思わぬ人物
目の前の出来事に、どうしても理解が出来ない私服姿の4人。
いつも通りの顔つきで私達の前に現れました。全員が見た事のある人間でした。
リュウ「ロペか?・・・・・・・ロペなのか?!・・・・・」
乃蒼「なんで?!・・・・・・あんたあの一件から捕まったんじゃなかったの?!・・・」
和歌「なんか怪しい!!逃げよう!!みんな!!」
修治「・・・ちょっと待て和歌!!」
その場から逃げようとする和歌の腕を掴む修治。
和歌「修治!!」
修治「車で来たのか?ロペ」
4人はロペが運転する黒い8人乗りワンボックスカーに乗っていました。会社で使っている車だそうでした。
車内では暫く無言でした。何かしてきたら直ぐに逃げなくてはいけないので、鍵をロックせずにいました。
修治「ここにいるという事は、疑いが晴れたってことだよな」
重苦しい空気の中、以前自宅車庫で対峙した者同士が話し始めました。
彼らは一体、あの時何を思ったのでしょうか。
ロペ「俺は・・・・警察に全てを話した後に釈放された。サラが脅されているなんて知らなかったんだ。もし打ち明けてくれていたら、必ず助けたのに」
悲しそうな表情をしていました。
無関係であるという事を証明したと本人は言っていますが、それでは一体何故私達の居場所がわかったのでしょうか。
乃蒼「でもさ、おかしいじゃないロペ。神社でピンポイントで待ってるなんて」
ロペ「修治に悪い事をした。これで許してもらえるなんて思っていないが、少しでも力になりたいと思ったんだ・・・・・」
愛するサラの為とはいえ、簡単に知り合いの殺人を引き受けてしまった事に対して猛省した様子が伺えました。全員その話を静かに話を聞いていました。
ロペ「・・・柴田だ。柴田から連絡が来て、みんなを助けて欲しいと」
修治「柴田ぁ??」
和歌「英ちゃんが・・・ロペに連絡したってこと?」
私は刑事の佐田さんからロペが釈放されたということを聞いたんです。サラとは同じ会社の仲間として繋がっていましたが、犯人の蛇島と直接的に繋がっているという証拠がない様子でした。
病院の庭園で電話をしていました。
柴田「ロペ、釈放されたんだってな」
ロペ「ビックリしたよ。柴田だよな?この度は本当に申し訳ない」
柴田「サラの事知らなかったんだよな」
ロペ「あぁ、その通りだ。どこの病院に居る?何か買ってお見舞いに・・・・」
柴田「俺のお見舞いは良いんだ関係者以外面会禁止だから。それより・・・・今から修治に謝りに行けるか?」
ロペ「え?今から?・・・それはどういうことだ?・・・・」
私は修治から補習科に向かうと聞いた時に、ランニングコースから住宅街に行き、裏道を通るだろうということは頭に浮かんでいました。
しかし、そこからどうやっていくのか。
昔、和歌とあの住宅街の外れにある公園に行った事があるのです。住宅街から山肌が影になって見えない公園でした。そこで何をしていたかと言うと・・・・高校生なので言うまでもありません・・・。
敢えて言うと「性行為」です。和歌がこの辺りの地理に詳しい理由はこれです。
あの公園のことがどうしても頭に浮かんで出て来たのです。
隠れていた昔の自分達を思い出したのです。隠れるのであれば、きっとそこだろう。
和歌が一緒に居るのであれは必ずそこを通る。絶対に通る。信じて疑いませんでした。
そこから裏道に抜けるので更に人気のない神社側へ歩くだろう。神社の駐車場に車を停めて待っていれば和歌達と会う事が出来ると予測していました。
ここ一番で、昔の思い出を頼りにするチャンスが舞い込んできたのです。
あまりにも上手く行ったので驚きました。
保険で「会えなければもう修治への謝罪のチャンスは無い」とロペに伝えていたので神社で会えなくとも車で動き回って和歌達を見つけて保護していたに違いはありません。
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