↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

気がつけばシリーズ

気がつけばピンクでした

作者: 七地潮
掲載日:2023/01/03



いつもの様に仕事から帰宅して、病気の母さんにご飯を食べさせ、ベタつく体を濡タオルで拭って一息つく。


「あー、お腹すいたな……それよりシャワー浴びたい」


ん?シャワー?

……………………………

…………………………………………


「え?何これ!私って【私】よね?」



私の名前はアンジー、貧民街に程近い平民街に住んでいる14歳。

12歳の頃から、町のパン屋で働いている勤労少女よ。


家族は母親だけ、父親の顔も名前も知らないの。

その母親は最近体を壊しがちで寝込んでる。

私がしっかり働いて、お母さんを養わなきゃ!


それに15歳になると、教会の成人の儀で、【天の加護】が貰えて魔法が使える様になるのよ。


そうすればもっといい仕事に就けるし、お母さんにも楽させてあげられるの。





…………ってありきたりかよ!





【私】の名前は、東園寺 莉沙、財閥系の本家の末の姫のお母さんと、取引先だった銀行の、役員の息子の父親の間に生まれた一人娘。

でも、私は一般人だよ。


父親の実家の銀行が、合併吸収されたのが、私が小学校の頃。

その後父親は母さんの実家のツテで、商社勤務したけど、プライドばかり高いあのおっさん、年下上司に頭を下げられず、左遷で地方勤務へ。


単身赴任して、そこで浮気なんかしちゃって、サイテーだよ。


なのにお母さんって

「男の人って浮気するものでしょ?」

なんてのほほんとしてるから、思わず

「そーなんだー」

なんて思ってしまったよ。

それから母娘二人暮らしは平穏に過ごせてたわ。



なーのーに!

こっちが見逃してやってんのに、態々地方から浮気相手が上京きてきて 

「あの人を解放してあげて!」

なんて因縁つけてきたのよ。


お母さんが

「離婚は難しいと思いますよ、主人の実家への融資の問題もありますし。

お付き合いを止めることはしませんから、今のままではいけないのですか?」

って、あのおっさんの親と、おっさん自身の立場を守って、自由にお金も使っていいし、お母さんの実家の名前ブランドも使っていいよって言ってんのに、包丁持ち出して来て………お母さんと私は刺されちゃったよ。



で、気付けば私はアンジーって、ラノベかい!


しかもしかも、歪んだ透明度の低い窓ガラスに映る私の髪…


「ピンクかよ!」


貧しい母子家庭、病気の母親、ピンク。

これはもうまごう事なき【ざまぁ系ヒロイン】じゃない!

きっと二ヶ月後の誕生日の成人の義でも、光属性とか授かっちゃうんだよ。


それかお母さんの病気が悪化して………で、男爵家とかの貴族な父親が迎えに来るんだよ。

それで学園に入れられて、そこで王子とか、騎士とか、宰相の息子とか、公爵令息とかと出会って、めっちゃモテモテで、

「これってハーレム?」

なーんて思ってたら、悪役令嬢にざまぁされるんだよ。


知ってる、そんな話いっぱいネットで読んだ。


それに私も何本か【悪役令嬢モノ】とか【ざまぁモノ】書いて、アプリのサイトに何本も上げたから。

全部未完だけど。

ほら、あれって途中で飽きたり、反応が薄かったら書く気無くなったりするものだからね。

未完なのは仕方ない、仕方ない。


とにかく!

貴族な父親に連れて行かれない様にしないと。


大体浮気する男が許せない。

前世のおっさんを思い出すし。


それに、悪役令嬢という名の上位貴族のご令嬢と婚約してて、ぽっと出のヒロインに簡単に靡く、男達も許せない。


この世界が乙女ゲームの世界なのか、ラノベの世界なのかは知らないけど、綺麗な金髪とか、優しい栗色なら、普通に恋愛モノのヒロインだったろうに、ピンクはダメだよ。

ピンクがざまぁされるのは、形式美と言うか、予定調和なんだから。




あー、しかしどうしよう。

貴族な父親が迎えに来る前に、結婚でもしとけば逃げられるかな?


この世界では15歳の成人で結婚する女性が殆どだし。

前世からすると、高校一年で結婚?

ナイワーなんだけど、流石に人妻(響きが強い)はいくら貴族な父親でも連れて行かないでしょう。


仕事場のパン屋の息子のヨシュアさんは私の事好きみたいだし、私も嫌いじゃない。

いつも余ったパンをくれるんだけど、毎回私の好きなベリージャムのパンをこっそり避けていて、混ぜてくれるんだよね。

さりげに優しいのが、ポイントアップだよ。


それに、女性のお客様にもヘラヘラしないところも高得点。


それにそれに、ママさん(パン屋の奥さん)から、最近よく「付き合ってる人はいないのかい?」って、さりげなくリサーチ入ってるし。


うん、こちらからもアプローチかけて、成人の儀が終わったら、逆プロポーズして、貴族な父親が迎えに来る前に、人妻になっちゃおう!


成人の義で、希少魔法が使えたとしても、それが貴族な父親の耳に入るまで、時間も少しかかるだろうし、噂が耳に入って、

「昔お手つきにした女性の子供だ」

って調べて迎えに来るまで、きっと半月はかかるよね?


なら、それまでに逃げ道を作っておけば大丈夫よね?


よし、そうなったら、明日からアプローチ頑張ろう!

今日は念入りに体を拭いて、髪も洗って、マッサージをして……ふふふ、待っててね、ヨシュアさん!

ざまぁされない為にも、貴族なんかにならない為にも、ゲットしてみせるから!






二ヶ月後の成人の儀、私は光魔法を使える様になったの。


そして、今はヨシュアと無事結婚して、暖簾分けしてもらったパン屋を、夫婦二人で営んでるわ。



「ははははは、そんな事考えてたのかい?

アンジーは想像力豊かで面白いね」

「うーん、黒歴史だけど、笑い飛ばす方が健全だよね」


私は結婚後、前世の記憶がある事、ピンク色の髪の問題、貴族な父親が迎えに来る前に結婚したかった事など、全部ヨシュアに話したの。


「だって、君の父親って、薬師で薬草採集に行った先で、滑って転んで無くなったって言うのは、町中誰でも知ってる事だったのに、義母さんが『恥ずかしい亡くなり方だから、アンジーにはなるべく知らせたくないわ』って言ってたから黙ってたんだけど、まさか貴族様の庶子だと思っていたなんて」

「ああああああ〜!!お母さん、ちゃんと教えててよね!」

「あはははは」


はい、私は貴族の落胤でも無ければ、ヒロインでもありませんでした。


普通に父親の家系が、赤やピンクの髪色の、前世の記憶のあるだけの一般庶民でした。


しかも!

光属性の魔法って、本当に光るだけ!

夜道で重宝するくらい。

あと、カラフルな色の灯りが灯せたり、ホタルみたいに点滅させたり……つまり、やっぱり、光るだけ。


前世を思い出してあたふたしちゃったけど、どんな黒歴史でも笑っておおらかに受け入れてくれる旦那さん、しかも絶対浮気しない、浮気をしたらもいでいい、とまで言ってくれた人と結婚できたんだから、ハッピーエンドで間違いないよね!





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] カワユイヒロインですね~(*˘︶˘*).。.:*♡
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。