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東方伊吹伝  作者: 大根
第六章:君と過ごした最高の日々
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僕は心からそう思うよ

久しぶりに書いたので、ところどころおかしいですが御容赦を。夏が来たのか、とでも思ってください

(よかった。繋がるかどうか心配だったけど、貴方との魔力ラインは今も有効なようね。今から魔力を送るから身体に馴染ませなさい。それで少しは身体の治癒が早まるはずよ)


(魔力ラインって、人妖大戦の時の? アレって一時的なものじゃなかった?)



あれだ、大戦前にパチュリーと…あ゛~、チッスした時の。でもあの時は一時的に繋げるものだと言ってたに、それに今までも繋がってなかったのにどうして?



(一度繋がれば繋がりやすい。貴方と私の相性も中々と言うことね。貴方でも理解出来るように言ってあげるとしたら…離した手をもう一度繋ぐようなものかしら)


(馬鹿にしてるよね!? 僕だって魔法使いの端くれ、その程度のことくらい理解できるよ! でもそれって難しいの?)


(少なくとも私が拒否するから貴方からは無理…ちょっと待って、レミィが騒いでる。…………魔…ライン…。…方法? …………!!)



拒否って、拒否はないでしょうにパッチェさん。でもこれ、前より更に良くなっている。視覚・聴覚の共有も相変わらずだ。で、今はパチュリーがレミリアに説明してる様子がパチュリー視点から見えてるんだけど。…うーん、実際に言われてるのはパチュリーなんだけど、何故かレミリアの視線が僕を捉えているように見えて仕方がない。



(ごめんなさい、終わったわ)


(これ凄いね。パチュリーが何を考えているのかもなんとなく理解出来るし)


(…聞いてた?)


(全部。でもはっきりと解ったわけじゃないよ)


(当たり前よ。心の中まで見えたらそれはもう違う魔法になるわ)




やまちゃん、てゐちゃんも早くお仕事終わらせてこの場から逃げたいんだけど。いいかな?」


「あ、ごめん。それって薬箱だよね?」


「知り合いから預かった薬が入ってるウサ」



知り合い、ね。


てゐちゃんが敢えてそう言うってことは、師匠たちは存在を隠しておきたいんだろう。幻想郷でも隠れて暮らしているんだ、この支援が限界といったところか。それでもすごくありがたいんだけども。



「じゃあその薬もらえるかな?」


「ほいさっさ。痛みを和らげる薬と、痛みを無くすけど飲むとブッ飛ぶ薬、痛みなんて元からなかったんだぜヒャッハー! な薬の3種類があるよ。どれがいい?」


「……い、痛みを和らげる薬がいいなぁ」


「別に答えは聞いてないから最後のでいいよね。つべこべ言わずに飲むウサ」


(独特な色の薬ね。毒物かしら?)



僕もそう思う。


にこやかに笑っているてゐちゃんだけど、僕にはその笑顔が悪魔にしか見えません。絶対楽しんでるでしょこの兎。あれよあれよと言う間に怪しげに光る薬は手の中に収まった。ああ神様…名誉の戦死ではなく毒で死ぬだなんてあんまりです。



「いっき、いっき!」


「…ぇえい! 男は度胸!!」



鼻を摘んで一気飲み。不味い、苦い、臭いの三拍子揃った独創性溢れた薬だけど師匠が作った薬だ。それに良薬は口に苦しと言う言葉もある、たぶん凄い効果が



「んががががががががg!?」


「おお!?」


(ちょっと、本当に大丈夫?)



熱い!? 身体がアッツーーーーーイ!! これ本当にヤバイ薬なんじゃないの!?



「あ、それ飲んだ後にこっちの飲まないと解毒できないんだった」


「そ、それヴぉはやぐ!」


「ほい」



追加で渡された薬も怪しかったけど、もうそんなことを言ってられない程辛い。身体が内側から燃える!



