謎のメモの行き先
「放課後 体育倉庫まで来て」
このメモを書いた人間はかなり急いでいたのでしょうか。走り書きのような字体でそのように書いてありました。
愛の告白をするのにこんな急いで書くのかな・・・・。絶対無いよな・・・・。
なんか別の用事?・・・でも名前も何も書いてないし誰からの手紙なのかさっぱりわからないのが現状です。
柴田「もしかして修治か?・・・・・・こんなイタズラをするのは」
リュウ「よ!柴田!どうした??」
柴田「リュウ!お疲れ!・・・・・修治のイタズラかと思うんだけどこんな手紙がさ・・・」
私は完全にあの留年先輩のいたずらだと思い込んで、メモをリュウに見せてしまいました。
リュウ「おいおい、これ何?ラブレター??・・・・じゃない?・・・・か・・・・」
ラブレターにしては走り書きで心がまるでこもっていないような気がするのですが、自分の事を好いてくれる人が居る可能性があるというのもなんだか悪くないような気がしてきました。
柴田「そういえば修治は?」
リュウ「ああ、帰ったな」
柴田「くそぉ、先に帰ったってことは絶対あいつのイタズラだよ」
リュウ「まぁ不安だろうから俺が付き合ってやるよ、一緒に体育倉庫行ってみよう。行くんだろ?一応。」
結局私はリュウと一緒に放課後を待ち、体育倉庫へ一緒に行く事にしました。
学校の近くの公園のベンチに腰掛け、缶ジュースを飲みながら他愛もない話をリュウとしていました。結局この高校の生徒の話題と言えば「将来」「未来」です。自分がどうなりたいか、どのような職業に就きたいか、いつもその辺りが話題となります。いかにも進学校の生徒の会話ではないでしょうか。
リュウは家業で居酒屋をやっています。一般のサラリーマン家庭ではありませんでした。
3つ歳上の兄、そして両親の3人で営んでおられます。いずれは兄を助ける立場で居酒屋の経営に携わろうとしていました。
缶ジュースを飲み終えた所で、私はベンチを立ちゴミ箱の方へ歩きました。温い風が吹いており、私の体を包み込みます。
ぞわぞわ・・・・ぞわぞわ・・・・・
柴田「リュウ、なんか嫌な予感するな。・・・・倉庫行くの辞めるか?」
リュウ「はぁ??何言ってんだよお前は。緊張なんかすんじゃねぇよ。相手は誰だか知らねぇけど、お前に用事が有るって言ってんだぞ。友人の俺も気になるに決まってんだろうが。誰なのかはっきりさせようぜ」
ここまで待って怖気づいてきました。得体のしれない人間からの呼び出し・・・・一体何の用事が私にあるのでしょうか。こっちはきっと何も無いのですが・・・・。
時計は夜の9時前です。行動を開始しました。
リュウ「柴田、行ってみるかそろそろ」
柴田「おう・・・わかったよ。」
部活動が終わった頃を見計らって再び私達は学校に向かいました。
サッカー部や野球部の人間とすれ違います。何故帰宅部のこいつらがまだ学校に残ってるんだと言わんばかりの蔑んだ目でこちらを見てきます。まぁ多分これは被害妄想ですが・・・。
体育倉庫の正面にトイレがあるのでそこで用を足してから行く事にしました。2人で並んで小便器に立ちます。
柴田「リュウ、誰も居なかったらすぐ帰ろうぜ」
リュウ「そうだな、俺もここまで一緒に待っといてあれだけど、なんだかどうでも良くなってきたぜ。腹も減ったし・・・・」
体育倉庫の曇りガラスに、人影が映っているのを確認しました。
柴田「ん?・・・入った?倉庫・・・・・」
トイレの窓の隙間からその人影を確認しました。
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