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逃走


 4人は時折後ろを確認しながら、ランニングコースを歩きます。全員の表情を見ると修治以外は少し緊張していますが、一応準備体操はしたので直ぐに走る準備は出来ています。

 とにかく人との接触を無くして目的地に到着しなければなりません。誰も助けてくれません。これはただ、学校との信頼関係を作る為の試練だと考えればそれでいいんです。

 入学してからこれまで私達は成績を含め、学校から信頼を得るような行為は和歌を除いてしておりません。先程学校で教頭に詰められたリュウの事を言うわけではありませんが、面接だけでなくその場その場で嘘をついてやり過ごしてきた集団という括りの中の人間です。そういうイメージの中しっかりとやり遂げてこそ自分の道が開けるのです。


乃蒼「さっきの人達が私達のこと気付いて追いかけてくるよね?もっと急いだほうが良かったかも」

 確かに乃蒼の言う事はもっともです。早歩きから小走りに変わり、住宅街に差し掛かろうとしていました。

 ちょうどその時でした・・・・・・・。


山崎「あそこです!!あの体操服!!」

高原「ほんとだ!!まだあんな所に居たっ!!」

鈴木「まだ居て良かった!!時間が経ったから心配だったんだよ!!」

 遠くの方で先程の男性の声が聞こえました。

 

 声が聞こえた途端、一斉に全員走り出しました。

 住宅街の分かれ道に差し掛かりました。



 4人のうちの2人は住宅街の大きなカーブを曲がり、残りの2人はそのまま直進しています。

鈴木「あの子ら・・・二手に分かれたぞ!!」

山崎「なんで?!」

鈴木「俺は直進する!!高原と山崎は曲がってくれ!!」

高原「分かりました!!」

山崎「掴まえましょう!!」


 元陸上部の鈴木は足が速く、物凄い勢いで二人に接近します。

 疲労で、堪忍したかのようにその場に静止しました。


 ガシッ!!

鈴木「話を聞かせて貰いたい・・・・・え?・・・・あれ?・・・・」

生徒「なんですか・・・いきなり追いかけて来て・・・・はぁー・・・・はぁー・・・・・」

鈴木「ごめんなさい、人違いでした・・・・」

 鈴木が捕まえた二人組は持っている写真の人間と違いました。

生徒「は?!マジ訳わかんない!!警察に言おうか!!」

鈴木「ごめん!!いや、申し訳ない!!こっちの勘違いだ!!人違いでした!!私が追いかけている人間かと思ったら大変失礼いたしました!!」

 鈴木は土下座する勢いで謎の生徒二人に謝罪していました。

鈴木(・・・さっき言ってた人間と全然顔が違うじゃねぇかよ!!・・・・・高原!!山崎!!何考えてんだ!!)


 その頃・・・・私服に着替え終わったリュウがランニングコース奥にある山肌から顔を出しました。


リュウ「そろそろ大丈夫かも」

乃蒼「誰も居ない?」


 リュウは住宅街の方をゆっくりと見ました。

リュウ「ありがとう、兄貴・・・・・」

修治「今のうちだ、行こう」

和歌「またほとぼりが冷めたらみんなで食事に行こう」



 学校出発前・・・・・・・

リュウ「なぁみんな。やっぱこの体操服は目立ちすぎるって、着替えなくてもそれはなんとなく分かったけど、こうやって着替えたことで目立つって事が非常によくわかる」

修治「そうだよな、これは目立つ。でも現状は制服か体操服しか服装は選べない」

和歌「体育の補講って言う言い訳は一時的に逃げるのに使えるかもしれないけど、その後は目立って困るよね」

乃蒼「でもどうやって他の洋服を用意するの?やっぱり最初から制服で行く??」

リュウ「・・・・・・持って来て貰う・・・そうだ、一人だけ信頼出来る人間が居るわ・・・」

修治「なるほどな、頼るならあの人か・・・・今日って確か定休日だもんな・・・・・」



リュウの兄「これは高くつくぞリュウよ・・・・・マジで久々に走ったぞ・・・・」

 飲食店を営むリュウの兄とその店の従業員と合流し、ランニングコース奥にある多目的トイレで、お互いに着ている服を交換しました。

 そのままリュウの兄達は体操服姿で住宅街に入り、私服姿の和歌達は山肌に隠れました。


高原「てことはあなた達だけでなくて・・・・他にも補講が??・・・・」

 和歌のジャージを着た従業員は呆れた顔で高原と山崎を見ています。

従業員「いきなりなんなんですか追いかけて来て・・・・。当たり前でしょ!!3学年あるんですよ?補講が一組なわけないでしょう?TV局だって言うなら身分証を見せなさいよ!!」

 名演技・・・・・。はまり役・・・・・。リュウが呼んだ協力者は非常に心強かったです・・・・・・。

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