これも若さだよ、うん
R-15…? を含みます。15歳未満の方は全力で引き返してください
~ルーミアから真実を伝えられた翌日~
ちょっと来なさい、と呼び出された僕は永遠亭に招かれていた。特別に何かあるわけじゃないだろうし、修行とも言ってなかったので修行でもないだろう。ただ傷心気味な僕の為に宴会でも開いてくれるのかな、なんて楽にお出掛け気分で出かけたんだけど…
「馬鹿弟子~? 何処に逃げたって結果は変わらないのよ~? ……さっさと出て来ないとここ一帯を無に帰すわよ!」
…死にかけてます。
「隠れてないで出てきなさい!」
「出たら撃つじゃないですか!?」
「撃たないから出てきなさい」
「わk…ってそんなわけあるかァッ!?」
ハローハロー、皆元気? 僕大和。うん、知ってるよね。でもごめん、師匠が怖すぎて何がなんだか解らない状態なんだ。どれくらいかと言うと、目の前に大嫌いなアルフォードが居ても助けを求めるくらいかな? とりあえず、現在永遠亭前の竹林では命懸けの鬼ごっこが行われています。理由? 何でも紫さんにこの場所がバレたからなんだって。
うん、それって僕のせいですか? ええ、貴方のせいね。
にこっと笑って訊ねて見ると、ニコッて笑い返されました。笑顔見てからの幻術&逃走までコンマ2秒楽勝でした。…なわけ無いでしょ!? ヒィヒィ言いながら逃げてます。今も全力でここへ来たことに後悔してるところだよ!!
「そこねェッ!?」
「ぴぎゃァーーーーーーーー!?」
あ、あんまりだ! 弾が着弾した場所が地面深くまで抉られてるよ!? しかもこの鬼師匠、弓まで持ちだしてます!? 師匠に弓なんて持たせた日には、一国が一夜で滅びるとか聞いた気が…。チキショー! 串刺しにされてたまるかァ!!
「待ちなさい馬鹿弟子」
「待てませんよ鬼師匠! 弟子を殺す気ですか!?」
「この程度で死ぬわけないでしょう? …死にたくなるほど痛いだけなのよ?」
「ふざけてますよねそれ!? 生存権と最低限の人権を主張します!!」
「そんなものはデブリと一緒に宇宙にでも捨てておきなさい。それに…これはお仕置きだって言ってるでしょう!!」
-閃-
光り輝く一矢が、辛うじて身を過った僕の脇を通り過ぎて行った。それが通り過ぎた場所に生えていた竹は根元から抉られており、無残にもその身を大地に晒している。
「ひ、酷い…。こんなの…こんなの人間のやることじゃない!! 竹だって必死に生きてるのに…竹の気持ちにもなってみてくださいよ!!」
「貴方が避けるからいけないのよ…。私も、出来れば竹にこんなことしたくなかった」
「師匠…いや、永琳! 貴方だけは…ッ!!」
「おやおや、漸くお仕置きを受ける気になったみたいね…?」
愛する竹(貴重な僕の収入源) の源を壊された怒りを胸に全力で師匠に突撃する。あそこにどれだけ金のなる子が埋まっていたと思う? 見てみなよ、この無残な竹を。これだけで何日生活出来ると思っているんだい…? 遠出しなくても一ヶ所で大量に稼げる、貴重な収入源なんだよ…? それをこんな、許せるわけないよね!?
そんな僕を撃ち落とそうとする師匠。放たれた矢は有幻覚でできた僕を盾にして防ぎ「偽大)アッーーーー!?」 師匠に肉薄する。接近戦で弓は取扱にくい!
