表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

5分前後でサクッと読めるやつ あれこれ

まるで映画みたいに

第3回小説家になろうラジオ大賞に応募した作品です。テーマは「映画」。

 私達の事を話すと「映画みたい」ってよく言われる。

 そうかな。ごくありふれた話だよ。

 彼も私も、特別イケメンや美人って訳じゃない。彼の事は世界一好きだけど。





 きっかけはささいなこと。

 同じ幼稚園で隣になった。

「あそう はるおみ」と「いがわ まき」だからただの名前順。

 でも隣だとペアで動く事もあり、すぐに仲良くなった。

 陽臣は男らしい所もあるけどとても優しいし、自然な流れだ。


「マキちゃん、しょうらいぼくとけっこんして!」

「うん、ハルくんとけっこんする!」


 幼稚園の年中にはそんな会話をしていたと思う。

 親同士も仲良くなり家族ぐるみの付き合いだった。


 同じ小学校に通い、一年の時には「ハル君は私のカレシだから!」って他の女子にアピールしたっけ。今思い返すと必死だな私、ってちょっと笑える。

 誰にも彼を取られたくなかったんだ。


 それが、ある時から周りが私達をひやかすようになった。

 同じ幼稚園の子が私達が結婚の約束をしていたとバラし、事あるごとに夫婦だとからかわれた。

 私の事をふざけて彼の名字で呼ぶのが面白かったらしい。全然面白くないのに。


 そんな感じで中学に上がった時にはもう陽臣とは殆ど話せなくなっていた。

 ……本当は、私はずっと彼が好きだったけど。

 でも私より陽臣の方が辛かったと思う。

 私に話しかける時も必要最低限で、硬い表情と声変わりした低い「井川さん」呼び。

 もう無邪気な笑顔で「マキちゃん」と呼ぶハル君はどこにも居ないんだ、と思って独りでこっそり泣いた事もあった。


 そして忘れられない中学2年の2月。

 私は部活の先輩に告白された。告白って言うか「バレンタインにチョコくれ」って言われただけ。

 噂はあっという間に拡がった。陽臣の耳にも入ったんだろう。


 その日の夕方、陽臣が家に来た。

 暫く交流が無かったからお互いのメアドも知らなかったし、他に方法が無かったって。


「おばさん、俺、婿養子になっていい?」


 思い詰めた表情の陽臣がいきなりそんな事を言い出して、私も母もビックリ仰天した。





「――――あれ、まだ書いてないの?」

「あ、ごめん。昔を思い出しちゃって」


 彼に言われ、慌てて婚姻届の名前欄を記入する。

 井川 麻生。植物の麻に生きるで麻生(まき)

 その左横には私の名前と同じ漢字で麻生(あそう) と読ませる陽臣の名前が記入済み。


「ねえ、本当に井川 陽臣になるの?」

「しつこい。マキと結婚するなら一択だろ。出しに行くぞ」


 大人になった彼は男らしくそう言って記入済みの紙を掴んだ。


お読み頂き、ありがとうございました!

↓のランキングタグスペース(広告の更に下)に「5分前後でサクッと読めるやつシリーズ」のリンクバナーを置いています。もしよろしければそちらもよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
良かったら他の短めな短編もよろしくお願いいたします! ↓のバナーからシリーズに飛べます!
5分前後でサクッと読めるやつ あれこれ
(バナーは楠木結衣様に作って頂きました♪)
― 新着の感想 ―
[良い点] 書き方(構成)が秀逸で、すごく面白かったです!! 「私の事を〜らしい。」で感じた引っ掛かりがこういうことだったとは!!最後ハル君のかっこよさと、仕掛けの種明かしが、とっても清々しかったです…
[良い点] 読まさせいただきました。 タイトルが非常にいい。 男の子にキュンときます。 楽しかったです。
2021/12/13 07:11 退会済み
管理
[一言] さいしょ、うん? って、思ったけど、最後でああそう! ってなった( *´艸`) ……ごめん。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