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東方伊吹伝  作者: 大根
第七章:未来を見据えて
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久しぶりに見る顔

日常編なんて、キャラ崩壊しまくりですorz



あの後、霧雨魔法店で適当な物を買った僕らは、本来の目的地である紅魔館へと足を進めた。



あそこの店主である一郎さんはあまり良い売り物がないと言っていたけど、店を訪れた僕にはそうは思えなかった。と言うのも、確かに置いてあるもので実用的なものは少なかった。しかし魔術的価値の高いものや、魔力そのものが込められた魔道具…アーティファクトなんかが並べられてあったから驚きだ。こういった物に疎い僕には解らないけど、パチュリーなんかが見たら発狂するものもあったのかも…。いっそ連れ出して鑑定会でも開こうかな…?




そう言うわけだから早急に実用的な売り物が欲しい、一郎さんにそう再び催促された。



僕、本当に作ったことがないんだけど…。そう言っても、前に無縁塚で拾ってこなかったこともあって断りきれなかった。今日は紅魔館に行くし、せっかくだから魔道具の製作関連の本でも探そうかと思っている。…適当に掃除用の魔法が付加された箒の作り方の本でいいよね…?




「でも、レミリアと会うのも久しぶりだなぁ…」


「妹さんは来たけどその時は放心状態だったし、姉は来なかったからねー」


「私も召喚されたばかりで新生活に忙しかったですから、その辺りの事はよく解りません…」




情けないことながら、フランやパチュリーにも迷惑掛けたからなぁ。でもレミリアだけは来なかったんだよね。余りにも情けないから見切られたのかと思っていたけど…そうじゃなくて良かった。ま、アルフォードの奴なんかは今日の顔合わせでぐだぐだ言うだろうけどね。それでも今日は目出度い日だ、蟠りなく過ごせたらいいとは思うよ、うん。







「だから今日は大人しくしているつもりだから安心してくれていいよ、美鈴」






目の前に立つのは紅魔館の門番、紅美鈴。食い逃げ犯とその追手、しかしその追手も実は食い逃げ犯だった経歴を持っていて…そんな馬鹿らしくもおかしな出会い方をした僕たち。一緒に働いて、一緒に旅して、そうしている間に僕らは紅魔館に辿り着いた。



それから辛い時も苦しい時も、果てには戦場でも背中を預けた武の先達。今は別々に暮らしているけど、それでも大切で頼りになる人。それが僕にとっての紅美鈴だ。






「そう言って安心出来る日がありましたか? 私たちが紅魔館で働きだしてから、一日でもそんな日があれば良かったと今日も一日思考を巡らせていた所なのに…。まぁいいです、それが貴方達の仲ですから」


「僕はあいつが大嫌いだけどね」


「はいはい、解ってますよ。では中にお通ししましょう」






だから何気ない会話も、すごく楽しく感じれる。







◇◆◇◆◇◆◇






「今夜の為の特別メニューは執事長クラウスに頼んだし、パーティードレスも着こんだ。ベッドメイキングも完璧…よし、後は待つだけね」




パチェの助言を受けてから数日、私は図書館で参考文献を漁り回っていた。パチェが呆れた目で私を見ていたけど、私にしてみればとても重要なこと。吸血鬼と人間が、その…子を為す方法、とか…。



幸いにもお母様の研究結果やここの蔵書にはそういうものもあって、私の知識はほぼパーフェクト。絵や文章を見ても最初の頃とは違って気絶もしないし、鼻血も最小限に抑えられる。隣で料理書なんかを眺めていたフランなんて目じゃないわ。




ふふ、貴女も大和を狙っている節があるようだけど、ここは姉の勝利ね。なんせ私は大人の階段を…おっと、鼻からまた…。





図書館でもそうやって優越感に浸っていた時に、私のリードを手助けしてくれたパチェがやって来た。なにやらフランに話があったらしい。最近はフランもパチェに助言を受けているようだけど、流石は私の親友。私に花を持たせる為に上手く誘導してくれているようだ。




『フランドール、調子はどうかしら?』


『初めは難しかったけど、今では妖精メイドにも手伝ってもらって少しは美味しく作れ出したよ!』


『それは良かったわね。…どこかのお嬢様は話を聞かないどころか、暴走した挙句に不埒な蔵書に手を出しているみたいだけど』


『あはは、だってそのお嬢様は、大和が絡む時は何時だって全力で間違えてるからね。そこが可愛くて好きなんだけど』


『同感ね』





フフ…そう褒めて貰っても何もでないわ。この紅魔館の当主、レミリア・スカーレットはカリスマ意外は出ない仕組みになってるの。思い出すだけでも自らが誇らしいわ…ふふふ…ハーハッハッゲホッゲホ!? う~、カリスマが溢れ出過ぎて咽ちゃったじゃないの…。




