終わりと始まり
•••カンカンカンカン
ある日の夜だった
いきなり、村の警鐘が鳴らされたのだ
「盗賊だぁぁぁぁ」
カンカンカンカン
静かだった村がいきなり騒がしくなった
「きゃぁぁぁぁぁぁ」
「おらっ、さっさと金目のものをよこしやがれっ」
グサッザクっドンッ
鈍い音、鋭い音、響く音が響く
レオの母「レ、レオ、お母さんたちがいいって言うまで何があってもここからでちゃダメよっ」
レオの父「…強く…生きるんだぞ」
ドンっ
レオは隠れ倉庫の中に無理やり入れられた
レオは何が起きてるのか把握できなかった
そこには恐怖と絶望の感情だけが残されていた
怯えながらも扉の方に向かい、聞き耳を立てていた。壁越しに僅かに聞こえたその会話は…
盗賊「ここにも金目のものはあるんだろう?」
「こ、ここには何もないわ」
「く、くるなら来い、」
「そうかい、なら遠慮なく!」
ザンッ、ぐぁぁぁぁぁ
グサッ、きゃぁぁぁぁぁ
悲鳴と共にその声は散って行った
パチッパチッ
あたりは火の海であるということだけが分かったが悲鳴と同時にレオの記憶は途切れてしまった。
目を開けると昨日の出来事がまるで嘘かのように静かになっていた。
あたり一体は火に包まれたが、なぜか倉庫には火が移らないような仕組みになっていた。とりあえず、レオは今この村がどうなっているのかを慎重に確認しようとしている。
レオ(昨日のことが本当だとして、今、本当に外に出られるのかな…)
レオ(このまま何をしてたとしても…確認だけ…そう、確認だけ…)
そうして開いた先には…
レオ「父さん、母さん、、」
レオの視界に入ったのは初めに延焼でほとんど焼けてしまった家と、そこには父と母の亡骸であろう骨が転がっていた。どうやら、炎に包まれて骨以外残らなかったらしい。
レオ(え、英雄の像!!)
レオは走った。
レオ(英雄の像は無事なのか、)
あたり一体は丸焼けになってしまい、昨日の村があったとは到底思えなかった。
そのままレオは走り抜けていく。
レオ(あ、あった、無事だった)
「はぁ…はぁ…」
この瞬間、この光景がレオにとって、ほぼ全てを失ってしまった状況下でも唯一の希望となれた。
???「まだガキが残っていやがったか」
レオ(?!?!)
盗賊「こいつは高く売れそうだ、おい、お前今すぐ来いっ!」
レオ(い、嫌だ、行きたくない、行きたくない)
盗賊「さっさと来いよっ!!」ブンッ
レオは盗賊から殴られ、英雄の像の前まで転がる
盗賊「これはこれは、英雄の像じゃねえか
お前の故郷がなくなっているのにお前は手も足も出せねえとはなぁ、傑作だぜ、はははははは」
レオ「え、英雄を馬鹿にするなぁぁぁぁ」スンッ
レオの攻撃がいなされてしまう
盗賊「クソガキ!テメェ、やっぱ殺してやるよ!!」
そう言って盗賊がナイフを取り出した瞬間
グァーーーン
盗賊「な、なんだ?」
レオ「あ、あれは…」
英雄の像が光っている
キーーーーーン
あたり一体が金属音と共に光る
レオ(何が…)
「あぁぁぁぁぁぁ、や、やめ…」
さっきの盗賊の声が聞こえる
…
あたりの光度が元に戻り始める
そこにあった光景は、ただ、英雄の像が形もなくボロボロになってしまっていることだった
???「君か、毎日僕の前で剣の練習をしていたのは」
レオ「だ、だれ…?」
???「さあね、僕にもわからない。僕には時間がないんだ、故郷を守ることすらできなかった最後の遺産は君だ、君は生きて…」
そういうと何者かの声が聞こえなくなり、英雄の像が崩壊した
レオ「あ、あ、」
「そっちで何が起こったんだ!」
どうやら他の盗賊がやってきたらしい
レオが振り返る
レオ(今度こそ、もう、、、)
レオはそう思った直後、後ろから他の人がやってきていた…