見透かされたリュウ
和歌との話が終わった後、少しだけ時間が空き・・・・教頭は資料を再び読み始めました・・・・。
教頭「じゃあ次は・・・・・」
るみ「里中竜太郎君です」
リュウ「はい」
いよいよ俺の番か・・・・・・。
教頭「あぁ・・・・あの居酒屋さんの?・・・確かお兄さんが卒業生だったね。お元気?」
リュウ「元気です。兄は専門学校で栄養士の資格を取りました。元々やっていた家業のアルバイト続けたのちに調理師免許を取得して、跡継ぎ目指して親の手伝いをやっています」
教頭「そうですか。それでは、お兄さんは成功されているんだね」
リュウ「ええ、まぁ・・・・・・そういう事になりますね・・・」
どうやら教頭は私達個人の事ではなく、家族構成も把握しているようです。
まさかの兄の情報・・・・。この人は一体・・・どこまで調べているんだろう・・・・・。
教頭「君自身は将来どうしたい?里中君。君の将来を聞いておきたい」
リュウ「まだ自分自身の行き先ははっきりと決めていません。しかし、家を手伝いたい気持ちはあります」
教頭「そうかね。『親と同じ仕事をしたい。親のようになりたい。』それは本当に素晴らしい事だ。素晴らしい目標を持って入学をしたと私は思っていましたが・・・・」
リュウ「そ・・・それは・・・・め・・・面接の時に俺が話した言葉・・・・・・」
乃蒼「えぇ・・・・・」
和歌「・・・・・・・」
修治「め・・・面接時の発言も記録されているのか・・・・・・・」
入学してから今までの事を全てチェックされていました。
兄に面接は嘘でもいいからそのような目標をズバリ言った方が良いと薦められて、面接の日までに自分で考えて答えた言葉でした。
教頭「自営業を営んでいる両親が、自分達の足を引っ張るような行動をすると思う?誰も守ってくれない環境下なんだぞ」
リュウ「・・・・しませんね」
教頭「君がこの六人の中でリーダーシップを取って、『そんな危ない場所には行かない方がいい』と何故言えなかったのかなと私は思っている。こればかりは残念でしょうがない。このメンバーであれば君が真っ先に止めないといけない筈だ。危ない事、怪我する事、それは自分の仕事に直結する。危機感が無いんですよ。・・・・両親のようになりたいという言葉は、口だけの目標ですか?それともお兄さんか他の先輩の入れ知恵で、この龍ヶ丘高校に入る為に『作った言葉』だったのかな」
図星・・・・・。
ふと母親が病気で倒れた時の事を思い出しました・・・・。
実際その時店が上手く回らなくなっていた・・・・・父親と兄やアルバイトのメンバーだけではお金の管理や食材・資材の在庫管理が出来なくなっていた事を思い出しました。
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