役割
和歌の家はこの町全体を地図で見たとすると、修治の家の真逆に位置します。私と修治が距離的には一番離れる事になりそうです。
地図上の乃蒼のアパートがちょうど中間の位置だとすると、私達は現在三つのグループに分かれたという位置関係になります。
移動にタクシーやバスを使用しようと思いましたが、これから先お金を使う可能性があります。手持ちがあまり無い為私は節約し、徒歩で現地に向かう事になりました。・・・・乃蒼の自転車は目立つので今回は借りるのをやめました。
リュウ「乃蒼・・・・柴田はこれからどこに向かうんだろう?」
乃蒼「よく分からないけど、和歌の家じゃなくて?・・・和歌が何かあの文字について知ってるんでしょ?結局あのノートの文字って、和歌以外誰も分かんなかったじゃん。」
リュウ「よく覚えてるよなぁ、あいつも。記憶力が良すぎるわ。元々文系で覚えが良いんだよな」
乃蒼「・・・・多分ね、これ女の感ね。和歌にとって特別な場所でその文字に出会ったんだよ。だって肝心な所を私達に聞かれないように、スピーカー機能を切って柴田と電話で話してたでしょ?」
リュウ「いや・・・それはあれだろ、危ない所に行く可能性があるから俺達や修治を巻き込まないように、柴田と二人で行こうって決めたんだよ和歌が。多分、俺達に話さなかったのはそういうことだと思うぞ。・・・先日も蛇島たちを振りきって蛇頭ヶ丘から脱出したコンビだからなあの二人は。あの二人がやる事は信用できる。なんたって実績があるからな」
乃蒼「そうなのかなぁ・・・・」
リュウも乃蒼も、私達が必死だというのに修治が空けたお酒を飲んでいました。もうジンの瓶とソーダ水の瓶が一本空きそうです。
乃蒼「このまま私達だけここに居てもいいのかなぁ・・・って思うんだけどさ・・・仕方ないか・・・」
リュウ「ここが安全。動かない方がいい。とりあえずここに居れば恐らく見つかる事はないよ。柴田か修治、誰かが困ったら俺達が二番手でみんなを助けに行こう・・・・その役が出来るのは俺達しかいないんだから・・・・・。・・・・何か手伝う事は他にないかな・・・・。」
リュウは先程四人で見ていたこの町の地図をテーブルに開きました。
修治の家から15分以内で到着できる範囲・・・・・西側から・・・車が衝突した・・・・・東に逃げた・・・・・。となると・・・・・・。
乃蒼がその地図を覗き込みます。
乃蒼「・・・雑居ビルとかがアジトになるのかな?それとも、普通の家?」
リュウ「いやぁ、全く分からないなそれは・・・・奴らはパソコンさえあればとりあえずどこでも通信できるはず。というかアジトなんか無くて、たまたま修治の家の近くに居たって事も考えられるぜ」
乃蒼「そんなこと・・・・あり得る?たまたま修治の家?・・・」
乃蒼は首を傾げます・・・・。
リュウ「ここだって急げばちょうど15分位で到着する範囲に入ると思うぜ」
乃蒼「は?!嘘?!じゃあ私の家めっちゃ危ないじゃん。あんたさっき安全って言わなかった?・・・もうあいつ多分私達に容赦しないよ?車で突っ込んできてる位だからね。早川がやられちゃったし・・・・・」
リュウ「今柴田の話だと、警察が蛇島の居場所を割り出してる最中だ。俺達も何もしないんじゃなくて、予想してあいつらの位置を特定してみよう、蛇島のおおよその位置を。乃蒼は昔っから夜遊びしてたから隠れ場所を割り出すの得意だろ?・・それこそ・・・繁華街とかさ・・・・・」
リュウと乃蒼は地図を指さし、何かを書き込み熟考していました。
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