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東方伊吹伝  作者: 大根
第六章:君と過ごした最高の日々
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日蝕異変

たぶん上編


空が闇に覆われていく。



母屋の台所で晩御飯の仕込みをしていた私は、突如として幻想郷を覆っていった膨大な妖力を感知した。野菜を刻むために持っていた包丁をまな板に思い切り突き刺し、楽しい時間を邪魔してくれた事に対する怒りとする。さて、邪魔してくれた妖怪をどうしてくれようか、と考えるのも束の間。棚に綺麗に仕舞われている御札に針、そしてお祓い棒を片手で持ち境内へと走る。


さっさと片付けて夕飯の支度をしないといけない。台所はこのままでいいだろう。


今は大和が闘っているのだろう、あいつの魔力と気が高まっていくのが解る。それと同時に相手側の妖力も先程まで感じられていた以上に膨れ上がっている。


私と同等か、それ以上。否…、全力を出せない私を基準にするのは間違いか。


客観的にそう判断し、大和には荷が重い相手だと判断する。今すぐ駆けつけてやらないと、あいつが危ない。そう考え、空間転移を行おうとしたその時にまたしても邪魔が入った。



「ちょっといいかい?」


「何よ? 今すごく虫の居所が悪いの。あいつの母親だかなんだか知らないけど、邪魔するならぶん殴るわよ」



伊吹萃香。馬鹿息子の馬鹿親。この前の大結界の時には助けて貰ったけど、ただそれだけ。感謝はするが、邪魔をしようとするなら容赦はしない。



「大和にお前を引き留めておけって言われちゃってねぇ」


「…? 何で? 理由もなしにそんなこと言わないでしょ」


「さあ? わたしも詳しいことは聞かされてないんだよ。ただ『零夢を来させないで』 って言われただけさ」


「はあ? 何よそれ」



訳分かんないわね。何時もは分かりやすいくせに、こうやって大事なことになると隠して、自分だけで何とかしようとする。…足手纏いになりたくなかったのに、これじゃあ何の為に私が巫女を続ける決意をしたのか分からないじゃない。



「意地でも通してもらうわよ。あんたも親なら分かってるでしょ? 大和じゃ勝てない。無駄死にするだけよ」


「そいつはどうかね。わたしたち親子ってのは諦めが悪いことで有名なんだ。案外勝っちゃうかもしれないよ?」


「馬鹿言ってんじゃないわよ! あんたも大人なら、少しは現実を見なさい! …感じるでしょ? あいつの魔力、どんどん減っていってるじゃない。息子に死んで欲しくなかったらそこを退けと言っているの!!」



こうして話している間にも大和の魔力反応はどんどん小さくなっていく。にもかかわらず、妖力はその力強さを保ったままだ。当然のことながら、苦戦しているのだろう。



「行けば、お前が死ぬかもしれないよ? 相手が相手だ、今回で限界を超えるかもしれないよ?」


「…癪だけど、あいつには私の命を懸けるだけの価値があると思ってる。大和の為なら死んでもいいって思える自分がいるのよ。ほんと、癪だけどね」



それだけ言って転移の準備を始める。ふふ、何でかな。死ぬかもしれないって言うのに、笑みが止まらない。何時も隣で感じていた、馬鹿みたいに暴れ回っている魔力を感知するのは慣れている。…別にあいつが何時神社に来るかを探ってたから得意なわけじゃないわよ?


座標を固定。待ってなさい、今助太刀に行ってあげる。


そんな私に難しい顔を向ける鬼は、それ以上何も言わなかった。




◇◆◇◆◇◆◇




「あはは! ほら、もっと避けて避けて!」


「………」



交戦から数十分、僕は荒れ狂う暴風の如く迫る棘を躱し続けていた。


迫る闇棘や闇槍に逃げる空間を固定され、そこに黒い塊…おそらく高濃度の妖力弾を打ちこんでくるルーミア。僕はそれを冷静に対処する…しかない状況に追い込まれている。


正直、打つ手がないのだ。最大火力であるマスタースパークは効かず、接近しようにも面で迫る槍や棘の間を抜ける程の空中機動を僕は持ち合わせていない。こちらが散発的に打つ魔力弾や気弾はクリーンヒットしようが気にもされないのに、こちらは一発でも貰えば行動に支障が出るだろう。悲しいかな、基本能力の差がここまではっきりと現れるとどうすることも出来ない。


