない?」


「大和さん、その子とのツーショットを撮らせてもらっていいですか? もちろん特別号として特集記事で出しますよ! ……見出しは『あの伊吹萃香の息子に赤子が!? 相手はいったい誰だ!?』 で行こうかしら。ふふふ……次回の新聞大会は頂いたも同然ね」


「あ、もう。耳を触るなと何度言えば………むっ胸は駄目! 胸はもっとだめぇッ!!」


「ねぇご主人さま……ここって神社だよね? こんなに妖怪がいていいの? 参拝客とかいないけど大丈夫なのかなぁ」




上から華扇さん、文、椛、ルーミアちゃん。そして霊夢はと言うと、赤ちゃんは初めてだという椛が抱き上げられている。霊夢はそんな椛のフサフサな耳を楽しそうに触ってた。まぁ……確かにフサフサだからなぁ。そしてその次は……うむ、形容しがたいでござるな。霊夢そこ代わt……何も言ってないヨ?



でもルーミアちゃんの言う通り、参拝客が全然来ないんだよね。まだ赤ちゃんだけどちゃんと巫女はいるのに。――――――と言いますか、皆さんここで何してるんだよ。最近は何もなくて暇を持て余してるのはなんとなく理解できるけど、それでも仕事とかあるだろうに。



「貴方を観察するのが私の仕事よ」


「新聞作るのが仕事ですよ?」


「わ、私は無理やり文さんに連れて来られてぇ……やぁっ、もっもういい加減に……! い、いえ! 大和様に会うのが嫌とかじゃなくてですね!」



見ない、知らない、妬まない。椛の膨らみに頭を埋めている娘(仮) が羨ましいだなんて、お父さんはちっとも思わない。煩悩は退散されるべきなのです……煩悩退散、煩悩退散!!



―――ふぅ、とりあえず此処に来ている人は全員暇らしい。最近は妹紅やアリスなんかもよく来るしなぁ……暇なんだろう。幻想郷全体が暇を持て余してるように感じる……まぁ嵐の前の静けさなんだろうけどね。


それにしても霊夢大人気、お父さんはとても嬉しいです。でも僕としてはアリスはともかく、柄の悪い妹紅の影響を受けないかが心配でならないんだけども。



「あ、そう言えば大将から伝言があったわ」


「大母様から?」



珍しい、と言うか帰ってきてからは初めてじゃないの? 地下に潜ってからは全然連絡の取りようもなかったからなぁ。



「ええ。なんでも『萃香が暴れて止まらない。手紙でも何でも書いて事情を説明しろ』 ですって」


「うわぁ……。でも、何で母さんが?」


「貴方に仮とはいえ娘が出来たことを知ったからでしょう」


「――――――ちなみにそんな迂闊なことをしたのは……?」


「私よ? 賑やかになっていいじゃない」



――――――まっまあ、僕も一人立ちしてるし? お、大人だし? こっ子供の一人や二人くらい居てもおかしくないし? かかかkっ母さんのゆゆ許しを得てないけどッ、別に大丈夫だろうしっ!?



「『軟禁・監禁程度は覚悟しておくように』 との伝言もあったわ」


「――――ちょっと紫さんに頼んで幻想郷から脱出させて貰ってくる」



決意して立ち上がるとルーミアちゃんと椛に止められた。ええい、離してくれ! 怒った時の母さんは本当に怖いんだ!! あの拳骨をもらったことのある人なら誰だって逃げ出したくなるよ!!



「なんで!? もう僕も大人だし、自立してるんだよ!?」


「落ち着きなさい大和。例え話をしましょう。霊夢が大きくなって結婚相手を連れてきました。さあどうする?」


「不殺を誓った僕の拳にも血がこびり付くだろうね……はっ!?」


「ま、そう言うことよ。良くも悪くも、貴方達は似た者親子ということ。諦めなさい」



カエルの子はカエル。つまりはそういうこと。





◇◆◇◆◇◆◇




~熱が出て~



「ルーミアちゃん新しい手拭持ってきて! あ、あと毛布も!」


「わかったのだ!」



霊夢が原因不明の高熱に襲われた。最初は元気がないだけだと思っていたけど、半刻も経たないうちにぐったりとしてしまった。まさかと思っておでこに手を当てると、異常なまでの熱さだった。そこからはもう大変、何をしたらいいのかさっぱり解らない僕らは今も慌てふためいている。今までに出来たことと言えば、汗を拭いてあげただけか。



「毛布と手拭なのだ!」


「よし、じゃあ毛布で霊夢を包んで……」



医療の知識がない僕に原因不明の病気への対処法なんて解るわけがない。だったら解る人のいる所まで連れて行く!



