手がかりとなるもの
性行為中だった二人の着替えが終わり、全員乃蒼の家のリビングにあるソファーに座りました。
私は昨晩遭った出来事をリュウと乃蒼の二人に話しました。ノートパソコンで通信した所、蛇島からチャット連絡が入り、ノートパソコンの電源を切り、警察署に持って行こうとした所、途上で事故に遭ってしまった。修治が相手に攻撃した結果、蛇島の血液が事故現場で出た事・・・・・。
二人は驚いていました。
リュウ「ちょっと待て・・・早川が?・・・・」
修治「あぁ、そうだ」
柴田「俺達は蛇島に狙われている。修治の家の位置はもう蛇島にバレてしまった」
乃蒼「修治戻るとこないじゃん?」
修治「そうだ、だから今日から俺はホテル暮らしだ」
柴田「蛇島は逃げた俺達の居場所を探してる」
リュウ「そのさっきの警察の見立てだと、修治の家から車で大体15分以内の所に居るんだろ?この辺も動き回ったらいずれ俺達も・・・・」
柴田「そういうことになる。だからここから出る時も、お前が自分の家に帰宅する時も、一人で居る時も充分身の回りに気を付けて欲しい。」
私はここで修治の弟のノートを二人に見せました。
乃蒼「何?このノート・・・・・ボロボロ・・・・・・」
柴田「修治の家から出た手がかり、持ち出せたのは唯一これだけだ」
修治「ノートパソコンも柴田のトートバッグも蛇島に奪われた。ハードディスクも故障している。」
乃蒼がパラパラと開きます。
リュウ「このノートに、蛇島の手がかりが?・・・・・」
柴田「ある・・・・・かもしれない・・・・・それを二人にまず見極めて貰いたいんだ」
私は、ノートの中のある1ページを二人に見せました。
何かのメモなのか、なんなのか分からない言葉が羅列されたページでした。
修治「弟は・・・・一体何をしたかったんだろうな・・・・。精神的に追い込まれてこんな字体になってるんだろうか・・・・」
確かに色々な単語がそこには書かれていました。
その中でもこの字・・・・この文・・・・私は見た事があるのです。
柴田「この・・・・・・『クセ字』見たこと無いか?」
私は修治の家でこのノートを見つけた時、私の中で異様な違和感を感じたのです。この文章の中で唯一全く違う文字が・・・違う人が書いたと思われる字がそこにはあったのです。先程の乃蒼のようにパラパラとページを捲って、大体弟が書く字体は把握する事が出来ました。当時精神的に病んでいたとはいえ、ベースの彼の筆跡はさほど変わっていないのです。圧倒的にこの文字だけは絶対に弟が書いたものではない、それに気づいたのです。家を出るまでのほんの短時間でこれに気付いたのは奇跡としか言いようが無いのですが、私が今自信を持って胸を張って「これは違う」と言えるものはたった一つ、これだけだったんです。
乃蒼「んー?・・・・・見たことあるような無いような・・・・・」
リュウ「これ・・・あぁ少し丸文字なのか・・・言われてみたら、他の字体と違うな・・・・。でも柴田お前・・・こんなのよく気付いたな・・・・・・」
修治は思った通り、腕を組んだままで、全く分かっていない様子でした。
イメージを共有しないといけないのですが、リュウも乃蒼も案が出ないまま、時間だけが過ぎていきます。
修治「これが俺達が持つ最後の手掛かりなんだよな・・・・・」
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