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咎人の舞踊曲  作者: 碧 憂真
1/2

[Prologue]

処女作、及び初投稿です。

拙いですが宜しくお願い致します。

突然ですけれど、皆さんは死神をご存知?

まあ、有名ですものね。それくらい知っていて当然ですわ。

あたくしが死神に会ったことがあると言ったら、皆さんは驚くと思いますの。

気が狂ったんじゃないか、って思う人もいらっしゃるかもしれませんわ。

ですが、それは本当ですわ。なんてったって、その『死神』が、今あたくしの隣にいらっしゃるんですもの!!!!




__遡ること数分前ですわ。

午後十一時頃、あたくしが窓辺で今は亡き愛しの兄様に想いを馳せていたとき……

急に背後に気配を感じたんですの。

召使いはもうほとんど眠っているし、あたくしの部屋には誰も来ないはずなのに……そう思い、勇気を振り絞って振り返ってみたのです。

そして……そこに居たのはあたくしと同じくらいの少年でしたの。真っ黒なお洋服に身を包んだ彼は、まるで夜を駆けるカラスのようでしたわ。

あたくしは気になって、彼に聞いてみましたの。

「貴方はだあれ?」と。

すると、彼はこう答えました。

「……僕は死神だ。お前を殺しにきた」

当然あたくしはびっくりしましたわ。いきなり死神だなんて言うんですもの。ですがここで立ち止まるあたくしではありません。

「あたくしを殺す前にお願いを聞いてくださる?」と、彼に聞いたのです。

彼は突然の頼まれ事に面食らったようでしたが、あたくしの方を見てこう言いました。

「夜が終わるまでなら構わないよ。それと、僕に出来ることなら」

本当のところ、あたくしはOKを貰えるなんて思っていなかったので、舞い上がってしまいましたの。

お願いの内容は「あたくしの親愛なる兄様に姿を変えて、あたくしのお兄様を探してくださる?」と言う物。

ぽかんとした顔をして、彼は言いましたの。

「探すって……君の兄はもう……」

言われると思っていた通りの言葉を発した彼に、あたくしはいいました。

「兄様は絶対に居ますわ!これは絶対ですの。それに死神ならば、対象の想い人の姿になって現れるのではなくて?」

「それは昔のしきたりだ。今はそんな事はしないよ。気付かれないように魂と肉体を切り離すだけだ」

「あら、案外イメージとは違うんですのね。もっと首を刎ねて血がぶしゃあって感じだと思っていましたわ」

「そんな物騒な訳ないだろ……」

やれやれ、とでも言うように、彼はため息をつきましたの。

さてと、ここまでがあたくしの回想ですのよ。


そして今、あたくしの親愛なる兄様の姿をした彼が、あたくしの方を向いて微笑んでいるのです。

まるで兄様が生きていた時のようで、あたくしは今にも天に昇ってしまいそうな気分でしたの。

そう、無意識にも夜の空を飛びたくなるほどに__。



「ちょ、おい待ちなよ!」

一体何考えてるんだあいつは……!

頼まれた通りに兄の姿をとったらいきなり窓から飛び降りやがって……!!

「危な……っ、」

きゃあっ、と甲高い悲鳴をあげて大人しくなるターゲット。

地面に降りることも忘れて、ターゲットに説教をする。

「馬鹿!!なんでこんなことしたんだ!!死ぬなら僕が殺すから__」

「……だって貴方が助けてくれると思ったんですもの。今まで生きてきて、夜に空を飛べるのは今だけかと思いましたの。それに、今のはわざとではなく無意識ですわ。久しぶりの兄様が眩しくて」

「無意識だとしてもだ。僕が助けなかったらどうするつもりだったんだよ」

そう言うと、目を丸くするターゲット。

「貴方が約束を違えるとは思えませんわ。きっとあたくしがナイフで心臓を突き刺そうとしても、貴方は助けると思いますの」

恥ずかしげもなくそんな事を言われ、少し狼狽える。

「……そ、れは……」

ふふ、とターゲットは笑う。こいつ、反省してないな。

さてと、とターゲットは服を整え、こちらを振り向いて言った。


「さあ、旅に出ましょう。兄様を探しに」



これは、今際の淵に立つ少女と死神の儚く不思議な物語。


気ままに投稿しますので、続きもよろしければご覧ください。

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