その21 魔王軍総司令官、足元ゆらゆら(だけど勇者の方がもっとゲス)
■ 魔王とけんたろう、甘くて怖い二人の時間
魔王ディアボル=ネーメシア……(以下略)、とけんたろうは王座の間で並んで座っていた。
けんたろうの心臓はドキドキ。怖い美しさと迫力に終始ビビりまくり。
「結婚式はね、ゴンドラに乗って城の大階段をゆっくり降りてくるのよ……」
「えっ?ちょっと待ってください、魔王様、なんでそんなことご存知なんですか!?私の婚礼の話、誰かに漏らしてませんか!?」
魔王はにっこり微笑みながら、
「人間界の婚礼雑誌、読んだわ」
けんたろう、内心もう大パニック。
(人間界のブライダル事情の何をどう学んだんだ魔王様……怖すぎて寝られない……)
■ 魔王軍会議、ハドうー様の行方は……
城の地下、魔王軍幹部たちが集う会議室。議長は総司令官ハドうー。
だが、彼の出撃を心配する面々は緩〜いムードでおしゃべりモードに。
バルド(人間剣士・不死軍団長)「ハドうー、強さはまあまあだ。あのひよっこ勇者なら瞬殺できるさ」
ザイオス(伝説の竜剣士)「私に任せれば一瞬で終わるのに……まあ、仕事を横取りするのは趣味じゃないがな」
ネフェリウス(大魔導士・悪知恵担当)「ハドうー様が手柄を立てたらそっちに付くべきかな。強いものに巻かれろ、だな」
クロコダイノレ(リザードマン幹部・冷静派)「ご武運をお祈りします、ハドうー殿……がんばってください」
ファイアイス(右半身炎、左半身氷の危険人物)「ヒャッハー!俺にも戦わせろ!熱くなれよォ!!」
一同「お前うるさいよ」
■ 勇者リリィとハドうー、激突!
村の広場でついに激突。
リリィはすでに勝利宣言のように冷たい目でハドうーを睨む。
「お前たちは足手まといだ、離れてろ!」
仲間たちはその言葉に胸を熱くする。
でもリリィ本人はゲス。
「死んだら復活代もったいないだろ?無駄死には絶対にしない。」
「……ドライすぎんだろ」
仲間一同、苦笑。
ハドうーは、じわじわと拳に魔力を溜めていく。
「これが……魔族の力……ヘル・クロー!!」
拳から鋭い魔爪が出現し、空気を切り裂く。
■ 激闘、互角の火花!
互いの攻撃がぶつかり合い、火花散る。
ハドうーの手が光り、咆哮と共に超呪文を放つ。
「ベヂラゴソ!!」
ヂラ系最強呪文だ!
呪文の炸裂でさすがのリリィはダメージを受け、少し後退。
「おっと、まだまだこれからよ!」
リリィはニヤリと笑い、戦闘は佳境へ。