「ぶべっ!?」
なんて思ってた時期が僕にもありました! 弓が近接武器じゃないなんて、そんなことは全くなかったよ、うん。まさか弓で地面に叩きつけられるなんて思ってもみなかった。あの弓が竹で創られているとしたら、僕は恐怖のあまりタケノコを刈りつくしているところだ。
「弓術は教えてなかったかしら。馬鹿弟子、つ か ま え た」
ふふふ…現実逃避も全く意に介さない師匠の圧倒的存在感に、僕の身体は武者震いが止まりませんよ…。そのまま組伏せられて腕を抑えられました。拙いよ、本気で拙い。師匠本気で怒ってる。だって目も顔も笑ってない。今回ばかりは本当に死んじゃうかもしれない。
「や、優しくしてください…?」
せめてもの情けを受けようと得ようと必死に努力するのを、君たちは笑うだろうね。でも地に這いつくばってでも生きようと努力する今の僕を、君は笑うのか!?
「今日の私は、ちょっと激しいわよ?」
「アッーーーーーーーーーー!?」
◇◆◇◆◇◆◇
「……………ハッ!?」
こっここは!? …和室? ああ、永遠亭の一室か。良かった…。僕、まだ生きてる…まだ生きてるよぉ…。
「…ってちょっと待て、絶対一回は死んだ。間違いない」
ゆっくりと身体を起こしながら腕を掴まれた時のことを思いだ…すのは止めておこう。きっと悲しみの汗が流れるだろうから。うぅ…今も師匠の恐ろしい死の雰囲気が纏わりついているのか知らないけど、冷や汗がすんごい勢いで噴き出してくるよ…。
「…あ~、そろそろ話掛けてもいいかしら?」
「…ごめん、もうちょっとだけ待ってくれる…?」
目が覚めてから視界に入っていた月のお姫様・輝夜。どうやら僕が更に増えたトラウマに打ち勝つ努力をしている間は、空気を読んで話掛けるのを止めておいてくれたらしい。…滝のような冷や汗を見て躊躇った方が多いと思わないでもないけど。ちょっと顔が轢くついてるし。
「永琳のことは許してあげてね。最近元気のなかった貴方を元気づけようとしただけだから」
「元気づけ? あれは文句無しに死ねる。元気になる前にこの世から消滅させられるのかと思ったよ…」
「永琳は不器用だから。不器用なりの愛情表現ってとこかしら」
「師匠が? 似合わないなぁ」
「そうでもないわ。ああ見えて結構繊細なのよ?」
ふーん。僕はそうは思えないけど。だって怖いし、恐ろしいし、常識の範囲外の存在だし地球外知的生命体御師匠様だし。一度だけ目の前で涙を流した姿を見たけど、アレすら無かったかのように扱われてるくらいだしね…。一応、僕って月での実験の被害者なんだよね? ねぇ、そうなんだよね!? なのに何で無かったかのように扱われるの!?
「…それで? 何で輝夜はにじり寄って来てるの?」
三度悲しみの汁が流れだそうとしている僕だけど、視界の端から四つん這いになってにじり寄って来る輝夜の姿が入ってきた。そんな体勢だからか、服の隙間から覗ける胸元に目が行ってしまう。駄目だ駄目だ、心頭滅却すれば火もまた涼し。欲情したら止まれない。そういうことを考えること自体が駄目なんだよ。
「私なりの愛情表現でもしようかと思ってね」
「何そr…んん!?」
「ん……」
いったい、何が起こったのか。僕の目の前には輝夜がいて、その輝夜が僕の口を塞いでいる。もちろんそれを塞いでいるのも輝夜のそれだ。
「ちょっ!? かぐ、むぅッ………んんんッ!?」
何も言うな。息継ぎの間に一言言おうとした時に輝夜を見ると、彼女の眼がそう訴えていた。むしろ何か言うために息継ぎに入ると同時に、その開いた隙間に舌が侵入してきた。それをなんとか押し出そうとすると自然と舌同士が絡まってしまうわけで。それをどう勘違いしたのか、機嫌を良くした輝夜に僕は再び布団に押し倒された。
「…何してくれる」
「嫌だった?」
「嫌とかじゃなくて…もっとこう、何かあるだろ?」
「あの巫女のことかしら?」
「う…ま、まぁそうだけどさ…」
図星を突かれたからか、覆いかぶさるように僕を見る輝夜の視線から逃げるように顔をずらした。
今も僕の心の中には零夢がいる。一緒にいた時間は輝夜に比べたら一瞬のことだけど、それでも僕にしてみれば宝石のような時間だ。まだ振り切れてないのにこういう事をすると、自分の気持ちに嘘を言っているようで嫌だった。
それにこの構図、男としては酷く屈辱的だ。本来なら男である僕が押し倒すべきなのに、なんで押し倒されているんだよ。弱っているからなんて、そんなのは理由になんてならない。こんなヘタレだから零夢にも最後まで言えなかったんじゃないのか?