ではイクシードに秘められた魔道機関を使うか? 速度を上げたうえで能力で更に加速、そのまま肉薄し、先生をも唸らせた紅蓮一式を叩きこむ一手もある。だが、師匠はその速度にも難なく付いて来ていた。ならばその師匠と同格と豪語するルーミアにこの手は効くのか? イクシードは全3回使えるが、身体への負担も大きく、2度目はないと考えた方がいい。


だからこそ、僕はどうしようも出来ないでいた。ただひたすらに戦力分析と、僅かな隙はないかと目を凝らすことしか出来ない。



「うーん、面白くないなぁ。もしかして、避けられてると思ってる?」



途端、ルーミアの姿がぶれた。



「グゥッ!?」


「違うわ、甚振ってるだけなのよ? …もう、また偽物」



保険とでも言うべきか、この幻想郷では僕にしか出来ないだろうと師匠に言われた『超高速機動戦闘下』 での幻術行使。常人の目には留まらない速度での近接戦闘。1秒にも満たない内に幾つもの攻防が繰り広げられる中で先を読み、幻術を練り、それを行使する。昔の僕なら「何ふざけてるの?」 と言っただろうけど、これが出来なければこの闘いで既に二桁は殺されているだろう。



「まあ、直ぐに果てられるよりはマシなんだけど。お姉さん、直ぐにイッちゃう子は嫌いだから」


「何でかな、その姿で言われると恐ろ嬉しいんだけど」



釣り上がった目で見られると背中がゾクゾクしてくる。師匠とは違って本気で死を感じさせられるからか、あんなことを言われても苦笑いしか出て来ない。



「そうね…。御主人様が勝ったら私を好きにしてもいいわ。何と言っても御主人様なんだし」


「なんですと!?」


「あは! 御主人様もやっぱり男の子だね!」



悲しいかな、こんな状況でも反応してしまうのが男の子。ちっちゃいままのルーミアちゃんならともかく、大きくなったルーミアは出るとこは出てるし、へっ込むところはへっ込んでいる美人さん。こんな人にそんなこと言われてしまったら反応してしまうのは仕方がないことで。



「『もしも』 勝てたらね!」


「ヅッ!?」



だからこそ、決定的な隙を生み出してしまう。


音もなく懐に入られ、左手に持つ剣を突き出される。辛うじて身を左に捻って避けるも、右肩を貫かれてしまった。左拳を振うも頭を伏せられ、逆に右手で頭を掴まれてしまう。


不味いと思った瞬間には地面に向かって2人突進していった。後頭部や背中を、地面が陥没するほどの力をその身に受けることになった。ルーミアは僕で全ての衝撃を和らげたのか、笑顔で…っておいおい、何で頬が上気しているんだ!?



「ハァ…ハァ…。うふ、ウフフフフ…アハハハハハ! もう我慢できない!!」


「痛ゥッ!?」



右肩を貫いた剣を杭に、大地に縫いつけられた僕に、ルーミアがその牙を僕の腕に突きたてた。食い千切られるのではないかと思うほどの力に抗おうにも、頭を掴まれている右手にも力が込められていく。頭と腕、両方がメキメキと音を立てていく。



「こん…の……舐めるなァ!!」



だからと言って負けるわけにはいかない。イクシードを起動させ、大幅に増幅した魔力の全てを身体強化へと回す。



「どけえッ!!」



発動で深紅に変わった魔力を纏い、ルーミアの拘束を力づくで引き剥がす。腕を引き千切ることに夢中になっていたせいか、牙以外はそれほど抵抗なく剥がすことが出来た。だが、深く犬歯を突きたてられた右腕の肉は少し抉りとられていた。


