表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【シュークリーム・サンデー】~幻獣を説得して動物園の檻に入ってもらうのだ~〔検索除外・永久封印〕  作者: 楠本恵士
第1章・魔王になりそこねた王サマは動物園の檻に入ってもらうのだ
1/9

第1話・おまえも異世界の動物園に入るのだ

「魔王になりそこなった王サマ……おまえも別の異世界にある〝動物園〟の檻の中に入るのだ」


 ある楽しい異世界の一つ──現世界では女子高校生をやっている、十六歳の幻獣ハンター【シュークリーム・サンデー】こと『奄美 日曜(あまみ にちよう)』は、古城の王の間で頬を引き攣らせている王サマに臆するコトも無く、そう言い放った。


 剣をつかんだ王が玉座から立ち上がる。

「いきなり城に来て我に檻に入れだと、ずいぶんと舐められたものだな……無礼な小娘め! その服装は、この世界の者ではないな、どこから来た」

 シュークリーム・サンデーは前頭部が銀髪、後頭部が茶色の髪色をしていて。

 額には赤いバンダナを巻いている。


 上半身に着ているのは、どこかの異世界のヤバいティーシャツばかりを売っている店で買った文字プリントティーシャツだった。


 丈が短いティーシャツの下部からは下乳が見えていて。

 ティーシャツにも『下チチ』の文字がプリントされている。


 露出したヘソには、宝石のネーブルピアス

 下半身は、太モモの所で切断して、鎖で上下をつないだカットオフのデニムだった。


 そして、背中には大型のバックパックを背負っている。


 サンデーが、あけっらかんとした口調で言った。

「うん、この異世界の者ではないのだ……別の異世界を通って来たのだ、魔王になりそこなった王サマを動物園の檻の中に入れて、見世物にするために来たのだ」


 見世物にする……と、いう言葉に魔王になりそこねた王は、ぶちキレる。

「少しは言葉を選べ小娘! 確かに我は魔王になりそこねて、城の者たちから去られた王だが。動物園で見世物になる落ちぶれてはおらん! そんなに王を動物園に入れたかったら我を負かせてみよ!」

「わかったのだ……説得で解決したかったのだが、それがムリなら闘うのだ……それもいいのだ」


 背負っていたバックパックを床に下ろすと、サンデーはバックパックのフタを開けた。

 バックパックの縁にはグルッと牙が生えていて、渦巻く異空間が見えた。

 サンデーが言った。

「ボクの元に来るのだ金属竜『金環 竜華(きんかん りゅうか)』」

 バックパックの中から、金属の東洋的な竜が飛び出しできた。

 金色の金属竜は、サンデーの周囲を飛び回りながら、女の子の声で言った。


「呼んだ?」

「うん、呼んだのだ……力を貸して欲しいのだ」

「防御と攻撃、どちらを希望する?」

「基本フォームの両方なのだ……いつものリング刃になって欲しいのだ」

「刃は付ける? あの剣を抜いたオッサンを真っ二つにできるよ」


 突然現れた、宇宙金属竜『金環 竜華』の言葉に、体を怒りで震わせる王サマ。

「殺したらダメなのだ……魔王になりそこねた王サマは、動物園に入ってもらうのだ」

「了解」


 竜華がサンデーの周囲を回り、リング状の武具へと変形する。

 斜めになったり、横になったり、縦になったりしているリング刃を操りながら、サンデーが王サマに向かって言った。

「かかってくるのだ、ボクに負けたら大人しく動物園の檻の中に入るのだ……約束したのだ」

「勝手に約束するな!」


 王が頭上に掲げた剣の先に邪悪な黒霧の球体が発生する。

「見よ、魔王になるために会得した〝魔王弾〟の威力……」

 王が最期まで言い終わる前に、突進してきたサンデーがリング刃で剣を弾き飛ばす。

「前置きが長いのだ、そんなんだから魔王になれなかったのだ」

「ぐぬぬぬっ、小娘……我の負けだ、動物園の檻に入ってやる」

「結構、檻の中で見世物になるのも悪くないのだ、食事はちゃんと与えられるのだ」

 金環 竜華が竜の姿にもどって、バックパックの中に帰っていく。

 

 サンデーがフタが開いた、バックパックに向かって言った。

「パックちゃん、まだフタを開けておくのだ……『火祭(ひまつり) ネコマ』を呼び出して。魔王になりそこねた王サマを、別異世界の動物園に運んでもらうのだ……火祭 ネコマ、来るのだ」


 バックパックの異空間から、触手一つ目みたいなモノが出てきて、王サマを一瞥(いちべつ)すると引っ込んだ。

 そして、黒ネコの頭をしたフンドシ姿で頭に鉢巻を巻いた、ネコ人間が妖怪火車が引いているような火炎の車を引いて現れた。

 黒ネコ人間の『火祭 ネコマ』が、腕組みをしてサンデーに言った。

「オレが運ぶのはそこの、マヌケ面をした王サマか」


 王が怒る。

「おまえたち、少しは言葉を選べ!」

 サンデーがネコマに訊ねる。

「今回は、バスの運転手さんの格好ではないのだ?」

「さっき、運ぶモノを確認したからな……モノによっては、バスの運転手やコンテナトラックのドライバーにもなる」


 バスだのトラックだの聞き慣れない言葉にキョトンとしている、王サマに向かってネコマが、振り返りもせずに自分が引く火炎車を指差して言った。

「さっさと、乗りな……早く乗らねぇと焼き殺すぞ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