「貴方、無理してる。悲しいのに、無理やり自分を抑え込んで…」
「……解る?」
「当たり前よ。どれだけ見てきた思ってるの」
振り切ることは出来るのだろうか? 零夢が望んだように、僕は新たに恋をすることが出来るのだろうか? …いや、出来るかどうかじゃない。やるんだ。零夢の仇をとったは、必ず幸せになってやるんだ。
「大和、人は何時か死ぬわ」
「知ってる」
「貴方も死ぬ時がくる」
「解ってる」
きっとその時は、僕の周囲の大部分の人が逝った後だって決めてるけど。でも、僕たちが逝っても逝けない人達も居る。それが妹紅であり師匠であり…輝夜である。
「…怖くなった。巫女が死んで悲しむ大和を見て、何時かそれが私にも来るのだと思うと怖くて仕方なくなった」
「…そう簡単に逝くつもりはないよ」
「でも何時かは逝くわ。それは逃れられない事実」
「それは…」
仕方のないことなのだろう。不老の身とはいえ、身体を使い続けている限りいずれガタがくる。特に僕のように身体を酷使するようなことを繰り返していれば尚更だろう。そうなってしまえば最後、僕は他の人よりも早く死ぬ。…今まで考えたことがなかった。いや、考えることを放棄していた。他人の死には敏感な癖に、自分が死んだ後に残される人のことなんてそれほど深く考えたことが無かった。
「だからね……奥手になるのは止めたの。もう、時間を無駄にはしない」
押し倒されたまま、再び激しくキスされた。粗い鼻息と熱い舌が絡み合い、溢れだした唾液が布団に染みをつくる。汗ばんだ肌から溢れだした男と女の匂いが部屋に充満し、鼻腔から新たな刺激を与えてくる。今度は目を閉じてしっかり感触を味わっているのだろうか、そんな彼女を見ていると『そういう行為』 をしているのだと嫌でも感じさせられる。
長く艶やかな、それでも軽く柔らかい黒髪が頬を優しく撫でる。寸分の隙間もなく密着した身体が更に輝夜の存在をアピールさせ、雄の象徴がその役目を果たさんばかりに静かに動き始めた。
覆いかぶさるように重なる輝夜の、これでもかと押し付けられる胸の膨らみが僕の胸板で踊る。柔らかい感触が胸板で何度も形を変えながら潰れ、輝夜の口からは苦悩の声が漏れた。
これは、拙い
そんな僕の反応を感じ取ったのか、輝夜は更なる快感を求めるように身をくねらせた。互いの局部に交差するように添えられた膝が僅かに、それでも確かに動かされては僕の獣としての意志も更に活性化して―――
「んむぅ……だっ駄目だ! これ以上は駄目だよ輝夜!!」
「んっ…大和…好きよ…。貴方が…」
「駄目だ…駄目なんだよ…」
「何で…? 半端な理由じゃもう止まれないわ。ほら、私の胸、こんなにも高鳴ってる。貴方を求めているのよ…」
僕の手を自身の胸へと導く輝夜。柔らかな感触と共に、胸が激しく上下しているのが手に取れた。そんな輝夜の頬は上気し、目は潤んでいる。輝夜は既に出来あがってしまっており、本当に止まれないところまで来ているようだった。
「…こんな状態で輝夜と愛し合っても、きっと輝夜を一番に愛せない。僕の中にはまだ彼女が、零夢がいるんだ…。そんな状態で愛し合っても、お互いが傷つくだけだ」
「私が忘れさせてあげるわ。巫女のことなんてどうでも良くなるくらいに激しく貴方を愛してあげる。だから…」