右腕に激痛が走るが、それでも戦闘は続行される。頬を紅潮させて奪い取った肉を咀嚼しているルーミアの背後を取る。振った拳は自動防御にでもなっているのかと思うほど完璧に防がれ、逆に刃と化した影が躱しきれない僕の右腕を更に抉った。



「また偽物」



背後に迫った僕は偽物。今までも有幻覚という感触までリアルな幻術を用いていたせいか、そう判断したのだろう。だけど今回は本物だ。自分を餌にして虚を作り出す。自分の命でも懸けないと、格上の存在には一太刀浴びせることも出来ない。それほどの差が僕らにはある。だが、命を懸けた大一番に僕は勝った。



「もらったァッ!!」



驚きの表情を浮かべるルーミア。寸での所で気付かれた。師匠クラスならほぼ確実に迎撃される距離。間に合うか、いや間に合わせる。掌を突きだし、一撃必殺の紅蓮一式を放とうとしたその時だった。



「……なん…で……」



ルーミアを守るように、全方位に向かって棘が突き出されていた。黒い尖った球体に覆われたルーミアに傷を与えられるはずもなく、反対に全力で突進した僕はその身体を幾つもの棘に貫通された。右脇腹・右腕・両足を一ヶ所ずつ。せめてもの救いは、突き刺さった棘がそれほど大きくなかったことか。



「…正直肝が冷えたわ。ここまで接近されるなんて」


「う……ゲホッ!!?」



全身を貫かれた影で固定され、抜け出せない。頼みの魔力上昇時間も既に尽き、残った魔力では化物クラスの妖力には対抗できない。血と言う生命エネルギーがあらゆる傷から流れ出し、気を練るのも難しくなってきた。



「うん、流れ出した血で更においしそうになった。血の一滴も残さず食べてあげるから、安心して眠ってていいよ」


「だれ…が…、まだ……おわ…って…」


「ううん、もう終わり。じゃ、いただきます」



愉快に笑うルーミアを前にしても、死を感じるより何も出来なかった自分に怒りを感じた。完全なる敗北。僕一人で何とかすると意気込んで来たはずが、このザマか。情けない…本当に自分が情けない。



「私の友達に、何してくれんのよっ!!」



結局、来ちゃったじゃないか。




◇◆◇◆◇◆◇



文「質問コーナーですよ~」


大「実は今回の話がシリアス過ぎてやるか迷ったんだよね」


文「でもここは別枠! 一度そう決めたんだから、それを守らないといけませんと言う訳で第一問!! 『幻術が完璧に使えるようになったら、やってみたいことありますか?』 です。私ならそうですね~、隠れてスクープ撮りまくりたいですね!」


大「いや、誰も文に聞いてないよ? 僕は…う~ん、悪戯かなぁ」


文「お風呂を覗いたり?」


大「それは最後って、何言わせてるの!? メモとらないでよ!?」


文「いえ。大和さんなら姿隠して一緒にお風呂入るくらいするでしょう(キリッ」


大「しないよ!? 僕どれだけ変態だと思われてるの!? せいぜい脅かしたりするくらいだよ!」


文「後からいきなり現れて、あんなことやこんなことして脅かして、その反応を見て楽しむんですね、わかります」


大「もう…いいですそれで…」


文「冗談ですって。大和さんのことは私が一番よく理解してますから…」


大「文…」


文「実は里の中の男性よりも変態だってことくらい!」


大「言いがかりじゃ「ではまた次回!」 …いいです。どうせ好奇心旺盛へんたいですよ、グスン」



内容を生贄に、更新速度を召喚! 意味不明なじらいです。文字通り、内容が死んでます。大和も死にかけ…ではないですけど、ボロボロです。一応言っておきます。大和、これでも強い方です。本当だよ! 化物クラスがバケモノなだけなのです!


そして大和、物理的に食べられそうです。そこでヘタレ勇者を救うために、最強のお姫様が颯爽と現れました。勇者よりも強いお姫様。こういうのをテンプレって言うらしいです、はい。



死亡フラグが乱立している零夢と、ボッコボコにされた大和で勝てるのか? それとも第三者が現れるのか? 次回に回します。

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