人となり
佐田がパソコンを操作し、スクリーンに『二枚目の写真』が映し出されました。
これもまた青年の顔です。私達を襲った青年の顔でした。
リュウ「この人・・・・俺達を襲ったやつか?・・・・乃蒼?」
乃蒼「うん!・・・多分こいつ!私が倒してやった奴だわ!」
乃蒼は父親の影響で空手を習っており、人間の弱点を知り尽くしています。公園に刺さっていた鉄の棒を蹴りで曲げた事があります。そのくらいのパワーがある女子でした。殴り合いの喧嘩になったら普通の大人でも勝てないかもしれません。
柴田「佐田さん、こいつ、一番最初に俺と格闘になった男です」
和歌「そうだね、この人だわ」
最初に私と和歌を襲撃した男でした。絶対に忘れる筈がありません。
佐田「そうだったか・・・・・頂上に登って一番最初に柴田君と和歌さんを見つけて襲撃した。因みにこの男は自殺した、蛇頭ヶ丘の崖から飛び降りた。」
柴田「・・・・自殺志願者だと言っていました。私の後に、乃蒼にまで手を出したんですね。」
乃蒼「そうだ・・・柴田がちゃんととどめを刺してないからこっちに来たのよ!!あんた男ならしっかりしなさいよ!!あと、なんか女を犯してから殺すとかわけわかんない事言ってたから、頭に来てさ!!そいつから同じ事聞いてんでしょ?!」
柴田「とどめって・・・はじめっからお互いで戦争してんじゃないんだよ!!・・・それでもその時俺怪我したんだぞ!!この俺の腕の包帯見てみろよほら!!刺された!!知らない男に!!刺されたんだぞ!!・・・一体人が何日入院したと思ってんだ!!それに俺はお前と違って武術も習ってない素人なんだよ!!」
乃蒼「素人も玄人もあるか!!人間なら最後まで戦えやこのポンコツ!!」
柴田「何がポンコツだこの野郎!!」
私と乃蒼が席を立ちあがって言い合いになりました。
元々気に入らない奴だとは思ってたけど、こっちの状況も知らないで良く言えたもんだ!こいつはガチで人殺しになりかねない!実際、誰か殺してんじゃないか?!今回のこの事件で!!
リュウ「柴田!乃蒼!待てって落ち着け!」
佐田さんが間に入り、ストップをかけて、再び話し始めました。
佐田「乃蒼さん・・・・・もしかして・・・・彼の耳に何か刺した?」
乃蒼「あぁヒールをね。悪いけどね、女をそういう目で見て来る連中が私はとっても嫌いでね。徹底的にやってやったわ。今でも凄く腹が立ってる」
柴田「・・・・・凄い度胸だな・・・・・俺ならそんな事出来ない・・・」
佐田「柴田君も彼に馬乗りになって殴ったって聞いたけど、どうやら相当言ってはいけない言葉を君達に言ったんだね」
柴田「・・・・・・・正直横に居た和歌が止めてくれなかったら・・・横からナタを持った他の男が飛び来んで来なかったら、自殺する前に、乃蒼と乱闘になる前に俺が殺していたかもしれません・・・・・」
和歌「耳に何か刺さってるって事は、乃蒼にやられた後にそのまま崖に行って落ちたんですか?」
佐田「恐らくそうだね。かなり喧嘩で柴田君や乃蒼さんにやられた形跡があったけど、なんとか意識があって動ける状態であったんだと思う」
リュウ「一歩間違えたらこっちが人殺しになってたかもしれないな」
人殺し・・・リュウの言う事はもっともです。
私と乃蒼は全く違う人間のように見えますが、共通点があることが分かりました。一度やり始めたらブレーキが効かないのです。頑固です。そういう事もあって乃蒼は空手を辞めさせられたし、自分も運動部に所属していたのは少年サッカーくらいで、熱くなる争いごとは極力控えていました。頑固の一言で済む事なのでしょうか。私は昔、勝ったと思い込んだ時に、相手にハメられてやられてしまった経験があり、怖いのです。私は完全にこっちが有利な立場になっていないと怖くて怖くてしょうがないのです。乃蒼の心の奥底は知りませんが、私はそういう性分の人間でした。
修治「乃蒼にやられたらまずいな。みんな知ってるかもしれないけど、こいつ一回停学になってんのよ喧嘩で。前科がある。相手を半殺しにしてんのよ。乃蒼は見た目はそうでもないけど、一度火が付いたらヤバい奴だとは思ってたけど」
乃蒼「ちょっとやめてよ修治、昔の話!あんただって近くに居たなら私を止めてくれたら良かったじゃん!」
柴田(・・・ん?・・・・同じ場所に居た?・・・・乃蒼と修治が・・・・)
修治「馬鹿かお前は、止められるわけがないだろ。俺もその時、他の奴らと殴り合いになってたわ」
乃蒼「それであんたは停学逃れて、私だけ停学よ。別に停学はどうってことないけど、同じことをしておいて不公平だわ不公平!あんたの親が金持ってるからでしょ!」
修治「違うぜ・・・・俺の喧嘩相手は、俺の弟を自殺に追い込んだ奴だったんだよ・・・・」
えっ・・・・・・・・・
全員が息を吞みました・・・。あの蛇頭ヶ丘で死んだっていう修治の弟のこと??
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