「ヴぇ…本気で死ぬかと…」



追加で渡された薬を全て飲みほしてからほんの少しで痛みは引いていった。…よかった、身体が痺れるとか意識が飛んで逝くとかの副作用はないみたい。



「いやード忘れしちゃってたよ。でも実は別にそれを飲まなくても大丈夫だったんだよね。身体の火照りを鎮めるだけの薬だから。それにほら、肩とか腕の怪我もぜーんぶ治ってる。魔力も気も全部元通りになってるはずだよ。なんたって大ちゃん専用だー、って言ってたし」



そ、それも早く言って欲しかった。でも出来れば忘れないで欲しいなぁ、なんて。



(遊ばれてるわね大和)



いやいや、ド忘れというのは誰でもあるものだよ。ここまで薬を届けてくれたてゐちゃんに感謝です。それにしてもこの薬の効果は凄い。怪我だけじゃなくて気や魔力も全部元通りに戻ってる。僕専用ってことは、修行中に魔力とかは抜き取っておいたり? 気絶してた時に何かされているのは知ってたけど、流石にそれはない…とは言い切れないのが辛いね…。



「ああそうだ、知り合いからの伝言があった。『勝て』 だとさ。じゃあ今度こそ逃げさせて貰うよ。こんなとこにいたら命が幾つあっても足りないウサ」



すたこらサッサ、一方的に言葉を残したてゐちゃんは脱兎の如く逃げ去って行った。



「さて、と。じゃあ行きますか」



『勝て』 か。格上相手に師匠も中々難しいことを言ってくれる。でもこれは師匠からの命令だ。弟子はその期待に応えないといけない。何より、僕を育ててくれた師父と師匠、先生の為にも簡単に負ける訳にはいかない。


遙か上空で激戦を繰り広げている3人を見上げる。何やら苦戦しているようだ。その理由は零夢の動きが前に比べて悪い、いや、らしくないからか。何時もはガンガン逝こうぜ! を作戦に馬鹿げた霊力で敵を圧倒する零夢が、まるで腰が引けたように空を飛びまわっている。何やってんだか。



(私の魔力も使って構わないわ。思う存分暴れなさい)


(合点承知!)



さあルーミア、今度の僕はちょっと違うぞ?




◇◆◇◆◇◆◇




「白髪! 私の射線上に入んなっ言ってるでしょう!!」


「ッ悪かったね! こちとら不甲斐無い巫女様を守るために前に出てるんだけどなっ!」


「必要ないって言ってるでしょうがっ!!」


「調子の悪い奴は下がれって言ってんだろうが!!」


「あはは、私を前に余裕だね。そんなに死にたいの?」


「「お前が死ねや」」


「何この状況?」


(私に聞かないで頂戴)



空に上がってみると仲間同士で喧嘩をしていた。えー何それ? そう思ってしまう2対1じゃなくて1対1対1の混戦状態。昔の僕なら尻尾を巻いて逃げだす状況の中に突入する僕という生贄。ん? 今の僕は裸足で逃げたい気持ちですよ? 殺されかけたのに怖がらないわけないじゃないか。



「遅いぞ大和! 早くこの巫女をどうにかしてくれ、邪魔で仕方がない」


「何言ってんのよ。あんたが退けばそれで終わりじゃない」


「僕と一緒に協力し合おうよ」



札やら棘やら炎やら色々な物が飛び交う中でそれぞれ会話になっていない会話を交わす。話している最中にも魔力弾は放ち続けているし、ルーミアからは物質化した槍に棘、妖力弾が笑いと共に放たれている。数が3人ということと、僕らが気の抜けた会話をしていることもあるのだろう。とても避けやすい親切な弾幕しか張られていない。あちらもこの状況を遊んでいるようだ。



「この巫女てんで役に立たないぞ。効きもしない弱々しい霊弾に御札、やる気がないなら帰れってんだ」


「零夢、どういうこと?」


「別に。あの程度の妖怪はこの程度で十分だと思ってるだけ」


「ハッ、自分の実力も理解できてない訳か。歴代最高とやらは嘘っ八だったようだな」


「何ですって!?」



らしくない、らしくないよ零夢。零夢ほどの実力者がルーミアの実力を測り間違えるなんてことはあり得ないし、何時も手加減なんてしないのに、この程度で十分だなんて考え方をするなんてどうかしてる。妖怪と僕相手には決して容赦するような優しい心を持ち合わせてないのにそんなの間違ってるよ。



(私も同感よ。音に聞こえた博麗の巫女の実力はこんなモノじゃないはず)


(じゃあ何か特別な事情でも?)


