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恐怖を感じた時


 この声は、この蛇頭ヶ丘で亡くなった人達の声なのでしょうか・・・・・・。それともただの耳鳴りでしょうか?

 耳を塞いでも囁きは消えません。耳の隙間からうめき声が入り込んできます。

 怖くて、恐ろしくて私はいつまでも和歌にしがみ付いています。自分が情けなくてどうしようもないです。良い所を一つも和歌に見せる事はできませんでした。この時点で初めてここに来たことを後悔しました。元々は遠足気分、面白半分、修治に乗せられ半分・・・・あぁ・・・・・早く・・・家に帰りたい・・・・。


和歌「ちょっと・・・えいちゃん大丈夫?凄い汗だよ。 水飲む?」

 自分が持っていたペットボトルを開けて差し出してくれました。しかし塞いでいた耳をあけてしまうと急激に耳に声が入り込んできて、恐怖が襲いかかってきます。

 霧は一向に消える事は無く、和歌と抱き合ったまま時間だけが過ぎていきました。


修治「おい、柴田。大丈夫か?」

 修治が平気そうな声で下の方から声をかけてくれました。彼は余裕でした。多分声が聞こえていないのでしょう。

柴田「お・・・・お前・・・こんな時によく喋っていられるな・・・・」

 私は限界でした。


 そのまま私達は無言で約30分ほどそのままの体勢で過ごしました。

 すると、サーーーーーーっと物凄い勢いで霧が晴れていきました。


 突然晴れたのです。あっという間に晴れたのです。懐中電灯の効果が出て、全員の顔が見えるようになりました。先程の霧は・・・・一体何だったんでしょうか・・・・。そして声も・・・・。霧がなくなったと思ったら先程迄私の耳に聞こえていた悪魔のような囁きも無くなりました。

 和歌と目を見合わせました。

 助かった・・・・・。再び強く抱きしめ合いました・・・。

 私は汗を大量にかいていましたが、和歌はに関しては汗一つかいておらず、サラッとしていました。

 その後全員の無事を無言で確認しました。


乃蒼「こ・・・・こわかったー」

 半泣きの乃蒼がリュウに泣きついています。

 乃蒼も俺と一緒で聞こえていたんだ・・・・あの声が・・・・。私と同じあの恐怖を味わったんだ・・・・。


 年長者の修治と早川が登ってきます。

修治「霧が晴れたな、みんな大丈夫か?・・・・」

早川「いや修治、・・・私が見た感じだけど乃蒼と柴田がヤバそう。もしかして全員でしゃがんだ後も声が聞こえ続けていた??・・・・調子悪そうな感じがする。だって柴田が凄い汗だもん・・・・。きっと・・何かここで受けたのよ。この蛇頭ヶ丘の洗礼を・・・・」

 冷静な早川の声が私の耳に届きました。乃蒼や早川の声が聞こえたので、とりあえず今は生きているという事に、間違いは無いようです。

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