暗闇の一本道
我々のシャツの仕掛けに激怒しながら太った青年は旧トンネル前の広場まで下りました。
そこで、修治の車を燃やした色白の青年と会いました。
色白の青年「・・・あれ?!」
太った青年「おい!!あいつらどこ行った?!」
色白の青年「いやこっちのセリフだぜそれは!俺もフェンスからあいつら二人を追いかけて来たんだ!」
太った青年「はぁ?なんだって?!俺は頂上から階段で下って来たんだぞ!!フェンスから一本道じゃないか!!俺達で挟み撃ちしたはずだろ!!」
色白の青年「おかしいぞ!両サイドの木々の間のスペースに逃げ込む余地はほぼ無い!!確かにあいつら、結構足速かったけど、間違いなくあいつらはこの広場方面に向かったぞ!だって、そこの入り口フェンスから出られないように俺が通せんぼをしていたんだぞ!そこを武器無しで正面突破してくる筈がないだろ!!俺を買収しても、駐車場の車も燃やしてるのに逃げようがない!!とにかくこっち側のバリケード対策は絶対に出来てたんだ!確かに暗くて視野が悪かったけど、この状況からして間違いない、絶対にあいつらはお前が居る方向に引き返していったんだ!!」
確実にフェンスを通る事は出来ないと豪語していました。
太った青年「待て待て!!それはおかしい!!上から降りてきた俺が見落とすはずがないだろう?!奴らは間違いなくそこの階段を降りて行った!男が着ていた変な服でカカシみたいな物を作って俺を欺こうとしていたけど、フェンスを塞いでるお前とであいつらを挟んでいる事はもう分かっていたから、確実に俺達2人であいつらを仕留めれると思ったんだが!」
色白の青年「そうすると、お前の目を盗んで逆に山に登ったんじゃないのか?!」
痩せ型の青年は怪しみます。太った青年がミスを犯したと思ったのです。
太った青年「馬鹿なこと言うな!いいか!頂上に登るにはあの俺が降りて来た保守用の階段以外に道は無いんだぞ?!あの土砂崩れ防止の強化シートが見えないか?!もし仮にそこを登っていたらシートの間から生えたようなスカスカの木々を掻き分けるようになるから、四方八方どこから見ても丸見えなんだぞ?!そんな馬鹿みたいな、自分の位置を知らせるような自殺行為をするか?!仮に無理して別ルートで登ったとしてもだ、頂上まで行った所で断崖絶壁なんだぞこの山の反対側は!!わざわざ自分から袋小路に戻るよう真似はしないはずだ!!」
色白の青年「そ・・・そうだ!!そういえばそうだ!!・・・・そもそも!一番初めに頂上に行った時点でもう、全員追い詰めていたんだ!!そこでお前らがさっさと殺さないからこういうことになったんじゃないのか?!」
太った青年「黙れてめぇ!!俺のせいにしようってのか?!」
色白の青年「うるさい!お前がこのクソみたいな作戦を立てたんだろうが!!」
敵同士での仲間割れが始まります。
太った青年「それ以上言うとぶっ殺してやる!!」
色白の青年「馬鹿か!俺を殺してもただの犯罪者になるだけだ!」
太った青年「犯罪?・・・何言ってんだ?・・・・使命だろ俺達の!!」
色白の青年「馬鹿だな・・・・・・元々ネットで募った自殺志願者を殺す手助けをするのが俺達の使命だっただろ!!あいつらは志願者じゃねぇ!!・・・旅行客だ!パッセンジャーだ!・・・もういい!!俺は帰るぞ!!あいつらに関わる事は元々関係ない話だったんだよ!!」
太った青年「お前こそ馬鹿言うな!!あいつらをここで逃がしたら俺達が今までしてきた事はなんだったんだって事になるぞ!全員殺してきたのに!!・・・・何も無かった俺の人生にようやく生き甲斐が・・・光が・・見えたって言うのに・・・・見えたって言うのに!!・・・・全部・・・・お前のせいだあぁぁぁ!!」
太った背年は振り向いて帰ろうとする痩せ型の青年の背中にナタを思い切り突き刺しました。
色白の青年「うがぁああああ!!!お前・・・・何しやがる・・・・・!!」
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元々この青年達はネットで募集した自殺志願者をこの蛇頭ヶ丘に連れて来て、殺して志願者から金銭授受していたようです。ここは自殺スポットです、人が死んでいても全く不自然ではありません。断崖絶壁から怖がる志願者の背中を押してあげるというガイドの生業をしていたそうです。天国或いは、地獄への案内人の役割をしていたようです。それが彼らの生きる希望、社会貢献なのでした。
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