(何時も一緒にいる貴方が知らないのに、私が知っているわけ無いじゃない)



あーでもないこーでもないとパチュリーと念話で話している最中にも、目の前では零夢と妹紅の激しい言い争いが続いている。でも思い出して欲しい。いくら手を抜かれていても今は戦闘中であって、ルーミアは師匠クラスの化物である。少しでも気を抜けばどうなるかを。



「! 白髪、伏せ!!」


「うおッ!?」



さっきまで妹紅の頭があった場所に漆黒の槍が通過していった。咄嗟に零夢が注意をしたので大事には至らなかったが伏せる際に靡いた髪の毛がごっそりと持っていかれ、綺麗な白髪が宙を舞う。あれだけの実力があれば当てることも出来ただろうに。視線をやると表情からは笑みが消えている。遊びは終わりといったところか。



「遊びはお終いよ、小娘共。死ぬか逃げるか選ばせてあげる。私の狙いは御主人様だけだから」


「寝言は寝て言え。弟分を狙うって言うのに黙っている姉貴分がいるか」


「別に良いけど。でもそっちの巫女は足を引っ張った末に確実に死ぬわよ。とある事情から全力が出せない身体になったのだから」


「!?」


「ルーミア、何か知ってるの?」


「むしろ御主人様が知らない方がおかしいと私は思うのだけどね。知らないのなら話してあげても「黙ってろこの糞妖怪!!」 あらら、野蛮ね」



何を思ったのか、激高した零夢がルーミアに突っ込んで行った。おい馬鹿よせ! と妹紅が声を張り上げるも、それを無視した零夢はルーミア目掛けて拳を振りぬく。だがルーミア曰く、全力を出せない零夢がルーミアに敵う訳もなく、抵抗虚しく身体を闇によって拘束されてしまった。



「ふふ、綺麗な顔ね。御主人様が夢中になるのが解るわ。嫉妬しちゃいそう。貴方を殺せば、御主人様は私を見てくれるのかしら? ねえ、貴方はどう思う?」


「この…っ!」



四肢を拘束した零夢の顔に、細長い指をゆっくりと這わせていく。額から鼻、唇を伝ったその指はやがて首へと至る。今なら直ぐにでも殺せるわ。その呟きが耳に入った瞬間、身体中に迸る魔力を纏わせ、我を忘れて跳びかかる体勢にまで入っていた。



「…大和、お前まで感情的に動くなよ」


「解ってるさ…ッ!」


(…………)



咄嗟に動き出しそうになった僕は妹紅によって制止させられた。


ああ、解ってるさ。ここで僕が勝手に動いてもどうにもならないことぐらい。でもね妹紅、解っていても出来ないことってあるんだよ…!!



「私と御主人様が初めて会ったのは大結界構築の時だったわよね」



今すぐ動く、そう心に決め動き出そうとした出鼻を挫かれる形で会話に引きずり込まれた。相手にこの場を支配されているな。零夢が捉えられているというのに、まだ冷静な思考を巡らせる自分に少し苛立つ。



「君があのルーミアちゃんだなんて思ってもみなかった。過去に戻れるなら自分に言っておきたいよ」


「時既に遅し、よ。私達が闘っていたあの時、博麗神社ではもう一つの出来事があったのを知っているかしら?」


「…? 何があt「聞かないで!!」 零夢…?」


「少し黙りなさい」



口を塞がれた零夢は必死に何かを僕に訴えてくるが、声なき声を上げる零夢が何を言いたいのか理解することは出来なかった。



「あの時この子は死ぬ予定だった。霊力の枯渇によって」


「…知ってる。だけどそれは母さんがどうにか止めたって聞いた」


「その後は?」


「え?」


「助かったから気付かなかったの? 死にかけた理由と、その後の後遺症を」


(普通、死ぬ寸前まで力を抜かれた場合はもう元通りになることはない。水源がなくなれば水を得られないのと同じように)



じゃあ零夢はその水源がなくなったって言うことなのか? でも零夢からは今まで通りに霊力を感じ取ることが出来る。2人の言ってることが真実だとしたら、もう零夢からは霊力が感じられないはずなのに。



(一つだけ方法があるわ。それは…)


「命という燃料を燃やすこと」


「なんだって!?」



驚愕の事実に驚きが隠せない。驚いて零夢を見るも、俯いて静かに目を瞑っていて僕を見ようとはしない。その様子から感じ取れるのは肯定の意。じゃあ本当に、零夢は命を削って? でも、どうしてそこまで…? わからない、零夢が何を考えているのか僕には全然解らないよ。



