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逃亡者の存在


柴田「ということは・・・・・単純にさっき見せて貰った写真の枚数である4枚引く2枚で、亡くなった二人がこの業者の客って事ですか?要するに本当の自殺志願者は二人で、残る二人は業者」

佐田「そういうことだな。そう考えると太った青年もこの業者側の人間ってことになるな。柴田君と和歌さんを逃がした事をきっかけに、どうやら業者側の信頼関係に亀裂が入って仲間内で殺し合ったと思われる。こいつらには今回だけではなく、複数の余罪があってね。それを今私達は追っている。あとその・・・・柴田君がトンネルの上から見た五人目の男?そいつは多分、自殺志願者がビビって自殺をしなかった時のリカバリーとして、あらかじめ現地に潜ませていたという可能性が思慮される」


柴田「そういうことだったんですか・・・・」

 そう考えると異様にしっくりきてしまうのです。これまで警察がかなりの調査してきたということが分かります。


 佐田がここまで話すと、私達の中の一人が叫び出しました。


早川「嫌!・・・・に・・・・逃げてるじゃない!一人外に!!・・・・・怖いよ!貴方の考察だか推理だか予測なのか何かよく分からないけど、何を言われてもどうでもいいよ!!・・そんな話どうでもいい!!・・怖い!!また私達を狙って来るかもしれないじゃない!!」

 早川は涙を流して怯えています。全員自殺志願者でてっきり全員死んだものと思ったのに、まだ一人この世の中に存在し、我々が住む社会の中に紛れ込んでいるのです。


 クールでクラスのマドンナの早川が取り乱す姿を私達は始めて見ました。涙で化粧がグチャグチャになっています。


柴田「は・・・早川・・・・あの・・・・」

修治「さ、佐田さん、申し訳ないんだけどちょっと一回休憩挟みません?一気に多くの情報が入りすぎて、一人錯乱状態になっている人間が居る。あと、これまでの内容を理解できていない奴もいるかもしれないし。俺がその辺を何とかするから、ここで一度休憩にしてくれません?」


 修治は余りにも怯えている早川の状態を見て、休憩を提案しました。休憩について快く佐田さんは受け入れてくれました。私も色々と考えすぎており、少々疲れを感じており休憩には賛成でした。


 このまま全員この部屋で小休憩を取る事になりました。トイレに行ってもいいそうです。佐田さんは他の資料を取りに、一度この部屋から出ていきました。


 私は嫌な気分を変える為に、リュウと和歌と一緒に廊下に出ました。私は普段修治や乃蒼のように煙草を吸いませんが、なんだか今無性に吸いたくなってきました。これまで吸った事もない煙草を吸いたいのです。気晴らしになるとか、吸うと落ち付くことができるとか喫煙者の修治から聞いたものですから、どうしても吸いたいです。この際落ち着けるものであれば何でもいいです。

 カンガルーの袋の中で丸まって、親に守られて落ち着きたいのです。今落ち着くことが出来るなら覚せい剤でもヘロインでも、モルヒネでも何でもいい。落ちつけるなら麻薬でも何でも持ってこい!!今の俺には心の平和が欲しい。誰にも邪魔されない心の平和が欲しいのです。

 私は涙を流した早川の悲惨な姿を見てそう思いました。気持ちが穏やかになるのであればこの際、合法でも非合法でもなんでもいいと思ってしまいました。

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