割るふ酒
ギャンブルもだし、ソーシャルメディア中毒の好きピを想像しながら書いたもの
あのさ、夜にタコパするねんけど。あっくん来る?
実は、友だちと連絡つかんくてさ。
もし良かったら来てよ。
あっくんと呼ばれた男は、画面を見つめて目を細めた。
今朝送ったメッセージまでスクロールさせてみる。
みいちゃん今日ゲーセン行かない?
ゲーセンに行くとか、行かないとかじゃないんだ。
そう思ったら、男はなんだか自分が今息を吸っていることなんて本当にしょうもないことのように嫌になった。
みいちゃんと初めてゲーセンで会ったとき、両替のお札ないから貸してあげるって言われてとっても嬉しかった。
なんだこの子優しいな、そう思ったのに。
連絡つかない友だちってさ、男なん?それとも女なん?
別にどっちでもいいけど、いいんだけど、なんで連絡つかないからってこっちを誘うのさ。
最初から誘ってくれたら嬉しいよ。
でもこんな誘われ方でも嬉しくなっちゃうのはなんでなん。
そんな自分が悲しい。
ポケットからたばこを取り出して火をつける。
西海岸で吸ったカンナビスよりはたばこのほうが刺激が強い気がしている。
こっちには売ってないけど、別にそこまで欲しくないしな。
みいちゃんも興味なさそうだったし、一緒に行くこともないやろな。
紙に巻いてスースー吸って、ほんでポイ。
臭いが辺りに漂って、なんだかイライラしてきて、店のやつ、上がるタイプにしといたとか言ってたけど、純度悪くてさ、安いけど、安いのはいいけど、せめてガツンと来て欲しいっての。
ただ残り香があるとさ、どうしても忘れにくいっていうか、気持ちの切り替えがむしろ難しくなるっていうか。
だったらたばこの方がさ、ここの、脳の真ん中にドシンと来てくれるのが頼もしいわ。
軽くスワイプして、画面を開いたり閉じたりして、その残像をまばたきで誤魔化してみたりして。
目の前にいたらさ、笑ってくれるやろ。
それでいいのに。それだけでいいのに。
なんなんやろな。
そんなんだったら、あっくんとか言わんといて。
もう言わんといてよ。
ソーシャルメディアで無限ライクすんのはいいんだけどさ、視覚情報だけに鋭敏なのはなんだか勿体ないよ