「師匠の所まで行ってくる!」


「外は寒いのだ! 毛布から出しちゃ駄目だよ!!」


「わかってる!」



====⇒永遠亭




「師匠!!」


「……大ちゃんと―――急患ウサね。ししょー、大ちゃんが急患を連れて来たよー」



永遠亭の扉を開けてそう叫ぶと、すぐにてゐちゃんが飛んで来た。付いて来い、と言われ、てゐちゃんの後を少し小走りしながら付いて行く。その間にも霊夢は苦しげに唸っていた。


廊下を急いでいる中で、てゐちゃんは僕への小言を多く漏らしてくる。なんでも僕が近づいて来ていることを察知した師匠たちは持て成しの準備を始めていたらしいんだけど、僕の魔力や気の波長が大きく揺らいでいることに気付き、急遽それを中止。僕の近くから霊力も感じたことで戦闘準備に入っていたらしい。それがいきなり助けてと言われたのだからもう大変。今頃は大急ぎで受け入れ準備をしているのだろうとの事らしい。


つまり、御馳走を食べ損ねたと言うことらしい。



「その子が患者ね、大和」


てゐちゃんの後を歩き続けていくと、部屋の前で師匠が待ってくれていた。目の前に居るのは僕が絶大の信頼を寄せている『師匠』 だけど、それでも僕は聞かざるを得なかった。



「は、はい! ……師匠、霊夢は大丈夫ですよね……?」


「この程度なら大丈夫よ。一歳になるまでの幼児なら誰でもかかるものだから……ほらほら、そんな泣きそうにならないの」



よかった……本当によかった……。師匠のお墨付きを貰えて安心してしまったからか、僕はその場にしゃがみ座り込んでしまった。はあぁぁぁぁ、と大きく溜息を吐きながら天井を仰いでいると、



「お久しぶりです、大和さん」


「レイセン……だっけ、久しぶり」



誰かと思えば、僕が永遠亭に引き渡した顔が逆さに見えた。憶えていてくれましたか、と苦笑する彼女に僕も苦笑で返した。あはは、えへへ、と会話が繋がらないためにお互いの顔を見て笑うだけなんだけど、なんだか悪い気はしなかった。むしろ和みます。



「今は鈴仙・優曇華院・イナバと言います。鈴仙って呼んで下さい」


「うん、わかったよ鈴仙」


「優曇華、早く来なさい。赤子に対する治療法を実践するから」


「あ、はい。じゃあ大和さん、また後で」


「うん。霊夢をよろしくね」



にこっと、それこそ華が咲くような笑顔を見せてくれた鈴仙はとても可愛かったです、はい。新しい心の清涼剤を見つけてしまったかもしれません。そうぼへぇー、と天井を見続けていると、何だか顎の先がチリチリしてきた。見られてる。メッチャ見られてます。顎に凄い視線がキテマス。



「久しぶりね、や ま と?」


「や、やぁ輝夜サン。本日もご機嫌麗しゅう……」



そうだと思ったよ。輝夜だと思ってましたとも。だってもう彼女しか残って無いんだから! でも僕、一度本気で迫られてから輝夜のことを思いっきり避けてるんだ。とにかく会わないように、そう思いながら行動を続けてきた。仕方ないじゃないか、あの感触とかこの感触とかが甦ってこられたら僕だって辛いんだから。



「ねぇ大和、あの子は貴方の実の子供?」


「ち、違うよ? あの子は僕が預かっただけだよ?」



何も疚しいことはないはずなのに、何故か悪いことをした気持ちになる。いや、させられている。僕が逃げ出せないように太股に手を添えられて上目遣いなんてされたら、誰だって意識してしまう。しかし、だがしかし息子よ、お前は御呼びじゃない。


(息子:呼んだ?)


(大:呼んでない!!)


