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室内


 私と和歌は部屋番号が点滅していた203号室内に入りました。

 そのまま扉が閉まり、オートロックがガチャッとかかる音が聞こえてきました。

 目の前に並んでいる3人掛けくらいの茶色ソファーに座りました。


柴田「なんか・・・ようやく少し落ち着けるね・・・」

和歌「ホントに・・・周りに気を配りながら歩くのはもう・・・・本当に疲れるよね・・・長距離お疲れ様、えいちゃん・・・。」


 私は少しストレッチをしながら、部屋の中をキョロキョロ見ていました。


和歌「・・・あっ何も食べてないと思ったからお弁当作って来たんだけど、えいちゃん食べる?お腹減ってる?」


 和歌はおにぎりと唐揚げ、出汁巻き卵を私の為に作って来てくれていました。


柴田「マジで?!・・・・ありがとう和歌、最近ちゃんと食べてなかったんだ」


 カバンから出したお弁当とお茶を机に並べました。


 ・・・・・


 ・・・・・


 ・・・・・



柴田「戴きます♪・・・パクッ・・・うまっ!!・・・・和歌料理上手だね・・・」

和歌「ごめん、唐揚げはチンして持ってきただけだから(笑)」

柴田「だ・・・出汁巻き卵のことだよ・・・・」

和歌「はぁ?えいちゃんまだ出汁巻き食べてないじゃん(笑)」

柴田「あーそうだった(笑)」


 暫くご飯を食べて和歌と久しぶりに笑いながらそのような話をしていました。ここは私達が付き合っている時に初体験、要は初めて私達が性行為をしたラブホテルでした。部屋番号まで私は覚えていませんでしたが、さすが和歌です。よく覚えてくれていました。恋人同士の頃と変わらない話で盛り上がりました。



 楽しい・・・・これが和歌に対する恋愛感情ってやつなのかな・・・・・。



 ご飯を食べ終わった後、お茶を飲みました。



柴田「ご馳走様♪美味しかったよ、ありがとう和歌」

和歌「食べてくれてよかった、作った甲斐があったわ。正直どうしようかと思ったのよ。ルームサービスとか呼ぶとお金がかかるでしょ?」


 和歌も笑顔で喜んでくれていました。

 弁当箱をカバンにしまって、私はいよいよ今回の事件の本題を話そうとしましたが・・・・その前にもう一つ話しておかないといけないことがある・・・・。謝らないといけないことがある・・・。


柴田「なんだか・・・恥ずかしいけど・・・ここで俺達は結ばれたんだよね?」

和歌「そうそう・・・なんか・・・懐かしいね(笑)」


 改めて私の右隣を見ると、今日の和歌は綺麗でした。スタイルも良いし、ショートカットとスキニージーンズが似合う素敵な女性でした。

 今の気持ちのまま、もしあの頃に戻れたら、絶対に別れる事なんかしなかった。あの時の若い二人を別れさせやしなかった・・・。

 あの頃の私は馬鹿です。大馬鹿野郎なのです。向こうの言い分をろくに聞く事もせずに、ただただ単純に受け入れてしまいました。自分が優しすぎた・・・和歌と一緒に居れば幸せだったはず。迫っている困難を一緒に乗り越える事も出来たはずなんです。自分が幸せになる事を一番に望んでもよかったのです。幸福を自分から捨てたんです。それが正解でした。

 そんな考えだから和歌の本当の悩みに気付くことが出来なかった。そんな馬鹿な考えによって大事な人を守る事も出来なかった。すぐ傍に居たのに・・・。一番近くに居たのに・・・・私は犯罪者だと言われてもしょうがない。死んで詫びても、和歌の人生を取り戻す事は出来ないのです。

 私はいつまでもいつまでも和歌の顔を見ていました。


 ごめんなさい・・・・・

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