病院での生活
病院に居る唯一の友人である早川と暫く話せないと分かった私は、自分の病室に戻り先程早川から買って貰った雑誌を引き続き読んでいました。
万が一、体調が回復した早川に見られないように雑誌の表紙にタオルを巻いて読んでいました。またあのような状態になってしまったら、いけないので細心の注意をはらっていました。
雑誌の内容を見ると、リュウが雑誌記者のインタビューに答えている様子でしたが、そのインタビュー部分以外の箇所は私も知らない『ちょっとした嘘のような場面』のことが書いてあり、やはりこの事件を盛り上げる為の工夫がしてありました。
しかしあの場では実際に心霊現象にも遭いましたし、嘘のようなことが現実に起こっていました。なので記者に文句を言う気分にはなりませんでした。
修治達・・・・今頃厳しい尋問受けているんだろうなぁ・・・・・。マスコミも来るだろうし・・・・。
今学校に登校した友人達の事を思うと少し気の毒ですが、あれだけの事件があって呼び出されることは確定しています。呼び出されない事は先ずもって無いのです。
なので、質問を予想して多少受け答えする準備は全員出来ていると思っていいのですが、やはり私は先の事を予測すればするほど、四人の中でも乃蒼のことが一番心配でした。
こういう時に消極的で何を言い出すかわからない上に、彼女が私達の中で一番退学に近い位置に居るのです。修治と和歌は学校への貢献度がありますので、問題無いと私は勝手に思っていました。
仮に乃蒼が運良く退学処分免れて停学処分になったとしても、もうこれで三度目の処分になります。一、二年生をギリギリの成績と出席日数で進級してきています。この大事な三年時に長い停学期間に入り、出席日数足らずに卒業が出来なくて、他に行く教育機関に行くとしてもこれまでの三度の停学回数・・・・この先の受け入れ先があるかどうかの話にもなってきます。
でも本当に彼女が頼もしかったのは事実の話・・・・乃蒼が居てくれて頼もしかったのは本当のことです。体を張って親友のリュウを守ってくれました。『ありがとう』、これが私の素直な気持ちです。
しかし先程から誰かが私の病室前で立ち止まり、また直ぐに気配が無くなるということが続いていました。前の病院でも似たようなことがありましたが、大きな病院に移ってから頻繁にそういう事がありました。
刑事の佐田さんや末広さんであれば、事件の関係者枠の人間なので入って来て貰って全く構わないのに・・・一体誰なのでしょうか。頻繁に私の様子を見に来ているように感じたのですが・・・・・。もしもその相手が看護師であれば必ず私に声をかけてくれます。なので、看護師でない事は私の中では分かっています。不審者が病院内に入って来る筈が無いし・・・・。
お見舞いに来てくれた母親かと思いましたが、先程着替えを持参してくれてすぐに帰宅しました。弟から今日はもう父も自分も病院には来ないというメールが入りました。うー-ん、誰だろう・・・・。
独りぼっちを満喫しようと、母親が持ってきてくれた本を読んで過ごしましたが、これも限界があります。雑誌も読み終えた事だし、これから何をしようか・・・・。
せっかくのこの時間を大切にしないとな・・・・。
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