ええい、遊んでいる暇はないのよ。大和が来るまでにもう一度確認しておかないと…





「身体は念入りに洗った、魅力溢れるドレスも来た、部屋には埃一つない、ベッドメイキングも完璧、溢れだすカリスマはもはや止めることすら出来ない。…よし、後は私の頑張りしだいよ、レミリア」






そして全ての知識を得た私は今日、紅魔館の新しい主になると同時に運命の伴侶を得る。そう、これは決められた運命。未来を視る力を持つ大和は、その意志一つで未来を変えられるから捕まえることは困難。でも私は更にその上を行くわ! 今日ここで、私と大和の運命は一つになるのよ!





「伊吹大和様御一行、到着!」




美鈴の声が私の耳に聞こえてくる。ふふ、未来の旦那様が漸く来たのね…。明日から自分の物になる城に帰って来たのだから、そのワイフとしては迎えない手は無い。




優雅に余裕を持った立ち振る舞いで、私は大和が来るのを待った。あの扉が開く時、私の新しい生活が始まる。あの運命の出会いから今日これまで、自身を姫、彼を王子として何度夢を見たことか。何度枕を濡らしたことか…。だけど夢に見るのも今日でお終い、私が見た夢が現実になる時がきたのだ。




扉がゆっくりと開く。ここは可愛らしく、大和の知っているレミリアで挨拶しようかしら? そう思ったけれど、『今は』 まだ私が紅魔館の当主。ならば私は当主らしく、気高い立ち振る舞いをしましょう。でも、明日からは貴方が私のご主人様よ…もうっ、何言わせてるのよ!




「よく来てくれた。紅魔館の新しい主として歓迎s…………………やまと、そのとなりのこ、だれ…?」


「わたしはね、ルーミアって言うの。大和の妻だよ、よろしくー」


「………………………は?」




彼の手を握る小さな子供が言った一言を、私は直ぐには理解出来なかった。





◇◆◇◆◇◆◇





「やまと、そのとなりのこ、だれ…?」




能面な顔でそう聞かれて思わずちびってしまいそうになった大和です。扉を開けたらお化け屋敷のお嬢様が御出迎えってどんな罰ゲームですか? 見てよレミリア、小悪魔さんなんか恐怖のあまり固まっちゃってるじゃないか。きっと隣の僕も、それは素敵な表情を浮かべていると思うよ?




「わたしはね、ルーミアって言うの。大和の妻だよ、よろしくー」




ダウト。そしてアウト。なんだか良く解らないけどこれは非常に不味い状況だと、数多くの修羅場を超えてきた僕の本能がそう告げている…! 次の一言、どちらにも何も言わせてはならない。本能からそう思った。僕から誤解を解かないと、明日の朝日を拝める気がしない…!?





「あー…レミリア、この子は「今は一緒に住んでるよ」 もう、馬鹿だな~ルーミアちゃん。君はただ「本当なの…?」 「嘘偽り無しの事実だよ。ね? ご主人さま」 さて、と…パチュリーはどこかな? 相談したいことがあるんだけど」





まだ死にたくない、まだ死にたくないよ! 僕を見つめる二人の視線が怖い! どうしてこんな殺伐とした空気になってるの!? 僕はただ、レミリアの御祝いに呼ばれて来ただけなのに!?




「ウフフ…ねぇ金髪、貴女一回死んでみる…?」


「あはは、余りおいたが過ぎると早死にするよ?」


「大和さん、敵前逃亡は武術家としての死ですが、ここは逃げるべきだと私の直感が訴えてます」




同感だ。僕の武術家としての勘も直ぐにここから逃げ出すべきだと訴えている。でもこれは生きるか死ぬかの生存戦略。




『勝てない相手と遭遇した時には逃げる。それもまた闘い』




師匠達もそう言ってたじゃないか。今ここで動かなければ、僕に明日は無い。だからこれは逃げるんじゃない、逃げるんじゃないんだ。これは……明日への逃走だッ!