「ずっと私の事避けるし、永遠亭には来ないし……。―――寂しかったんだから。どうせあの子も今日一日は永琳が面倒を見るでしょう。だから今日一日は私と一緒にいなさい。それで一緒に寝ましょう。なんなら今夜は前の続きをしてもいいわよ?」



そのまましな垂れ掛ってくる輝夜にどぎまぎしながら、今夜も一晩耐久の我慢大会が始まるのかと思うと顔が歪んだ。それはもうはっきりと。それに気付いているはずなのに輝夜は引いてくれない。……何で僕なんだろうね、本当に。


結局その日一日、輝夜と囲碁や将棋をして夜には無理矢理同じ布団に沈められた。僕は貝、貝なんだと堅く自分を律して一夜を耐え抜きました。……等身大抱き枕的な扱いだったと思います。詳しくは憶えてません。





◇◆◇◆◇◆◇




~名前を呼んで~



霊夢が1歳を過ぎて自分で歩けるようになってからも、僕らの生活は霊夢のための生活一色だった。でもね、霊夢が自分一人で歩いた時は号泣しました。隣のルーミアちゃんが引くくらいに泣いて喜んで、その日一日は赤飯を炊き続けた。


そして今日は霊夢の初めての人里訪問。転ぶことは多いけどしっかり歩けると判断した僕は、霊夢の人里訪問を立案した。自分がこれからどんな場所で生きて行くのかを勉強させる意味も込めて、これからはどんどん外へ連れていこうと思う。友達は多いほうがいいからね。



そして里前で待っている慧音さんと妹紅に合流してゆっくり、霊夢の後を付いて行っているとある事件が発生した。



「やあと」


「「「………ゑ?」」」



あっちへふらふら、こっちへふらふらとしていた霊夢が振り返って突然何かを言った。何時もの喃語かな? と思ってみるも、なんだか知っている単語のように聞こえた。



「やあと、れむ。やあと、れむ」


「やあと…? やあと……やまと、大和!? 霊夢、いま大和って言ったの!?」



にひぃ、と笑顔を見せる霊夢に僕は確信した! この子は今日! この瞬間! 僕の名前を呼んでくれたんですよ周りの皆さん! どうです家の子、犯罪的な可愛いさでしょう!?



「やあと、れむ」


「『れむ』 は『霊夢』 のことか。うんうん、えらいぞ霊夢。大きくなったら私の寺子屋で勉強しような?」


「……」


「む、無視か。では霊夢、私の名前を言ってごらん? けいねだ、け い ね」


「やあと」


「……」


「……フッ」



名前を呼んでくれなかったことが余程ショックだったのだろう。慧音さんは地面に手をついて項垂れている。反対に僕は鼻で笑える程の余裕立ち。『けいね』 ではなく『やあと』 だったからね。お父さんの完全勝利です。



「はは、慧音は嫌われたな。勉強とか言うからだぞ? ……ぅんん゛。霊夢、もこうだ、も こ う。もこでもいいんだぞ……?」



しゃがみこんで霊夢にそう言う妹紅の顔からは溢れんばかりの期待が見てとれる。妹紅が隠れ乙女だとは何となく気付いてたけど、まさかこれ程とは……。妹紅に娘が出来た時にいったいどうなるのか、ちょっと気になるぞ。



「やあと!」


「……霊夢、『もこ』 だ。『もこたん』 でもいいんだぞ?」


「やあと! れむ!」


「……おい大和」


「なに? もこたん」



そんなに睨まないでよ。怖いよもこたん! でもそんな君が新鮮でとても可愛いよもこたん! 胸倉掴まないでよもこたん! 苦しいから!!



「……しつけは、しっかりな」


「これが成果です(ドヤ」



その後はもっこもこになるまで焦がされました。調子に乗りすぎちゃったけど、悔いなんてない。むしろこの傷は名誉の負傷ダ☆





赤ちゃんがどう行動するのか解らないので、ほとんど妄想でお送りしたじらいです。キモイ? 申し訳ないですorz 今回ばかりは全力で謝ります。自分の経験したことも多分に含まれていますが、まぁ突っ込みどころ満載です。二度と赤ちゃんの話なんて書くものか…。


さて、結局空く空く詐欺になった私でございますが、次回からはおそらく霊夢3か4か5歳くらい。…適当だなオイ、との突っ込みはいりません。でも霊夢の話にはたぶんならないと思います。妖夢(大)・アリス・魔理沙(小)・紅魔館@咲夜(小)。書きたいネタは沢山あるのですが、それを全部出すことは出来るのやら…。こうやって次に何をするか書いておかないと直ぐ忘れてしまいますからね、私は。ではまた次回

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