単独と複数
修治が私達に当時の話をしてくれました。
修治「当時の警察の話だと・・・・弟は公共のバスを利用して一人で現地に行ったって事になってたな。確かにそう聞かされた。当時のバスの運転手も中学生くらいの男の子が夜の最終バスに一人乗っていたと証言してる。不審に思ったバスの運転手が弟に声をかけたら、親戚の家に向かっていると弟が言ったらしい」
柴田「最寄りのバス停がどこにあるか知らないけど、多分車で行かないと旧トンネルまでは絶対に辿り着かない。俺達だってあの入り口を探すのにかなり迷っていたじゃないか」
多分私のこの感覚が一番合っていると信じました。当時中学生の彼が夜中に蛇頭ヶ丘へ向かうこと自体おかしいのです。誰かにバスに乗るように指示されて、途中で降りて誰かと落ち合ったという考え方が異様にしっくりくるのです。間違いなく弟の後ろにはガイドの存在がある筈なんです。
早川「あの近くにバス停なんかあった?私は修治の車の助手席からずっと周りを見てたんだけど、バス停なんか無かったように見えたけど。・・・むしろ蛇頭ヶ丘に行く事がバレないようにカモフラージュでだいぶ手前で降りたんじゃない?」
修治「正解だ。お前らよくわかったな。さすがだな。弟は手前で降りて、そこから蛇頭ヶ丘方面へ歩いて向かってる姿を付近の住民に目撃されてる」
その道のどこかで車で待って、修治の弟を乗せたという考え方が浮かんできました。
柴田「・・・あの蛇島の手がかり?修治の弟が持っている可能性が高い」
私はきっぱりと言いました。もう修治にとっては終わった話であっても私達にとっては始まった話なのです。これから調べて行かなくてはいけない話なのです。
修治「でも、もぉ残念ながら死んだからな。本人は居ない。」
修治は煙草に火をつけました。
修治「自殺が判明した時、警察が弟の部屋を調べてたけど、何も手がかりはなく、単独で蛇頭ヶ丘に行ったという見解だったけどな」
柴田「それが俺からしたら物凄く不自然なんだよ。一度あの場所に行った経験がある俺達から言わせるとね。」
早川「なんか・・・柴田の話を聞いてると私もそのような気がしてきた・・・・・。ねぇ、弟さんの部屋ってこの家の中にある?一緒に住んでたの?」
修治「あぁ、二階の奥の部屋が弟の部屋だ。亡くなってからあまり入ってなくてそのままになっている筈だ。・・・死んでからは何度か掃除に入った位かな。よし・・・・久々に行ってみるか弟の部屋に」
少しだけほじくり返すのが嫌な様子でしたが、蛇島の手がかりを探すのであれば弟の部屋の中へ入るしかありません。もうこうするしかないのです。このまま怯えながら過ごすという生活を終わらせるにはその方法しかないのです。
しかし警察が調べた後です・・・・・本当に蛇島に関する情報は残っているのでしょうか・・・・。
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