「今も残り少ない燃料を使って平時の霊力を保っているだけ。戦闘なんかしたら直ぐに空になるわ。特に私みたいな高位の妖怪相手だとね」



…解らないことだらけだけど、一つだけ解った。もう零夢を闘わせることは出来ないということだ。だからさ、



「妹紅ォ!!」


「任せな!!」



正面を妹紅に任せて僕は加速、背後に回る。悪いけど、死なない妹紅には少し無茶をして貰うしか零夢を助けるすべはない。2対1のアドバンテージを持っていたとしても、一つ上の世界にいるルーミア相手には何の意味も為さないのだから。


背後に回った僕をその双眸はしっかりと捉えていた。背中にゾッとする寒気が走る。ふざけた奴め、能力を使って全力で『先』 に動いているのに全く意味を為さないなんて。師匠クラスの化物め、怖気が走る。


だけど無茶をするのが僕になっただけのこと。なら少しのダメージはやせ我慢でどうにかして、妹紅に零夢を助け出してもらおうと思った瞬間に零夢の拘束が解かれた。



―――最後の挨拶でもしてきなさい―――



小さく聞こえてきたその言葉は幻聴だったかもしれない。でも冷笑を浮かべるルーミアは確かに僕にそう言っていた。



「妹紅、少しだけ時間を稼いで!!」


「時間稼ぎ? ハッ、私が一人で倒しといてやるよ!!」



頼もしい姉貴分だ。妹紅なら本当に倒してしまう気がする。でもたぶんそれは無理だろう。妹紅と輝夜が同じくらいの強さなら、それはルーミアより弱いことの証明になるから。


俯いたままの零夢を抱え、僕は妹紅に背を向けて飛んだ。少しでも遠くに逃げて零夢の安全を確保しなければならない。尚且つ妹紅の為にも急いで戻らないといけない。



「降ろして」



全力で空を駆けている最中に零夢が何か言ったような気がした。消えるような小さい声だったせいか、はっきりと聞きとることが出来なかった僕は何も気付かないフリをして空を飛び続けることにした。



「降ろせって言ってんでしょうが!!」


「降ろせるわけないだろうが!!」



空を飛んだままの僕の襟首を掴んで激高する零夢に、僕も零夢の襟首を掴み上げて怒鳴り散らした。降ろせ? ふざけんな! 死にかけてる人間を戦場に向かわせられるわけないじゃないか!!



「私はまだ闘える! 死ぬまで巫女を続けるって自分に誓ったのよ!! それが私の、博麗零夢としての誇りなのよ!!」


「だからそれで死んでもいいって? ふざけるのも大概にしろよ小娘…! 20も生きていないお前が生意気言ってんじゃない!! もっと自分を大事にしろよ!!」


「あんたがそれを言う!? 一人で先走ったあんたが!? 何も知らない癖に…私がどういう想いで今ここに居るかも知らない癖に!!」


「お前だって…零夢も僕がどうして一人で闘いに行ったか知らないじゃないか!!」



―――何で解ってくれないんだ―――


―――どうして解ってくれないのよ―――



宙に浮いたままお互いがお互いの主張のみ言い、決して譲ろうとしない。それは2人が相手を本心から想っているからこそ。ただ傷ついて欲しくない、危険な目にあって欲しくない。お互いの胸には同じ想いが渦巻いていたが、それを口にすることが出来ないでいた。





「早く戻るわよ。あの白髪だって一人で勝てるわけないんだから」



話は平行線のまま続いている。こうしている間にも妹紅は闘ってくれているっていうのに、僕らはいったい何をしているんだ。どうにかして、どうにかして零夢に解って貰うしかない。



「知り合いなんでしょう? 私も行けば少しは勝率は上がるはずよ」



だから僕は恥の一切を捨て、己の気持ちを全て伝えることにした。それでしか零夢を納得させられないと思ったから。



「行くわy「零夢に傷ついて欲しくない。お願いだよ零夢、お願いだから大人しく待っていて」 あんた、まだそんなことを…! いい加減にして! 私は「あの時の答え!!」 …何よ」


