その13 漆黒の愛、そして財布は私だけのもの
今日のけんたろうと魔王は、珍しく書斎デート。
とはいえ、部屋中に拷問器具の設計図や封印魔法の研究書が並ぶ空間で、
二人きりの時間が始まる――
けんたろうはおずおずと聞いた。
「……あの、俺で……いいんでしょうか?
こんな、ただの高校生ですよ?」
魔王は一瞬目を閉じ、次の瞬間――
「私が初めて封印魔法で爆破されたのも、十六のときだったわ……
ええ、あなたを見ているとあの頃を思い出すの」
「えっ、え!? あの、今のって…回想、爆破……??」
魔王は微笑む。
「あなたは私の青春。破滅と混沌の香りがするわ。愛しているのよ」
(……こええええ!!!)
けんたろうは静かにコーラを3口で飲み干した。
■ 魔王軍会議 in 地下666階:ハドうーの陰謀
会議のテーマ:「派遣部隊の指揮系統再編」
中央の席に立つのは――魔王軍総司令官、ハドうー!
「よろしいか!今後は我が直属の影部隊を増設し、情報統制を強化する!
もちろん、これは組織力の向上を目的としており――」
……会場の空気、どこかしら微妙。
ザイオス(竜剣士)は静かに座っているだけでオーラがヤバい。
幹部たちはボソボソと私語を始める。
「ハドうー様って、現場じゃめっちゃ強いんだけどね」
「やっぱ人望はザイオスだよね。あの目、信頼しちゃう」
「うちの新人がさ、理想の上司はクロコダイノレって言ってて笑った」
クロコダイノレ(リザードマン幹部):武人・冷静・部下想い・酒に弱い
「飲みの席で『みんなが頑張ってくれるから俺がいる』って泣いてたらしいよ」
「イケメンかよ」
ハドうーは咳払いしながら、そっと議事録を見つめた。
「……派閥……つくりてぇなぁ……」
■ 一方そのころの勇者:ゲス極まれり
街の広場。勇者リリィは新品のフルプレートアーマーに身を包み、サングラスをしていた。
ミレルカ(白魔導士)「勇者様、装備、どんどん豪華になりますね……」
カティア(女剣士)「わ、私の剣……折れてますけど……」
リリィはガッツポーズを決めながら答える。
「いや~今日の掘り出し物、最高だったわ~!
うちらの財政、かなり厳しいからね。まずは私が生き残ることが最優先でしょ?」
カティア「な、なるほど……で、私たちは?」
「拾い物で我慢しなさい。あと、つぼ割っといて。
私、あのへんのタンスあさってくるから」
\\\ ゲスオブゲス!!! ///




