表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

電波の国

連載から抜粋

 お遍路の島から本土の島へ戻るため列車に乗っていた私は、うどんで有名な場所で途中下車をして、おいしいうどん屋を探して歩いていた。


ある山に差し掛かり、その山を登り続けると、頂上付近の鉄塔の側に、白装束を着た男の人がいるのに気が付いた。お遍路の人かと思ったが、研究者のような見た目をしていた。


彼はきょろきょろと辺りを見ながら、こそこそと手を動かしている。どう見ても怪しいため、私は「何をしているんですか?」と声をかけた。


 するとその男は例によってきょろきょろしながら私に寄り、耳元でこそこそと喋り始めた。


「ここだけの話なんだが、この鉄塔から人体に有害な電磁波が流れているんだ。これは君たち一般人にはわからない。私が勤めている研究所でわかった事なんだ」


私は「それで、どうするんですか?」と聞くと


「この鉄塔を倒すんだ」


と言った。彼は続けて


「ボルトを抜いて、根本から山側に向かって倒すんだ。それから、私たちの研究所に関する報道を紛らわせるためでもある。私たちは真面目に研究しているのに、それを茶化すような報道をされてうんざりなんだ。鉄塔が倒れれば、大きなニュースになる。私たちの報道への注目を逸らすために鉄塔を倒すんだ。むしろ目的はそっちかな」


 私は山を下り、少し歩いた所にうどん屋を見つけ、そのうどん屋に入った。


かけうどんと野菜のかき揚げを注文した。


今までで食べたうどんの中で一番硬くて噛み応えがあった。これをコシというのだろうか。


 駅まで歩いて列車に乗り、世界最長の鉄道道路併用橋を渡って本土の島に再び戻ってきた。


翌朝の新聞に、鉄塔が倒れたというニュースが大きく載っていた。


犯人はまだ捕まっていないそうだ。


犯人の目星もついていないそうだ。

坂出送電塔倒壊事件

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