「零夢があの夜に僕に言った質問に今だからこそ答えるよ」



一郎さんを花嫁のもとまで連れて行った時の、あの夜の答えを。心が示す方向に歩いて行くとあの時決めた。だからこそ、



「零夢言ったよね。私が結婚するって言ったらどうするって。はっきり言ってあげるよ。―――嫌だね」


「なっ!? い、今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?」


「ああそうさ、こんな時だからはっきりともう一度言ってやる。お前が誰かと一緒になるなんて嫌だね!」


「う、うっさい黙れ! 第一…、第一私はあんたのことなんて大っ嫌いなのよ!」


「ああ僕だって零夢が大っ嫌いさ! でも気に喰わないものは気に喰わない! つまりずっと一人身でいろって言ってるんだよ!!」


「それが年頃の女に言うセリフ!?」


「何度だって言ってやるさ! 零夢が諦めるまで何度でも!」



そうしたら何度でも会いに行けるじゃないか。



息苦しい。顔面が真っ赤なのが自分でもはっきり解った。正面にいる零夢も顔を真っ赤にして口をぱくぱくして何も言えずにいる。…ああ畜生、直接言葉にしたわけじゃないけど言っちゃったよ。後悔先に立たずとは言うけどこれは酷い。穴掘って潜りたいよ…。



「…あー、だから零夢には無茶して欲しくないっていうか、なんというか」


「ふふ…あはははは、あっははははは!」


「なぁ!? 笑うなよ!!」


「クスクス、ごめ、ごめんなさい。でもまさかあんたが、ねぇ。へー、そうなんだ。ふーん」



こ、この性悪巫女め…。にやにやと勝ち誇ったかのような笑みを浮かべながら僕の顔を覗きこむ零夢が長い生涯の中で憎たらしい…! 殴ってやろうか!?



「ねぇ、何時から?」


「五月蠅い」


「いいじゃない。教えなさいよ」


「喧しい」


「私は別になんとも思ってないけど、そこんとこどうなのよ?」


「…もう勘弁してください」



頬をつつくな、頬を。



「そんなことより解って貰えたのなら下がっていて欲しい。零夢が傷つく姿を見たくない」


「勘違いしてるみたいだから言っておくけど、別に今すぐ死ぬわけじゃないのよ? 全力の夢想封印もあと5発は放てるし。だから足手纏いになるわけじゃないわ」


「僕の気持ちの問題だよ。零夢が死ぬ夢を僕は視たんだ。だから嫌なんだよ。零夢はここで死ぬべきじゃない」


「死に場所なんて今までにもあったわ。誰かさんの親切のおかげで生きながらえたけど。それに、あんたは私がいないと駄目じゃないの。忘れた? 私の隣に、あんたの隣に立っていいのは私だけなのよ?」



そう言って笑う零夢はとても可愛くて、行く手を阻むものは全てなぎ倒す自信に満ちた強さを秘めていた。ああクソッタレ、本当にどうしようもない奴だ。僕も零夢も。これが惚れた弱みって言うのなら、僕はそれを恨むよ。



「…わかった。でも無茶だけはしないでよ。ってそうだ、僕ら連携なんてしたことないじゃないか…。どうしよう、これじゃあ今までと全く同じじゃないか…」



今まで連携なんて皆無だった僕らの妖怪退治。何時も一緒に妖怪退治を行ってきたけど、いつも互いの足を引っ張りながら闘ってきた。時には妖怪をほったらかしにして喧嘩するなんてこともあったぐらいだから、一緒に協力するなんて考えたこともなかった。



「仕方ないわねぇ…。大和の勇気に免じて、今回だけ私があんたに合わせてあげる。後を気にせずに闘いなさい」


「…信じていい? 後から撃つとか止めてよ?」


「さ、行くわよ」


「ちょ!? 零夢さん!?」



そこは否定して欲しかったです。








~オマケ 隙間で覗き見する人達の反応~



レミリアの場合


「…よし、あの巫女を消そう。それがいい」



輝夜の場合


「ねぇ永琳、私と巫女の違いって何かしら?」


「大和に聞くのが一番ね」


「そう…。久しぶりに私も身体を動かしたくなってきたわ。次の修行には私も付き合うわ」


「あらあら、それじゃあ弟子が死んでしまうわ」



義母の場合


「巫女はこの際放っておこう。だが愚息、テメェは駄目だ。母さんが許さん」



夏だなぁ(挨拶) 熱さで頭をやられたじらいです。Q.どうしてこうなった? A.夏だから。あ、でも直接言葉にしたわけじゃないからセーフですよ。セーフセーフ。


色々カミングアウトした大和ですが、次回からは大和無双が始まるかも。大和の最終奥義(迫真)的なものを遂に出す時が来た…! ヒントは北痘神げんこつ。社有者~!!



とある外科医のタイムスリップなるものが終わってしまい、日曜夜の楽しみが無くなってしまいました。だから事故しても治らなかったのだ…

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