「ううん、それじゃ駄目だ。愛し合うのなら、ちゃんとした状態で輝夜を愛したい。こんな傷の舐め合いなんかじゃなくて、真正面から輝夜の全てを愛したい。それじゃ駄目かな?」
「そんなの、本当に何時になるか解らないじゃない。貴方だって他の誰かを好きになるかもしれない。怖いの。逝かれるのも、誰かにとられるのも…」
「…じゃあ僕を惚れさせればいい。都中の男を落した輝夜姫の本気で、さ。それにこれ以上やられると…」
「やられると…?」
「………………………たつ」
立ち上がる、もしくは爆発するとも言う。笑い事ではすまない。これは男として死活問題なのだから。僕だって軟弱モノの烙印を押されたくはない。押されたくはないが都の男衆を落した輝夜姫の本気、言葉に出来ないモノがありました。
「…………………そっそう、それは大変…ね…?」
なんとも言えない虚脱感が、そこにはある…!
「はぁぁぁ……。まぁいいわ、こんな所も含めて大和だものね。あ~あ、どうして貴方みたいなのを好きになっちゃったのかしら。オマケに惚れさせて見せろですって? 私に対してよくもまぁ、図々しいわね~」
「あはは……。それはまぁ、言葉の綾と言いますか…」
「そうやって何人の女の子を泣かせるのかしら? ああ、でもこんな変な奴を好きになる子なんてそういないか」
それはない、とは言えなかった。それなら僕は既に真の男になっているだろうから。真の男に成れていないと言うことは、それほど異性受けがよろしくないのだろう。つまりは人生の負け組。男としての負け組なのだ。世の人はそんな男たちをD.Tと言う。時には同じ男でさえ愚かな生き物を見るような視線を向けてくる。長生きのくせにD.Tな僕だ、そのうち人里でキング・オブ・D.Tなんて呼ばれたり…? …それは……いやだ……
「はいはい、落ち込むのもいいけどもう寝るわよ」
「ええ!? さっきの話で納得してくれたんじゃないの!?」
「お馬鹿。貴方は気絶してて知らないでしょうけど、今は深夜なのよ。部屋に戻るのも面倒だし、せっかくだから私も此処で寝るわ」
「布団はどうするつもり? ここにはもうないと思うけど…」
「あるじゃない、そこに」
ニヤリと笑って指差した場所には僕と輝夜の下に轢かれてある布団。…ちょっと待った。これはもしかしてもしかするのか…?
「一緒に寝ましょ?」
「さいですか……」
「手を出してもいいのよ?」
「出しませんッ!!」
この夜、僕は良く我慢したと自分を褒めてやりたい。綺麗に気絶した後に良く眠っていたせいで寝付けなかった僕は、静かな寝息を立てる輝夜の抱き枕として一夜を過ごすことになったのだから…。
「もしかして不n「それはないからッ!!」 そ、ならいいわ」
本当に、本当にそんなことはないから!!
やりすぎた、ちょっと本気出したじらいです。書いた自分が言うのもなんですが、何だこれ? 夜中にこそこそとナニやっているんだ私は!? …いいよ、夏だから余計に頭がイカレたとでも思ってくれていいです。
…それでですね、今回は前回言った通りに輝夜とのネチョでした。R-18に引っ掛かったら全力で消します。アウトだと思った方、遠慮なく言ってください。自分では基準がイマイチよく解らないです。でも今回の話で解ったことがあります。
寸止めって、難しいですねw