「ヤーマトーーー!」




未熟な我が身の不甲斐無さに悔み、絶望に満ちたこの世界から逃れようとする僕に救いの女神の声が聞こえてきた。それはまるで、光を知らない世界を優しく照らす一筋の希望。必死に飛んで来るその姿が、僕の目にははっきりと見えている。天使のような笑顔を浮かべ、髪を靡かせて飛ぶ姿が。その姿が七色に煌く翼と相なって、彼女と言う存在を更に幻想的に見せる。




ああ、生きててよかった……




懸命に伸ばされた小さくも儚い救いの手を、僕はしっかりと自分の手で―――――――――






「浮気なのか?」


「それは、紛れもなく浮気ね…」







―――――――掴み損ねました。








◇◆◇◆◇◆◇







「それでそんな恰好なわけね。…一言言わせて貰ってもいいかしら?」


「パチュリー様、大和さんもへこんでいるので軽めで…」


「ボディーブローはもう勘弁願いたいです、はい」


「…よくもまぁ、そんな祝日のパパみたいな姿になったものね」


「じゃあ奥さんはパチュッて痛いから!? 左右の二人、本気で痛いから!?」


「このぺド野郎。百年早い」


「いろいろと限界だよねパチュリーさん!?」






現在の僕の状況は混迷を極めている。少しでも解って貰うために説明をすると…右手にレミリア、左手にルーミア。合成する場所が無かったために肩車でフラン。小さい子に手を繋いで許されるのは祝日に遊びを催促されたパパさんだけです。間違っても知らないお兄さんに付いて行っては駄目ですよ?





「そう言えば、アルフォード様は何処に?」


「もうすぐ来るはずだと思うけど…。貴女達もそろそろ離れなさいな、前当主が来るわよ」


「パチェの言う通りね。貴女達、そこを退きなさい」


「年功序列と言う言葉を知らないのかー?」


「ヤマト、今日の料理はフランもお手伝いしたんだよ!」


「そうかーフランはえらいなー」


「えへへ、いっぱい食べてね!」





楽しみだなぁ、フランの料理。本当に楽しみだよ…。…僕、口にすることできるかなぁ……。





「…っと、嫌な気配がしてきた。皆離れて、あいつが近くまで来てる」


「…何をしている」


「Speak of the devil…噂をすれば影、か。諺と言うモノは良く出来てるよ」


「フン…貴様の顔など見たくもなかったがな」


「僕のセリフを盗らないでもらいたいね」





紅魔館の前当主、アルフォード・スカーレット。僕が初めて紅魔館に訪れた時、誤解によって始まった戦闘の張本人だ。通称親馬鹿、そしてヘタレ…だった癖に、大戦が終わって幻想郷で再会してからは一段と偉そうになった。




…僕のせいかもしれないから、あまり強くは言えないけど…。




でも、やっぱり僕はこいつが嫌いだ。理由は知らないし、言いたくもない。でも嫌いなモノは仕方が無いよ。あいつも僕を嫌っているし御相子だよ、御相子。





「旦那様、食事の準備が出来ました」


「ご苦労だった、クラウス。下がって良いぞ」


「畏まりました」





その影からス―――、と一つの影が現れた。



広い館の雑用を一手に引き受ける程の超スペックを誇る紅魔館の最強執事、執事長クラウス。大陸時には仮執事として働かされていた僕の上司に当たる人だ。妥協や諦め、甘えは一切受け付けない鬼のような従者にしごかれたせいで、僕の下っ端根性にますます磨きがかかってしまった要因であるかもしれないと最近はよく思っている。



まぁ、この人のおかげで一人暮らしを出来る程になれたのだろうけど。






テーブルに並べられた豪華な食事も、おそらく執事長が作ったのだろう。そう言えばフランも手伝ったと言ってたような…? そう思ってフランを見ると、嬉しそうに微笑んでいた。



えらいえらい、よく頑張ったね。普段ならばそう言って褒めていただろうけど、今はそんな雰囲気ではない。紅魔館の主要メンバー全員+僕とルーミアちゃんにワインが配られ、前当主であるアルフォード・スカーレットからの言葉を待っている。…約一名はそんなこと気にせずに一杯目を飲み干しているが。





「新たな当主の誕生に」





人外だけの、悪魔が主催する宴が始まった。





ヒューッ! なんとか間に合ったじらいです! …いや、ホントは間に合ってないんですけどね。だって本当なら宴の内容も全部書くつもりだったんですから。でも5000字行ったし、おぜうと大和の絡みは次回にでも掘り下げるかなぁ…なんて。何と言っても私、文字数が増えれば増えるほどやる気が失せていきますからorz 長くなってくると読む方も辛いでしょうし…。


そんなわけで自分に次回は内容を濃くして書けよー、とプレッシャーを掛けるのでした。ホント馬鹿だなぁ…。



今回のレミリアお嬢様はおぜうでした。何時もとあまり変わりありませんけどねw はっちゃけ具合が酷くなったくらいかと。ルーミアとの絡みも早い段階で書けて良かったです。むしろこれがやりたかっただけに今回の…何でもないです、はい。



次回、覚悟を決めるのはレミリアか大和か!? たぶんそんな感じになると思います。あまり期待せずに待っておいて下さい!

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